今回は平成22年度 法規科目 B問題12、B種接地抵抗値とD種接地抵抗値を求める計算問題です。14年後の令和6年度上期 B問題13で数値までそのまま再出題されました。
(a)は0.8秒=1秒以内→600/I₁を出してから1/3。(b)は地絡時に100Vが RB と RD で分圧されると考え、外箱の電位を人体抵抗で割って10mA以下に抑えます。
平成22年度 法規科目 B問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題12
電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 平成22年度 B問題12
変圧器によって高圧電路に結合されている低圧電路に施設された使用電圧100Vの金属製外箱を有する空調機がある。この変圧器のB種接地抵抗値及びその低圧電路に施設された空調機の金属製外箱のD種接地抵抗値に関して、次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし、次の条件によるものとする。
(ア) 変圧器の高圧側の電路の1線地絡電流は5Aで、B種接地工事の接地抵抗値は「電気設備技術基準の解釈」で許容されている最高限度の1/3に維持されている。
(イ) 変圧器の高圧側の電路と低圧側の電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に、0.8秒で高圧電路を自動的に遮断する装置が設けられている。
ただし、(ア)変圧器の高圧側の電路の1線地絡電流は5Aで、B種接地工事の接地抵抗値は「電気設備技術基準の解釈」で許容されている最高限度の1/3に維持されている。(イ)変圧器の高圧側の電路と低圧側の電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に、0.8秒で高圧電路を自動的に遮断する装置が設けられている。
(a) 変圧器の低圧側に施されたB種接地工事の接地抵抗値[Ω]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)10 (2)20 (3)30 (4)40 (5)50 Ω
(b) 空調機に地絡事故が発生した場合、空調機の金属製外箱に触れた人体に流れる電流を10mA以下としたい。このための空調機の金属製外箱に施すD種接地工事の接地抵抗値[Ω]の上限値として、最も近いのは次のうちどれか。ただし、人体の電気抵抗値は6 000Ωとする。
(1)10 (2)15 (3)20 (4)30 (5)60 Ω

答えは(a)40Ω・(b)60Ω
この問題は14年後の令和6年度上期 B問題13に、数値までそのまま再出題されました。
この記事は、地絡時の等価回路を描くことを主軸にします。
★(a)最高限度を出してから1/3
1秒以下なので600/I₁
I₁=5A
(a)の答え
0.8秒は1秒より小さいので「1秒以下」に該当します——「1秒を超え2秒以下」ではありません。
ここを誤ると300/5/3=20Ωになり、選択肢(2)に落ちます——遮断時間の読み取りが第一の関門です。
★★(b)地絡時の等価回路を描く
| 経路 | 通るもの |
| ★① 充電部から外箱へ | ★★地絡(絶縁破壊) |
| ★② 外箱から大地へ | ★★D種接地抵抗 R_D |
| ★③ 大地から変圧器へ | ★★B種接地抵抗 R_B |
地絡電流は「充電部→外箱→R_D→大地→R_B→変圧器」と流れます——R_DとR_Bの直列回路です。
電源は使用電圧100V——この100VがR_BとR_Dで分圧されます。
この回路が描ければ、あとは分圧の計算だけです。
★外箱の対地電位を求める
直列回路なので合成抵抗で割る
R_Dにかかる電圧が外箱の電位になる
外箱の電位は、R_Dにかかる分圧です——R_Dが大きいほど電位が高くなるのです。
だからD種の接地抵抗は小さくしたい——上限値を求めるのが本問です。
★人体に流れる電流を10mA以下にする
外箱の電位を人体抵抗で割る
不等式を立てる
移項する
★この60Ωが選択肢(5)——これが答え
この60Ωが答えです——人体も外箱と並列に入りますが、6 000Ωと大きいので上限はほとんど変わりません。
並列を考えても R_D≦60.6Ω——次の見出しで確かめます。
★人体はR_Dと並列に入る
人体は外箱から大地へのもう一つの経路
並列合成抵抗で分圧する
これを満たすR_Dの上限を求める
R_Dが6 000Ωよりずっと小さければ、並列合成はほぼR_Dのままです。
厳密に解くと、R_Dの上限は約60.6Ω——最も近い選択肢(5) 60Ωです。
人体電流を直接扱う問題では、人体が並列に入ることを忘れないことです。
人体電流の許容値
| 電流 | 人体への影響 |
| ★1mA | ★★感知電流(ぴりっと感じる) |
| ★5〜10mA | ★★離脱電流(自力で離せる限界) |
| ★50mA以上 | ★★心室細動のおそれ |
10mAは「自力で離せる」ぎりぎりの水準です——これを超えると握ったまま離せなくなるのです。
だから本問が10mAを目標にしている——数値に意味があります。
なぜB種接地を1/3に維持するのか
条文の上限は120Ωですが、実際は40Ωに維持されています——余裕を持たせているのです。
R_Bが小さいほど、外箱の電位も低くなります——分圧の式を見れば分かります。
法令は最低限、実務ではそれ以上を目指す——この問題はその実態を反映しています。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること |
| ★① | ★★遮断時間から150/300/600を選ぶ |
| ★② | ★★I₁で割って最高限度を出す |
| ★③ | ★★問題文の条件(1/3等)を適用する |
| ★④ | ★★地絡時の等価回路(R_BとR_Dの直列)を描く |
| ★⑤ | ★★分圧の式から不等式を立てて解く |
(a)は①〜③、(b)は④⑤——手順が分かれています。
等価回路を描く一手間が、(b)を確実にします。
B種接地の目的をもう一度
1線地絡電流がB種接地抵抗を流れて生じる
これが150/I₁の根拠
B種接地は「混触時に低圧側全体の電位を抑える」ためのものです——D種とは目的が違います。
速く切れるなら高い電圧を許す——だから300/600という緩和があるのです。
D種接地の目的
D種は機器の金属製外箱を接地し、触れた人を守ります——300V以下の低圧用で100Ω以下。
外箱が漏電で充電されても、接地抵抗が低ければ電位が上がりません。
本問はその「電位をどこまで下げるか」を計算で求める問題です。
⏱️ 本番での進め方
① 0.8秒は「1秒以下」——600/I₁を使う。
② 最高限度を出してから1/3を掛ける。
③ 地絡時はR_BとR_Dの直列回路——使用電圧が分圧される。
④ 人体電流を問う場合は人体がR_Dと並列に入る。
💡 覚え方
B種・D種の分圧問題=①遮断時間で150/300/600を選び、I₁で割ってB種接地抵抗の最高限度を出す ②地絡時は使用電圧がR_BとR_Dの直列回路に加わる ③外箱の対地電位V=使用電圧×R_D/(R_B+R_D) ④人体電流を問う場合は人体抵抗がR_Dと並列に入る。
⚠️ よくある間違い
0.8秒を「1秒を超え2秒以下」と誤読しない——1秒以下なので600/I₁。人体電流を問う問題では人体がR_Dと並列に入る。
まとめ
| (a)遮断時間 | 0.8秒=1秒以内 → 600/I₁ |
| (a)最高限度 | 600/5=120 Ω |
| (a)答え | 120/3=40 Ω →(4) |
| (b)外箱電位 | 100×R_D/(40+R_D) ≤ 60 V |
| (b)答え | R_D ≤ 60 Ω →(5) |
| 再出題 | 令和6年度上期 B問題13と同一 |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(技術基準の計算6):【法規】令和6年度上期 B問題13
・B種・D種接地抵抗の計算(技術基準の計算19):【法規】平成25年度 B問題13

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