今回は令和6年度下期 法規科目 B問題13、受電設備の高圧電路の絶縁耐力試験の計算問題です。試験装置に必要な容量まで求める、実務そのままの出題です。
流れは3ステップ。①試験電圧=最大使用電圧×1.5 ②対地充電電流 Ic=2πfCV ③試験装置の容量 S=V×Ic。3線一括なので√3で割ったり掛けたりしないのがポイントです。
令和6年度下期 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 令和6年度下期 B問題13
受電電圧6kV、契約電力500kWの自家用電気工作物の受電設備がある。「電気設備の技術基準の解釈」に基づき、周波数50Hzの交流電源を使用して受電設備の高圧電路の絶縁耐力試験を行うとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、高圧電路の最大使用電圧は6 900Vとし、3線一括した高圧電路と大地との間の静電容量は0.2μFとする。
(a) 絶縁耐力試験における対地充電電流[A]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)0.32 (2)0.43 (3)0.54 (4)0.65 (5)0.71 A
(b) この試験に使用する試験装置に必要な容量[kV·A]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)3 (2)5 (3)7 (4)9 (5)11 kV·A

答えは(a)0.65A・(b)7kV·A
絶縁耐力試験を「実施する側」の計算です——試験装置の容量まで求めます。
★STEP1:試験電圧を求める
7 000V以下なので倍率は1.5
問題文が最大使用電圧6 900Vを直接与えています——公称電圧からの換算は不要です。
6 600×1.15/1.1=6 900なので、結果は同じ——親切な出題です。
「受電電圧6kV」「契約電力500kW」は撹乱情報——計算には使いません。
★STEP2:対地充電電流を求める
コンデンサの基本式
単位をμF→Fに直すことに注意
(a)の答えは(4)
0.2μF=0.2×10⁻⁶F——単位の換算を忘れないことです。
2π×50≒314——314×0.2×10⁻⁶×10 350≒0.65と暗算できます。
★「3線一括」の意味
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 3線一括した高圧電路と大地との間の静電容量 | ★★3線一括した高圧電路と大地との間の静電容量 | ★1相あたりの静電容量 | ★★前者は3相分をまとめた値 |
| そのまま使える | ★★そのまま使える | ★3倍する必要がある | ★★問題文の与え方で変わる |
「3線一括」と書かれていれば、3相分がすでに含まれています——3倍したり√3で割ったりする必要はありません。
1相あたりで与えられた場合は3倍します——問題文の表現を必ず確認します。
ここを誤ると答えが3倍ずれます——最大の注意点です。
★STEP3:試験装置の容量
試験電圧×充電電流
選択肢のうち最も近いのは7kV·A
力率は考えません——ほぼ純粋な容量性負荷なので、皮相電力=V×Iです。
三相でも√3を掛けません——3線一括して大地との間に電圧をかけるからです。
単相の回路として扱う——これが試験回路の実際です。
★なぜ試験装置の容量が問題になるのか
ケーブルは静電容量が大きく、充電電流も大きくなります——長い線路なら数Aに達します。
10 350Vで数Aを流すには、数十kV·Aの装置が要ります——現場に持ち込めない大きさです。
だから容量の見積もりが実務上重要——この問題は実務そのものです。
★容量が足りないときの対策
| 対策 | 内容 |
| ★補償リアクトルを使う | ★★進相の充電電流を遅相電流で打ち消す |
| ★直流試験に切り替える | ★★ケーブルなら交流試験電圧の2倍の直流で代替できる |
| ★区間を分けて試験する | ★★静電容量を小さくする |
補償リアクトルは、試験電圧に対して並列に接続します——リアクトルの遅れ電流とケーブルの進み電流が打ち消し合うのです。
電源からは差分だけを供給すればよくなります——小さな装置で試験できるのです。
直流試験なら装置は小さくて済む
流れるのは漏れ電流だけ(μA〜mA)
直流試験なら、数百V·Aの装置で足ります——交流の10kV·Aとは桁違いです。
ただし試験電圧は交流の2倍が必要——10 350×2=20 700Vになります。
電圧は高いが容量は小さい——そのトレードオフです。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 注意点 |
| ★① | ★★試験電圧V=最大使用電圧×1.5 | ★★7 000V以下なら1.5倍 |
| ★② | ★★I_c=2πfCV | ★★μF→Fの換算・3線一括かどうか |
| ★③ | ★★S=V×I_c | ★★√3を掛けない |
3ステップで解けます——掛け算だけなので計算は簡単です。
難しいのは、どの値を使うかの判断——撹乱情報に惑わされないことです。
試験の実務での注意
| 項目 | 内容 |
| ★試験前 | ★★絶縁抵抗を測定し、健全性を確認する |
| ★昇圧 | ★★ゆっくり試験電圧まで上げる |
| ★保持 | ★★連続10分間、漏れ電流を監視する |
| ★試験後 | ★★残留電荷を確実に放電する |
0.2μFに10 350Vを充電すると、大きなエネルギーが蓄えられます——放電せずに触れれば感電します。
試験そのものが危険な作業——手順を守ることが安全につながります。
静電容量の目安
| 設備 | 対地静電容量の目安 |
| ★高圧ケーブル(CVT 38mm²) | ★★1kmあたり0.2〜0.5μF程度 |
| ★受電設備一式(小規模) | ★★0.1〜0.3μF程度 |
| ★架空電線 | ★★ケーブルよりはるかに小さい |
ケーブルは導体と遮へい層が近接しているので、静電容量が架空線より桁違いに大きいのです。
だから絶縁耐力試験では、ケーブルの有無が試験装置の容量を左右します。
補償リアクトルの原理
電圧より90度進む
電圧より90度遅れる
打ち消し合うので小さくて済む
進み電流と遅れ電流は向きが逆です——だから打ち消し合います。
電源からは差分だけを供給すればよい——小さな試験装置で済むのです。
⏱️ 本番での進め方
① 試験電圧は最大使用電圧×1.5(7 000V以下)。
② I_c=2πfCV——μFをFに直す。
③ 「3線一括」ならそのまま使う——3倍しない。
④ S=V×I_c——√3を掛けない。
💡 覚え方
絶縁耐力試験の試験装置容量=①試験電圧V=最大使用電圧×1.5(7 000V以下)②対地充電電流I_c=2πfCV(3線一括の静電容量はそのまま使う)③試験装置の容量S=V×I_c。容量が足りなければ補償リアクトルで充電電流を打ち消すか、ケーブルなら直流試験(交流試験電圧の2倍)に切り替える。
⚠️ よくある間違い
「3線一括」の静電容量を3倍しない——すでに3相分が含まれている。S=V×I_cに√3を掛けない——大地との間の単相回路として扱う。
まとめ
| 試験電圧 | 6 900×1.5=10 350 V |
| 静電容量 | 3線一括で0.2 μF |
| (a)充電電流 | 2πfCV≒0.650 A →(4) |
| (b)容量 | 10 350×0.650≒6.73 kV·A → 7kV·A →(3) |
| 答え | (a)-(4),(b)-(3) |
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