今回は令和2年度 法規科目 A問題2、事故報告の空欄補充問題です。「どんなときに」「何に対して」「いつまでに」報告するかが3つの空欄でまとめて問われます。
押さえるのは3点。人身は死亡又は病院・診療所に入院した場合に限る。物損は他の物件(=他人のもの)に損傷を与えた場合。そして速報は24時間以内、詳報は30日以内です。
令和2年度 法規科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2
電験3種 法規科目 【電気関係報告規則】 令和2年度 A問題2
自家用電気工作物の事故が発生したとき、その自家用電気工作物を設置する者は、「電気関係報告規則」に基づき、自家用電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に報告しなければならない。次の文章は、かかる事故報告に関する記述である。
a) 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(死亡又は病院若しくは診療所(ア)した場合に限る。)が発生したときは、報告をしなければならない。
b) 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより、(イ)に損傷を与え、又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故が発生したときは、報告をしなければならない。
c) 上記a)又はb)の報告は、事故の発生を知ったときから(ウ)時間以内可能な限り速やかに電話等の方法により行うとともに、事故の発生を知った日から起算して30日以内に報告書を提出して行わなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) に入院 公共の財産 24 (2) で治療 他の物件 48 (3) に入院 公共の財産 48 (4) に入院 他の物件 24 (5) で治療 公共の財産 48

答えは(4):に入院・他の物件・24時間
(ア)は「に入院」——通院して治療しただけでは報告不要です。
(イ)は「他の物件」——「公共の財産」に限定してはいけません。
(ウ)は「24」時間——速報の期限です。
★人身事故は「死亡又は入院」に限る
| 被害の程度 | 報告 |
| ★死亡 | ★★必要 |
| ★病院・診療所に入院 | ★★必要 |
| ★通院して治療 | ★不要 |
| ★手当てのみ | ★不要 |
軽い怪我まで報告させると、件数が膨大になります——行政も事業者も対応しきれません。
だから重大な事故に絞って把握する——限られた資源を重要なところに向けるという設計です。
「で治療」を選ぶと、この線引きが崩れます。
★「他の物件」の「他の」とは
| 損傷した物件 | 報告 |
| ★隣家の建物 | ★★必要 |
| ★通行車両 | ★★必要 |
| ★他人の設備 | ★★必要 |
| ★自分の電気工作物 | ★不要(この号では) |
「他の」とは、自分の電気工作物以外という意味です——他人のものが広く含まれます。
「公共の財産」に限ると、隣家の建物を壊した場合が抜け落ちます——条文と合わなくなるのです。
自分の設備の破損は、別の号(供給支障事故など)で扱われます。
「機能の全部又は一部を損なわせた」
物理的に壊さなくても、機能を損なえば報告の対象です——止めてしまった場合も含まれるのです。
たとえば波及事故で工場の生産設備が止まれば、これに当たります。
「壊す」だけでなく「使えなくする」まで広く捉えている——被害の実態に合わせた書き方です。
報告先は所轄産業保安監督部長
| 報告先 | |
| ★自家用電気工作物の事故 | ★★設置の場所を管轄する産業保安監督部長 |
| ★保安規程・主任技術者の届出 | ★★経済産業大臣(管轄内なら監督部長) |
事故報告は、現場に近い産業保安監督部長が受け取ります——すぐに動ける機関だからです。
問題文の冒頭にも「産業保安監督部長に報告」と書かれています——読み飛ばさないようにしましょう。
なぜ範囲を限定するのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| に入院 | ★★に入院 | ★で治療 | ★★重大な事故に絞る |
| 他の物件 | ★★他の物件 | ★公共の財産 | ★★他人のものを広く含む |
| 24時間 | ★★24時間 | ★48時間 | ★★速報は丸1日以内 |
報告制度の目的は、同種の事故の再発を防ぐことです——すべてを集めることではありません。
重大な事故に絞れば、原因の分析にも力を注げます——質を優先した設計です。
報告した情報はどう使われるか
集まった事故情報は、統計として公表されます——どんな事故が多いかが分かるのです。
重大な事故は、技術基準の改正につながることもあります——制度を良くするための材料になります。
報告は罰のためではなく、次の事故を防ぐため——この理解があると、条文が前向きに読めます。
速報と詳報の役割
| 速報(24時間) | 詳報(30日) | |
| ★目的 | ★★まず知らせる | ★★原因と対策を示す |
| ★方法 | ★★電話等 | ★★報告書(様式第13) |
2段構えになっているのは、緊急性と正確性の両方が要るからです。
速報だけでは原因が分からず、詳報だけでは遅すぎる——だから両方あるのです。
実務での判断
作業員が感電して病院に運ばれたら、入院の有無を確かめます——そこが報告の要否の分かれ目だからです。
迷ったら報告する、という運用が一般的です——報告しなかった場合のリスクのほうが大きいからです。
ただし試験では、条文どおりの線引きで答えます。
「知ったとき」から数える意味
条文は「事故の発生を知ったときから」と書いています——「発生から」ではありません。
無人の変電所などでは、事故に気づくのが遅れることがあります——気づかないうちは数え始めません。
とはいえ、気づく仕組みを持たないこと自体が問題になります——だから遠隔監視や巡視が求められるのです。
報告義務を負うのは誰か
| 設備 | 報告する者 |
| ★自家用電気工作物 | ★★設置する者 |
| ★電気事業用 | ★★電気事業者 |
いずれも設備を持っている側が報告します——主任技術者が代わりに義務を負うわけではありません。
ただし実務では、主任技術者が報告書を作成します——義務の主体と実際の担い手は別です。
⏱️ 本番での進め方
① 人身は「死亡又は入院」に限る——通院治療は対象外。
② 物損は「他の物件」——公共の財産に限定しない。
③ 速報は24時間、詳報は30日。
④ 報告先は所轄産業保安監督部長。
条文の括弧書きは必ず読む
「(死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。)」——この括弧書きが本問の主題です。
法令の括弧書きは、範囲を絞ったり例外を作ったりします——本文より重要なことが書いてあることも珍しくありません。
長い括弧が出てきたら、むしろ注意して読む——そこが出題される可能性が高いのです。
「病院若しくは診療所」という書き分け
条文は病院と診療所を並べています——医療法での区分が違うからです。
病床数20以上が病院、19以下が診療所とされています——どちらに入院しても報告の対象です。
報告の範囲を正確に覚えることは、実務でも役に立ちます——報告漏れは法令違反になるからです。
迷ったら条文の括弧書きに戻る——そこに答えがあります。
出題履歴——限定の言葉が狙われる
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成20年度 問2 | ★★報告事由と期限 |
| ★令和2年度 問2 | ★★報告の範囲の限定(本問) |
| ★令和5年度上期 問2 | ★★事故の定義 |
平成20年度 A問題2では報告事由そのものが問われました。本問は「どこまでが対象か」に焦点があるという違いです。
条文の括弧書きや限定の言葉は、必ず空欄になります——読み飛ばさない習慣をつけましょう。
💡 覚え方
事故報告:人身は死亡又は入院に限る/物損は他の物件への損傷・機能損傷/期限は速報24時間以内・詳報30日以内/提出先は設置の場所を管轄する産業保安監督部長。
⚠️ よくある間違い
「で治療」(通院)では報告不要。「公共の財産」に限定しない——他の物件。48時間・14日はダミー。
まとめ
| (ア) | に入院(死亡又は入院に限る) |
| (イ) | 他の物件 |
| (ウ) | 24(時間以内・速報) |
| 詳報 | 30日以内 |
| 提出先 | 所轄産業保安監督部長 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・事故の定義(電気関係報告規則4):【法規】令和5年度上期 A問題2
・事故報告の方法(電気関係報告規則1):【法規】令和7年度下期 A問題2

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