今回は令和4年度下期 法規科目 A問題6、高圧屋内配線(電気設備技術基準の解釈第168条)に関する空欄補充問題です。高圧屋内配線の工事方法・防護管の接地・他の屋内電線等との離隔が問われます。
骨格は「がいし引き(乾燥・展開)又はケーブル工事」「防護金属管はA種接地(接触防護でD種可)」「離隔15cm(裸電線30cm)」「耐火性の隔壁・管」。高圧は工事方法・接地・隔壁の材質が厳しめです。
答えは(1):がいし引き・A種・15cm・耐火性
平成18年度 A問題8はがいし引きの支持点間(6m/2m)、令和元年度 A問題5は工事方法が2択である理由を扱っています。
この記事は、離隔距離と隔壁の材質を掘り下げます。
令和4年度下期 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和4年度下期 A問題6
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧屋内配線に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
高圧屋内配線は、(ア)工事(乾燥した場所であって展開した場所に限る。)又はケーブル工事により施設すること。ケーブル工事による高圧屋内配線で、防護装置としての金属管にケーブルを収めて施設する場合には、その管に(イ)接地工事を施すこと。ただし、接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す設備と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合は、D種接地工事によることができる。
高圧屋内配線が、他の高圧屋内配線、低圧屋内配線、管灯回路の配線、弱電流電線等又は水管、ガス管若しくはこれらに類するもの(他の屋内電線等)と接近又は交差する場合は、次のa)、b)のいずれかによること。
a)高圧屋内配線と他の屋内電線等との離隔距離は、(ウ)((ア)工事により施設する低圧屋内電線が裸電線である場合は、30cm)以上であること。
b)高圧屋内配線をケーブル工事により施設する場合においては、次のいずれかによること。①ケーブルと他の屋内電線等との間に(エ)のある堅ろうな隔壁を設けること。②ケーブルを(エ)のある堅ろうな管に収めること。③他の高圧屋内配線の電線がケーブルであること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) がいし引き A種 15cm 耐火性 (2) 合成樹脂管 C種 25cm 耐火性 (3) がいし引き C種 15cm 難燃性 (4) 合成樹脂管 A種 25cm 難燃性 (5) がいし引き A種 15cm 難燃性

★「耐火性」と「難燃性」の違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 耐火性 | ★★耐火性 | ★難燃性 | ★★火に一定時間耐える/燃え広がりにくい |
| 隔壁・管に求められる | ★★隔壁・管に求められる | ★ケーブルのシース等に求められる | ★★求められる場面が違う |
難燃性は「自分が燃え広がらない」性質です——火にさらされれば変形します。
耐火性は「火にさらされても形と機能を保つ」性質——隔壁として機能し続けるのです。
隔壁が溶けてしまっては意味がありません——だから耐火性が要求されます。
★15cmと30cmの使い分け
| 相手 | 離隔距離 |
| ★他の屋内電線等(一般) | ★★15cm以上 |
| ★がいし引き工事の低圧屋内電線が裸電線 | ★★30cm以上 |
裸電線には絶縁被覆がありません——触れれば即座に短絡・混触します。
だから距離を2倍にとる——15cmと30cmの関係です。
「25cm」というダミーが選択肢に置かれます。
★3つの代替手段
| 方法 | 内容 |
| ★① 耐火性のある堅ろうな隔壁 | ★★間を仕切る |
| ★② 耐火性のある堅ろうな管に収める | ★★高圧側を覆う |
| ★③ 他の高圧屋内配線の電線がケーブル | ★★相手もケーブルなら双方が守られている |
ケーブル工事なら、距離をとらずに済む道が3つ用意されています——屋内は場所が限られるからです。
「距離か、仕切りか」という選択——解釈のあちこちで繰り返される形です。
★接触防護措置の括弧書き
条文には「金属製のものであって、防護措置を施す設備と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く」とあります。
金属の覆いで防護しても、それが充電部とつながれば逆効果——覆い自体が充電されてしまうのです。
だからその方法は接触防護措置として認めない——細かいようですが、重要な但し書きです。
A種接地とD種接地の使い分け
| 条件 | 接地工事 | 接地抵抗値 |
| ★原則 | ★★A種 | ★★10Ω以下 |
| ★接触防護措置を施す場合 | ★★D種 | ★★100Ω以下 |
人が触れないなら、要求を下げてよい——接地は触れた人を守るためだからです。
「C種」というダミーが置かれます——C種は300Vを超える低圧機器の外箱です。
168条が3回出題されている
| 年度 | 問われた部分 | 正解番号 |
| ★平成18年度 問8 | ★★がいし引きの支持点間・接地 | ★★(4) |
| ★令和元年度 問5 | ★★工事方法(167条と併せて) | ★★(4) |
| ★令和4年度下期 問6 | ★★接地・離隔・隔壁(本問) | ★★(1) |
16年間に3回、しかも問われる部分が毎回違います——条文全体を押さえる必要があるのです。
工事方法・支持点間・接地・離隔・隔壁の5点——これで168条は完成です。
高圧屋内配線の実際
受電設備から変圧器までの区間などが該当します——電気室やキュービクルの中。
現在はほぼケーブル工事——がいし引きは古い設備に残る程度です。
それでも条文は両方を認め続けています——既設設備が生きているからです。
特別高圧屋内配線との違い
| 高圧(168条) | 特別高圧(169条) | |
| ★工事 | ★★がいし引き又はケーブル | ★★ケーブルのみ |
| ★使用電圧 | ★★制限なし | ★★100 000V以下 |
| ★他の配線との離隔 | ★★15cm以上 | ★★60cm以上 |
特別高圧はケーブル一択、離隔も4倍——電圧が上がるほど厳しくなるという原則どおりです。
低圧=多数の工事/高圧=2択/特別高圧=1択——この流れで覚えます。
がいし引き工事の詳しい要件(高圧)
| 項目 | 基準 |
| ★電線 | ★★直径2.6mm以上の軟銅線と同等以上の強さの高圧絶縁電線等 |
| ★造営材との離隔 | ★★0.05m以上 |
| ★電線相互の間隔 | ★★0.08m以上 |
| ★支持点間 | ★★6m以下(造営材の面に沿う場合2m以下) |
| ★がいし | ★★絶縁性・難燃性及び耐水性のあるもの |
がいしには「難燃性」が求められます——隔壁の「耐火性」とは別の語です。
同じ条文の中で2つの語が使い分けられている——だから空欄にされるのです。
接地工事の種類を整理する
| 種類 | 主な対象 | 接地抵抗値 |
| ★A種 | ★★高圧・特別高圧機器の外箱、避雷器 | ★★10Ω以下 |
| ★B種 | ★★高圧と低圧を結合する変圧器の低圧側 | ★★150/300/600÷I |
| ★C種 | ★★300V超の低圧機器の外箱 | ★★10Ω以下 |
| ★D種 | ★★300V以下の低圧機器の外箱 | ★★100Ω以下 |
高圧の金属体はA種、低圧はC種/D種——電圧で大きく分かれます。
A種とC種は同じ10Ωですが、対象が違う——選択肢を切る手がかりです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)はがいし引き——「合成樹脂管」は高圧では不可。
② (イ)はA種——「C種」ではない。
③ (ウ)は15cm——裸電線なら30cm。
④ (エ)は耐火性——「難燃性」ではない。
💡 覚え方
解釈168条=高圧屋内配線はがいし引き工事(乾燥した展開した場所に限る)又はケーブル工事。防護装置としての金属管にはA種接地工事(接触防護措置を施す場合はD種でも可)。他の屋内電線等との離隔は15cm以上(がいし引きの低圧屋内電線が裸電線なら30cm以上)、又はケーブル工事なら耐火性のある堅ろうな隔壁・管、若しくは相手もケーブルであること。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「合成樹脂管」ではなくがいし引き。(イ)は「C種」ではなくA種。(ウ)は「25cm」ではなく15cm。(エ)は「難燃性」ではなく耐火性——隔壁は火にさらされても形を保つ必要がある。
まとめ
| (ア)工事方法 | がいし引き(乾燥・展開)又はケーブル |
| (イ)防護金属管 | A種接地(接触防護でD種可) |
| (ウ)離隔距離 | 15cm以上(裸電線30cm) |
| (エ)ケーブル工事 | 耐火性の隔壁・管 |
| 高圧の特徴 | 工事方法・接地・材質が厳しい |
| 答え | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
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