電気施設管理6【電験3種 法規】波及事故の報告と保護協調!事故点2・3が報告対象=(a)(5)・(b)(4) 令和5年度下期 B問題13 完全解説

電験3種 法規科目 電気施設管理 令和5年度下期 B問題13 どの事故が報告対象?波及事故と保護協調

今回は令和5年度下期 法規科目 B問題13波及事故(供給支障事故)の報告義務保護協調を組み合わせた総合問題です。電気事業法・電気関係報告規則・保護継電器の知識をまとめて確認できる良問です。

(a)は電気関係報告規則の波及事故報告——自家用電気工作物を設置する者が、電圧3000V以上で他者に供給支障を起こしたら報告義務。(b)は保護協調——事故点直近上位のみ動作する仕組みと、下位遮断器Bの動作特性曲線を読み取ります。

目次

令和5年度下期 法規科目 B問題13:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和5年度下期 B問題13 問題文
令和5年度下期 法規科目 B問題13 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13

電験3種 法規科目 【電気施設管理】 令和5年度下期 B問題13

 電気工作物に起因する供給支障事故について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(問題文と図は上の画像を参照してください。)

(a) 次の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

① 電気事業法第39条(事業用電気工作物の維持)において、事業用電気工作物の損壊により(ア)者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすることが規定されている。

② 「電気関係報告規則」において、(イ)を設置する者は、(ア)、配電事業又は特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧(ウ)V以上の(イ)の破損又は(イ)の誤操作若しくは(イ)を操作しないことにより(ア)者、配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた場合、電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に事故報告をしなければならないことが規定されている。

③ 図1に示す高圧配電系統により高圧需要家が受電している。事故点1、事故点2又は事故点3のいずれかで短絡等により高圧配電系統に供給支障が発した場合、②の報告対象となるのは(エ)である。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)一般送配電事業自家用電気工作物6000事故点1又は事故点2
(2)送電事業事業用電気工作物3000事故点1又は事故点3
(3)一般送配電事業事業用電気工作物6000事故点2又は事故点3
(4)送電事業事業用電気工作物6000事故点1又は事故点2
(5)一般送配電事業自家用電気工作物3000事故点2又は事故点3

(b) 次の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

① 受電設備を含む配電系統において、過負荷又は短絡あるいは地絡が生じたとき、供給支障の拡大を防ぐため、事故点直近上位の遮断器のみが動作し、他の遮断器は動作しないとき、これらの遮断器の間では(ア)がとられているという。

② 図2は、図1の高圧需要家の事故点2又は事故点3で短絡が発生した場合の過電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。(ア)がとられている場合、遮断器Bの継電器動作特性曲線は、(イ)である。

③ 図3は、図1の高圧需要家の事故点2で地絡が発生した場合の零相電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。(ア)がとられている場合、遮断器Bの継電器動作特性曲線は、(ウ)である。また、地絡の発生箇所が零相変流器より負荷側か電源側かを判別するため(エ)の使用が推奨されている。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)同期協調曲線2曲線3地絡距離継電器
(2)同期協調曲線1曲線3地絡方向継電器
(3)保護協調曲線1曲線4地絡距離継電器
(4)保護協調曲線2曲線4地絡方向継電器
(5)保護協調曲線2曲線3地絡距離継電器
図1 高圧配電系統図(概略図)
図1 高圧配電系統図(概略図)
図2 過電流継電器-連動遮断特性/図3 地絡継電器-連動遮断特性
図2 過電流継電器-連動遮断特性/図3 地絡継電器-連動遮断特性
図1 高圧配電系統図(概略図)
図1 高圧配電系統図(概略図)
図2 過電流継電器-連動遮断特性/図3 地絡継電器-連動遮断特性
図2 過電流継電器-連動遮断特性/図3 地絡継電器-連動遮断特性
答え(a)事故点2又は3 = (5)/(b)地絡方向継電器(DGR) = (4)

答えは(a)(5):一般送配電事業・自家用電気工作物・3 000V・事故点2又は3

電気事業法第39条/電気関係報告規則(令和4年4月改正後)

★電気事業法第39条=事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。/★電気関係報告規則=自家用電気工作物を設置する者は、一般送配電事業、配電事業又は特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧3 000V以上の自家用電気工作物の破損等により供給支障を発生させた場合、産業保安監督部長に事故報告をしなければならない。

★「配電事業者」「特定送配電事業者」は令和4年4月の改正で加わりました。

令和2年度 B問題11が同一問題です。そちらは報告義務の3要件を扱っています

この記事は、条文がどう改正されたかを主軸にします

★★令和2年度版との違いを比べる

令和2年度 B問11令和5年度下期 B問13(本問)
★第39条★★一般送配電事業者★★一般送配電事業者又は配電事業者
★報告規則★★一般送配電事業の用に供する…★★一般送配電事業、配電事業又は特定送配電事業の用に供する…
★答え★★(5)★★(5)

問題文だけが現行法に更新され、答えは同じです——空欄の位置も変わりません

古い過去問を解くときは、用語が現行と違う場合がある——意味を理解していれば対応できます

★★配電事業者とは(令和4年4月新設)

事業内容
★一般送配電事業★★エリア全体の送配電網を維持・運用する
★配電事業★★★特定の区域で配電網を維持・運用する(新設)
★特定送配電事業★★特定の供給地点に自前の設備で供給する
★送電事業★★送電網を維持・運用する

配電事業は、地域のマイクログリッド運営を想定した制度です——災害時の独立運転など

再エネの地産地消を進めるために新設されました——令和4年4月施行

解釈229条にも同じ改正が入っています——法令をまたいだ横断的な改正です。

★報告義務の要件(変わらない部分)

要件内容
★①誰が★★自家用電気工作物を設置する者
★②何が★★電圧3 000V以上の自家用電気工作物の破損・誤操作等
★③結果★★他者に供給支障を発生させた
★報告先★★設置場所を管轄する産業保安監督部長

3 000Vという数字は改正されていません——「6 000V」はダミー

「事業用電気工作物」ではなく自家用電気工作物——より狭い区分です。

★どの事故点が報告対象か

事故点場所報告対象か
★事故点1★★配電線(電力会社の設備)★★対象外
★事故点2★★需要家の高圧引込部★★対象
★事故点3★★需要家構内★★対象

自分の設備で起きた事故だけが報告対象です——配電線は電力会社の責任

事故点1を含む選択肢は、この時点で消せます——絞り込みが速くなるのです。

★★(b)動作特性曲線の読み方

内容
★横軸★★過電流[A](対数目盛)
★縦軸★★継電器動作時間[s](対数目盛)
★協調がとれている★★下位Bの曲線が上位Aより下(速い)

同じ電流に対して、Bのほうが短い時間で動作すればよい——曲線が交差しなければ協調成立

交差する電流域があれば、そこで協調が崩れます——整定の見直しが必要です。

グラフを読む問題は、まず軸の意味を確認します

★反限時特性とは

$$t \propto \dfrac{1}{I^2 – 1}$$
電流が大きいほど動作時間が短くなる
★反限時(inverse time)特性

電流が大きいほど速く動作します——大事故ほど早く切るのが合理的だから。

だから曲線は右下がりになります——グラフの形にも意味があるのです。

平成22年度B問題11では、この式を使う計算が出ました

事故報告の期限

段階期限方法
★速報★★事故を知った時から24時間以内★★電話等
★詳報★★事故を知った日から30日以内★★報告書

まず速報、後から詳報という2段構えです。

24時間と30日という数字も出題対象です。

波及事故の実際の原因

原因割合の傾向
★区分開閉器(PAS等)の劣化・故障★★最も多い
★高圧ケーブルの絶縁劣化★★次に多い
★自然災害・小動物★★一定数ある

PASの更新目安は概ね15年——屋外で環境が厳しいからです。

更新を怠ると波及事故に直結します——報告義務を負う事態に。

点検と更新が最大の予防策です。

近年の法改正は狙われやすい

改正内容
★令和4年4月★★配電事業者の新設(本問・解釈229条)
★令和5年3月★★小規模事業用電気工作物の新設
★令和5年★★蓄電所の追加(解釈21条ほか)

改正直後の条文は出題されやすい傾向があります。

3つとも近年の改正で、いずれも出題実績があります——押さえておく価値が高いのです。

特定送配電事業とは

項目内容
★定義★★自前の送配電設備で特定の供給地点に電気を供給する事業
★例★★工業団地・大規模商業施設の構内配電
★区分★★届出制(一般送配電事業は許可制)

限られた区域に自前の設備で供給する形態です——一般送配電事業より小規模

これも報告規則の対象に含まれます——供給支障を起こせば報告義務

⏱️ 本番での進め方
① 第39条に「又は配電事業者」が加わった(令和4年4月)。
② 報告規則も配電事業・特定送配電事業が追加された。
③ 電圧は3 000V以上——改正されていない。
④ 対象は自分の設備の事故——事故点2又は3。

💡 覚え方
電気関係報告規則の事故報告=自家用電気工作物を設置する者は、一般送配電事業・配電事業又は特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧3 000V以上の自家用電気工作物の破損等により供給支障を発生させた場合、設置場所を管轄する産業保安監督部長に事故報告をする。★配電事業者は令和4年4月の改正で追加。

⚠️ よくある間違い
「6 000V」ではなく3 000V以上「事業用電気工作物」ではなく自家用電気工作物配電線(事故点1)は報告対象外

まとめ

(a)(ア)一般送配電事業(法39条)
(a)(イ)(ウ)自家用電気工作物/3000V以上
(a)(エ)事故点2又は事故点3(分界点の負荷側)→(5)
(b)(ア)保護協調(直近上位のみ動作)
(b)(イ)(ウ)曲線2/曲線4(下位Bは速い)
(b)(エ)地絡方向継電器(DGR)→(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・高圧受電設備の保護協調(電気施設管理8):【法規】令和3年度 A問題10
・電気工作物に起因する供給支障事故(電気施設管理9):【法規】令和2年度 A問題11

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