今回は令和5年度下期 法規科目 A問題10、変流器(CT)の誤り選択問題です。実はこの問題、令和6年度下期 A問題10とまったく同じ文章で、選択肢の並び順だけが違います。
つまり誤りの記述は同じ——「二次側の抵抗値により変流比は変化する」が誤りです。ただし番号が(4)に移っているので、番号だけ覚えていると外します。内容で判断する癖をつけましょう。
令和5年度下期 法規科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 令和5年度下期 A問題10
次の文章は、計器用変成器の変流器に関する記述である。その記述内容として誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 変流器は、一次電流から生じる磁束によって二次電流を発生させる計器用変成器である。
(2) 変流器は、二次側に開閉器やヒューズを設置してはいけない。
(3) 変流器は、通電中に二次側が開放されると変流器に異常電圧が発生し、絶縁が破壊される危険性がある。
(4) 変流器は、一次電流が一定でも二次側の抵抗値により変流比は変化するので、電流計の選択には注意が必要になる。
(5) 変流器の通電中に、電流計をやむを得ず交換する場合は、二次側端子を短絡して交換し、その後に短絡を外す。

答え(誤っているもの)は(4)
平成27年度 A問題10と文章も選択肢順も同一、令和6年度下期 A問題10は同じ文章で並び順だけが違います。
この記事は、正しい4つを1つずつ検証します——消去法の訓練です。
★★誤り選択問題は「正しいもの」から潰す
誤りを直接探すより、明らかに正しいものを消していくほうが速い——これが消去法です。
CTの問題は(2)(3)(5)がすべて「二次開放は危険」から導けます——1つの原理で3つ消えるのです。
残るのは(1)と(4)——ここまで絞れば判断は容易です。
★(1)を検証——CTの定義そのもの
電磁誘導の原理
「一次電流から生じる磁束によって二次電流を発生させる」——変成器の定義そのものです。
変圧器と同じ原理で、扱う量が電流なだけ——正しい記述です。
ここに疑いを持つ余地はありません。
★★(3)を検証——二次開放の物理
通常は二次電流が一次を打ち消している
鉄心が過飽和する
数千Vに達する
通常は二次電流の磁束が一次の磁束を打ち消しています——だから鉄心の磁束は小さい。
開放するとその打ち消しが消え、鉄心が飽和します——磁束が急峻に変化するのです。
その結果、尖った高電圧が二次側に現れる——(3)は正しい。
★(2)を検証——ヒューズが危険をつくる
ヒューズは普通なら保護のために付けるものです——しかしCTでは逆。
溶断すればそれ自体が二次開放になります——保護のつもりが最悪の事態を招くのです。
開閉器も誤って開けば同じ——だから設置してはいけない。(2)は正しい。
★(5)を検証——一瞬も開放しない手順
| 手順 | やること | そのときの二次側 |
| ★① | ★★二次側端子を短絡する | ★★短絡(安全) |
| ★② | ★★電流計を交換する | ★★短絡が維持されている |
| ★③ | ★★短絡を外す | ★★新しい計器に電流が流れる |
一瞬も開放状態をつくらないための順序です——(5)は正しい。
CTは短絡しても壊れません——むしろそれが本来の使い方に近いのです。
★★残った(4)を検討する
★二次側の負担には依存しない
巻数比は製造時に決まる物理的な値です——後から変わりようがない。
二次側に何をつなごうと、比そのものは変わりません——だから(4)が誤り。
変わるのは誤差(比誤差・位相角誤差)——言い換えのひっかけです。
★正解番号が年度で変わる
| 年度 | 正解番号 | 誤りの内容 |
| ★平成27年度 | ★★(4) | ★★同一 |
| ★令和5年度下期(本問) | ★★(4) | ★★同一 |
| ★令和6年度下期 | ★★(5) | ★★同一 |
同じ文章が3回出題され、番号は(4)(4)(5)——番号で覚えると外します。
内容で判断する癖をつける——法規全体を通じた鉄則です。
逆に言えば、内容を理解していれば3回とも得点できます。
消去法が効く問題の見分け方
| 特徴 | 対応 |
| ★1つの原理で複数の選択肢が説明できる | ★★その原理を確認して一気に消す |
| ★定義をそのまま書いた選択肢がある | ★★まず正しいとみてよい |
| ★言い換えが混じった選択肢 | ★★★そこが誤りの候補 |
本問の(4)は「誤差が増える」を「変流比が変化する」と言い換えたものです。
もっともらしいが、厳密には別のこと——そこを突いています。
VTとの対比で覚える
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| VT(計器用変圧器) | ★★VT(計器用変圧器) | ★CT(変流器) | ★★二次短絡が禁止/二次開放が禁止 |
| ヒューズを付ける | ★★ヒューズを付ける | ★ヒューズを付けてはならない | ★★禁止事項が正反対 |
VTは電圧源なので短絡すると大電流——だからヒューズで保護します。
CTは電流源なので開放すると高電圧——正反対です。
この対比で覚えると混同しません。
実務での事故例
CTの二次側端子の緩みも、開放と同じ危険を生みます——接触不良で瞬間的に開放になるのです。
点検時の増し締めが重要——試験の知識が実務に直結します。
使わないCTの二次側は短絡しておく——これが正しい扱いです。
CTの二次側を接地する理由
| 項目 | 内容 |
| ★根拠 | ★★解釈28条(計器用変成器の二次側電路の接地) |
| ★高圧用CT | ★★D種接地工事 |
| ★特別高圧用CT | ★★A種接地工事 |
一次と二次が混触したとき、二次側に高電圧が現れるのを防ぎます——計器に触れる人を守るのです。
VTの二次側も同様に接地します——計器用変成器に共通の措置です。
接地は「開放しない」とは別の話——混同しないことです。
⏱️ 本番での進め方
① (2)(3)(5)はすべて「二次開放は危険」から導ける。
② (1)はCTの定義そのもの——正しい。
③ 残った(4)が誤り——変流比は巻数比で決まる。
④ 正解番号は(4)(4)(5)と年度で変わる——内容で判断する。
💡 覚え方
変流器(CT)=変流比は一次と二次の巻数比で決まり、二次側の抵抗値(負担)では変化しない(変わるのは誤差)。通電中の二次開放は鉄心が過飽和となり数千Vの異常電圧が発生するため厳禁。二次側に開閉器・ヒューズを設けてはならず、電流計の交換は先に二次側端子を短絡してから。
⚠️ よくある間違い
二次側の抵抗値で変わるのは誤差であって変流比ではない。正解番号は年度で(4)(4)(5)と変わる——番号で覚えない。
まとめ
| (1) | 正しい(一次電流の磁束で二次電流) |
| (2) | 正しい(二次側に開閉器・ヒューズ禁止) |
| (3) | 正しい(二次開放で異常電圧) |
| (4) | 誤り(変流比は巻数比で決まる) |
| (5) | 正しい(端子を短絡してから交換) |
| 答え | (4) |
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