今回は平成28年度 法規科目 B問題13、中性点非接地方式の1線地絡電流の式と零相変流器(ZCT)で検出される電流を求める問題です。実はこの問題、令和5年度下期 B問題11とまったく同一——数値まで完全に同じ再出題です。
押さえる式はIg=3ωCE=2√3πfV(C₁+C₂)。構外事故(もらい事故)でZCTが検出するのは需要設備側C₂に流れる分=Ig×C₂/(C₁+C₂)=2√3πfV·C₂です。
平成28年度 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成28年度 B問題13
図は、線間電圧V[V]、周波数f[Hz]の中性点非接地方式の三相3線式高圧配電線路及びある需要設備の高圧地絡保護システムを簡易に示した単線図である。次の(a)及び(b)に答えよ。
(図は上の画像を参照してください。本問は令和5年度下期 B問題11と同一問題。(b)はV=6600V、f=60Hz、C₁=2.3μF、C₂=0.02μF。)
図は、線間電圧V[V]、周波数f[Hz]の中性点非接地方式の三相3線式高圧配電線路及びある需要設備の高圧地絡保護システムを簡易に示した単線図である。高圧配電線路一相の全対地静電容量をC₁[F]、需要設備一相の全対地静電容量をC₂[F]とするとき、次の(a)及び(b)に答えよ。ただし、図示されていない負荷、線路定数及び配電用変電所の制限抵抗は無視するものとする。
(a) 図の配電線路において、遮断器が「入」の状態で地絡事故点に一線完全地絡事故が発生し地絡電流Ig[A]が流れた。このときIgの大きさを表す式として、正しいものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。ただし、間欠アークによる影響等は無視するものとし、この地絡事故によって遮断器は遮断しないものとする。
(1) (2/√3)Vπf√(C₁²+C₂²) (2) 2√3Vπf√(C₁²+C₂²) (3) (2/√3)Vπf(C₁+C₂) (4) 2√3Vπf(C₁+C₂) (5) 2√3Vπf√(C₁C₂)
(b) 小問(a)の地絡電流Igは高圧配電線路側と需要設備側に分流し、需要設備側に分流した電流は零相変流器を通過して検出される。地絡電流IgがC₁とC₂の比によって分流するものとしたとき、Igのうち需要設備の零相変流器で検出される電流の値[mA]として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。ただし、V=6600V、f=60Hz、C₁=2.3μF、C₂=0.02μFとする。
(1)54 (2)86 (3)124 (4)152 (5)256 mA



答えは(a)(4)・(b)86mA
平成23年度 B問題13が同系統です。そちらは数値計算と保護協調の論述でした。
この記事は、式の形と分流の意味を主軸にします。
この問題は令和5年度下期B問題11に、数値まで同一で再出題されました。
★★2つの表現が同じであることを確かめる
C:一相の全対地静電容量、E:相電圧
(a)の答え
3/√3=√3という変形がポイントです——これで2√3πfVの形になる。
3ωCEを覚えていれば、その場で導けます——暗記に頼らない。
Eが相電圧、Vが線間電圧——√3の関係です。
★★誤答の選択肢を見分ける
| 選択肢 | 形 | なぜ誤りか |
| ★(1) | ★★(2/√3)Vπf√(C₁²+C₂²) | ★★係数も√の中も誤り |
| ★(2) | ★★2√3Vπf√(C₁²+C₂²) | ★★★静電容量は単純に足す(並列) |
| ★(3) | ★★(2/√3)Vπf(C₁+C₂) | ★★係数が誤り |
| ★(4) | ★★2√3Vπf(C₁+C₂) | ★★正しい |
| ★(5) | ★★2√3Vπf√(C₁C₂) | ★★積は意味がない |
C₁とC₂は並列なので単純に足します——√(C₁²+C₂²)は誤り。
並列コンデンサの合成容量はC₁+C₂——理論科目の基本です。
係数は2√3か2/√3か——導出すればわかります。
★★(b)分流するとC₁が消える
★アドミタンスの比
C₂だけで決まる
ZCTが検出する電流は、自分の構内の静電容量C₂だけで決まります——非常にすっきりした結果。
配電線側のC₁がいくら大きくても関係ない——約分で消えるからです。
これが「もらい事故」の大きさを決める式になります。
★数値を代入する
(b)の答え
C₁=2.3μFは使いません——約分で消えたから。
与えられた数値を全部使う必要はない——撹乱情報です。
86mAという値は、GRの整定値0.2Aより小さい——誤動作しないのです。
★★もらい事故が起きる条件
無方向性GRが誤動作する
構内の高圧ケーブルが長いほどC₂が大きくなります——誤動作しやすい。
本問の0.02μFは小さいので、86mAで整定値0.2A未満——無方向性でも問題ないのです。
C₂が0.05μF程度になると200mAを超え、DGRが必要になります。
★DGRなら方向で判別できる
| 構内事故 | 構外事故(もらい) | |
| ★ZCTの電流 | ★★大きい(系統全体のC) | ★★小さい(自分のC₂だけ) |
| ★電流の向き | ★★構内→系統 | ★★系統→構内 |
| ★DGRの動作 | ★★動作する | ★★動作しない |
大きさだけでなく向きも違います——だから方向判別で区別できる。
零相電圧を基準にすれば向きがわかります——ZPDが必要な理由です。
なぜ静電容量の比で分流するのか
★静電容量に比例
だから静電容量の比
並列回路では、アドミタンスが大きいほうに多く流れます。
コンデンサのアドミタンスは静電容量に比例——だから容量の比になります。
インピーダンスの逆比と言っても同じことです。
⏱️ 本番での進め方
① I_g=3ωCE=2√3πfV(C₁+C₂)——同じもの。
② 静電容量は並列なので単純に足す。
③ ZCTの検出電流は2√3πfVC₂——C₁が消える。
④ C₂が大きいほどもらい事故で誤動作しやすい。
💡 覚え方
非接地方式の1線地絡電流=I_g=3ωCE=2√3πfV(C₁+C₂)(E=V/√3、3/√3=√3で変形)。構外事故では地絡電流が静電容量の比で分流し、需要設備側のZCTが検出する電流は I=2√3πfV·C₂ となりC₁は消える。C₂が大きい(構内ケーブルが長い)ほど、もらい事故で誤動作しやすい。
⚠️ よくある間違い
静電容量を√(C₁²+C₂²)としない——並列なので単純に足す。ZCTの検出電流にC₁は関係しない——約分で消える。
まとめ
| (a)式 | Ig=2√3πfV(C₁+C₂) →(4) |
| (b)検出 | Ig×C₂/(C₁+C₂)=2√3πfV·C₂ |
| 代入 | 2√3×π×60×6600×0.02e-6 |
| (b)値 | ≒0.0862A=86mA →(2) |
| 同一問題 | R05下問11 |
| もらい事故対策 | 地絡方向継電器(DGR) |
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