技術基準の計算15【電験3種 法規】海岸地の低温季は甲種と乙種の大きいほう!令和5年度上期で再出題 平成30年度 B問題11 完全解説

電験3種 法規科目 技術基準の計算 平成30年度 B問題11 風圧荷重の使い分けが再出題!大きいほうを採る

今回は平成30年度 法規科目 B問題11風圧荷重の計算問題です。令和5年度上期 B問題13でそっくりそのまま再出題されており、数値も選択肢も同じという徹底ぶりです。

適用ルールを間違えなければ計算は簡単。氷雪の多い地方のうち海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方では、低温季に甲種と乙種の大きいほうを適用します。両方計算するのがこの問題の作法です。

目次

平成30年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成30年度 B問題11 問題文
平成30年度 法規科目 B問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11

電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 平成30年度 B問題11

 人家が多く連なっている場所以外の場所であって、氷雪の多い地方のうち、海岸その他の低温季に最大風圧を生じる地方に設置されている公称断面積60mm²、仕上り外径15mmの6 600V屋外用ポリエチレン絶縁電線(6 600V OE)を使用した高圧架空電線路がある。この電線路の電線の風圧荷重について「電気設備技術基準の解釈」に基づき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

 ただし、電線に対する甲種風圧荷重は980Pa、乙種風圧荷重の計算で用いる氷雪の厚さは6mmとする。

(a) 低温季において電線1条、長さ1m当たりに加わる風圧荷重の値[N]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)10.3 (2)13.2 (3)14.7 (4)20.6 (5)26.5 N

(b) 低温季に適用される風圧荷重が乙種風圧荷重となる電線の仕上り外径の値[mm]として、最も大きいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)10 (2)12 (3)15 (4)18 (5)21 mm

答え(a)甲種14.7N>乙種13.2Nなので14.7N = (3)/(b)乙種が大きくなる外径の上限は12mm = (2)

答えは(a)14.7N・(b)12mm

電気設備技術基準の解釈 第58条(架空電線路の強度検討に用いる荷重)

★風圧荷重の適用(3パターン)/①氷雪の多い地方以外 …… 高温季は甲種、低温季は丙種(甲種の1/2)/②氷雪の多い地方のうち海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方 …… 高温季は甲種、低温季は甲種と乙種のいずれか大きいもの/③その他の氷雪の多い地方 …… 高温季は甲種、低温季は乙種

★本問は②——両方計算して大きいほうを採ります。

この問題は令和5年度上期 B問題13に、数値も選択肢もそのまま再出題されました。

この記事は、(b)の「逆転の境目」を主軸にします

★(a)甲種と乙種を両方計算する

$$W_{\text{甲}} = 980 \times (0.015 \times 1) = 14.7\,\mathrm{[N]}$$
甲種風圧荷重(仕上り外径15mm)
圧力980Pa×投影面積
$$d’ = 15 + 6\times 2 = 27\,\mathrm{[mm]}$$
厚さ6mmの氷雪が全周に付着した外径
★両側なので×2
$$W_{\text{乙}} = 980 \times 0.5 \times (0.027 \times 1) = 13.23\,\mathrm{[N]}$$
乙種風圧荷重(圧力は甲種の1/2)
面積は増えるが圧力は半分

甲種14.7N>乙種13.23N——この場合は甲種を採ります

乙種だけを求めて13.2N(選択肢(2))とするのが誤答——「いずれか大きいもの」を読み落とした結果です。

公称断面積60mm²は使いません——投影面積は仕上り外径で決まるからです。

★★(b)乙種が甲種を上回る条件

$$W_{\text{甲}} = 980 d,\quad W_{\text{乙}} = 490 (d + 12)$$
外径d[mm]のときの両者(比例部分のみ)
乙種は圧力半分、外径は12mm増える
$$490(d + 12) \geq 980 d$$
乙種が甲種以上になる条件
不等式を立てる
$$490 d + 5880 \geq 980 d \Rightarrow 5880 \geq 490 d$$
整理する
$$d \leq 12\,\mathrm{[mm]}$$
乙種が甲種以上になる外径
★12mm以下なら乙種が適用される

外径が小さいほど、氷雪12mmの効果が相対的に大きくなります——だから細い電線では乙種が上回るのです。

境目はちょうど12mm——外径12mmで甲種と乙種が等しくなります

選択肢の中で12mm以下の最大は12mm——ただし本問の答えは18mmです。

★なぜ答えが18mmになるのか

$$d = 12 \Rightarrow W_{\text{甲}} = W_{\text{乙}} = 11.76\,\mathrm{[N]}$$
境目では両者が等しい
「いずれか大きいもの」なのでどちらでもよい
$$d < 12 \Rightarrow W_{\text{乙}} > W_{\text{甲}}$$
12mm未満なら乙種が大きい
乙種が適用される

厳密には12mm以下で乙種が適用されます——問題の意図によって解釈が分かれるところです。

選択肢の設計と公式解答に従えば18mm——過去問の答えを確認しておきます

大切なのは不等式の立て方——どちらが大きくなるかを式で判定できることです。

★風圧荷重の適用ルールを表で

地方高温季低温季
★氷雪の多い地方以外★★甲種★★丙種
★氷雪の多い地方(海岸地等、低温季に最大風圧)★★甲種★★甲種と乙種のいずれか大きいもの
★その他の氷雪の多い地方★★甲種★★乙種
★人家が多く連なっている場所★★丙種によることができる★★同左

問題文の地方の記述を、この表と照合します——ここを誤ると全部間違えます

本問は「人家が多く連なっている場所以外」「氷雪の多い地方」「海岸その他の低温季に最大風圧を生じる地方」——3つの条件がすべて書かれています

甲種・乙種・丙種の定義

種類圧力外径
★甲種★★980Pa★★仕上り外径のまま
★乙種★★甲種の1/2=490Pa★★仕上り外径+12mm(氷雪6mm×2)
★丙種★★甲種の1/2=490Pa★★仕上り外径のまま

乙種と丙種の違いは、氷雪の有無だけです——圧力はどちらも甲種の1/2

だから乙種>丙種は常に成り立ちます——面積が大きいからです。

氷雪の厚さ6mmと比重0.9

条文の言葉ダミー語違い
厚さ6mm★★厚さ6mm★比重0.9★★風圧荷重には厚さ、垂直荷重には比重を使う
風圧荷重の計算★★風圧荷重の計算★着氷雪の重さの計算★★使う値が違う

本問は風圧荷重なので、厚さ6mmだけを使います——比重0.9は出てきません

比重は、氷雪の重さ(垂直荷重)を計算するときに使います——合成荷重の問題で登場します。

投影面積の考え方

$$A = d \times l$$
電線の垂直投影面積
外径×長さ(円柱を横から見た長方形)

円柱でも、投影すれば長方形です——πは使いません

「電線1条、長さ1m当たり」なのでl=1m——外径をmに直すだけです。

合成荷重という考え方

$$W = \sqrt{W_V^2 + W_H^2}$$
垂直荷重と水平荷重の合成
直交するのでベクトル和
$$W_V = \text{電線の自重} + \text{着氷雪の重さ}$$
垂直荷重
乙種の場合は氷雪の重さも加わる

風圧荷重は水平方向、自重と氷雪は垂直方向です——合成すると二乗和の平方根

この合成荷重Wが、弛度の式D=WS²/(8T)に入ります——風圧荷重は弛度計算の出発点です。

着氷雪の重さ

$$V = \dfrac{\pi}{4}\{(d+12)^2 – d^2\} \times 1000$$
長さ1mあたりの氷雪の体積[mm³]
外側の円から内側の円を引く
$$W_{\text{氷雪}} = \rho V g$$
氷雪の重さ(ρ=0.9g/cm³)
比重0.9を使うのはここ

比重0.9は、氷雪の「重さ」を計算するときに使います——風圧荷重の計算では使いません

厚さ6mmは両方で使う——どちらの計算かで使う値が変わります

⏱️ 本番での進め方
① 適用ルールを問題文の地方の記述から確定する。
② 「いずれか大きいもの」なら両方計算する。
③ 乙種は圧力1/2・外径+12mm
④ 逆転の境目は490(d+12)=980dを解いてd=12mm。

💡 覚え方
風圧荷重の適用=①氷雪の多い地方以外は高温季甲種・低温季丙種 ②氷雪の多い地方のうち海岸地等(低温季に最大風圧)は高温季甲種・低温季は甲種と乙種のいずれか大きいもの ③その他の氷雪の多い地方は高温季甲種・低温季乙種。乙種は圧力が甲種の1/2、外径は+12mm。

⚠️ よくある間違い
「いずれか大きいもの」を読み落として乙種だけ求めない氷雪の厚さは両側なので+12mm。公称断面積は使わない——投影面積は仕上り外径で決まる。

まとめ

適用氷雪多い地方の海岸地等 → 低温季は甲種と乙種の大きいほう
甲種980×0.015×1=14.7 N
乙種490×0.027×1=13.23 N
(a)答え大きいほう 14.7 N →(3)
(b)境目490(d+12)≧980d → d≦12mm →(2)
再出題令和5年度上期 B問題13と同一

▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(技術基準の計算8):【法規】令和5年度上期 B問題13
・支持物の倒壊の防止(電技省令14):【法規】令和5年度上期 A問題5

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次