今回は平成27年度 法規科目 B問題12、低圧屋内配線の許容電流補正を扱う計算問題です。周囲温度による補正係数k1と、金属管内の電線数による電流減少係数k2の使い方を問う実務直結の問題です。
ポイントは「同一管内の電線数を正しく数える」こと。中性線・接地線・制御線は算入せず、電圧が平衡した単相3線式の中性線も算入しません。要求される電線の許容電流は定格電流÷(k1×k2)です。
平成27年度 法規科目 B問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題12
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成27年度 B問題12
周囲温度25℃の場所で、単相3線式(100/200V)定格電流30Aの負荷に供給する低圧屋内配線Aと、単相2線式(200V)定格電流30Aの負荷に供給する低圧屋内配線Bを、金属管工事により同一管内に収めて施設する。配線Aの電圧相の電流は平衡。k1=√((60−θ)/30)(30℃以下はθ=30)、k2は電線数による。次の(a)及び(b)に答えよ。
周囲温度が25℃の場所で、単相3線式(100/200V)定格電流30Aの負荷に電気を供給する低圧屋内配線Aと、単相2線式(200V)定格電流30Aの負荷に電気を供給する低圧屋内配線Bがある。二つの低圧屋内配線は金属管工事により絶縁電線を同一管内に収めて施設され、同配管内に接地線は含まない。負荷は力率100%で、配線Aの電圧相の電流値は平衡している。絶縁体は耐熱性を有しないビニル混合物。周囲温度による許容電流補正係数k1=√((60−θ)/30)(θは周囲温度、30℃以下ならθ=30)、電流減少係数k2は電線数(3以下0.70/4は0.63/5又は6は0.56)による。中性線・接地線・制御回路用電線は算入しない。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 周囲温度による許容電流補正係数k1の値と、金属管に収めて使用する場合の電流減少係数k2の値の組合せとして、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
k1 k2 (1) 1.00 0.56 (2) 1.00 0.63 (3) 1.08 0.56 (4) 1.08 0.63 (5) 1.08 0.70 (b) 低圧屋内配線Aに用いる絶縁電線に要求される許容電流I_Aと、低圧屋内配線Bに用いる絶縁電線に要求される許容電流I_Bのそれぞれの最小値[A]の組合せとして、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
I_A I_B (1) 22.0 44.1 (2) 23.8 47.6 (3) 47.6 47.6 (4) 24.8 49.6 (5) 49.6 49.6

答えは(a)k₁=1.00・k₂=0.63・(b)I_A=47.6A・I_B=47.6A
実務直結の計算問題です——電線の太さを決める根拠。
★★(a)k₁は周囲温度25℃でも1.00
問題文の但し書き
25℃をそのまま代入すると√(35/30)≒1.08となり誤りです——選択肢(3)(4)(5)。
但し書きを読み落とすと確実に外します——問題文を最後まで読む。
30℃以下では補正しない(1.00)という規定——安全側の扱いです。
★★同一管内の電線数を数える
| 配線 | 方式 | 算入する電線 |
| ★配線A | ★★単相3線式100/200V | ★★★電圧相2本のみ(中性線は算入しない) |
| ★配線B | ★★単相2線式200V | ★★2本 |
| ★合計 | ★★— | ★★4本 → k₂=0.63 |
単相3線式の中性線は、電圧相が平衡していれば電流が流れません——だから算入しないのです。
問題文の「配線Aの電圧相の電流値は平衡している」がその条件です。
実際の電線は5本ですが、数えるのは4本——ここが最大の急所です。
★なぜ中性線を算入しないのか
両側の負荷電流の差
発熱しないので算入しない
電流減少係数は「発熱する電線の数」で決まります——束ねると熱がこもるから。
電流が流れない中性線は発熱しません——だから数に入れないのです。
接地線・制御回路用電線も同じ理由で算入しません。
★★(b)必要な許容電流を求める
掛けるのではない
(b)の答え
補正係数は1以下なので、割れば大きくなります——必要な許容電流は定格電流より大きい。
掛けると30×0.63=18.9Aとなり、明らかに小さすぎます——向きの検算ができます。
A・Bとも定格電流30Aなので、答えも同じ47.6Aです。
★なぜ束ねると許容電流が減るのか
| 電線数 | k₂ | 理由 |
| ★3以下 | ★★0.70 | ★★放熱しやすい |
| ★4 | ★★0.63 | ★★熱がこもり始める |
| ★5又は6 | ★★0.56 | ★★さらに放熱しにくい |
管の中に電線が多いほど、熱が逃げにくくなります——お互いに温め合う。
絶縁体の許容温度(ビニルは60℃)を超えないよう、電流を制限します。
だから電線数が多いほど係数が小さいのです。
★k₁の式の意味
★温度差が小さくなるから
60℃はビニル混合物の最高許容温度です——これを超えると絶縁が劣化。
周囲が暑いほど、許される温度上昇が小さくなります——だから電流を減らすのです。
耐熱性のあるものなら、この式は使いません——問題文で確認します。
解釈146条の位置づけ
低圧配線に使用する電線の種類と太さを定めた条文です。
許容電流の表と、この補正係数がセットになっています。
実務では、この計算をしてから電線の太さを表から選びます。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★周囲温度が30℃以下なら30として計算 | ★★★但し書きを読む |
| ★② | ★★同一管内の電線数を数える | ★★★中性線・接地線は算入しない |
| ★③ | ★★表からk₂を選ぶ | ★★— |
| ★④ | ★★定格電流÷(k₁×k₂) | ★★掛けずに割る |
①と②が2大落とし穴です——どちらも問題文の但し書きに書かれています。
実際に選ぶ電線の太さ
| 公称断面積 | 許容電流(600Vビニル絶縁電線) |
| ★5.5mm² | ★★49A |
| ★8mm² | ★★61A |
| ★14mm² | ★★88A |
本問で必要な47.6Aに対しては、5.5mm²(49A)で足ります——直近上位を選ぶ。
補正がなければ30Aなので、もっと細い電線で済みました——補正の影響は大きいのです。
同一管に多くの電線を通すほど、太い電線が必要になる——設計上のトレードオフです。
金属管工事の他の規定
| 項目 | 基準 |
| ★電線 | ★★絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く) |
| ★より線 | ★★直径3.2mm超は より線 を使用 |
| ★接続点 | ★★管内に電線の接続点を設けない |
| ★接地 | ★★使用電圧に応じてC種又はD種接地工事 |
管内に接続点を設けないのは、点検も修理もできないからです。
解釈159条に規定されています——条文と計算がつながるのです。
⏱️ 本番での進め方
① 周囲温度30℃以下ならθ=30として k₁=1.00。
② 中性線・接地線・制御線は電線数に算入しない。
③ 本問は4本なのでk₂=0.63。
④ 必要な許容電流=定格電流÷(k₁×k₂)——割る。
💡 覚え方
低圧屋内配線の許容電流補正=①周囲温度による補正係数k₁=√((60−θ)/30)(30℃以下ならθ=30としてk₁=1.00)②電流減少係数k₂は同一管内の電線数で決まる(3以下0.70/4は0.63/5・6は0.56)。★平衡した単相3線式の中性線・接地線・制御回路用電線は算入しない。必要な許容電流=定格電流÷(k₁×k₂)。
⚠️ よくある間違い
周囲温度25℃をそのまま代入しない——30℃以下は30として計算するのでk₁=1.00。中性線を電線数に算入しない——本問は4本。補正係数は掛けずに割る。
まとめ
| k1 | 30℃以下→θ=30、√((60−30)/30)=1.00 |
| 電線数 | A2本(中性線外)+B2本=4本 |
| k2 | 4本 → 0.63 |
| (a) | k1=1.00・k2=0.63 →(2) |
| I_A | 30/(1.00×0.63)≒47.6 A |
| (b) | I_A=I_B≒47.6A →(3) |
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