今回は平成20年度 法規科目 A問題3、作業者の資格と電気工事の作業範囲を問う問題です。実はこの問題、令和6年度下期 A問題2で選択肢の順番だけ変えて再出題されました。16年越しの再出題です。
判定の軸は「どの設備か」と「どの資格か」の2つ。第二種=一般用のみ/第一種=一般用+最大電力500kW未満の自家用/認定=自家用のうち600V以下/特種=ネオン工事・非常用予備発電装置工事。特種の2工事は第一種でも不可です。
平成20年度 法規科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3
電験3種 法規科目 【電気工事士法】 平成20年度 A問題3
「電気工事士法」においては、電気工事の作業内容に応じて必要な資格を定めているが、作業者の資格とその電気工事の作業に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(注)平成20年度は公式問題PDFが公表されていないため、過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
(1) 第一種電気工事士は、自家用電気工作物であって最大電力250kWの需要設備の電気工事の作業に従事できる。
(2) 第一種電気工事士は、最大電力250kWの自家用電気工作物に設置される出力50kWの非常用予備発電装置の発電機に係る電気工事の作業に従事できる。
(3) 第二種電気工事士は、一般用電気工作物に設置される出力3kWの太陽電池発電設備の設置のための電気工事の作業に従事できる。
(4) 第二種電気工事士は、一般用電気工作物に設置されるネオン用分電盤の電気工事の作業に従事できる。
(5) 認定電気工事従事者は、自家用電気工作物であって最大電力250kWの需要設備のうち200Vの電動機の接地工事の作業に従事できる。

答えは(2):非常用予備発電装置工事は第一種でもできない
この問題の軸は「規模」ではなく「工事の種類」です——設備が第一種の範囲内でも、工事の種類が特殊なら資格が変わります。
| 肢 | 内容 | 判定 |
| ★(1) | ★★第一種が最大電力250kWの需要設備の工事 | ★★適切 |
| ★(2) | ★★第一種が出力50kWの非常用予備発電装置の工事 | ★不適切 |
| ★(3) | ★★第二種が一般用の太陽電池3kWの設置工事 | ★★適切 |
| ★(4) | ★★第二種が一般用のネオン用分電盤の工事 | ★★適切 |
| ★(5) | ★★認定が200Vの電動機の接地工事 | ★★適切 |
(2)の設備は最大電力250kWで、第一種の範囲(500kW未満)に収まっています——それでも従事できません。
★「規模」ではなく「工事の種類」で切られる
| 切り方 | 例 | 効き方 |
| ★規模で切る | ★★最大電力500kW未満/600V以下 | ★★設備の大きさで決まる |
| ★工事の種類で切る | ★★ネオン工事・非常用予備発電装置工事 | ★★規模に関係なく決まる |
電気工事士法の資格は、ほとんどが規模で切られています——特殊電気工事だけが例外です。
だから「250kWだから第一種でできるはず」という発想が通じません——ここが本問の急所です。
数少ない例外なので、意識して覚えておく必要があります。
資格の地図をもう一度
| 資格 | 範囲 |
| ★第二種電気工事士 | ★★一般用のみ |
| ★第一種電気工事士 | ★★一般用+最大電力500kW未満の自家用 |
| ★認定電気工事従事者 | ★★自家用のうち600V以下 |
| ★特種電気工事資格者 | ★★ネオン工事・非常用予備発電装置工事 |
4つの資格は、上下関係ではなく守備範囲の違いです——第一種が万能というわけではありません。
この地図を先に描いてから肢を見る——それだけで判定は機械的になります。
なぜ非常用予備発電装置だけ特別なのか
非常用予備発電装置は、発電機だけの設備ではありません——原動機・燃料系・冷却系・制御系が組み合わさっています。
電気の知識だけでは、安全に施工できません——機械の知識も要るのです。
だから別の認定制度が用意されています——理由から考えれば、忘れにくくなります。
(5)の認定電気工事従事者
200Vの電動機の接地工事は、600V以下の簡易電気工事です——認定電気工事従事者の範囲内です。
設備全体は最大電力250kWの自家用ですが、扱う部分が低圧なので問題ありません——設備全体ではなく、作業する部分の電圧で判断します。
ここも取り違えやすいところです。
(3)の太陽電池設置工事
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 一般用の工事 | ★★一般用の工事 | ★自家用の工事 | ★★第二種は一般用のみ |
| 工事の種類で切る | ★★工事の種類で切る | ★規模で切る | ★★特殊電気工事だけの例外 |
| 作業する部分の電圧 | ★★作業する部分の電圧 | ★設備全体の規模 | ★★簡易電気工事は600V以下の部分 |
出力3kWの太陽電池は小規模発電設備なので、全体が一般用です——だから第二種で従事できます。
ただし現行法では10kW以上だと小規模事業用になります——3kWなので今も一般用のままです。
★16年越しの再出題
| 年度 | 内容 | 正解番号 |
| ★平成20年度 問3 | ★★本問 | ★★(2) |
| ★令和6年度下期 問2 | ★★肢の順番だけ入れ替えた同一問題 | ★★(3) |
16年の間をおいて、そのまま再出題されました——肢の並び順だけが違います。
正解番号は(2)と(3)で異なります——番号で覚えると事故になる典型例です。
古い年度を解いておく価値が、はっきり示された例でもあります。
補助作業は資格が要らない
条文は「特種電気工事資格者が従事する特殊電気工事の作業を補助する作業を除く」と定めています。
手伝いにまで資格を求めるのは現実的ではないからです——責任を持って施工する人が有資格ならよいのです。
この括弧書きも出題対象になります。
軽微な工事・軽微な作業
| 区分 | 例 |
| ★軽微な工事 | ★★差込み接続器の取替え・電池式ベルの取付け |
| ★軽微な作業 | ★★電線を支持する柱の設置・防護装置の設置 |
これらは電気工事士でなくても行えます——危険が小さいからです。
問題文が「保安上支障がないと認められる作業を除く」と断ることがあります——この規定を指しています。
免状の取得ルート
| 資格 | 取得方法 |
| ★第二種電気工事士 | ★★試験に合格(筆記+技能) |
| ★第一種電気工事士 | ★★試験合格+実務経験 |
| ★認定電気工事従事者 | ★★講習または試験・実務経験 |
| ★特種電気工事資格者 | ★★認定講習・実務経験など |
第一種は試験に合格しただけでは免状がもらえません——実務経験が要るのが特徴です。
電気主任技術者免状も認定ルートがあるのと似ています——実務を重視する制度設計です。
⏱️ 本番での進め方
① まず特殊電気工事(ネオン・非常用予備発電装置)を探す——あれば即不適切候補。
② 次に一般用か自家用かで第二種の可否を判断する。
③ 認定電気工事従事者は作業する部分が600V以下かを見る。
④ 正解番号は年度で変わる——番号ではなく理由で覚える。
電気工事士法が守っているもの
この法律が想定しているのは、一般家庭や小規模な事業所です——専門の技術者がいない場所です。
そこで工事をする人に資格を求めることで、安全を担保しています。
だから大規模な設備は対象外になっている——そちらは主任技術者が見るからです。
出題履歴——資格の範囲は定番
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成20年度 問3 | ★★資格と作業範囲(本問) |
| ★平成26年度 問3 | ★★具体的な現場での判定 |
| ★令和6年度下期 問2 | ★★本問と同一問題 |
令和6年度下期 A問題2が本問の再出題版です。肢の並びが違うだけで、問われている知識は同じです。
平成29年度 A問題2で条文を押さえておけば、本問は判定するだけになります。
💡 覚え方
第二種=一般用のみ/第一種=一般用+最大電力500kW未満の自家用/認定電気工事従事者=自家用のうち600V以下/特種電気工事資格者=ネオン工事・非常用予備発電装置工事。特種の2工事は第一種でも不可。
⚠️ よくある間違い
設備の規模だけで判断しない——特殊電気工事は工事の種類で資格が決まる。一般用のネオン工事は第二種でOK。同じ問題が令和6年度下期 A問題2で再出題(正解番号は(3))。
まとめ
| (1) | 適切(第一種:500kW未満の自家用) |
| (2) | 不適切(非常用予備発電装置は特種) |
| (3) | 適切(第二種:一般用の太陽電池3kW) |
| (4) | 適切(第二種:一般用のネオン用分電盤) |
| (5) | 適切(認定:600V以下の簡易電気工事) |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(電気工事士法1):【法規】令和6年度下期 A問題2
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