技術基準の計算22【電験3種 法規】22000Vのケーブルは直流57500Vを10分間!46000Vは罠 平成22年度 A問題8 完全解説

電験3種 法規科目 技術基準の計算 平成22年度 A問題8 直流は交流試験電圧の2倍!46000Vは罠

今回は平成22年度 法規科目 A問題8特別高圧の電路の絶縁耐力試験で加える試験電圧と加圧時間を選ぶ問題です。3段階の換算を順に踏めば確実に取れます。

順番が命。①公称電圧→最大使用電圧(×1.15/1.1)②→交流試験電圧(7 000V超60 000V以下は×1.25)③ケーブルの直流はその2倍。そして加圧時間は連続10分間です。

目次

平成22年度 法規科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成22年度 A問題8 問題文
平成22年度 法規科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8

電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 平成22年度 A問題8

 次の文章は「電気設備技術基準の解釈」に基づく、特別高圧の電路の絶縁耐力試験に関する記述である。

 公称電圧22 000V、三相3線式電線路のケーブル部分の心線と大地との間の絶縁耐力試験を行う場合、試験電圧と連続加圧時間の記述として、正しいのは次のうちどれか。

(1) 交流23 000Vの試験電圧を10分間加圧する。

(2) 直流23 000Vの試験電圧を10分間加圧する。

(3) 交流28 750Vの試験電圧を1分間加圧する。

(4) 直流46 000Vの試験電圧を10分間加圧する。

(5) 直流57 500Vの試験電圧を10分間加圧する。

答え直流57 500Vを連続10分間 = (5)

答えは(5):直流57 500Vを10分間

電気設備技術基準の解釈 第15条(高圧又は特別高圧の電路の絶縁性能)

★試験電圧の求め方(3段階)/①公称電圧 → 最大使用電圧:1 000Vを超える電路は×1.15/1.1/②最大使用電圧 → 交流試験電圧:7 000V以下は×1.5、7 000V超60 000V以下は×1.25/③ケーブルを使用する交流電路は、交流試験電圧の2倍の直流電圧で代替できる/★加圧時間はいずれも連続10分間

★「2倍にするのは交流試験電圧」——最大使用電圧ではありません。

この3段階を順に踏めば、確実に正解にたどり着けます——途中で止まると誤答の選択肢に引っかかります

★STEP1:最大使用電圧を求める

$$V_m = 22000 \times \dfrac{1.15}{1.1} = 23000\,\mathrm{V}$$
公称電圧22 000V → 最大使用電圧
1 000Vを超える電路は1.15/1.1を掛ける

23 000Vという値が、選択肢(1)(2)に用意されています——ここで止まると誤答です。

最大使用電圧は計算の途中経過であって、試験電圧ではありません——親切そうな選択肢ほど疑うのです。

22 000→23 000、6 600→6 900——比が同じなので覚えやすいです。

★STEP2:交流試験電圧を求める

最大使用電圧倍率最低値
★7 000V以下★★1.5倍★★500V
★7 000V超 60 000V以下★★1.25倍★★10 500V
★60 000V超(中性点接地式)★★1.1倍★★75 000V
★60 000V超(中性点直接接地式)★★0.72倍★★—
$$V_t = 23000 \times 1.25 = 28750\,\mathrm{V}$$
最大使用電圧23 000Vは7 000V超60 000V以下
だから倍率は1.25

選択肢(3)がこの28 750V——しかし加圧時間が「1分間」なので誤りです。

値が合っていても、時間が違えば誤り——2つの要素を両方見るのです。

★STEP3:ケーブルは直流2倍

$$V_{dc} = 28750 \times 2 = 57500\,\mathrm{V}$$
交流試験電圧の2倍の直流電圧
電線にケーブルを使用する交流電路で代替できる

2倍にするのは「交流試験電圧」です——最大使用電圧ではありません

選択肢(4)の46 000Vは23 000×2——最大使用電圧を2倍にしてしまった誤りです。

この一点が本問の核心——順序を守れば引っかかりません

★なぜケーブルは直流でよいのか

$$I_c = 2\pi f C V$$
交流試験で流れる充電電流
ケーブルは静電容量が大きいので、この電流が非常に大きくなる
$$f = 0 \Rightarrow I_c = 0$$
直流では定常的な充電電流が流れない
小型の試験装置で済む

ケーブルは導体と遮へい層が近接し、静電容量が大きい——交流試験では大きな充電電流が流れます

現場に持ち込める大きさの装置では足りません——だから直流での代替が認められています

直流は絶縁体へのストレスが小さいので、2倍の電圧を要求します。

★誤答の選択肢を分類する

選択肢どこで間違えたか
★(1)交流23 000V★★最大使用電圧で止まった
★(2)直流23 000V★★同上+直流と混同
★(3)交流28 750V・1分間★★電圧は正しいが時間が誤り
★(4)直流46 000V★★最大使用電圧を2倍にした
★(5)直流57 500V・10分間★★正しい

4つの誤答が、それぞれ別の間違い方を表しています——よくできた設問です。

自分がどこで止まりやすいかを確かめられます

加圧時間は必ず10分間

電圧階級を問わず、絶縁耐力試験の加圧時間は連続10分間です——数字を1つ覚えれば済みます

一瞬耐えるだけでは足りません——絶縁体の劣化は時間をかけて現れるからです。

「1分間」「5分間」というダミーが定番です。

多心ケーブルの試験箇所

条文の言葉ダミー語違い
心線相互間及び心線と大地との間★★心線相互間及び心線と大地との間★心線と大地との間だけ★★多心ケーブルは心線どうしも試験する

本問は「心線と大地との間」の試験です——三相3線式のケーブル部分

多心ケーブルなら心線相互間も試験します——試験箇所が増えるのです。

15 000V以下で中性点多重接地の場合

条件倍率
★最大使用電圧15 000V以下・中性点多重接地式★★0.92倍
★本問(23 000V)★★該当しないので1.25倍

15 000V以下という条件があるので、23 000Vは該当しません——0.92倍を使うと誤りです。

条件を確かめてから倍率を選ぶ——表を丸暗記するだけでは危ないのです。

実務での絶縁耐力試験

段階内容
★① 事前確認★★絶縁抵抗測定・関係者への周知
★② 昇圧★★ゆっくり試験電圧まで上げる
★③ 10分間保持★★漏れ電流を監視する
★④ 降圧・放電★★残留電荷を確実に放電する

直流試験の後は、ケーブルに大きな電荷が残ります——放電せずに触れれば感電します

57 500Vもの電圧をかけた後です——放電作業は特に慎重に

よく出る電圧の換算表

公称電圧最大使用電圧交流試験電圧
★3 300V★★3 450V★★5 175V(×1.5)
★6 600V★★6 900V★★10 350V(×1.5)
★22 000V★★23 000V★★28 750V(×1.25)
★33 000V★★34 500V★★43 125V(×1.25)

比が同じなので、割合で覚えられます——6 600→6 900、22 000→23 000

7 000Vの前後で倍率が1.5と1.25に変わる——境目を外さないことです。

⏱️ 本番での進め方
公称電圧→最大使用電圧→交流試験電圧→直流の順に進む。
② 2倍にするのは交流試験電圧——最大使用電圧ではない。
③ 7 000V超60 000V以下の倍率は1.25
④ 加圧時間は連続10分間

💡 覚え方
絶縁耐力試験の計算=①公称電圧×1.15/1.1=最大使用電圧 ②最大使用電圧×倍率=交流試験電圧(7 000V以下1.5倍/7 000V超60 000V以下1.25倍/60 000V超は接地方式による)③ケーブルは交流試験電圧×2の直流でも可 ④加圧時間は連続10分間。22 000V→23 000V→28 750V→57 500V。

⚠️ よくある間違い
2倍にするのは交流試験電圧——最大使用電圧23 000Vを2倍にした46 000Vは誤り。加圧時間は「1分間」ではなく10分間

まとめ

公称電圧22 000 V
最大使用電圧22 000×1.15/1.1=23 000 V
交流試験電圧23 000×1.25=28 750 V
直流試験電圧28 750×2=57 500 V
加圧時間連続10分間
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・変圧器の絶縁耐力試験(技術基準の計算12):【法規】令和2年度 B問題12
・ケーブルの絶縁耐力試験(技術基準の計算11):【法規】令和3年度 B問題12

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