今回は令和6年度下期 法規科目 A問題2、電気工事士法の資格と作業範囲を問う問題です。誰がどこまで工事できるか——実務でも試験でも重要な「資格の地図」を確認します。
地図はこう。第二種=一般用のみ/第一種=一般用+最大電力500kW未満の自家用/認定電気工事従事者=自家用のうち600V以下(簡易電気工事)/特種電気工事資格者=ネオン工事・非常用予備発電装置工事。特種の2工事は第一種でも従事できないのが最大のポイントです。
令和6年度下期 法規科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2
電験3種 法規科目 【電気工事士法】 令和6年度下期 A問題2
「電気工事士法」においては、電気工事の作業内容に応じて必要な資格を定めているが、作業者の資格とその電気工事の作業に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1) 第一種電気工事士は、自家用電気工作物であって最大電力250kWの需要設備の電気工事の作業に従事できる。
(2) 第二種電気工事士は、一般用電気工作物に設置される出力3kWの太陽電池発電設備の設置のための電気工事の作業に従事できる。
(3) 第一種電気工事士は、最大電力250kWの自家用電気工作物に設置される出力50kWの非常用予備発電装置の発電機に係る電気工事の作業に従事できる。
(4) 第二種電気工事士は、一般用電気工作物に設置されるネオン用分電盤の電気工事の作業に従事できる。
(5) 認定電気工事従事者は、自家用電気工作物であって最大電力250kWの需要設備のうち200Vの電動機の接地工事の作業に従事できる。

答えは(3):非常用予備発電装置工事は特種だけ
この問題の軸は「ネオン工事はいつ特殊になるのか」です——(4)との対比で理解が深まります。
| 肢 | 内容 | 判定 |
| ★(1) | ★★第一種が最大電力250kWの需要設備の工事 | ★★適切 |
| ★(2) | ★★第二種が一般用の太陽電池3kWの設置工事 | ★★適切 |
| ★(3) | ★★第一種が出力50kWの非常用予備発電装置の工事 | ★不適切 |
| ★(4) | ★★第二種が一般用のネオン用分電盤の工事 | ★★適切 |
| ★(5) | ★★認定が200Vの電動機の接地工事 | ★★適切 |
(3)と(4)は、どちらも特殊電気工事に見えます——しかし(4)は適切です。
★ネオン工事が「特殊」になる条件
| 設置場所 | ネオン工事の扱い | 必要な資格 |
| ★一般用電気工作物 | ★★特殊電気工事ではない | ★★第二種でよい |
| ★自家用電気工作物 | ★★特殊電気工事 | ★★特種電気工事資格者 |
条文は「自家用電気工作物に係る電気工事のうち特殊電気工事」と書いています——自家用に係る場合だけです。
だから一般用に設置されるネオン用分電盤の工事は、第二種でできます——(4)が適切な理由です。
ここを知らないと、(3)と(4)のどちらが不適切か迷います。
非常用予備発電装置工事にはこの条件がない
非常用予備発電装置は、そもそも自家用電気工作物に設置されます——一般用に置かれることは想定されていません。
だから常に特殊電気工事です——ネオン工事のような場合分けが起きません。
2つの特殊電気工事で、性格が少し違う——この非対称も押さえておきましょう。
★250kWという設備規模の意味
| 内容 | |
| ★250kW | ★★500kW未満なので第一種の範囲内 |
| ★それでも(3)は不可 | ★★工事の種類が特殊だから |
| ★教訓 | ★★規模の判断と種類の判断は別 |
作問者は、あえて第一種の範囲内の規模を設定しています——規模だけ見て「できる」と判断させるためです。
規模を確かめたうえで、工事の種類も確かめる——2段の判断が要ります。
(2)の太陽電池設置工事
出力3kWの太陽電池は小規模発電設備で、全体が一般用です——だから第二種で従事できます。
現行法でも10kW未満なので一般用のままです——令和5年3月の改正の影響を受けません。
もし出力が15kWなら小規模事業用になり、判定が変わります——数字の設定にも意味があるのです。
(5)の接地工事
200Vの電動機の接地工事は、600V以下の簡易電気工事です——認定電気工事従事者の範囲内です。
設備全体は250kWの自家用ですが、作業する部分の電圧で判断します。
「設備の規模」と「作業部分の電圧」を混同しないことです。
★平成20年度と同一問題
| 年度 | 肢の並び | 正解番号 |
| ★平成20年度 問3 | ★★(2)が非常用予備発電装置 | ★★(2) |
| ★令和6年度下期 問2 | ★★(3)が非常用予備発電装置 | ★★(3) |
16年の間をおいて、肢の順番だけ入れ替えて再出題されました。
正解番号が違うので、番号で覚えていると必ず外します——「非常用予備発電装置は特種」という理由で覚えるのが正解です。
法規では、こうした長期間をおいた再出題がよくあります。
資格の地図(現行)
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 特種でなければ不可 | ★★特種でなければ不可 | ★第一種でできる | ★★非常用予備発電装置工事 |
| 第二種でできる | ★★第二種でできる | ★特種が必要 | ★★一般用のネオン工事 |
| 認定でできる | ★★認定でできる | ★第一種が必要 | ★★自家用の600V以下 |
3つの対比を押さえれば、この分野の判定は完了します。
それぞれ「どこで切られるか」が違う——工事の種類・設備の区分・電圧の3つです。
免状・認定証の交付者
| 資格 | 証 | 交付者 |
| ★第一種・第二種電気工事士 | ★★免状 | ★★都道府県知事 |
| ★認定電気工事従事者 | ★★認定証 | ★★経済産業大臣 |
| ★特種電気工事資格者 | ★★認定証 | ★★経済産業大臣 |
電気工事士免状だけが都道府県知事の交付です——電気主任技術者免状(大臣)と対照的です。
交付者を問う出題もあるので、押さえておきましょう。
実務での資格の使い分け
ビルの改修工事では、複数の資格者が分担します——高圧部分は第一種、低圧部分は認定という具合です。
非常用発電機の更新があれば、特種資格者を呼びます——専門の業者が担当するのが普通です。
資格の地図は、そのまま現場の役割分担図になっています。
肢の並びが変わっても解き方は同じ
再出題では、肢の順番を入れ替えるのが定番の手口です——過去問を番号で暗記した人をふるい落とすためです。
逆に理由で覚えていれば、並びが変わっても一瞬で見つかります——「非常用予備発電装置」という語を探すだけだからです。
過去問演習では、答えの番号ではなく理由を書き出す習慣をつけましょう。
⏱️ 本番での進め方
① 特殊電気工事(ネオン・非常用予備発電装置)を先に探す。
② ネオン工事なら一般用か自家用かを確かめる——一般用なら第二種でOK。
③ 非常用予備発電装置は常に特種——規模は関係ない。
④ 正解番号は年度で変わる——理由で覚える。
特殊電気工事が2つだけである意味
電気工事の種類は無数にありますが、特殊とされたのは2つだけです——それだけ例外的な扱いだということです。
だから選択肢にネオンか非常用予備発電装置が出てきたら、必ず注目します——そこが答えである可能性が高いのです。
出題履歴——16年越しの再出題
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成20年度 問3 | ★★本問と同一問題 |
| ★平成26年度 問3 | ★★商業ビルでの判定 |
| ★令和6年度下期 問2 | ★★本問 |
平成20年度 A問題3が本問の元になった問題です。肢の並びが違うだけで、中身は同じです。
平成26年度 A問題3は同じ知識を1つの現場に絞って問うています。3本あわせて解くと、資格の地図が完成します。
💡 覚え方
資格の地図:第二種=一般用のみ/第一種=一般用+最大電力500kW未満の自家用/認定電気工事従事者=自家用のうち600V以下(簡易電気工事)/特種電気工事資格者=ネオン工事・非常用予備発電装置工事(=特殊電気工事、第一種でも不可)。
⚠️ よくある間違い
第一種なら何でもできると思わない——特殊電気工事(ネオン・非常用予備発電装置)は特種資格者だけ。一般用のネオン工事は第二種でOK(特殊になるのは自家用に係るもの)。
まとめ
| (1) | 適切(第一種:500kW未満の自家用) |
| (2) | 適切(第二種:一般用の太陽電池3kW) |
| (3) | 不適切(非常用予備発電装置は特種) |
| (4) | 適切(第二種:一般用のネオン用分電盤) |
| (5) | 適切(認定:600V以下の簡易電気工事) |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(電気工事士法5):【法規】平成20年度 A問題3
・特殊電気工事・簡易電気工事(電気工事士法2):【法規】平成29年度 A問題2

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