今回は令和5年度下期 法規科目 A問題2、電気工事業法(電気工事業の業務の適正化に関する法律)の空欄補充問題です。登録と通知という2種類の電気工事業者の違いが問われます。
区別はシンプル。一般用電気工作物の工事もする→登録、自家用電気工作物のみ→通知。手続先は経済産業大臣又は都道府県知事(2以上の都道府県にまたがれば大臣、1つなら知事)。「電気工事」の定義は電気工事士法から借りています。
令和5年度下期 法規科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2
電験3種 法規科目 【電気工事士法】 令和5年度下期 A問題2
次の文章は、「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に規定されている電気工事業者に関する記述である。
この法律において、「電気工事業」とは、電気工事士法に規定する電気工事を行う事業をいい、「(ア)電気工事業者」とは、経済産業大臣又は(イ)の(ア)を受けて電気工事業を営む者をいう。また、「通知電気工事業者」とは、経済産業大臣又は(イ)に電気工事業の開始の通知を行って、(ウ)に規定する自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者をいう。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 承認 都道府県知事 電気工事士法 (2) 許可 産業保安監督部長 電気事業法 (3) 登録 都道府県知事 電気工事士法 (4) 承認 産業保安監督部長 電気事業法 (5) 登録 産業保安監督部長 電気工事士法

答えは(3):登録・都道府県知事・電気工事士法
(ア)は「登録」——一般用も扱うなら登録、自家用のみなら通知です。
(イ)は「都道府県知事」——電気事業法の産業保安監督部長ではありません。
(ウ)は「電気工事士法」——定義を借りてきている法律です。
★登録には5年の有効期間がある
| 登録電気工事業者 | 通知電気工事業者 | |
| ★手続 | ★★登録 | ★★開始の通知 |
| ★有効期間 | ★★5年 | ★★なし |
| ★更新 | ★★必要 | ★★不要 |
登録は5年で失効します——更新を受けなければ効力を失うのです。
要件を満たし続けているかを、定期的に確かめるための仕組みです——器具や主任電気工事士がそろっているかを見ます。
通知には有効期間がありません——ここも登録と通知の違いのひとつです。
★みなし登録電気工事業者
| 区分 | 手続 |
| ★建設業の許可を受けている者 | ★★登録ではなく「届出」でよい |
| ★呼び方 | ★★みなし登録電気工事業者 |
| ★自家用のみを扱う場合 | ★★みなし通知電気工事業者 |
建設業の許可を受けている事業者は、すでに厳しい審査を通っています——だから登録ではなく届出で足りるのです。
電気工事会社の多くは、この「みなし」に該当します——実務ではむしろこちらが主流です。
ただし義務(器具・標識・帳簿)は同じようにかかります——手続が軽いだけです。
名称の使用制限
登録を受けていない者が「登録電気工事業者」と名乗ることはできません——紛らわしい名称も禁止されています。
発注する側が、有資格の業者かどうかを名前で判断できるようにするためです。
標識の掲示義務も同じ発想です——誰が工事しているかを外から分かるようにするのです。
★主任電気工事士の要件
| 条件 | 内容 |
| ★置く場所 | ★★一般用電気工作物の工事を行う営業所ごと |
| ★なれる人 | ★★第一種電気工事士、または実務経験3年以上の第二種電気工事士 |
| ★役割 | ★★一般用電気工事の作業を管理する |
第二種でも3年の実務経験があればなれます——この「3年」が数字として問われることがあります。
自家用のみを扱う通知電気工事業者には、この義務がありません——一般用を扱うかどうかが分かれ目です。
なぜ一般用のほうが規制が重いのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 登録 | ★★登録 | ★通知 | ★★一般用も扱う場合は登録 |
| 都道府県知事 | ★★都道府県知事 | ★産業保安監督部長 | ★★営業の規制なので都道府県 |
| 電気工事士法 | ★★電気工事士法 | ★電気事業法 | ★★定義を借りている法律 |
一般用電気工作物の持ち主は、電気の専門家ではありません——工事の良し悪しを判断できないのです。
いっぽう自家用には主任技術者がいて、工事を監督できます——だから業者側の規制は軽くて済むのです。
「相手が誰か」で規制の重さが決まる——法規に一貫した考え方です。
3つの法律の役割分担
| 法律 | 規制の対象 | キーワード |
| ★電気事業法 | ★★設備 | ★★技術基準・主任技術者 |
| ★電気工事士法 | ★★人 | ★★免状・認定証 |
| ★電気工事業法 | ★★事業者 | ★★登録・通知 |
設備・人・事業者と、3方向から電気工事の安全を支えています。
問題文の冒頭で、どの法律の話かを確かめる習慣をつけましょう——用語の意味が変わることがあるからです。
登録の要件
| 要件 | 内容 |
| ★主任電気工事士 | ★★営業所ごとに置いていること |
| ★欠格事由がないこと | ★★法令違反による登録取消しから2年を経過しているなど |
登録は要件を満たせば拒めない手続です——許可のような裁量はありません。
逆に要件を欠けば、登録は取り消されます——主任電気工事士が退職したら補充が必要です。
窓口が2通りある理由
営業所が1つの都道府県に収まるなら、その知事が窓口です——身近な役所で手続できるようにしているのです。
複数の都道府県にまたがるなら、経済産業大臣が受け持ちます——ひとつの知事では全体を把握できないからです。
この振り分け方は、他の法令でもよく見かける形です。
実務で確かめること
工事を発注するときは、登録番号を確かめます——標識や名刺に記載されているはずです。
登録の有効期間が切れていないかも見ます——5年ごとの更新を忘れる事業者もあるからです。
主任技術者として発注側に立てば、直接関わる知識になります。
登録簿は公開されている
登録電気工事業者の情報は、登録簿として管理されています——都道府県のサイトなどで確認できることが多いでしょう。
発注する前に、登録があるかどうかを調べられます——制度が外から見えるようになっているのです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「登録」——承認・許可はどちらもダミー。
② (イ)は「都道府県知事」。産業保安監督部長は電気事業法の用語。
③ (ウ)は「電気工事士法」——定義を借りている。
④ 一般用も扱う=登録/自家用のみ=通知を反射で出す。
電気工事業法という名前の長さ
正式名称は「電気工事業の業務の適正化に関する法律」です——問題文にはこの長い名前で出てきます。
「業務の適正化」という言葉が、この法律の狙いを表しています——設備でも人でもなく、事業のやり方を正すのです。
出題履歴——9年ぶりの完全再出題
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成26年度 問4 | ★★本問と一字一句同じ |
| ★令和3年度 問2 | ★★電気工事業者の義務 |
| ★令和5年度下期 問2 | ★★本問 |
平成26年度 A問題4が本問の元になった問題です。選択肢の並びまで同じという、珍しい完全再出題でした。
令和3年度 A問題2では、義務のほうが問われています。定義と義務の2本立てで押さえておきましょう。
💡 覚え方
登録電気工事業者=一般用も扱う(登録・有効期間5年)/通知電気工事業者=自家用のみ(開始の通知)。窓口は2以上の都道府県なら経済産業大臣、1つなら都道府県知事。「電気工事」「自家用電気工作物」の定義は電気工事士法による。建設業許可業者はみなし登録(届出でよい)。
⚠️ よくある間違い
窓口を「産業保安監督部長」としない——都道府県知事。「許可」「承認」ではなく登録。参照する法律は電気事業法ではなく電気工事士法。
まとめ
| (ア) | 登録 |
| (イ) | 都道府県知事 |
| (ウ) | 電気工事士法 |
| 通知電気工事業者 | 自家用のみ・開始の通知 |
| 登録の有効期間 | 5年 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(電気工事業法3):【法規】平成26年度 A問題4
・電気工事業者の義務(電気工事業法2):【法規】令和3年度 A問題2

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