今回は令和1年度 法規科目 B問題11、電気使用場所の低圧幹線の施設の計算問題です。解釈第148条の2組の場合分けを正確に使えるかが問われます。
覚える式は4本。許容電流はIM≦IHなら IM+IH/IM>IHで IM≦50A なら 1.25IM+IH/IM>50A なら 1.1IM+IH。過電流遮断器は3IM+IH と 2.5IC‘ の小さいほうです。
答えは(a)(3)・(b)(2)
表を埋める形式なので、式を正確に使い分ける必要があります——場合分けが命。
令和1年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和1年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 令和1年度 B問題11
電気使用場所の低圧幹線の施設について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、需要率、力率等による修正はしないものとする。
(a) 一つの低圧幹線によって電気を供給される電動機等の定格電流の合計値IM[A]と、他の電気使用機械器具の定格電流の合計値IH[A]に対し、当該低圧幹線に用いる電線に必要な許容電流IC[A]を求める。
(b) 低圧幹線に電動機等が接続される場合における、当該低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の最大値IB[A]を求める。
(a) 図の表は、一つの低圧幹線によって電気を供給される電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具(以下「電動機等」という。)の定格電流の合計値IM[A]と、他の電気使用機械器具の定格電流の合計値IH[A]を示したものである。また、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、当該低圧幹線に用いる電線に必要な許容電流は、同表に示すICの値[A]以上でなければならない。表中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 96 109 101 (2) 96 108 109 (3) 96 109 109 (4) 108 108 109 (5) 108 109 101 (b) 図の表は、低圧幹線に電動機等が接続される場合における電動機等の定格電流の合計値IM[A]と、他の電気使用機械器具の定格電流の合計値IH[A]と、これらに電気を供給する一つの低圧幹線に用いる電線の許容電流IC‘[A]と、当該低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の最大値IB[A]を示したものである。表中の空白箇所(エ)、(オ)及び(カ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(エ) (オ) (カ) (1) 200 200 220 (2) 200 220 220 (3) 200 220 240 (4) 220 220 240 (5) 220 200 240





★(a)3つのケースを判定する
| ケース | I_M と I_H の関係 | 使う式 |
| ★I_M ≦ I_H | ★★— | ★★I_M+I_H |
| ★I_M > I_H、I_M ≦ 50A | ★★小容量 | ★★1.25 I_M+I_H |
| ★I_M > I_H、I_M > 50A | ★★大容量 | ★★1.1 I_M+I_H |
まずI_MとI_Hを比べ、次にI_Mが50A以下かを見ます——2段階の判定です。
係数を掛けるのは電動機等の分だけ——他の機器の分はそのまま足します。
★具体的に計算する
他の機器がなくても式は同じ
表の各行で、条件に応じた式を選びます——機械的な作業です。
1.25倍と1.1倍を取り違えないこと——50Aが境目です。
★(b)遮断器の定格電流は小さいほう
電動機が始動しても落ちないように
許容電流の2.5倍を超えない
小さいほうを採らないと電線が守れない
2つの上限を計算して小さいほうを採ります——どちらが効くかは条件次第です。
3倍だけを見ると、電線を守れない場合があります——必ず両方計算します。
★なぜ2つの上限があるのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 3I_M+I_H | ★★3I_M+I_H | ★2.5I_C′ | ★★始動電流で落ちないため/電線を守るため |
| 大きくしたい要求 | ★★大きくしたい要求 | ★小さくしたい要求 | ★★相反する |
遮断器が小さすぎると、電動機の始動で落ちます——だから3倍まで認める。
大きすぎると、電線が焼けても動作しません——だから2.5倍で頭を押さえる。
「小さいほうを採る」がその折り合いです。
係数の意味
| 係数 | 使う場面 | 理由 |
| ★1.25 | ★★許容電流(I_M≦50A) | ★★小容量は始動電流の比率が大きい |
| ★1.1 | ★★許容電流(I_M>50A) | ★★大容量は比率が小さく同時始動も少ない |
| ★3 | ★★遮断器の定格(始動側) | ★★始動電流は定格の5〜7倍だが短時間 |
| ★2.5 | ★★遮断器の定格(電線側) | ★★電線の短時間耐量 |
4つの係数を役割で整理します——1.25/1.1は電線、3/2.5は遮断器。
混同すると全部間違えます——表にして覚えるのが確実です。
100Aを超える場合の直近上位
幹線の許容電流が100Aを超える場合、計算値が標準定格になければ直近上位を選びます。
遮断器は決まった定格でしか売られていません——100・125・150・175・200A…。
本問は「最大値」を問うているので、計算値のまま答えます。
低圧幹線と分岐回路
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 低圧幹線(148条) | ★★低圧幹線(148条) | ★分岐回路(149条) | ★★引込口から分電盤まで/分電盤から負荷まで |
| 許容電流と遮断器の定格 | ★★許容電流と遮断器の定格 | ★遮断器の省略条件 | ★★問われる内容が違う |
148条は幹線、149条は分岐回路です——問題文で見分けます。
本問は「低圧幹線」なので148条——1行目を確認します。
実務での電線選定
| 段階 | やること |
| ★① | ★★負荷を集計してI_MとI_Hを求める |
| ★② | ★★148条の式で必要な許容電流を計算 |
| ★③ | ★★温度補正・電流減少係数で補正 |
| ★④ | ★★表から電線の太さを選ぶ |
| ★⑤ | ★★遮断器の定格を決める |
試験の計算が、そのまま実務の設計手順です——だからB問題で問われるのです。
③の補正は平成29年度B問題11で問われました——組み合わせると完全な設計になります。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★I_MとI_Hを比べる | ★★等号の扱い |
| ★② | ★★I_Mが50A以下かを見る | ★★1.25と1.1 |
| ★③ | ★★該当する式で許容電流を求める | ★★係数は電動機分だけ |
| ★④ | ★★3I_M+I_H と 2.5I_C′ を計算 | ★★両方計算する |
| ★⑤ | ★★小さいほうを採る | ★★大きいほうではない |
5ステップで機械的に解けます——表を埋める問題でも同じです。
なぜ電動機だけ係数を掛けるのか
全電圧始動の場合
だから余裕を見て太くする
電動機は始動時に定格の5〜7倍の電流が流れます——これが「起動電流が大きい機械器具」の意味。
照明やヒーターにはこの現象がありません——だからI_Hには係数を掛けないのです。
⏱️ 本番での進め方
① 許容電流は3通りの場合分け——I_MとI_H、50Aで判定。
② 係数は1.25(50A以下)/1.1(50A超)。
③ 遮断器は3I_M+I_H と 2.5I_C′ の小さいほう。
④ 係数を掛けるのは電動機等の分だけ。
💡 覚え方
解釈148条の計算=許容電流I_Cは①I_M≦I_HならI_M+I_H ②I_M>I_HかつI_M≦50Aなら1.25I_M+I_H ③I_M>50Aなら1.1I_M+I_H。過電流遮断器の定格電流I_Bは3I_M+I_H と 2.5I_C′ の小さいほう以下。
⚠️ よくある間違い
係数1.25と1.1を取り違えない——50Aが境目。遮断器は2つの上限の小さいほう——3倍だけを見ると誤る。
まとめ
| (ア) | IM=48≦IH=48 → 96 |
| (イ) | 1.25×49+47=108.25 → 109 |
| (ウ) | 1.25×50+46=108.5 → 109(50Aは1.25倍側) |
| (エ) | min(3×60+20, 2.5×88)=min(200,220)=200 |
| (オ) | min(220, 220)=220 |
| (カ) | min(240, 220)=220 →(2) |
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