今回は令和2年度 法規科目 A問題8、特殊機器等の施設(遊戯用電車・電気浴器・電気自動車等)に関する空欄補充問題です。それぞれの機器に定められた電圧・出力の数値を条文どおり押さえます。
覚える数字は「遊戯用電車の変圧器1次300V以下・電気浴器の電源10V以下・電気自動車等の出力10kW未満」。特に電気浴器は水中で使うため10V以下と極めて低く抑えられている点がポイントです。
答えは(1):300V・10V・10kW
解釈の第7章(電気使用場所の特殊施設)から3条を寄せ集めた出題——数値を一覧で覚えているかが試されます。
令和2年度 法規科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和2年度 A問題8
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく特殊機器等の施設に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a)遊戯用電車(遊園地の構内等において遊戯用のために施設するものであって、人や物を別の場所へ運送することを主な目的としないものをいう。)に電気を供給するために使用する変圧器は、絶縁変圧器であるとともに、その1次側の使用電圧は(ア)V以下であること。
b)電気浴器の電源は、電気用品安全法の適用を受ける電気浴器用電源装置(内蔵されている電源変圧器の2次側電路の使用電圧が(イ)V以下のものに限る。)であること。
c)電気自動車等(カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)から供給設備(電力変換装置、保護装置等の電気自動車等から電気を供給する際に必要な設備を収めた筐体等をいう。)を介して、一般用電気工作物に電気を供給する場合、当該電気自動車等の出力は、(ウ)kW未満であること。
(ア) (イ) (ウ) (1) 300 10 10 (2) 150 5 10 (3) 300 5 20 (4) 150 10 10 (5) 300 10 20

★特殊施設の数値を一覧にする
| 施設 | 条 | 電圧・出力 |
| ★遊戯用電車 | ★★189条 | ★★変圧器1次300V以下/接触電線は直流60V・交流40V以下 |
| ★電気浴器 | ★★198条 | ★★電源装置2次側10V以下 |
| ★水中照明灯 | ★★187条 | ★★1次300V以下・2次150V以下 |
| ★電気自動車等(V2H) | ★★199条の2 | ★★出力10kW未満/対地電圧は直流450V以下 |
300Vという数字が繰り返し出てきます——絶縁変圧器の1次側の標準的な上限です。
2次側の値だけが施設ごとに違う——危険度に応じて150V・10Vと下がります。
★電気浴器がなぜ10Vなのか
水中では人体抵抗Rが数百Ωまで下がる
それでも感知できる程度の電流が流れる
電気浴器は、人体に電流を流すことが目的の設備です——他の設備とは前提が違います。
だからこそ電圧を極限まで下げる——10Vという値の重みです。
水中照明灯の150Vと比べると15分の1——人体に直接流すかどうかの差です。
★電気浴器の施設要件(解釈198条)
| 項目 | 基準 |
| ★電源装置 | ★★電気用品安全法の適用を受ける電気浴器用電源装置 |
| ★2次側電圧 | ★★10V以下 |
| ★電源装置の外箱 | ★★D種接地工事 |
| ★配線 | ★★直径1.6mm以上の軟銅線と同等以上の絶縁電線等 |
| ★絶縁抵抗 | ★★電極間0.1MΩ以上 |
電気浴器は電気工作物です——「電気工作物から除かれるもの」の設問でも出てきました。
専用の電源装置しか使えない——製品段階で安全を担保する仕組みです。
★10kW未満という条件の意味
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 出力10kW未満 | ★★出力10kW未満 | ★出力10kW以上 | ★★一般用電気工作物として扱える範囲 |
| 一般用電気工作物への供給 | ★★一般用電気工作物への供給 | ★自家用への供給 | ★★199条の2は一般用が対象 |
一般家庭の契約電力は、おおむね数kW〜10kW程度です——それを超える供給は想定していません。
大きすぎる電源をつなげば、一般用電気工作物の枠を超えてしまいます。
令和7年度下期 A問題9がV2Hの施設条件(直流450V以下・非接地・絶縁変圧器)を扱っています。
遊戯用電車の「運送を主な目的としない」
条文は「人や物を別の場所へ運送することを主な目的としないもの」と定義します。
遊園地の豆汽車は、乗ること自体が目的——移動手段ではありません。
もし運送が目的なら、鉄道・軌道の規制がかかります——そちらは電気工作物から除かれる世界です。
遊戯用電車の詳しい基準
| 項目 | 基準 |
| ★変圧器の1次側 | ★★300V以下 |
| ★接触電線の使用電圧 | ★★直流60V以下・交流40V以下 |
| ★接触電線の施設 | ★★人が容易に立ち入らない場所 |
| ★漏えい電流 | ★★軌条の電圧側から大地へ100mAを超えないこと |
子どもが乗るので、電圧そのものが極めて低い——直流60V・交流40V以下。
直流のほうが高い値が認められる——波高値がないぶん危険度が低いからです。
なぜ絶縁変圧器なのか
絶縁変圧器は1次側と2次側を電気的に切り離します——磁気だけでエネルギーを渡すのです。
これがないと、2次側を独立した電路にできません——非接地にも、低電圧化にも意味がなくなるのです。
特殊施設の条文は、ほぼ例外なく絶縁変圧器を要求します。
V2Hが199条の2に置かれた経緯
| 時期 | できごと |
| ★2010年代前半 | ★★電気自動車の普及が始まる |
| ★2011年 東日本大震災 | ★★停電時の非常用電源として注目される |
| ★その後 | ★★解釈199条の2が新設される |
| ★令和7年度下期 | ★★A問題9で出題される |
新しい条文は数年以内に出題される——法規科目の鉄則がここでも当てはまります。
本問(令和2年度)でも既に出力10kW未満が問われていました。
数値の混同を防ぐ
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電気浴器=10V | ★★電気浴器=10V | ★水中照明灯=150V | ★★人体に流すか、水中を照らすか |
| 遊戯用電車=300V(1次側) | ★★遊戯用電車=300V(1次側) | ★接触電線=直流60V・交流40V | ★★1次側と使う側で桁が違う |
| 電気自動車=10kW未満 | ★★電気自動車=10kW未満 | ★対地電圧=直流450V以下 | ★★出力の話と電圧の話 |
選択肢は「5V」「20kW」「150V」といった近い値を並べます——1つずつ根拠を持って覚えます。
「なぜその値か」を知っていれば、迷いません。
⏱️ 本番での進め方
① 遊戯用電車の変圧器1次側は300V以下——150Vではない。
② 電気浴器用電源装置の2次側は10V以下——5Vではない。
③ 電気自動車等の出力は10kW未満——20kWではない。
④ いずれも絶縁変圧器又は専用電源装置が前提。
💡 覚え方
解釈189条=遊戯用電車の変圧器は絶縁変圧器で1次側300V以下、接触電線は直流60V・交流40V以下。198条=電気浴器の電源は電気用品安全法の適用を受ける電気浴器用電源装置で2次側10V以下。199条の2=電気自動車等から一般用電気工作物に供給する場合、その出力は10kW未満。
⚠️ よくある間違い
遊戯用電車は「150V」ではなく300V。電気浴器は「5V」ではなく10V。電気自動車は「20kW」ではなく10kW未満。水中照明灯の2次150Vと電気浴器の10Vを混同しない。
まとめ
| (ア)遊戯用電車 | 絶縁変圧器・1次側300V以下 |
| (イ)電気浴器 | 電源装置2次側10V以下 |
| (ウ)電気自動車等 | 出力10kW未満 |
| 電気浴器の特徴 | 水中使用のため極低圧10V |
| 答え | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・水中照明の施設(電気設備技術基準の解釈32):【法規】令和4年度上期 A問題7
・低圧屋内配線の工事の種類(電気設備技術基準の解釈39):【法規】令和2年度 A問題6

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