今回は平成29年度 法規科目 A問題2、電気工事士法の目的と特殊電気工事・簡易電気工事の空欄補充問題です。この法律の骨格が1問にまとまっています。
覚えるのは3セット。目的は電気工事の欠陥による災害の発生の防止。特殊電気工事はネオン工事と非常用予備発電装置工事。簡易電気工事は600V以下で使用する自家用電気工作物に係る工事です。
平成29年度 法規科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2
電験3種 法規科目 【電気工事士法】 平成29年度 A問題2
次の文章は、「電気工事士法」及び「電気工事士法施行規則」に基づく、同法の目的、特殊電気工事及び簡易電気工事に関する記述である。
a この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の(ア)による(イ)の発生の防止に寄与することを目的とする。
b この法律における自家用電気工作物に係る電気工事のうち特殊電気工事(ネオン工事又は(ウ)をいう。)については、当該特殊電気工事に係る特種電気工事資格者認定証の交付を受けている者でなければ、その作業(特種電気工事資格者が従事する特殊電気工事の作業を補助する作業を除く。)に従事することができない。
c この法律における自家用電気工作物(電線路に係るものを除く。以下同じ。)に係る電気工事のうち電圧(エ)V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事については、認定電気工事従事者認定証の交付を受けている者は、その作業に従事することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 不良 災害 内燃力発電装置設置工事 600 (2) 不良 事故 内燃力発電装置設置工事 400 (3) 欠陥 事故 非常用予備発電装置工事 400 (4) 欠陥 災害 非常用予備発電装置工事 600 (5) 欠陥 事故 内燃力発電装置設置工事 400

答えは(4):欠陥・災害・非常用予備発電装置工事・600V
(ア)(イ)は「欠陥」「災害」——工事のミスが感電・火災を招くから資格制にする、という因果がそのまま条文になっています。
(ウ)は「非常用予備発電装置工事」——特殊電気工事はネオンとこれの2つだけです。
(エ)は「600」V——低圧(交流)の上限と揃っています。
★電気工事士法の資格の地図
| 資格 | 従事できる範囲 |
| ★第二種電気工事士 | ★★一般用電気工作物のみ |
| ★第一種電気工事士 | ★★一般用+最大電力500kW未満の自家用 |
| ★認定電気工事従事者 | ★★自家用のうち600V以下(簡易電気工事) |
| ★特種電気工事資格者 | ★★ネオン工事・非常用予備発電装置工事(特殊電気工事) |
4つの資格が、それぞれ違う範囲を受け持っています——上下関係ではなく、守備範囲の違いです。
この地図が頭に入っていれば、この分野の問題はすべて解けます。
なぜ「欠陥による災害」なのか
電気工事は、完成すると中が見えなくなります——壁の中や天井裏に隠れてしまうからです。
だから施工の段階で正しく作ることが決定的に重要です——あとから確かめるのが難しいのです。
その担保が資格制度です——目的規定が「欠陥」を名指ししているのは、そのためです。
★特殊電気工事は2つだけ
| 工事 | なぜ特殊か |
| ★ネオン工事 | ★★数千Vの高電圧を扱う特殊な技術が要る |
| ★非常用予備発電装置工事 | ★★原動機・燃料系まで含む複合的な設備 |
どちらも、通常の配線工事とは技能の性質が違います——だから別の資格を用意しているのです。
「内燃力発電装置設置工事」という区分は存在しません——それらしい名前を作るのがダミーの手口です。
第一種電気工事士免状を持っていても従事できません——ここが最大の引っかけどころです。
簡易電気工事の600Vという数字
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 欠陥 | ★★欠陥 | ★不良 | ★★条文の語は欠陥 |
| 災害 | ★★災害 | ★事故 | ★★条文の語は災害 |
| 600V以下 | ★★600V以下 | ★400V以下 | ★★低圧(交流)の上限と揃っている |
600Vは、電気設備技術基準の低圧(交流)の上限と同じ数字です——法令どうしで揃えてあるのです。
だから「400V」は明らかなダミーです——区分の数字として存在しません。
認定電気工事従事者という資格
第二種電気工事士が、自家用の低圧部分まで扱えるようにする資格です——講習または試験で取得できます。
高圧の部分には触れられません——あくまで600V以下までです。
ビルや工場の低圧配線を扱う人にとって、実務上とても重要な資格です。
免状と認定証の違い
| 資格 | 証の種類 | 交付者 |
| ★第一種・第二種電気工事士 | ★★免状 | ★★都道府県知事 |
| ★認定電気工事従事者 | ★★認定証 | ★★経済産業大臣 |
| ★特種電気工事資格者 | ★★認定証 | ★★経済産業大臣 |
電気工事士だけが「免状」で、交付者が都道府県知事です——電気主任技術者免状が大臣なのと対照的です。
認定証は大臣が交付します——ここも問われることがあります。
電気工事士法と電気事業法の役割分担
| 電気事業法 | 電気工事士法 | |
| ★守るもの | ★★設備の状態 | ★★工事の質 |
| ★手段 | ★★技術基準・主任技術者 | ★★作業者の資格 |
| ★対象 | ★★設置者 | ★★工事をする人 |
作る段階を電気工事士法が、使う段階を電気事業法が受け持ちます——2つで電気の安全を支えているのです。
だから法規では両方が出題されます。
「作業を補助する作業を除く」の意味
条文は、特種資格者の作業を補助する作業を除いています——手伝いまで資格を求めるのは現実的でないからです。
あくまで責任を持って施工する人が資格を持っていればよい——という考え方です。
この括弧書きも条文の一部なので、読み飛ばさないようにしましょう。
義務も定められている
| 義務 | 内容 |
| ★技術基準の遵守 | ★★電気設備技術基準に適合するよう作業する |
| ★免状の携帯 | ★★作業に従事するときは免状を携帯する |
| ★報告への協力 | ★★都道府県知事から報告を求められたら応じる |
法第1条は「資格及び義務を定め」と書いています——資格だけでなく義務も柱のひとつです。
とくに免状の携帯義務は、実務でも問われることがあります——持っているだけでなく、現場に持参する必要があります。
⏱️ 本番での進め方
① 目的は「欠陥による災害」——不良・事故はどちらもダミー。
② 特殊電気工事はネオン+非常用予備発電装置の2つだけ。
③ 簡易電気工事は600V以下。400Vという区分はない。
④ 4つの資格の守備範囲の地図を先に描いておく。
電気工事の定義
電気工事とは、電気工作物の設置又は変更の工事をいいます——点検や測定は含まれません。
だから絶縁抵抗の測定だけなら、電気工事士でなくても行えます——ただし高圧の充電部に触れる作業は別です。
「工事」と「保守」の線引きも、出題されることがあります。
条文が短く、覚える数字も600Vだけ——法規のなかでは取り組みやすい分野です。
出題履歴——電気工事士法の基本問題
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成29年度 問2 | ★★目的・特殊・簡易(本問) |
| ★平成26年度 問3 | ★★具体的な現場での資格判定 |
| ★令和6年度下期 問2 | ★★資格と作業範囲 |
令和6年度下期 A問題2は、本問で覚えた地図をそのまま使う問題です。条文で覚えて、判定問題で使うという流れになります。
電気工事士法は条文が少ないので、得点源にしやすい分野です。
💡 覚え方
電気工事士法:目的=電気工事の欠陥による災害の発生の防止。特殊電気工事=ネオン工事+非常用予備発電装置工事(特種電気工事資格者)。簡易電気工事=自家用のうち600V以下(認定電気工事従事者)。
⚠️ よくある間違い
目的の語を「不良」「事故」としない——欠陥による災害。特殊電気工事は2つだけ。簡易電気工事の電圧を400Vとしない——600V以下。
まとめ
| (ア) | 欠陥 |
| (イ) | 災害 |
| (ウ) | 非常用予備発電装置工事 |
| (エ) | 600(V以下) |
| 特殊電気工事 | ネオン工事+非常用予備発電装置工事 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・資格と作業範囲(電気工事士法1):【法規】令和6年度下期 A問題2
・作業に従事する者(電気工事士法3):【法規】平成26年度 A問題3

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