電気関係報告規則4【電験3種 法規】せん絡・直ちに・誤操作・入院!事故の定義を条文で押さえる 令和5年度上期 A問題2 完全解説

電験3種 法規科目 電気関係報告規則 令和5年度上期 A問題2 せん絡とは何か?事故の定義を条文で押さえる

今回は令和5年度上期 法規科目 A問題2事故の定義そのものを問う空欄補充問題です。「どんな事故を報告するか」の前提となる用語がまとめて確認できます。

3つの事故の定義を押さえます。電気火災事故=漏電・短絡・せん絡等による火災。破損事故=機能が低下・喪失して直ちに運転停止等になること。供給支障事故=破損事故又は誤操作等で使用者への供給が止まること。そして死傷の報告は入院した場合に限られます。

目次

令和5年度上期 法規科目 A問題2:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和5年度上期 A問題2 問題文
令和5年度上期 法規科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2

電験3種 法規科目 【電気関係報告規則】 令和5年度上期 A問題2

 次の文章は、「電気関係報告規則」に基づく事故の定義及び事故報告に関する記述である。

 a)「電気火災事故」とは、漏電、短絡、(ア)、その他の電気的要因により建造物、車両その他の工作物(電気工作物を除く。)、山林等に火災が発生することをいう。

 b)「破損事故」とは、電気工作物の変形、損傷若しくは破壊、火災又は絶縁劣化若しくは絶縁破壊が原因で、当該電気工作物の機能が低下又は喪失したことにより、(イ)、その運転が停止し、若しくはその運転を停止しなければならなくなること又はその使用が不可能となり、若しくはその使用を中止することをいう。

 c)「供給支障事故」とは、破損事故又は電気工作物の誤(ウ)若しくは電気工作物を(ウ)しないことにより電気の使用者(当該電気工作物を管理する者を除く。)に対し、電気の供給が停止し、又は電気の使用を緊急に制限することをいう。ただし、電路が自動的に再閉路されることにより電気の供給の停止が終了した場合を除く。

 d) 感電により人が病院(エ)した場合は事故報告をしなければならない。

 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)せん絡直ちに停止で治療
(2)絶縁低下制御できず操作に入院
(3)せん絡制御できず停止で治療
(4)せん絡直ちに操作に入院
(5)絶縁低下制御できず停止で治療
答え(ア)せん絡・(イ)直ちに・(ウ)操作・(エ)に入院 = (4)

答えは(4):せん絡・直ちに・操作・に入院

電気関係報告規則 第1条(用語の定義)

「電気火災事故」=漏電、短絡、せん絡、その他の電気的要因により建造物、車両その他の工作物(電気工作物を除く。)、山林等に火災が発生すること。/「破損事故」=……当該電気工作物の機能が低下又は喪失したことにより、直ちに、その運転が停止し……すること。/「供給支障事故」=破損事故又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより……電気の供給が停止……すること。ただし、電路が自動的に再閉路されることにより電気の供給の停止が終了した場合を除く。

★報告の前提となる3つの用語が、まとめて確認できます。

(ア)は「せん絡」——がいしなどの表面をアークが走る現象(フラッシオーバ)です。

(イ)は「直ちに」——すぐ止まる/止めざるを得ないことが要件です。

(ウ)は「操作」・(エ)は「に入院」——誤操作と不操作の両方が原因になります

★3つの事故の定義を並べる

用語要点
★電気火災事故★★漏電・短絡・せん絡等により工作物や山林に火災
★破損事故★★変形・損傷・破壊・火災・絶縁劣化で機能が落ち、直ちに停止
★供給支障事故★★破損事故又は誤操作・不操作で使用者への供給が停止

3つは連鎖することがあります——破損事故が供給支障事故を引き起こすという形です。

だから定義が別々に置かれています——どの段階で何が起きたかを区別するためです。

★「せん絡」とは何か

せん絡(閃絡)は、がいしの表面などをアークが走る現象です——フラッシオーバとも呼ばれます

雷や汚損によって絶縁が保てなくなると起こります——空気中を電気が飛ぶのです。

「絶縁低下」は状態を表す語で、現象の名前ではありません——だからダミーになります

漏電・短絡・せん絡と、3つとも現象の名前で揃っています

★火災の対象から電気工作物は除かれる

焼けたもの扱い
★建造物・車両・山林★★電気火災事故
★電気工作物そのもの★★破損事故として扱う

変圧器が焼けたのは、電気火災事故ではなく破損事故です——括弧書きで電気工作物が除かれているからです。

被害が外に及んだか、設備自体かで区別しています——この切り分けが定義の要です。

「直ちに」という要件

破損事故は「直ちに運転が停止し」等が要件です——すぐに止まることが必要です。

じわじわ性能が落ちただけでは、破損事故になりません——それは劣化であって事故ではないのです。

「制御できず」という語は条文にありません——もっともらしいダミーです。

★自動再閉路の但し書き

状況供給支障事故か
★停電し、手動で復旧した★★該当する
★瞬時停電したが自動再閉路で復旧★該当しない

雷などで一瞬停電しても、自動で入り直せば実害は小さい——だから事故から除かれています

再閉路は、送電線の雷事故に備えて広く使われている仕組みです——これを全部報告させたら大変なことになります

この但し書きも頻出です——読み飛ばさないようにしましょう

誤操作と不操作の両方が原因になる

条文の言葉ダミー語違い
せん絡★★せん絡★絶縁低下★★現象の名前で揃えている
直ちに★★直ちに★制御できず★★条文にない語
に入院★★に入院★で治療★★通院では報告不要

「誤操作」はやってはいけないことをした場合です——充電中の断路器を開放してしまう、など

「操作しないこと」はやるべきことをしなかった場合です——不作為も原因として明記されています

「電気の使用者」から管理者は除かれる

供給支障事故の定義には「当該電気工作物を管理する者を除く」とあります——自分が停電しても事故ではないのです。

他人への供給が止まってはじめて供給支障事故になります——ここでも「外への影響」という考え方が働いています。

括弧書きの中に重要なことが書かれている典型例です

定義を知る意味

定義が分かっていないと、報告の要否も判断できません——すべての前提になる条文です。

「該当しないものを選ぶ」問題も、この定義で解いています——定義→判定という順番です。

だから定義そのものを問う問題も出題されます——本問がまさにそれです。

定義があるから判定できる

「電気火災事故」という言葉だけでは、範囲が曖昧です——だから定義を置いています

漏電・短絡・せん絡と原因を挙げ、火災の対象も限定する——そこまで書いてはじめて判定できるのです。

法令が定義から始まることが多いのは、このためです

破損事故の原因は5つ

原因
★変形★★外力で曲がった
★損傷★★ひび・欠けが生じた
★破壊★★割れた・砕けた
★火災★★焼損した
★絶縁劣化・絶縁破壊★★絶縁が保てなくなった

物理的な壊れ方と、絶縁の問題の両方が挙げられています——電気設備らしい定義です。

電気工作物自体が焼けた場合は、ここに含まれます——電気火災事故ではありません

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は現象の名前で揃える——漏電・短絡・せん絡。絶縁低下は状態。
② (イ)は「直ちに」。すぐ止まることが破損事故の要件。
③ (ウ)は「操作」——誤操作と不操作の両方。
④ (エ)は「に入院」。通院治療では報告不要。

自動再閉路という仕組み

送電線に雷が落ちると、一瞬だけ地絡や短絡が起こります——アークが消えれば、すぐ元に戻ります

そこで遮断器をいったん開き、少し待って自動的に閉じます——これが自動再閉路です。

停電は一瞬で済むので、供給支障事故から除かれています——但し書きの理由がここにあります

出題履歴——定義は判定問題の土台

年度問われ方
★令和2年度 問2★★報告の範囲の限定
★令和5年度上期 問2★★事故の定義(本問)
★令和7年度下期 問2★★報告の方法

平成22年度 A問題3のような判定問題は、本問の定義を使って解いています。定義を固めておくと、判定が速くなります

電気関係報告規則は、定義・範囲・方法・判定の4方向から出題されます——どれも土台は同じ条文です。

💡 覚え方
電気火災事故=漏電・短絡・せん絡等による火災(電気工作物を除く工作物・山林等)。破損事故=機能低下・喪失で直ちに運転停止等。供給支障事故=破損事故又は誤操作/不操作で供給停止(自動再閉路で復旧した場合は除く)。死傷は死亡又は入院に限る。

⚠️ よくある間違い
「絶縁低下」「制御できず」「で治療」はすべてダミー自動再閉路で復旧すれば供給支障事故にならないという但書も頻出。

まとめ

(ア)せん絡
(イ)直ちに
(ウ)操作(誤操作・不操作)
(エ)に入院
但書自動再閉路で復旧した場合は除く
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・事故報告(電気関係報告規則5):【法規】令和2年度 A問題2
・事故報告の方法(電気関係報告規則1):【法規】令和7年度下期 A問題2

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