今回は令和3年度 法規科目 A問題7、特殊場所における施設制限の空欄補充問題です。粉じん・可燃性ガス・火薬類など、ふつうの場所より危険な場所の規定をまとめて確認できます。
2つの条文に分かれます。粉じんの多い場所は絶縁・導電性能の劣化による感電又は火災を防ぐ。爆発危険場所(可燃性ガス・引火性物質の蒸気・粉じん・火薬類・燃えやすい危険物)は、電気設備が点火源にならないように施設する——という役割分担です。
令和3年度 法規科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和3年度 A問題7
次の文章は、「電気設備技術基準」における、特殊場所における施設制限に関する記述である。
a) 粉じんの多い場所に施設する電気設備は、粉じんによる当該電気設備の絶縁性能又は導電性能が劣化することに伴う(ア)又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
b) 次に掲げる場所に施設する電気設備は、通常の使用状態において、当該電気設備が点火源となる爆発又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
① 可燃性のガス又は(イ)が存在し、点火源の存在により爆発するおそれがある場所
② 粉じんが存在し、点火源の存在により爆発するおそれがある場所
③ 火薬類が存在する場所
④ セルロイド、マッチ、石油類その他の燃えやすい危険な物質を(ウ)し、又は貯蔵する場所
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 短絡 腐食性のガス 保存 (2) 短絡 引火性物質の蒸気 保存 (3) 感電 腐食性のガス 製造 (4) 感電 引火性物質の蒸気 保存 (5) 感電 引火性物質の蒸気 製造

答えは(5):感電・引火性物質の蒸気・製造
(ア)は「感電」——電技は感電・火災・損傷という「被害」の語で危険を表します。
(イ)は「引火性物質の蒸気」——「腐食性のガス」は爆発しません。
(ウ)は「製造」——製造と貯蔵がペアです。
★2つの条文の役割分担
| 条文 | 危険の性質 | 防ぐこと |
| ★粉じんの多い場所 | ★★設備の性能が劣化する | ★★感電又は火災 |
| ★爆発危険場所 | ★★設備が点火源になる | ★★爆発又は火災 |
前者は設備がやられる話、後者は設備が引き金になる話です——危険の向きが逆になっています。
だから求められる対策も違います——前者は防じん構造、後者は防爆構造です。
★粉じんが積もるとどうなるか
| 劣化 | 結果 |
| ★絶縁性能の劣化 | ★★漏電して感電・火災につながる |
| ★導電性能の劣化 | ★★接続部の接触抵抗が増えて発熱する |
粉じんは絶縁物の表面に積もり、湿気を吸って導電性を持ちます——そこを電流が流れるのです。
また接続部に入り込めば、接触を妨げて発熱します——2方向から悪さをするのです。
だから「絶縁性能又は導電性能」と2つ並べて書かれています。
★爆発危険場所の4類型
| 号 | 場所 | 例 |
| ★① | ★★可燃性ガス・引火性物質の蒸気がある場所 | ★★ガソリンスタンド・塗装工場 |
| ★② | ★★粉じんが存在する場所 | ★★製粉工場・木工場 |
| ★③ | ★★火薬類が存在する場所 | ★★火薬類製造事業場 |
| ★④ | ★★燃えやすい危険物を製造・貯蔵する場所 | ★★セルロイド工場・危険物倉庫 |
いずれも小さな火花が大事故につながる場所です——だから電気設備が点火源にならないことが求められるのです。
③④は、電気事業法の自家用電気工作物の類型にも出てきます——火薬類製造事業場は電圧に関係なく自家用でした。
粉じんも爆発する
小麦粉や木粉が空気中に舞うと、爆発性の混合気になります——粉じん爆発と呼ばれる現象です。
だから②で粉じんが独立した号として挙げられています——a)の「粉じんの多い場所」とは別の話です。
同じ粉じんでも、性能劣化の観点と爆発の観点がある——条文が分かれている理由です。
防爆構造という考え方
| 構造 | 原理 |
| ★耐圧防爆構造 | ★★内部で爆発しても外に火炎を出さない |
| ★内圧防爆構造 | ★★内部を加圧してガスの侵入を防ぐ |
| ★安全増防爆構造 | ★★火花や高温を生じないよう強化する |
爆発を防ぐ方法はいくつもあります——省令は「点火源とならないように」と結果だけを求めます。
具体的な構造は解釈第176条以下に定められています——省令が枠、解釈が中身です。
「腐食性のガス」がダミーである理由
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 感電 | ★★感電 | ★短絡 | ★★被害の名前で表現する |
| 引火性物質の蒸気 | ★★引火性物質の蒸気 | ★腐食性のガス | ★★腐食性ガスは爆発しない |
| 製造 | ★★製造 | ★保存 | ★★条文の語は製造し、又は貯蔵する |
腐食性ガスは設備を傷める問題で、爆発とは関係ありません——観点がまったく違うのです。
塩素や硫化水素などが腐食性ガスにあたります——別の規定で扱われます。
キャブタイヤケーブルは使えない
可燃性ガスのある場所では、キャブタイヤケーブルは使えません——解釈第176条の規定です。
移動して使う電線は傷みやすく、火花のもとになるからです——金属管工事かケーブル工事(キャブタイヤ以外)を使います。
平成27年度A問題8で問われた論点です。
危険場所の分類
| 区域 | 危険の程度 |
| ★0種場所 | ★★爆発性雰囲気が連続して存在する |
| ★1種場所 | ★★通常の状態で爆発性雰囲気が生じうる |
| ★2種場所 | ★★異常時にだけ爆発性雰囲気が生じうる |
危険の程度に応じて、要求される防爆構造も変わります——0種場所が最も厳しいのです。
省令は「点火源とならないように」とだけ求めます——具体的な区分は別の基準で決められています。
粉じん爆発の怖さ
小麦粉や砂糖でも、粉になって舞えば爆発します——表面積が増えて一気に燃えるからです。
最初の爆発で積もった粉じんが舞い上がり、二次爆発を起こします——被害が連鎖的に広がるのです。
だから粉じんのある場所は、独立した号として挙げられています。
防じん構造と防爆構造
粉じんの多い場所では、粉じんが入らない構造にします——防じん構造です。
爆発危険場所では、火花が外に出ない構造にします——防爆構造です。
守る向きが違うので、構造も違います——条文が分かれている理由がここにも表れています。
特殊場所の規定は、解釈第175条以下で工事方法まで細かく定められています——省令が原則、解釈が具体という関係です。
危険な場所ほど規定が細かくなる——法規に一貫した考え方です。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「感電」——電技は被害の語で危険を表す。
② (イ)は「引火性物質の蒸気」。腐食性ガスは爆発しない。
③ (ウ)は「製造」し、又は貯蔵する——保存はダミー。
④ 粉じんは性能劣化/爆発危険場所は点火源で役割が違う。
出題履歴——特殊場所は解釈でも頻出
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成27年度 問8 | ★★可燃性ガス等の存在する場所(解釈176条) |
| ★令和3年度 問7 | ★★特殊場所における施設制限(本問) |
省令で原則、解釈で工事方法という構成です——両方から出題されます。
危険な場所ほど、規定が細かくなる——法規に一貫した考え方です。
💡 覚え方
粉じんの多い場所=絶縁性能又は導電性能の劣化に伴う感電又は火災を防ぐ。爆発危険場所(①可燃性ガス・引火性物質の蒸気 ②粉じん ③火薬類 ④燃えやすい危険物の製造・貯蔵)=電気設備が点火源とならないように施設。
⚠️ よくある間違い
「短絡」ではなく感電。「腐食性のガス」は爆発しない——引火性物質の蒸気。「保存」ではなく製造し、又は貯蔵する。
まとめ
| (ア) | 感電(又は火災) |
| (イ) | 引火性物質の蒸気 |
| (ウ) | 製造(し、又は貯蔵) |
| 爆発危険場所 | ガス・蒸気/粉じん/火薬類/危険物の製造貯蔵 |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・感電・火災等の防止(電技省令3):【法規】令和7年度下期 A問題8
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