今回は平成27年度 法規科目 B問題11、支線に要求される引張強さと延長した電線の弛度(たるみ)を求める問題です。支線計算と弛度公式の両方を使う総合問題です。
使う式は2つ。支線張力=電線水平張力×(支線長/水平距離)(取付高さが同じ場合)、弛度D=WS²/(8T)(W:合成荷重、S:径間、T:許容張力)。それぞれ安全率を掛けて求めます。
平成27年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成27年度 B問題11
図のように既設の高圧架空電線路から、電線に硬銅より線を使用した電線路を高低差なく径間40m延長する。新設支持物を引留支持物とするため支線を延長方向10mの地点に設ける。電線と支線の取付け高さはともに10m。次の(a)及び(b)に答えよ。
(図は上の画像を参照してください。)
図のように既設の高圧架空電線路から、電線に硬銅より線を使用した電線路を高低差なく径間40m延長する。新設支持物を引留支持物とするため支線を電線路の延長方向10mの地点に設ける。電線と支線の取付け高さはともに10mであるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 電線の水平張力を13kNとして、その張力を支線で全て支えるものとする。支線の安全率を1.5としたとき、支線に要求される引張強さの最小の値[kN]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)6.5 (2)10.7 (3)19.5 (4)27.6 (5)40.5 kN
(b) 電線の引張強さを28.6kN、電線の重量と風圧荷重との合成荷重を18N/mとし、高圧架空電線の引張強さに対する安全率を2.2としたとき、この延長した電線の弛度(たるみ)の値[m]は、いくら以上としなければならないか。最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.14 (2)0.28 (3)0.49 (4)0.94 (5)1.97 m



答えは(a)27.6kN・(b)0.28m
令和3年度 B問題11が支線の基本形です。本問は弛度も加わる総合問題。
★★(a)支線の引張強さ
45度の直角二等辺三角形
(a)の答え
高さ10m・水平10mなので45度——支線長は√2倍の14.14m。
13kNの水平力を支えるのに18.4kNの張力が必要——√2倍です。
安全率は「掛ける」——必要な強さを求めるからです。
★★(b)弛度は「いくら以上」
こちらは「割る」
W=18N/m、S=40m
(b)の答え
張力を13kN以下にするには、弛度を0.28m以上にする必要があります——だから「以上」。
弛度と張力は反比例——たるませるほど張力が下がるのです。
問題文の「いくら以上としなければならないか」に対応しています。
★★安全率の向きが逆に見える理由
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 支線(掛ける) | ★★支線(掛ける) | ★電線(割る) | ★★張力から必要な強さを求める/強さから許容張力を求める |
| T_要求=T_s×安全率 | ★★T_要求=T_s×安全率 | ★T=引張強さ÷安全率 | ★★求めるものが違う |
安全率の定義は「引張強さ÷実際の張力」で共通です。
支線は「この張力に耐える素線を選ぶ」ので掛ける——強さを求める。
電線は「この強さの電線をどこまで張れるか」なので割る——張力を求める。
定義に立ち返れば混乱しません。
★1問で2つの安全率
| 対象 | 安全率 | 使い方 |
| ★支線 | ★★1.5 | ★★支線張力×1.5=必要な強さ |
| ★電線(硬銅より線) | ★★2.2 | ★★引張強さ÷2.2=許容張力 |
1つの問題に2つの安全率が出てきます——混同しやすい。
硬銅より線の2.2は解釈66条の値——問題文でも与えられます。
どちらの対象の話かを確認してから使うのです。
★45度の支線は効率がよいか
| 水平距離 | 支線長 | 必要な張力(13kNを支える) |
| ★5m | ★★11.2m | ★★29.1kN |
| ★10m(本問) | ★★14.14m | ★★18.4kN |
| ★15m | ★★18.0m | ★★15.6kN |
水平距離が長いほど必要な張力は小さくなります——効率がよい。
ただし用地が必要——現場では制約があります。
45度は用地と効率のバランスがとれた角度です。
弛度が小さいことの意味
本問の弛度0.28mは径間40mに対して非常に小さい値です——0.7%。
径間が短いので、あまりたるまなくても張力が過大にならないのです。
D=WS²/(8T)で、Sが小さければDも小さい——2乗で効く。
引留支持物に支線が要る理由
電線路の末端では、片側にしか電線がありません——張力が釣り合わない。
だから支線で反対向きに支える必要があります——本問の場面。
直線部分の途中なら両側の張力が釣り合うので不要です。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 安全率 |
| ★① | ★★取付高さが同じか確認 | ★★— |
| ★② | ★★支線長を三平方で求める | ★★— |
| ★③ | ★★支線張力=水平力×(支線長/水平距離) | ★★— |
| ★④ | ★★×安全率=必要な引張強さ | ★★★掛ける |
| ★⑤ | ★★電線の許容張力=引張強さ÷安全率 | ★★★割る |
| ★⑥ | ★★D=WS²/(8T) | ★★— |
④と⑤で安全率の使い方が逆になる——ここが本問の急所です。
解釈66条の安全率
| 電線の種類 | 安全率 |
| ★硬銅線・耐熱銅合金線 | ★★2.2以上 |
| ★その他(ACSR等) | ★★2.5以上 |
本問は硬銅より線なので2.2——問題文でも与えられています。
硬銅線のほうが小さいのは、材料特性が安定しているからです。
支線の安全率2.5(解釈61条)とは別の数値——混同しないことです。
弛度を確保する意味
| 観点 | 内容 |
| ★張力の抑制 | ★★たるませるほど張力が下がり断線を防げる |
| ★温度変化への余裕 | ★★冬に縮んでも張力が過大にならない |
| ★風による振動 | ★★適度な弛度は振動を吸収する |
ぴんと張るほうがよさそうに見えますが、逆に危険です——張力が過大になる。
だから「弛度は◯m以上」という下限が定まるのです。
ただし大きすぎると地表上の高さが不足します——上限も存在するのです。
⏱️ 本番での進め方
① 取付高さが同じなら水平分力=電線の水平張力。
② 支線は安全率を掛ける(必要な強さを求める)。
③ 電線は安全率で割る(許容張力を求める)。
④ 弛度は「いくら以上」——たるませて張力を下げる。
💡 覚え方
支線と弛度の総合問題=①取付高さが同じなら支線の水平分力=電線の水平張力 ②支線張力=水平力×(支線長/水平距離) ③要求される引張強さ=支線張力×安全率(掛ける)④電線の許容引張荷重=引張強さ÷安全率(割る)⑤弛度D=WS²/(8T)——張力を許容値以下にするため「いくら以上」となる。
⚠️ よくある間違い
支線は掛ける、電線は割る——安全率の使い方が逆。弛度は「以上」——たるませるほど張力が下がるから。
まとめ
| 支線長 | √(10²+10²)=√200≒14.14 m |
| 支線張力 | 13×14.14/10≒18.4 kN |
| (a)要求引張強さ | 1.5×18.4≒27.6 kN →(4) |
| 許容張力T | 28.6e3/2.2=13000 N |
| 弛度D | 18×40²/(8×13000)≒0.277 m |
| (b) | 0.28 m以上 →(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
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