今回は令和3年度 法規科目 A問題2、電気工事業法の誤り選択問題です。電気工事業者に課された4つの義務が並べて問われます。
覚えるのは「登録・器具・標識・帳簿」の4点セット。営業所ごとに絶縁抵抗計などの器具を備え、営業所と施工場所に標識を掲げ、営業所ごとに帳簿を備えて記載・保存する。そして参入は許可ではなく登録です。
令和3年度 法規科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2
電験3種 法規科目 【電気工事士法】 令和3年度 A問題2
「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に基づく記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 電気工事業とは、電気事業法に規定する電気工事を行う事業であって、その事業を営もうとする者は、経済産業大臣の事業許可を受けなければならない。
(2) 登録電気工事業者の登録には有効期間がある。
(3) 電気工事業者は、その営業所ごとに、絶縁抵抗計その他の経済産業省令で定める器具を備えなければならない。
(4) 電気工事業者は、その営業所及び電気工事の施工場所ごとに、その見やすい場所に、氏名又は名称、登録番号その他の経済産業省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
(5) 電気工事業者は、その営業所ごとに帳簿を備え、その業務に関し経済産業省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

答えは(1):「電気事業法」と「許可」の二重の誤り
(1)には誤りが2か所あります——定義の出所と、参入規制の名前です。
| 肢 | 内容 | 判定 |
| ★(1) | ★★電気事業法に規定する電気工事/経済産業大臣の事業許可 | ★誤り(2か所) |
| ★(2) | ★★登録には有効期間がある | ★★正しい |
| ★(3) | ★★営業所ごとに器具を備える | ★★正しい |
| ★(4) | ★★営業所及び施工場所ごとに標識を掲げる | ★★正しい |
| ★(5) | ★★営業所ごとに帳簿を備え保存する | ★★正しい |
正しくは「電気工事士法に規定する電気工事」「登録」です。
★電気工事業者の4点セット
| 義務 | どこに | |
| ★① | ★★登録(有効期間5年) | ★★大臣又は知事へ |
| ★② | ★★器具の備付け | ★★営業所ごと |
| ★③ | ★★標識の掲示 | ★★営業所及び施工場所ごと |
| ★④ | ★★帳簿の備付け(5年保存) | ★★営業所ごと |
「登録・器具・標識・帳簿」の4つで覚えます——この語呂で全部そろいます。
★標識だけが「営業所及び施工場所」の2か所です——ここが狙われます。
★備え付ける器具の一覧
| 区分 | 器具 |
| ★一般用を扱う営業所 | ★★絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計(抵抗及び交流電圧) |
| ★自家用も扱う営業所 | ★★上記+低圧検電器・高圧検電器・継電器試験装置・絶縁耐力試験装置 |
基本の3つは、工事の良否を確かめるための測定器です——絶縁・接地・導通を測るのです。
自家用を扱うなら、高圧を安全に扱う道具が加わります——検電器と試験装置です。
継電器試験装置と絶縁耐力試験装置は、必要なときに使用できる状態であればよいとされています。
なぜ施工場所にも標識が要るのか
近隣の人や発注者が、誰が工事しているかを確かめられるようにするためです。
営業所だけに掲げても、現場では分かりません——問題があったときに連絡できないのです。
無登録業者が紛れ込むのを防ぐ効果もあります——掲げられない業者はすぐ分かるからです。
★帳簿の記載事項
| 項目 | 内容 |
| ★注文者 | ★★氏名又は名称及び住所 |
| ★工事 | ★★電気工事の種類及び施工場所 |
| ★施工 | ★★施工年月日・主任電気工事士等の氏名 |
| ★検査 | ★★配線図・検査結果 |
誰が・どこで・何を・どう検査したかを残します——あとから追跡できるようにするためです。
保存期間は5年——登録の有効期間と同じ数字なので覚えやすいでしょう。
(1)の2つの誤りを分解する
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電気工事士法に規定する電気工事 | ★★電気工事士法に規定する電気工事 | ★電気事業法に規定する電気工事 | ★★定義は電気工事士法から借りる |
| 登録 | ★★登録 | ★事業許可 | ★★参入規制は許可ではない |
| 大臣又は都道府県知事 | ★★大臣又は都道府県知事 | ★経済産業大臣のみ | ★★窓口は2通りある |
1つの肢に誤りが2か所というのは、比較的親切な作りです——どちらかに気づけば判定できるからです。
逆に言えば、両方とも狙われやすい急所だということです。
「許可」がなぜ誤りなのか
許可は、行政が個別に判断して認める手続です——要件を満たしていても断られることがあります。
電気工事業は、要件を満たせば誰でも営めるべき事業です——だから登録という軽い手続になっています。
電気事業の「許可」と混同しないようにしましょう——あちらは地域独占のインフラだから重いのです。
登録が取り消されることもある
| 場面 | 結果 |
| ★主任電気工事士を置かなくなった | ★★登録の要件を欠く |
| ★法令違反があった | ★★登録の取消し・業務停止 |
| ★更新を受けなかった | ★★5年で効力を失う |
登録は取ったら終わりではありません——要件を満たし続ける必要があるのです。
だから有効期間と更新の仕組みが用意されています。
実務での意味
電気工事を発注するとき、登録の有無と有効期間を確かめます——無登録業者に頼むとトラブルのもとです。
工事後には、帳簿に残る検査結果を確認できます——記録が残っているから、あとから追えるのです。
主任技術者として工事を管理する立場になれば、直接使う知識です。
なぜ器具の備付けまで義務なのか
工事が正しくできたかは、測って確かめるしかありません——見た目では分からないからです。
絶縁抵抗計がなければ、絶縁の良否を判定できません——道具がなければ、そもそも検査ができないのです。
だから資格だけでなく、道具まで法律が求めています——人・道具・記録の3点で品質を担保しているのです。
義務違反にはどうなるか
| 違反 | 結果 |
| ★無登録での営業 | ★★罰則の対象 |
| ★器具・標識・帳簿の不備 | ★★指示・業務停止・登録の取消し |
義務は努力目標ではありません——守らなければ営業できなくなります。
だから4点セットは、事業者にとって死活問題です。
⏱️ 本番での進め方
① 「電気事業法に規定する電気工事」は誤り——電気工事士法。
② 「事業許可」は誤り——登録(自家用のみなら通知)。
③ 標識は営業所「及び」施工場所——2か所である点を押さえる。
④ 帳簿の保存は5年。登録の有効期間と同じ数字。
4点セットを語呂で覚える
「登録・器具・標識・帳簿」の4語を唱えるだけです——順番も条文の並びどおりになっています。
それぞれに数字が1つずつ紐づきます——登録は5年、帳簿も5年です。
器具と標識には数字がありません——代わりに「どこに」が問われます。
誰のための規制なのか
電気工事業法が守っているのは、工事を発注する側です——一般家庭や小さな事業所です。
技術のない業者に当たっても、発注する側には見分けがつきません——だから制度で品質を担保するのです。
出題履歴——義務は繰り返し問われる
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成26年度 問4 | ★★登録と通知の定義 |
| ★令和3年度 問2 | ★★義務の正誤(本問) |
| ★令和5年度下期 問2 | ★★定義(平成26年度と同一) |
令和5年度下期 A問題2は定義を問う問題です。定義と義務の2方向から出題されると考えておきましょう。
電気工事業法は条文が少なく、覚える量も限られています——確実に得点したい分野です。
💡 覚え方
電気工事業者の4点セット=①登録(有効期間5年。自家用のみなら通知)②営業所ごとに器具(絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計+自家用なら検電器・継電器試験装置・絶縁耐力試験装置)③営業所と施工場所に標識 ④営業所ごとに帳簿(5年保存)。
⚠️ よくある間違い
参入規制を「許可」としない——登録。定義の出所は電気事業法ではなく電気工事士法。標識は営業所だけでなく施工場所にも必要。
まとめ
| (1) | 誤り(電気工事士法/登録) |
| (2) | 正しい(登録の有効期間5年) |
| (3) | 正しい(営業所ごとに器具) |
| (4) | 正しい(営業所・施工場所に標識) |
| (5) | 正しい(帳簿を5年保存) |
| 答え | (1) |
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