電気施設管理-計算29【電験3種 法規】V結線は√3倍・力率改善で容量いっぱい!13.4kV·A・144kW=(a)(4)(b)(2) 平成27年度 B問題13 完全解説

電験3種 法規科目 電気施設管理 平成27年度 B問題13 V結線の容量いっぱいまで!144kWまで使える

今回は平成27年度 法規科目 B問題13単相変圧器3台のバンクについて、1台故障時のV結線の過負荷と、力率改善後にとれる最大負荷を求める問題です。V結線と力率改善の知識を組み合わせます。

覚える2つの数字。V結線の出力容量=√3×変圧器1台容量(Δ結線の√3/3=約58%)。力率改善後は、バンクの皮相電力いっぱいまで有効電力を取れる(P=S×改善後力率)

目次

平成27年度 法規科目 B問題13:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成27年度 B問題13 問題文
平成27年度 法規科目 B問題13 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13

電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成27年度 B問題13

 定格容量50kV·Aの単相変圧器3台をΔ-Δ結線にし一つのバンクとして、三相平衡負荷(遅れ力率0.90)に電力を供給する。次の(a)及び(b)に答えよ。

(図1・図2は上の画像を参照してください。)

(a) 図1のように消費電力90kW(遅れ力率0.90)の三相平衡負荷を接続し使用していたところ、3台の単相変圧器のうち1台が故障した。負荷はそのままで、残りの2台をV-V結線として使用するとき、このバンクはその定格容量より何[kV·A]過負荷となっているか。最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。

(1)0 (2)3.4 (3)10.0 (4)13.4 (5)18.4 kV·A

(b) 上記(a)において、故障した変圧器を同等のものと交換して50kV·Aの単相変圧器3台をΔ-Δ結線で復旧した後、力率改善のために進相コンデンサを接続し、バンクの定格容量を超えない範囲で最大限まで三相平衡負荷(遅れ力率0.90)を増加し使用したところ、力率が0.96(遅れ)となった。このときに接続されている三相平衡負荷の消費電力の値[kW]として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。

(1)135 (2)144 (3)150 (4)156 (5)167 kW

図1 1台故障時のV結線
図1 1台故障時のV結線
図2 復旧後の力率改善
図2 復旧後の力率改善
図1 1台故障時のV結線
図1 1台故障時のV結線
図2 復旧後の力率改善
図2 復旧後の力率改善
答え(a)100−86.6≒13.4kV·A = (4)/(b)150×0.96=144kW = (2)

答えは(a)13.4kV·A・(b)144kW

V結線の出力容量と力率改善後の最大負荷

V結線の出力容量 = √3 × 変圧器1台の容量——Δ結線(3台)の√3/3 ≒ 58%。/★利用率 = √3/2 ≒ 86.6%(2台の合計に対する割合)/★力率改善後は、バンクの皮相電力いっぱいまで有効電力を取れる——P = S × 改善後の力率

★√3倍と58%——2つの数字を混同しないこと。

V結線と力率改善を組み合わせた総合問題です。

★★(a)V結線の出力容量

$$S_{\text{負荷}} = \dfrac{90}{0.90} = 100\,\mathrm{[kV\cdot A]}$$
負荷の皮相電力(90kW・力率0.90)
$$S_V = \sqrt{3} \times 50 \approx 86.6\,\mathrm{[kV\cdot A]}$$
★V結線の出力容量
変圧器1台50kV·A
$$\Delta S = 100 – 86.6 = 13.4\,\mathrm{[kV\cdot A]}$$
過負荷の量
(a)の答え

V結線は変圧器2台ですが、容量は2台分にはなりません——√3倍=約1.73倍

2台合計100kV·Aのうち、86.6kV·Aしか使えない——利用率86.6%です。

Δ結線3台の150kV·Aと比べれば約58%——2つの数字を区別します。

★★なぜ√3倍なのか

$$S_V = \sqrt{3} V I$$
三相の皮相電力
V:線間電圧、I:線電流
$$I_{\text{変圧器}} = I \quad (\text{V結線では線電流=変圧器電流})$$
★V結線では相電流と線電流が等しい
Δ結線とは違う
$$S_V = \sqrt{3} \times (V I) = \sqrt{3} \times S_{1\text{台}}$$
変圧器1台の容量の√3倍

Δ結線では変圧器の電流が線電流の1/√3です——だから3台で3倍

V結線では変圧器の電流がそのまま線電流——だから2台でも√3倍にしかならない

結線方式で電流の流れ方が変わるのが理由です。

★2つの割合を区別する

割合何に対する比か
★利用率★★√3/2 ≒ 86.6%★★V結線の2台の合計容量に対して
★出力比★★√3/3 ≒ 57.7%★★Δ結線3台の容量に対して

「利用率」は2台に対する割合——86.6%

「Δ結線と比べた出力」は3台に対する割合——57.7%です。

問題文がどちらを問うているか確認します。

★V結線を使う場面

場面理由
★1台故障時の応急運転★★残り2台で供給を継続できる(本問)
★将来の増設を見込む★★2台で始めて後から1台追加できる
★単相負荷が多い★★異容量V結線で三相と単相を同時に供給

Δ結線の利点は、1台故障してもV結線で運転を続けられることです——本問の場面

ただし容量が58%に落ちるので、過負荷になりうる——それが(a)の13.4kV·A

負荷を減らすか、早期に復旧する必要があります

★★(b)力率改善後の最大負荷

$$S_{\text{バンク}} = 3 \times 50 = 150\,\mathrm{[kV\cdot A]}$$
Δ-Δ結線に復旧したバンクの容量
$$P = S \times \cos\theta = 150 \times 0.96 = 144\,\mathrm{[kW]}$$
★皮相電力いっぱいまで使ったときの有効電力
(b)の答え

変圧器の制約は皮相電力[kV·A]です——150kV·Aが上限

力率が改善されれば、同じ皮相電力でより多くの有効電力を取れる——これが力率改善の効果

力率0.90なら135kW、0.96なら144kW——9kW増やせるのです。

★力率改善で「容量が増える」

力率取れる有効電力(150kV·A)
★0.80★★120kW
★0.90★★135kW
★0.96(本問)★★144kW
★1.00★★150kW

力率が1に近づくほど、設備の能力を活かせます——無効電力が減るから

設備を増やさずに供給能力を増やせる——力率改善の大きな価値です。

問題文の「バンクの定格容量を超えない範囲で最大限」がこの条件を表しています。

★進相コンデンサの容量も求められる

$$Q_{\text{改善後}} = P \tan\theta_2 = 144 \times \dfrac{\sqrt{1-0.96^2}}{0.96} \approx 42\,\mathrm{[kvar]}$$
改善後の無効電力
sinθ=0.28
$$Q_{\text{改善前}} = 144 \times \dfrac{\sqrt{1-0.90^2}}{0.90} \approx 69.7\,\mathrm{[kvar]}$$
同じ144kWを力率0.90で使う場合
$$Q_C \approx 69.7 – 42 \approx 28\,\mathrm{[kvar]}$$
必要なコンデンサ容量
参考

本問では問われていませんが、同じ考え方で求まります

28kvar程度のコンデンサで、9kW分の余裕が生まれる——費用対効果が高いのです。

Δ-Δ結線の特徴

項目内容
★第3調波★★Δ内を環流して外部に出ない
★1台故障時★★V結線で運転を継続できる
★中性点★★取り出せない(接地できない)

第3調波が環流するのがΔ結線の利点です——高圧側に出さない

V結線に移行できるのも大きな利点——信頼性が高い

ただし中性点が取り出せないので、一端子接地になります

V結線での運転を続ける判断

本問では13.4kV·Aの過負荷になっています——そのままでは変圧器が過熱します。

短時間なら耐えられますが、負荷を減らすか早期に復旧するのが原則です。

不要不急の負荷を止めて100kV·A以下に抑える——電気主任技術者の判断になります。

⏱️ 本番での進め方
① V結線の容量=√3×1台の容量(2台の86.6%)。
② Δ結線3台と比べると約58%——2つの割合を区別する。
③ 力率改善後はP=S×改善後の力率
④ 力率が良いほど同じ設備で多くの有効電力を取れる。

💡 覚え方
V結線=出力容量は√3×変圧器1台の容量(2台の合計の86.6%、Δ結線3台の約58%)。1台故障時にV結線で運転を継続できるのがΔ結線の利点。力率改善後にバンクの容量いっぱいまで取れる有効電力はP=バンク容量×改善後の力率。

⚠️ よくある間違い
V結線の容量は2台分(100kV·A)ではない——√3×50=86.6kV·A。利用率86.6%とΔ比58%を混同しない

まとめ

(a)負荷皮相90/0.90=100 kV·A
V結線容量√3×50≒86.6 kV·A
(a)過負荷100−86.6≒13.4 kV·A →(4)
復旧バンク容量3×50=150 kV·A
(b)消費電力150×0.96=144 kW →(2)
ポイントV結線√3倍・力率改善でP増

▼あわせて解きたい関連問題
・直列リアクトル付コンデンサ(電気施設管理-計算8):【法規】令和6年度上期 B問題12
・力率改善と電圧降下(電気施設管理-計算7):【法規】令和6年度上期 B問題11

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