今回は平成19年度 法規科目 A問題1、一般用電気工作物の調査の義務の空欄補充問題です。令和3年度 A問題1でも同じ論点が問われた、繰り返しの頻出テーマです。
押さえるのは3語。行うのは検査ではなく調査、立入りの承諾を得る相手は所有者又は占有者、通知するのはとるべき措置とその措置をとらなかった場合に生ずべき結果です。
平成19年度 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成19年度 A問題1
次の文章は、「電気事業法」に基づく、一般用電気工作物の調査の義務に関する記述である。
電線路維持運用者又はその委託を受けた登録調査機関は、一般用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを(ア)しなければならない。ただし、その一般用電気工作物の設置の場所に立ち入ることにつき、その所有者又は(イ)の承諾を得ることができないときは、この限りでない。
上記の(ア)の結果、一般用電気工作物が技術基準に適合していないと認めるときは、遅滞なく、その技術基準に適合するようにするためとるべき措置及びその措置をとらなかった場合に生ずべき(ウ)を、その所有者又は(イ)に通知しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(注)平成19年度は公式問題PDFが公表されていないため、条文と過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
(ア) (イ) (ウ) (1) 調査 使用者 事故 (2) 検査 占有者 結果 (3) 検査 使用者 事故 (4) 検査 使用者 結果 (5) 調査 占有者 結果

答えは(5):調査・占有者・結果
(ア)は「調査」——一般用電気工作物に対して行うのは検査ではなく調査です。
(イ)は「占有者」——条文は必ず「所有者又は占有者」と対で書かれます。
(ウ)は「結果」——「事故」ではなく、もっと広い「生ずべき結果」という語が使われています。
「調査」と「検査」は相手で決まる
| 対象 | 行う行為 | 誰が |
| ★一般用電気工作物 | ★★調査 | ★★電線路維持運用者・登録調査機関 |
| ★事業用電気工作物 | ★★検査 | ★★設置者(自主検査)・国(立入検査) |
一般家庭には主任技術者がいません——だから電気を送っている側が代わりに見に行く、という仕組みになっています。
いっぽう事業用には主任技術者がいるので、自分で検査します——保安を担う人がいるかどうかで、言葉が使い分けられているのです。
この対応を覚えておけば、「調査」か「検査」かで迷いません。
なぜ「所有者又は占有者」の両方なのか
賃貸アパートを思い浮かべてください——建物の持ち主は大家、実際に住んでいるのは借りている人です。
調査に入るには、実際にそこにいる人の承諾が要ります——だから占有者が並べて書かれているのです。
通知の相手も同じ理由で両方です——危ないと知らせるべきなのは、そこで暮らしている人だから。
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 調査 | ★★調査 | ★検査 | ★★一般用に対して行うのは調査 |
| 所有者又は占有者 | ★★所有者又は占有者 | ★使用者 | ★★この条文に「使用者」という語はない |
| 生ずべき結果 | ★★生ずべき結果 | ★事故 | ★★感電・火災に限らず広く結果と表現する |
承諾が得られなければ調査しなくてよい
「この限りでない」という但し書きは、義務が外れることを意味します——承諾なしに立ち入る権限までは与えていないのです。
住居の平穏という別の利益とのつり合いを取った規定です——電気の安全のためでも、勝手に入ってよいことにはならない。
試験では、この但し書きの有無そのものが問われることもあります。
⏱️ 本番での進め方
① 主語が電線路維持運用者なら、対象は一般用電気工作物と確定。
② そこから(ア)は自動的に「調査」——検査を含む肢は全部捨てる。
③ 「使用者」が出てきたら誤り。条文は所有者又は占有者。
④ 残った2択は「事故」か「結果」か——広いほうの結果を選ぶ。
出題履歴と関連条文
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成19年度 問1 | ★★調査・占有者・結果(本問) |
| ★令和3年度 問1 | ★★同じ57条を別の空欄で |
| ★令和4年度上期 問1 | ★★保安体系の図のなかで |
法57条の2で、この調査を登録調査機関に委託できることも決められています——実際の調査はほとんど委託先が行っています。
4年に1回以上という調査の頻度は施行規則で決まっています——数字まで問われることは少ないので、まず3語を固めましょう。
電線路維持運用者とは誰か
電線路維持運用者とは、その一般用電気工作物に電気を送っている電線路を持っている者です——ふつうは一般送配電事業者を指します。
電気を送り込んでいる以上、その先が危険な状態でないか見届ける責任がある——というのがこの義務の考え方です。
実際の調査は、登録調査機関に委託されているのがほとんどです——法57条の2がその根拠になっています。
| 登場人物 | 役割 |
| ★電線路維持運用者 | ★★調査義務を負う(送っている側) |
| ★登録調査機関 | ★★委託を受けて実際に調査する |
| ★所有者又は占有者 | ★★承諾する側・通知を受ける側 |
一般用に主任技術者がいない代わりの仕組み
| 事業用電気工作物 | 一般用電気工作物 | |
| ★保安の担い手 | ★★主任技術者 | ★★電線路維持運用者の調査 |
| ★ルール | ★★保安規程 | ★★なし |
| ★不適合のとき | ★★大臣が命令(法40条) | ★★通知して直してもらう(法57条) |
一般家庭に主任技術者を置くわけにはいきません——その穴を埋めているのが、この調査の義務です。
しかも命令ではなく通知にとどまります——電線路維持運用者は行政ではないので、命じる権限がないのです。
調査はどれくらいの頻度で行われるか
一般用電気工作物の調査は、原則として4年に1回以上行われます——施行規則で頻度が決められているのです。
実際には、電力会社から委託された調査員が家庭を訪ねてきます——分電盤や配線を見て、絶縁抵抗を測っていくあの作業です。
試験で頻度そのものが問われることは多くありません——まずは「調査・所有者又は占有者・生ずべき結果」の3語を固めるのが先です。
通知しても直らないときはどうなるか
| 段階 | 誰が | 何をする |
| ★①調査 | ★★電線路維持運用者 | ★★技術基準に適合しているか調べる |
| ★②通知 | ★★電線路維持運用者 | ★★措置と生ずべき結果を知らせる |
| ★③命令 | ★★経済産業大臣 | ★★法56条により修理・改造等を命じる |
通知は行政処分ではないので、従わなくても直ちに罰則はありません——だから最後は大臣の命令という段階が用意されているのです。
民間が見つけて、国が命じる——役割分担で保安を回しているのが、一般用電気工作物の仕組みです。
調査では何を見ているのか
調査員が見るのは、分電盤・漏電遮断器・接地・屋内配線の絶縁抵抗です——感電と火災につながるところに絞られています。
絶縁抵抗が基準を下回っていれば、そのまま使うと漏電火災の危険があります——だから「生ずべき結果」を通知して直してもらうのです。
条文の言葉は抽象的ですが、やっていることは具体的です——実物を思い浮かべると、条文が急に読みやすくなります。
💡 覚え方
法57条=電線路維持運用者が一般用電気工作物を調査(所有者又は占有者の承諾が得られなければ立入不要)。不適合なら遅滞なくとるべき措置と、とらなかった場合に生ずべき結果を通知。法57条の2で登録調査機関に委託できる。
⚠️ よくある間違い
一般用は「検査」ではなく調査。相手は「使用者」ではなく所有者又は占有者。通知するのは「事故」ではなく生ずべき結果——3か所とも定番のダミー。
まとめ
| (ア) | 調査 |
| (イ) | 占有者(所有者又は占有者) |
| (ウ) | 結果(生ずべき) |
| 根拠 | 法57条・法57条の2 |
| 答え | (5) |
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