今回は令和4年度下期 法規科目 A問題7、低圧屋内配線の金属ダクト工事(電気設備技術基準の解釈第162条)に関する空欄補充問題です。電線の占積率・ダクトの接続・接地工事の条件を条文どおり押さえます。
これは令和7年度上期 問9と同一の問題です。覚える数字は「電線20%・制御50%」、接地は使用電圧300Vを境にD種/C種。ダクト相互は電気的に完全接続します。
令和4年度下期 法規科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和4年度下期 A問題7
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧屋内配線の金属ダクト工事に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a)ダクトに収める絶縁電線の断面積(絶縁被覆の断面積を含む。)の総和は、ダクトの内部断面積の(ア)%以下であること。ただし、電光サイン装置、出退表示灯その他これらに類する装置又は制御回路等(自動制御回路、遠方操作回路、遠方監視装置の信号回路その他これらに類する電気回路をいう。)の配線のみを収める場合は、(イ)%以下とすることができる。
b)ダクト相互は、堅ろうに、かつ、(ウ)に完全に接続すること。
c)ダクトを造営材に取り付ける場合は、ダクトの支持点間の距離を3m(取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所において、垂直に取り付ける場合は6m)以下とし、堅ろうに取り付けること。
d)低圧屋内配線の(エ)電圧が300V以下の場合は、ダクトには、D種接地工事を施すこと。
e)低圧屋内配線の(エ)電圧が300Vを超える場合は、ダクトには、C種接地工事を施すこと。ただし、(オ)防護措置を施す場合は、D種接地工事によることができる。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 20 50 電気的 使用 接触 (2) 32 48 電気的 対地 簡易接触 (3) 32 48 機械的 使用 接触 (4) 32 48 機械的 使用 簡易接触 (5) 20 50 電気的 対地 簡易接触

答えは(1):20%・50%・電気的・使用・接触
令和7年度上期 A問題9は同一問題で、占積率20%の理由を主軸にしています。
この記事は、制御回路等の定義と接地の区分を掘り下げます。
★「制御回路等」に何が含まれるか
| 回路 | 内容 |
| ★自動制御回路 | ★★シーケンス制御の信号線 |
| ★遠方操作回路 | ★★離れた場所から機器を操作する回路 |
| ★遠方監視装置の信号回路 | ★★状態を伝送する回路 |
| ★電光サイン装置・出退表示灯 | ★★表示用の小電力回路 |
共通するのは「流れる電流が小さい」ことです——発熱がほとんどありません。
だから詰めても熱の問題が起きない——50%まで認められます。
動力回路や電灯回路が混じれば20%——条文は「〜のみを収める場合」と限定しています。
★C種接地とD種接地の分かれ目
| 使用電圧 | 接地工事 | 接地抵抗値 |
| ★300V以下 | ★★D種 | ★★100Ω以下 |
| ★300V超 | ★★C種 | ★★10Ω以下 |
| ★300V超+接触防護措置 | ★★D種でよい | ★★100Ω以下 |
電圧が高いほど接地抵抗を低くする——漏電時の電位上昇を抑えるためです。
ただし人が触れないなら緩和できる——接地は触れた人を守るためだからです。
「簡易接触防護措置」ではなく「接触防護措置」——厳しいほうが要求されます。
★「電気的に完全に接続」が要る理由
ダクトは接地され、地絡電流の帰路になります——途中で電気的に切れていては役に立ちません。
ボルトで機械的につないでも、塗装が挟まれば導通しません——だから「電気的に」と明記されています。
「堅ろうに」が機械的な要求を担っています——2つで1組です。
★金属ダクト工事が使われる場面
| 場面 | 内容 |
| ★配電盤・分電盤の周囲 | ★★多数の回路が集まる |
| ★工場の幹線ルート | ★★将来の増設に備えて余裕を残す |
| ★制御盤間の配線 | ★★制御回路のみなら50%まで収められる |
電線を1本ずつ管に通すより、まとめて収めるほうが効率的です——増設もしやすい。
そのかわり、放熱と点検のために余裕が要る——20%という数字の意味です。
金属ダクト工事の他の要件
| 項目 | 基準 |
| ★ダクトの板厚 | ★★1.2mm以上の鉄板等 |
| ★終端部 | ★★閉そくすること |
| ★内部 | ★★じんあいが侵入し難いようにする |
| ★施設場所 | ★★乾燥した展開した場所・点検できる隠蔽場所 |
板厚1.2mm以上は、機械的強度を確保するためです。
乾燥した場所に限られる——ライティングダクトと同じ制限です。
支持点間3mと6m
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 一般=3m以下 | ★★一般=3m以下 | ★垂直かつ立入不可=6m以下 | ★★垂直なら自重が長手方向にかかりたわまない |
| 金属ダクト・バスダクト=3m | ★★金属ダクト・バスダクト=3m | ★ライティングダクト=2m | ★★ダクトの種類で違う |
6mになるには2つの条件が要ります——「取扱者以外が出入りできない場所」かつ「垂直」。
片方だけでは3mのまま——「かつ」で結ばれているのです。
電線の許容電流と電流減少係数
| 同一ダクト内の電線数 | 電流減少係数 |
| ★3本以下 | ★★0.70 |
| ★4本 | ★★0.63 |
| ★5〜6本 | ★★0.56 |
| ★7〜15本 | ★★0.49 |
電線を束ねると放熱が悪くなり、流せる電流が減ります——これが電流減少係数です。
占積率20%の規定は、この放熱の問題への備え——B問題の計算ともつながります。
同じ問題が繰り返し出ている
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★令和4年度下期 問7 | ★★5空欄(本問) | ★★(1) |
| ★令和7年度上期 問9 | ★★同一の5空欄 | ★★(1) |
3年で再出題、選択肢も正解番号も同じ——162条は確実に得点したい条文です。
20・50・電気的・使用・接触——5つを唱えれば解けます。
ダクト工事の4種類を並べる
| 工事 | 用途 | 支持点間 |
| ★金属ダクト | ★★多数の電線をまとめて収める | ★★3m以下(垂直・立入不可で6m以下) |
| ★バスダクト | ★★大電流を導体板で送る | ★★3m以下(同上6m以下) |
| ★ライティングダクト | ★★照明器具を任意の位置に接続 | ★★2m以下 |
| ★フロアダクト | ★★床下から電源を取り出す | ★★— |
「ダクト」と名の付く工事は4種類——用途も数値も違います。
占積率20%の規定があるのは金属ダクトだけ——バスダクトは導体そのものを収めた製品だからです。
金属管工事との比較
| 金属ダクト工事 | 金属管工事 | |
| ★収めるもの | ★★多数の絶縁電線 | ★★少数の絶縁電線 |
| ★占積率 | ★★20%以下 | ★★管の太さで電線本数を決める |
| ★管内・ダクト内の接続 | ★★可(点検できるので) | ★★禁止 |
| ★接地 | ★★300V以下D種・超C種 | ★★同じ |
金属ダクトはふたを開けて点検できます——だから内部での分岐が認められます。
金属管は中が見えないので、管内接続は禁止——構造の違いが規定の違いになるのです。
施設できる場所
| 場所 | 金属ダクト工事 |
| ★乾燥した展開した場所 | ★★可 |
| ★乾燥した点検できる隠蔽場所 | ★★可 |
| ★湿気の多い場所・水気のある場所 | ★★不可 |
| ★点検できない隠蔽場所 | ★★不可 |
点検できることが前提の工事です——だから隠蔽場所は「点検できる」場合に限られます。
乾燥した場所に限る点は、ライティングダクトと同じです。
⏱️ 本番での進め方
① 占積率は20%(制御回路等のみなら50%)。
② ダクト相互は電気的に完全に接続。
③ 接地の判定は使用電圧——300V以下D種・超C種。
④ 緩和は接触防護措置——「簡易接触防護措置」ではない。
💡 覚え方
解釈162条 金属ダクト工事=①電線の断面積の総和はダクト内部断面積の20%以下(電光サイン・出退表示灯・制御回路等のみなら50%以下)②ダクト相互は堅ろうかつ電気的に完全に接続 ③支持点間3m以下(取扱者以外が出入りできない場所で垂直なら6m以下)④使用電圧300V以下はD種、300V超はC種(接触防護措置を施せばD種でも可)。
⚠️ よくある間違い
(ア)(イ)は「32%」「48%」ではなく20%・50%。(ウ)は「機械的」ではなく電気的。(エ)は「対地」ではなく使用電圧。(オ)は「簡易接触」ではなく接触防護措置。
まとめ
| (ア)電線占積率 | 20%以下 |
| (イ)制御回路等のみ | 50%以下 |
| (ウ)ダクト相互 | 電気的に完全接続 |
| (エ)接地判定 | 使用電圧(300V境界) |
| 接地 | 300V以下D種・超C種 |
| (オ)緩和/答え | 接触防護措置でD種/(1) |
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