今回は令和1年度 法規科目 A問題2、使用前自主検査の空欄補充問題です。工事計画の届出→自主検査→安全管理審査という、事業用電気工作物の運転開始までの流れが問われます。
流れで覚えましょう。受電電圧1万V以上の需要設備は工事計画を届出→工事後、使用開始前に使用前自主検査→その体制について主務大臣の安全管理審査を受ける。数字と主体さえ押さえれば確実に取れます。
令和1年度 法規科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和1年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2
電験3種 法規科目 【電気事業法】 令和1年度 A問題2
次の文章は、「電気事業法」及び「電気事業法施行規則」に基づき、事業用電気工作物を設置する者が行う検査に関しての記述である。
a (ア)以上の需要設備を設置する者は、主務省令で定めるところにより、その使用の開始前に、当該事業用電気工作物について自主検査を行い、その結果を記録し、これを保存しなければならない。(以下、この検査を使用前自主検査という。)
b 使用前自主検査においては、その事業用電気工作物が次の①及び②のいずれにも適合していることを確認しなければならない。
① その工事が電気事業法の規定による(イ)をした工事の計画に従って行われたものであること。
② 電気設備技術基準に適合するものであること。
c 使用前自主検査を行う事業用電気工作物を設置する者は、使用前自主検査に係る体制について、(ウ)が行う審査を受けなければならない。この審査は、事業用電気工作物の(エ)を旨として、使用前自主検査の実施に係る組織、検査の方法、工程管理その他主務省令で定める事項について行う。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 受電電圧1万V 申請 電気主任技術者 安全管理 (2) 容量2 000kW 届出 主務大臣 自己確認 (3) 受電電圧1万V 届出 主務大臣 安全管理 (4) 容量2 000kW 申請 電気主任技術者 自己確認 (5) 容量2 000kW 申請 主務大臣 安全管理

答えは(3):受電電圧1万V・届出・主務大臣・安全管理
(ア)は「受電電圧1万V」——需要設備の基準は容量ではなく電圧です。
(イ)は「届出」——工事計画は届出制で、「申請」という手続名は条文にありません。
(ウ)(エ)は「主務大臣」「安全管理」——審査するのは設備ではなく検査する体制です。
運転開始までの流れを1枚で
| 順 | すること | 誰が | 根拠 |
| ★① | ★★工事計画の届出 | ★★設置者 | ★★法48条 |
| ★② | ★★使用前自主検査 | ★★設置者 | ★★法51条1項 |
| ★③ | ★★安全管理審査 | ★★主務大臣 | ★★法51条3項 |
| ★④ | ★★保安規程の届出・主任技術者の選任 | ★★設置者 | ★★法42条・43条 |
①②④は設置者が自分でやること、③だけが行政の関与です——誰がやるかで整理すると覚えやすくなります。
電気事業法は、まず事業者に自分でやらせる建て付けです——行政は要所だけを見るのです。
★審査の対象は「設備」ではなく「体制」
| 使用前自主検査 | 安全管理審査 | |
| ★見るもの | ★★設備そのもの | ★★検査する体制 |
| ★誰が | ★★設置者 | ★★主務大臣 |
| ★中身 | ★★計画どおりか・技術基準に適合するか | ★★組織・検査の方法・工程管理 |
ここが本問でいちばん誤解されやすいところです——大臣は設備を見に来るのではありません。
「ちゃんと検査できる体制になっているか」を見ます——検査そのものは事業者が自分でやるからです。
体制さえ確かなら、検査結果も信頼できる——この考え方が安全管理審査の根っこにあります。
自主検査で確認する2点
| 確認事項 | 中身 |
| ★① | ★★届出をした工事の計画に従って行われたか |
| ★② | ★★電気設備技術基準に適合するか |
①は「計画どおりか」、②は「基準どおりか」です——約束を守ったかと、安全かの2つを見ます。
計画どおりでも基準を満たさなければ意味がありません——だから2つとも確認させるのです。
記録して保存することも義務
条文は「その結果を記録し、これを保存しなければならない」と定めています——検査するだけでは足りません。
あとから検証できることが、保安の前提です——保安規程の7項目に「記録」が入っているのと同じ発想です。
立入検査で見られるのも、こうした記録です——制度どうしがつながっているのが分かります。
「容量2000kW」というダミー
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 受電電圧1万V | ★★受電電圧1万V | ★容量2000kW | ★★需要設備は電圧で切る |
| 届出 | ★★届出 | ★申請 | ★★工事計画は届出制。申請という手続名はない |
| 主務大臣 | ★★主務大臣 | ★電気主任技術者 | ★★審査するのは行政 |
「2000kW」という数字は、発電設備の区分で似たものが出てきます——だから紛らわしく感じるのです。
しかし需要設備の基準は、一貫して受電電圧です——ここを揺らさなければ落としません。
使用前自己確認との違い
| 使用前自主検査 | 使用前自己確認 | |
| ★対象 | ★★工事計画の届出をした設備 | ★★太陽光500kW以上2000kW未満など |
| ★審査 | ★★安全管理審査がある | ★★届出のみ |
名前が似ていますが、対象も手続も違います——「自主検査」と「自己確認」を混ぜないようにしましょう。
自己確認は、小規模な再生可能エネルギー設備向けの軽い仕組みです——近年の改正で導入されたものです。
なぜ国の検査ではなく自主検査なのか
かつては国が完成検査を行っていました——それが事業者による自主検査へ変わったのです。
設備の数が増え、国がすべてを見て回るのは現実的でなくなりました——だから検査そのものは事業者に任せることにしました。
その代わり、体制を審査して信頼性を担保します——これが安全管理審査の生まれた理由です。
条文の主体と実際の担い手
| 条文上 | 実務 | |
| ★審査の主体 | ★★主務大臣 | ★★登録安全管理審査機関が代行 |
| ★一般用の調査 | ★★電線路維持運用者 | ★★登録調査機関が受託 |
空欄補充では、条文どおり「主務大臣」を選びます——実務の担い手を答えると誤りになります。
条文と運用がずれている箇所は、ほかにもあります——試験では常に条文が正解だと覚えておきましょう。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「受電電圧1万V」——需要設備は電圧で切る。容量は使わない。
② (イ)は「届出」。工事計画に「申請」「許可」はない。
③ (ウ)(エ)は「主務大臣」「安全管理」——審査対象は体制。
④ 届出→自主検査→安全管理審査の流れで覚えると全部つながる。
記録の保存が意味を持つとき
使用前自主検査の記録は、あとから必ず参照されます——立入検査や事故調査のときです。
そのときに記録がなければ、検査したことを証明できません——やっていないのと同じ扱いになります。
「記録し、これを保存する」という一文には、そういう重みがあります。
出題履歴——工事計画とセットで出る
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成19年度 問2 | ★★工事計画の届出対象 |
| ★平成25年度 問2 | ★★工事計画の届出対象 |
| ★令和1年度 問2 | ★★使用前自主検査(本問) |
平成19年度 A問題2と平成25年度 A問題2が、この前段にあたる工事計画の問題です。
3本をつなげて読むと、設備が動き出すまでの手続が一本の線になります——バラバラに覚えるより、流れで覚えるほうが速いのです。
💡 覚え方
運転開始までの流れ=工事計画の届出(法48条/需要設備は受電電圧1万V以上)→工事→使用前自主検査(法51条・使用開始前、結果を記録し保存)→安全管理審査(主務大臣、安全管理を旨として体制を審査)。自主検査の確認事項は①届出計画どおり ②技術基準適合の2点。
⚠️ よくある間違い
需要設備の基準を「容量2000kW」としない——受電電圧1万V以上。工事計画は「申請」でなく届出。審査するのは電気主任技術者ではなく主務大臣、審査対象は設備ではなく検査体制。
まとめ
| (ア) | 受電電圧1万V(以上の需要設備) |
| (イ) | 届出(工事計画・法48条) |
| (ウ) | 主務大臣 |
| (エ) | 安全管理(安全管理審査) |
| 確認事項 | ①届出計画どおり ②技術基準適合 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・工事計画の事前届出(電気事業法25):【法規】平成25年度 A問題2
・工事計画の事前届出(電気事業法39):【法規】平成19年度 A問題2

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