技術基準の計算17【電験3種 法規】試験容量4.0kV·A!補償リアクトルはA-C間で変圧器2kV·A 平成28年度 B問題12 完全解説

電験3種 法規科目 技術基準の計算 平成28年度 B問題12 リアクトルをどこに入れる?試験容量は4.0kV·A

今回は平成28年度 法規科目 B問題12高圧ケーブルの交流絶縁耐力試験高圧補償リアクトルを扱う問題です。(b)は接続位置と容量を同時に問う、実務色の濃い出題です。

ポイントは2つ。リアクトルの電流は定格電圧のときの値なので、試験電圧に比例させて換算すること。そして補償リアクトルは試験電圧が加わる箇所に並列接続——図では変圧器2次巻線の両端であるA-C間です。

目次

平成28年度 法規科目 B問題12:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成28年度 B問題12 問題文
平成28年度 法規科目 B問題12 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題12

電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 平成28年度 B問題12

 「電気設備技術基準の解釈」に基づいて、使用電圧6 600V、周波数50Hzの電路に接続する高圧ケーブルの交流絶縁耐力試験を実施する。

 試験回路は図のとおりとする。高圧ケーブルは3線一括で試験電圧を印加するものとし、各試験機器の損失は無視する。被試験体の高圧ケーブルは6 600Vトリプレックス形架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVT)、公称断面積100mm²、こう長87m、1線の対地静電容量0.45μF/km。試験用変圧器は定格入力電圧AC 0-120V、定格出力電圧AC 0-12 000V、入力電源周波数50Hz。

「電気設備技術基準の解釈」に基づいて、使用電圧6 600V、周波数50Hzの電路に接続する高圧ケーブルの交流絶縁耐力試験を実施する。試験回路は図のとおりとし、高圧ケーブルは3線一括で試験電圧を印加するものとし、各試験機器の損失は無視する。高圧ケーブルは6 600V CVT(公称断面積100mm²、こう長87m、1線の対地静電容量0.45μF/km)、試験用変圧器は定格出力電圧AC 0-12 000V、入力電源周波数50Hzとする。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) この交流絶縁耐力試験に必要な皮相電力(以下、試験容量という。)の値[kV·A]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)1.4 (2)3.0 (3)4.0 (4)4.8 (5)7.0 kV·A

(b) 上記(a)の計算の結果、試験容量が使用する試験用変圧器の容量よりも大きいことがわかった。そこで、この試験回路に高圧補償リアクトルを接続し、試験容量を試験用変圧器の容量より小さくすることができた。このとき、同リアクトルの接続位置(図中のA〜Dのうちの2点間)と、試験用変圧器の容量の値[kV·A]の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、高圧補償リアクトルの仕様は定格容量3.5kvar、定格周波数50Hz、定格電圧12 000V、電流292mA(12 000V 50Hz印加時)とし、接続する台数は1台とする。

高圧補償リアクトル接続位置試験用変圧器の容量[kV·A]
(1)A-B間1
(2)A-C間1
(3)C-D間2
(4)A-C間2
(5)A-B間3
平成28年度 B問題12 高圧CVTケーブルの絶縁耐力試験回路(A〜Dの接続点)
平成28年度 B問題12 高圧CVTケーブルの絶縁耐力試験回路(A〜Dの接続点)
平成28年度 B問題12 高圧CVTケーブルの絶縁耐力試験回路(A〜Dの接続点)
平成28年度 B問題12 高圧CVTケーブルの絶縁耐力試験回路(A〜Dの接続点)
答え(a)試験容量≒4.0kV·A = (3)/(b)A-C間・2kV·A = (4)

答えは(a)4.0kV·A・(b)A-C間・2kV·A

電気設備技術基準の解釈 第15条ほか

★交流試験電圧=最大使用電圧×1.5(7 000V以下)=10 350V/★3線一括の充電電流 I_c = 2πf(3C₁)V /★試験容量 S = V × I_c /★補償リアクトルは試験電圧が加わる箇所に並列接続する/★リアクトルの電流は試験電圧に比例換算する

★接続位置を問うのが、この問題の特徴です。

(b)は接続位置と容量を同時に問う、実務色の濃い出題です。

★(a)試験容量を求める

$$V = 6600 \times \dfrac{1.15}{1.1} \times 1.5 = 10350\,\mathrm{[V]}$$
試験電圧
公称電圧から2段階
$$C = 0.45 \times 0.087 \times 3 = 0.1175\,\mathrm{[\mu F]}$$
3線一括の静電容量(こう長87m)
1線0.45μF/km×0.087km×3線
$$I_c = 2\pi \times 50 \times 0.1175\times 10^{-6} \times 10350 \approx 0.382\,\mathrm{[A]}$$
充電電流
$$S = 10350 \times 0.382 \approx 3.95 \approx 4.0\,\mathrm{[kV\cdot A]}$$
試験容量
(a)の答え

4kV·Aは、携帯できる試験用変圧器としては大きいのです——だから補償リアクトルが要る

公称断面積100mm²は使いません——撹乱情報です。

★★(b)リアクトルはどこに接続するか

接続位置そこに加わる電圧適否
★A-C間(変圧器2次巻線の両端)★★試験電圧10 350V★★適切
★入力側(低圧側)★★120V程度★★充電電流を打ち消せない

補償リアクトルは、ケーブルと並列に接続する必要があります——同じ試験電圧が加わる位置です。

変圧器の2次巻線の両端=A-C間がそれ——ケーブルと同じ電圧がかかります

低圧側に入れても、進み電流を打ち消せません——電圧が違うからです。

★リアクトル電流の比例換算

$$I_L(12\mathrm{kV}) = 292\,\mathrm{[mA]}$$
リアクトルの仕様(定格電圧12 000V印加時)
★この値をそのまま使わない
$$I_L(10350\mathrm{V}) = 292 \times \dfrac{10350}{12000} \approx 252\,\mathrm{[mA]}$$
試験電圧での電流
電圧に比例する

リアクトルの電流は電圧に比例します——I=V/(2πfL)

仕様値の条件(12 000V印加時)を必ず確認——292mAのまま使うと誤りです。

★補償後の試験容量

$$I = I_c – I_L = 382 – 252 = 130\,\mathrm{[mA]}$$
打ち消した後に残る電流
$$S = 10350 \times 0.130 \approx 1.35\,\mathrm{[kV\cdot A]}$$
補償後に必要な容量
$$S_{\text{変圧器}} = 3.0\,\mathrm{[kV\cdot A]}$$
選択肢のうち、これを上回り(a)の4.0kV·Aより小さいもの
(b)の答え

問題文は「試験容量を試験用変圧器の容量より小さくできた」——補償後の1.35kV·A<変圧器の容量という条件です。

補償後の試験容量は約1.35kV·A——2kV·Aの変圧器で足ります

★リアクトルの定格容量3.5kvarの意味

$$Q = V I_L = 12000 \times 0.292 \approx 3504\,\mathrm{[var]}$$
定格電圧12kV・電流292mAのときの無効電力
≒3.5kvar

仕様の3.5kvarと292mAは整合しています——検算に使えます

var(バール)は無効電力の単位——リアクトルは無効電力を消費する(遅れ)のです。

ケーブルは無効電力を発生する(進み)——だから打ち消し合うのです。

並列接続と直列接続

条文の言葉ダミー語違い
並列接続(補償リアクトル)★★並列接続(補償リアクトル)★直列接続(限流リアクトル)★★電圧が同じ/電流が同じ
充電電流を打ち消す★★充電電流を打ち消す★短絡電流を制限する★★目的が違う

補償リアクトルは並列——同じ電圧で逆向きの電流を流すのです。

限流リアクトル(解釈222条)は直列——インピーダンスを増やして電流を減らす

同じリアクトルでも、つなぎ方で役割が変わります

試験回路の全体像

機器役割
★電圧調整器★★試験電圧をゆっくり上げる
★試験用変圧器★★低圧を試験電圧まで昇圧する
★補償リアクトル★★2次側に並列接続し充電電流を打ち消す
★被試験体(ケーブル)★★3線一括して大地との間に電圧を加える

リアクトルとケーブルは、変圧器2次側で並列になります——それがA-C間です。

回路図を読む力も問われています

計算の手順をまとめる

手順やること
★①★★試験電圧=公称電圧×1.15/1.1×1.5
★②★★3線一括の静電容量=1線の値×こう長×3
★③★★I_c=2πfCV、S=V×I_c
★④★★リアクトル電流を試験電圧に比例換算
★⑤★★補償後の電流=I_c−I_L、容量=V×その値

(a)は③まで、(b)は④⑤——手順が分かれています

④の比例換算が、両方の問題に共通する急所です。

⏱️ 本番での進め方
① 3線一括なら静電容量は×3
② 試験容量S=試験電圧×充電電流
③ リアクトルは変圧器2次巻線の両端(A-C間)に並列接続。
④ リアクトル電流は試験電圧に比例換算する。

💡 覚え方
絶縁耐力試験の試験容量=①試験電圧V=公称電圧×1.15/1.1×1.5 ②3線一括の静電容量C=1線の値×こう長×3 ③I_c=2πfCV、S=V×I_c。補償リアクトルは変圧器2次巻線の両端に並列接続し、その電流は仕様電圧との比で試験電圧に比例換算する。

⚠️ よくある間違い
リアクトルは低圧側ではなく2次側(試験電圧が加わる箇所)に接続リアクトル電流を仕様値のまま使わない——12kV印加時の値を試験電圧に換算する。

まとめ

試験電圧6 600×1.15/1.1×1.5=10 350 V
3線一括の静電容量0.45×0.087×3=0.117 45 μF
(a)試験容量V×2πfCV≒3 953 V·A≒4.0 kV·A →(3)
リアクトル電流292×(10 350/12 000)≒251.9 mA
補償後の容量10 350×(0.382−0.252)≒1.35 kV·A
(b)答えA-C間・2kV·A →(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・ケーブルの絶縁耐力試験(技術基準の計算11):【法規】令和3年度 B問題12
・補償リアクトルの台数(技術基準の計算2):【法規】令和7年度下期 B問題12

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