今回は令和5年度上期 法規科目 B問題13、風圧荷重の計算問題です。どの季節にどの風圧荷重を使うかという適用ルールと、実際の数値計算が両方問われます。
適用ルールは3パターン。①氷雪の多い地方以外=高温季は甲種、低温季は丙種 ②氷雪の多い地方のうち海岸地等(低温季に最大風圧)=高温季は甲種、低温季は甲種と乙種の大きいほう ③その他の氷雪の多い地方=高温季は甲種、低温季は乙種。本問は②です。
答えは(a)14.7N・(b)12mm
平成30年度 B問題11が同一問題です。そちらは(b)の不等式を扱っています。
この記事は、地方区分の判定手順を主軸にします。
令和5年度上期 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 令和5年度上期 B問題13
人家が多く連なっている場所以外の場所であって、氷雪の多い地方のうち、海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方に設置されている公称断面積60mm²、仕上り外径15mmの6 600V屋外用ポリエチレン絶縁電線(6 600V OE)を使用した高圧架空電線路がある。この電線路の電線の風圧荷重について「電気設備技術基準の解釈」に基づき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、電線に対する甲種風圧荷重は980Pa、乙種風圧荷重の計算で用いる氷雪の厚さは6mmとする。
(a) 低温季において電線1条、長さ1m当たりに加わる風圧荷重の値[N]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)10.3 (2)13.2 (3)14.7 (4)20.6 (5)26.5 N
(b) 低温季に適用される風圧荷重が乙種風圧荷重となる電線の仕上り外径の値[mm]として、最も大きいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)10 (2)12 (3)15 (4)18 (5)21 mm

★★地方区分の判定手順
| 判定 | 問う内容 | 本問の答え |
| ★① | ★★人家が多く連なっている場所か | ★★以外(丙種の緩和は使えない) |
| ★② | ★★氷雪の多い地方か | ★★該当する |
| ★③ | ★★海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方か | ★★該当する |
| ★結論 | ★★— | ★★低温季は甲種と乙種のいずれか大きいもの |
3段階の判定を順に行います——問題文にすべて書かれています。
「人家が多く連なっている場所以外」という条件も見逃さない——そこなら丙種でよくなるからです。
問題文の1文に3つの条件が詰まっています——ゆっくり読むのが確実です。
★(a)両方を計算して比べる
厚さ6mmが両側なので+12mm
(a)の答え
この電線では甲種のほうが大きくなります——外径15mmと比較的太いからです。
細い電線なら乙種が上回ることもある——だから両方計算する必要があるのです。
★なぜ両方計算するのか
乙種は圧力半分だが面積が大きい
dが小さいほど比が大きくなる
これが逆転の境目
外径が12mmより細ければ乙種、太ければ甲種が大きい——だから一概には決まらないのです。
条文が「いずれか大きいもの」としているのは、この逆転があるから——合理的な規定です。
★氷雪が電線を太くする効果
| 外径 | 氷雪付着後 | 面積の増加率 |
| ★6mm | ★★18mm | ★★3.0倍 |
| ★12mm | ★★24mm | ★★2.0倍 |
| ★15mm | ★★27mm | ★★1.8倍 |
| ★30mm | ★★42mm | ★★1.4倍 |
細い電線ほど、氷雪12mmの効果が相対的に大きいのです——6mmの電線は3倍になります。
圧力は半分なので、面積が2倍を超えれば乙種が勝つ——その境目が外径12mmです。
3つの風圧荷重の関係
| 圧力 | 外径 | 大小関係 | |
| ★甲種 | ★★980Pa | ★★d | ★★— |
| ★乙種 | ★★490Pa | ★★d+12 | ★★丙種より必ず大きい |
| ★丙種 | ★★490Pa | ★★d | ★★甲種の1/2 |
丙種は甲種のちょうど半分——圧力が半分、面積は同じだからです。
乙種は丙種より必ず大きい——面積が増えているからです。
甲種と乙種の大小は外径次第——だから比べる必要があるのです。
支持物・がいしの風圧荷重
| 構成材 | 甲種風圧荷重 |
| ★電線その他の架渉線 | ★★980Pa |
| ★木柱・鉄筋コンクリート柱(丸形) | ★★780Pa |
| ★鉄柱(丸形) | ★★780Pa |
| ★鉄塔(鋼管製) | ★★1 255Pa |
形状によって風の受け方が違います——丸いものは風を逃がすので小さいのです。
鉄塔は骨組みなので、投影面積の取り方も違います——電線の980Paと混同しないことです。
風圧荷重が設計に効く場面
| 設計項目 | 風圧荷重の影響 |
| ★支持物の強度 | ★★風で倒れないか |
| ★支線の必要性 | ★★風圧に耐えるための補強 |
| ★電線の張力 | ★★合成荷重が大きいほど張力も大きい |
| ★離隔距離 | ★★風で振れても他物に接触しないか |
風圧荷重は架空電線路の設計の基礎です——あらゆる検討の出発点になります。
だから解釈58条が最初のほうに置かれている——条文の並びにも意味があります。
風圧荷重が使われる場面
| 場面 | 内容 |
| ★支持物の強度検討 | ★★風で倒れないか(木柱の安全率等) |
| ★支線の設計 | ★★風圧に耐えるための補強 |
| ★電線の張力・弛度 | ★★合成荷重Wとして弛度の式に入る |
風圧荷重は架空電線路の設計の基礎です——あらゆる検討の出発点になります。
だから解釈58条が先に置かれ、その後の条文がこれを参照する構成になっています。
弛度の計算との接続
直交するのでベクトル和
合成荷重Wが分子に入る
風圧荷重が大きいほど、弛度も大きくなります——電線が横に振られて実質的に長くなるのです。
だから風圧荷重の計算は、弛度・張力の計算の前段——B問題では続けて問われます。
氷雪の重さも荷重になる
外側の円から内側の円を引く
垂直荷重に加わる
比重0.9は、氷雪の重さを計算するときに使います——風圧荷重の計算では厚さだけです。
着氷雪は「面積を増やして風圧を大きくし」「重さも増やす」という二重の負荷です。
⏱️ 本番での進め方
① 地方区分は3段階の判定で確定する。
② 「いずれか大きいもの」なら必ず両方計算する。
③ 乙種は圧力490Pa・外径+12mm。
④ 甲種と乙種の逆転は外径12mmが境目。
💡 覚え方
風圧荷重=甲種は980Pa×投影面積、乙種は490Pa×(外径+12mm)の投影面積、丙種は490Pa×投影面積。適用は①氷雪の多い地方以外は高温季甲種・低温季丙種 ②氷雪の多い地方のうち海岸地等は高温季甲種・低温季は甲種と乙種のいずれか大きいもの ③その他の氷雪の多い地方は高温季甲種・低温季乙種。
⚠️ よくある間違い
「いずれか大きいもの」なら両方計算する——乙種だけ求めると誤答。氷雪は両側なので外径+12mm。公称断面積は使わない。
まとめ
| 適用 | 氷雪多い地方の海岸地等 → 低温季は甲種と乙種の大きいほう |
| 甲種 | 980×0.015×1=14.7 N |
| 乙種 | 490×0.027×1=13.23 N |
| (a)答え | 大きいほう 14.7 N →(3) |
| (b)境目 | 490(d+12)≧980d → d≦12mm →(2) |
| 答え | (a)-(3),(b)-(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・風圧荷重の計算(技術基準の計算15):【法規】平成30年度 B問題11
・支持物の倒壊の防止(電技省令14):【法規】令和5年度上期 A問題5

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