今回は平成29年度 法規科目 B問題11、電気使用場所の配線の条文と、許容電流の補正を組み合わせた問題です。(b)は実務でも使う電線の太さ選定そのものです。
(b)の骨格は「負荷電流 ≦ 許容電流 × 温度補正係数 × 電流減少係数」。逆に解いて必要な許容電流 = 負荷電流 ÷(2つの係数の積)を求め、表からそれ以上の電線を選びます。
答えは(a)(5)・(b)14mm²
条文と計算を組み合わせた出題です——(b)は実務での電線太さの選定そのもの。
平成29年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 平成29年度 B問題11
電気使用場所の配線に関し、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(b)では、周囲温度が50℃の場所において、定格電圧210Vの三相3線式で定格消費電力15kWの抵抗負荷に電気を供給する低圧屋内配線を、金属管工事により絶縁電線を同一管内に収めて施設する(各相それぞれ1本)。使用する絶縁電線は耐熱性を有する600Vビニル絶縁電線(軟銅より線)とし、表1の許容電流及び表2の電流減少係数を用いる。周囲温度による許容電流補正係数の計算式は √((75−θ)/30)(θは周囲温度[℃])とする。
(a) 「電気設備技術基準」における電気使用場所の配線に関する記述の一部である。① 配線は、施設場所の(ア)及び電圧に応じ、感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。② 配線の使用電線(裸電線及び(イ)で使用する接触電線を除く。)には、感電又は火災のおそれがないよう、施設場所の(ア)及び電圧に応じ、使用上十分な(ウ)及び絶縁性能を有するものでなければならない。③ 配線は、他の配線、弱電流電線等と接近し、又は(エ)する場合は、(オ)による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 状況 特別高圧 耐熱性 接触 混触 (2) 環境 高圧又は特別高圧 強度 交さ 混触 (3) 環境 特別高圧 強度 接触 電磁誘導 (4) 環境 高圧又は特別高圧 耐熱性 交さ 電磁誘導 (5) 状況 特別高圧 強度 交さ 混触 (b) 周囲温度が50℃の場所において、定格電圧210Vの三相3線式で定格消費電力15kWの抵抗負荷に電気を供給する低圧屋内配線がある。金属管工事により絶縁電線を同一管内に収めて施設する場合に使用する電線(各相それぞれ1本とする。)の導体の公称断面積[mm²]の最小値は、「電気設備技術基準の解釈」に基づけば、いくらとなるか。ただし、使用する絶縁電線は耐熱性を有する600Vビニル絶縁電線(軟銅より線)とし、表1の許容電流及び表2の電流減少係数を用いるとともに、周囲温度による許容電流補正係数の計算式は √((75−θ)/30)(θは周囲温度で、単位は℃)を用いるものとする。
(1)3.5 (2)5.5 (3)8 (4)14 (5)22 mm²





★(b)まず負荷電流を求める
抵抗負荷なので力率cosθ=1
これが実際に流れる電流
三相なので√3が入ります——単相と間違えないことです。
抵抗負荷なので力率は1——問題文が「抵抗負荷」と明示しています。
★2つの補正係数
| 係数 | 意味 | 効果 |
| ★温度補正係数 | ★★周囲温度が高いと放熱しにくい | ★★許容電流を減らす |
| ★電流減少係数 | ★★同一管内の電線が多いと放熱しにくい | ★★許容電流を減らす |
問題文で与えられた式を使う
表2から読み取る
75℃は耐熱ビニル絶縁電線の最高許容温度です——30℃は基準の周囲温度。
周囲が50℃なら、余裕は25℃しかありません——だから0.913倍に減るのです。
★必要な許容電流を逆算する
許容電流に2つの係数を掛けたものが上限
逆に解く
表1からこれ以上の電線を選ぶ
係数は「減らす」ものなので、割ると必要値が増えます——41.2Aの負荷に64.5Aの電線が要るのです。
掛けるのか割るのかで迷ったら、「条件が厳しいほど太い電線が要る」で確認します。
★表から電線を選ぶ
| 公称断面積 | 許容電流(600Vビニル絶縁電線) | 64.5A以上か |
| ★3.5mm² | ★★37A | ★★不足 |
| ★5.5mm² | ★★49A | ★★不足 |
| ★8mm² | ★★61A | ★★不足 |
| ★14mm² | ★★88A | ★★満たす |
表の値は年度・条件で異なるので、問題文の表を必ず使います。
本問の表では14mm²が該当し、答えは(4)——与えられた表から読み取るのが鉄則です。
「これ以上」を満たす最小の断面積を選びます——太すぎても不経済だからです。
★温度補正係数の式の意味
T_maxは最高許容温度、T₀は基準周囲温度30℃
許容できる温度上昇に比例して発熱を許せる
だから式に√が入る
発熱は電流の2乗に比例します——だから電流は温度上昇の平方根に比例するのです。
√がついている理由がここにあります——丸暗記より理解が効くところです。
電流減少係数の値
| 同一管内の電線数 | 電流減少係数 |
| ★3本以下 | ★★0.70 |
| ★4本 | ★★0.63 |
| ★5〜6本 | ★★0.56 |
| ★7〜15本 | ★★0.49 |
三相3線式で各相1本ずつなので3本——係数は0.70です。
電線が増えるほど放熱が悪くなり、係数は下がります——金属ダクトの占積率20%と同じ発想です。
(a)条文の空欄
| 空欄 | 正しい語 | ダミー |
| ★(ア) | ★★状況 | ★★環境 |
| ★(イ) | ★★特別高圧 | ★★高圧又は特別高圧 |
| ★(ウ) | ★★強度 | ★★耐熱性 |
| ★(エ) | ★★交さ | ★★接触 |
| ★(オ) | ★★混触 | ★★電磁誘導 |
「状況」「強度」「交さ」「混触」は電技で繰り返し使われる語です——語感で覚えます。
接触電線が除かれるのは「特別高圧で使用するもの」だけ——高圧は含まれません。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること |
| ★① | ★★負荷電流を求める(三相なら√3) |
| ★② | ★★温度補正係数k₁を計算する |
| ★③ | ★★電流減少係数k₂を表から読む |
| ★④ | ★★必要な許容電流=負荷電流÷(k₁×k₂) |
| ★⑤ | ★★表からその値以上の電線を選ぶ |
5ステップで機械的に解けます——係数を掛けるか割るかだけ注意です。
実務での電線選定もこの手順——試験と実務が直結しています。
⏱️ 本番での進め方
① 三相の負荷電流はI=P/(√3 V cosθ)。
② 必要な許容電流=負荷電流÷(温度補正係数×電流減少係数)。
③ 温度補正係数に√が付くのは、発熱が電流の2乗に比例するから。
④ 電流減少係数は3本以下で0.70。
💡 覚え方
電線の太さ選定=①負荷電流I=P/(√3 V cosθ) ②温度補正係数k₁=√((最高許容温度−周囲温度)/(最高許容温度−30)) ③電流減少係数k₂を表から読む(3本以下0.70)④必要な許容電流=I/(k₁k₂) ⑤表からその値以上の電線を選ぶ。
⚠️ よくある間違い
係数は掛けるのではなく割る——条件が厳しいほど太い電線が要る。三相なので√3を忘れない。
まとめ
| (a) | 状況/特別高圧/強度/交さ/混触 →(5) |
| 負荷電流 | 15 000/(√3×210)≒41.24 A |
| 温度補正係数 | √((75−50)/30)≒0.913 |
| 電流減少係数 | 0.70(同一管内3本以下) |
| 必要な許容電流 | 41.24/(0.913×0.70)≒64.5 A |
| (b)答え | 14 mm²(許容88A) →(4) |
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