電気事業法27【電験3種 法規】立入検査は「法の施行」に必要な限度!犯罪捜査のためではない 平成24年度 A問題2 完全解説

電験3種 法規科目 電気事業法 平成24年度 A問題2 立入検査は犯罪捜査のためではない!目的を確認

今回は平成24年度 法規科目 A問題2立入検査の空欄補充問題です。行政法の共通ルールが電気事業法にもそのまま入っている、覚えやすい条文です。

立入検査の3点セットは①法の施行に必要な限度で行う ②職員は身分を示す証明書を携帯し請求があれば提示 ③権限は犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。この3つはほぼどの業法にも共通して置かれています。

目次

答えは(4):電気事業法の施行・身分・犯罪捜査

電気事業法 第107条(立入検査)

経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、経済産業省の職員に、電気事業者の事業所その他の事業場に立ち入り、業務の状況、電気工作物、書類その他の物件を検査させることができる。/立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。/立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

この3点セットは、ほとんどの業法に共通して置かれています。

(ア)は「電気事業法の施行」——緊急時に限った規定ではありません

(イ)は「身分」——身分を示す証明書を携帯し、請求があったときに提示します。

(ウ)は「犯罪捜査」——行政調査と刑事捜査を切り分ける規定です。

平成24年度 法規科目 A問題2:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成24年度 A問題2 問題文
平成24年度 法規科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2

電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成24年度 A問題2

 次の文章は、「電気事業法」に基づく、立入検査に関する記述の一部である。

 経済産業大臣は、(ア)に必要な限度において、経済産業省の職員に、電気事業者の事業所、その他事業場に立ち入り、業務の状況、電気工作物、書類その他の物件を検査させることができる。また、自家用電気工作物を設置する者の工場、事務所その他の事業場に立ち入り、電気工作物、書類その他の物件を検査させることができる。

 立入検査をする職員は、その(イ)を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

 立入検査の権限は、(ウ)のために認められたものと解釈してはならない。

 上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)電気事業法の施行理由行政処分
(2)緊急時身分犯罪捜査
(3)緊急時理由行政処分
(4)電気事業法の施行身分犯罪捜査
(5)緊急時身分行政処分
答え(ア)電気事業法の施行・(イ)身分・(ウ)犯罪捜査 = (4)

立入検査の3点セット

内容意味
★①★★法の施行に必要な限度で行う★★やりすぎてはいけないという歯止め
★②★★身分証を携帯し、請求があれば提示★★相手が本物か確かめられるようにする
★③★★犯罪捜査のために認められたものではない★★行政調査と刑事捜査の峻別

この3つは電気事業法に限らず、多くの業法で同じ形をしています——一度覚えれば、他の法令でも使える知識です。

だから「見たことがある形だ」と気づけば、すぐに答えが出ます

なぜ「犯罪捜査のためではない」と書くのか

刑事捜査で家宅捜索をするには、裁判官の令状が要ります——憲法第35条が定める令状主義です。

いっぽう行政の立入検査には、令状は要りません——目的が処罰ではなく、法律を守らせることだからです。

もし立入検査を捜査に流用できてしまうと、令状主義が骨抜きになります——だからわざわざ条文で釘を刺しているのです。

条文の言葉ダミー語違い
電気事業法の施行★★電気事業法の施行★緊急時★★日常的な保安監督として行える
身分★★身分★理由★★示すのは職員が本物であること
犯罪捜査★★犯罪捜査★行政処分★★行政調査と刑事捜査を分ける規定

報告徴収(法106条)とセットで覚える

報告徴収(法106条)立入検査(法107条)
★何をする★★報告又は資料の提出を求める★★現場に立ち入って検査する
★負担★★軽い(書類で済む)★★重い(人が出向く)
★順番★★まずこちら★★必要なら

まず書類で確かめ、それで足りなければ現場を見る——負担の軽いほうから使うという順番です。

2つの条文は並んで置かれています——106条と107条はセットで出題されると思っておきましょう。

検査の対象は事業者だけではない

条文は、電気事業者の事業場に加えて「自家用電気工作物を設置する者の工場、事務所その他の事業場」も対象にしています

つまり工場やビルにも、立入検査は来ます——自家用の主任技術者にとっては他人事ではありません

年次点検の記録や保安規程が整っているかが見られます——だから記録を残すことが7項目に入っているのです。

「必要な限度において」が守るもの

この言い回しは、行政の権限に枠をはめるための決まり文句です——目的に照らして必要な範囲を超えてはいけません

電気の使用制限(法34条の2)にも同じ表現があります——権限を与える条文には、必ず歯止めが付いているのです。

この形を覚えておくと、条文を読む速度が上がります

「関係人」とは誰のことか

関係人とは、その場にいて検査に関わりのある人です——事業場の責任者や、立ち会っている従業員が当たります。

その人から求められたら、職員は身分証を見せなければなりません——本物かどうか確かめる手段を与えているのです。

逆に、請求がなければ提示しなくてもかまいません——常に掲げて回る必要はない、という点も条文どおりです。

検査を拒んだらどうなるか

立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した場合には罰則があります——拒めるなら制度が成り立たないからです。

ただし令状は不要でも、実力で押し入る権限はありません——あくまで罰則によって間接的に担保しているのです。

この「間接強制」という形も、行政調査に共通する特徴です

行政調査は他の場面にもある

場面誰が誰に
★報告徴収(法106条)★★大臣が事業者・自家用設置者に報告を求める
★立入検査(法107条)★★職員が現場に立ち入る
★調査(法57条)★★電線路維持運用者が一般用電気工作物を調べる

3つとも「実態を確かめる」仕組みですが、主体が違います——法57条だけは行政ではなく民間が行うのが特徴です。

誰が調べるのかを整理しておくと、条文の取り違えが減ります

⏱️ 本番での進め方
「緊急時」に限定した肢は落とす——日常的に行える検査。
「身分」を示す証明書——理由を示すのではない。
「犯罪捜査のためではない」は業法共通の決まり文句。
④ 3空欄とも独立に判断できる——1つでも確実なら肢が絞れる

3点セットは他の法律でも使える

「法の施行に必要な限度・身分証の携帯と提示・犯罪捜査ではない」——この形はほとんどの業法に共通しています。

だから一度覚えれば、電気工事士法でも消防法でも同じ判断ができます——つぶしの効く知識です。

法規の勉強では、こうした共通の型を見つけると効率が上がります——条文を1本ずつ覚えるのではなく、型で覚えるのです。

行政の権限を定める条文には、必ず歯止めが付いています——「必要な限度において」がその代表です。

権限と歯止めはセットで書かれる、と覚えておきましょう

出題履歴と関連条文

年度問われ方
★平成24年度 問2★★立入検査の3点セット(本問)
★令和4年度上期 問1★★保安体系の図のなかで

平成23年度 A問題2(技術基準適合命令)と合わせると、維持義務→立入検査→適合命令という保安規制の流れが完成します。

義務を課し、守られているか確かめ、破られていたら直させる——この3点で電気事業法の保安規制は回っています

💡 覚え方
立入検査(法107条)=①法の施行に必要な限度 ②職員は身分証を携帯し請求時に提示 ③犯罪捜査のためではない。対象は電気事業者のほか自家用電気工作物を設置する者の工場・事務所も含む。法106条の報告徴収とセット。

⚠️ よくある間違い
(ア)を「緊急時」に限定しない(イ)は「理由」ではなく身分(ウ)は「行政処分」ではなく犯罪捜査——令状主義との関係が趣旨。

まとめ

(ア)電気事業法の施行(に必要な限度)
(イ)身分(を示す証明書)
(ウ)犯罪捜査
根拠電気事業法 第107条
関連法106条=報告徴収
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・保安体系の図(電気事業法9):【法規】令和4年度上期 A問題1
・技術基準適合命令(電気事業法30):【法規】平成23年度 A問題2

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