配電計算8【電験3種 電力】三相無負荷充電容量Qc=ωCV²=16.4kV·A!令和6年度下期 A問題10 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 令和6年度下期 A問題10 ケーブルの充電容量ωCV²!16.4kV·A

今回は令和6年度下期 電力科目 A問題10、三相3線式地中電線路の無負荷充電容量を求める計算問題です。ケーブルの静電容量による充電容量の公式を使います。

カギは三相充電容量の公式 Qc=ωCV²(=3ωC·E²、E=V/√3)。線間電圧Vを使うとちょうどωCV²にまとまります。1線当たりの静電容量をこう長分だけ掛けてCを求めるのがポイントです。

出題のポイント:三相ケーブルの充電容量

三相地中ケーブルの充電容量計算の要点図
静電容量、周波数、線間電圧から無負荷充電容量を求めます。

1線当たりの静電容量をこう長分に直し、三相の式を線間電圧で使える形に変形してから、FとVに換算して代入します。

目次

公式の導出と静電容量の換算

三相ケーブルの充電容量公式を導出する解説
三相分と相電圧の平方を整理するとQイコールオメガCV二乗になります。

公式に入れる前に、C と ω を用意します

三相無負荷充電容量
\( Q_c=\omega CV^2 \)

V:線間電圧 C:1線当たりの対地静電容量

\( C=0.5\times 2=1.0\ \mu\mathrm{F}=1.0\times 10^{-6}\ \mathrm{F} \)
1線当たり×こう長
\( \omega=2\pi\times 60\fallingdotseq 377\ \mathrm{rad/s} \)
60 Hz なので
\( Q_c=377\times 1.0\times 10^{-6}\times 6600^2 \)
公式に入れる
\( =377\times 43.56 \)
10⁻⁶×6600²=43.56
\( \fallingdotseq 16422\ \mathrm{V\cdot A}=16.4\ \mathrm{kV\cdot A} \)
整理して
★答え

C がちょうど1.0 μF なので、計算が簡単になります——377×43.56 だけです。

10⁻⁶ と 6600² をまとめる工夫は、毎回使えます——6.6 kV なら必ず43.56です。

令和6年度下期 電力科目 A問題10:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 令和6年度下期 A問題10 問題文
令和6年度下期 電力科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題10

電験3種 電力科目 【配電の計算】 令和6年度下期 A問題10

 電圧6.6kV、周波数60Hz、こう長2kmの交流三相3線式地中電線路がある。ケーブルの心線1線当たりの静電容量を0.5μF/kmとするとき、このケーブルの心線3線を充電するために必要な三相無負荷充電容量の値[kV·A]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 5.5 (2) 8.2 (3) 16.4 (4) 28.4 (5) 49.3

答え三相無負荷充電容量は約 16.4 kV・Aです。

数値代入・単位換算・選択肢照合

数値代入して16.4キロボルトアンペアを求め選択肢3と照合する解説
単位をFとVにそろえると約16.4 kV・Aとなり、選択肢(3)です。
場面何が困るか
★★線路の充電(送電開始時)★★負荷がないのに充電電流が流れる
★★軽負荷時★★進み電流でフェランチ現象が起きる
★★送電容量★★充電電流の分だけ負荷電流を流せない
★遮断器の選定★★充電電流を切る能力が要る

充電容量は、負荷がなくても必要になる容量です——だから「無負荷」充電容量と呼びます。

変電所の変圧器は、この分も見込んで選びます——設計に直結する数字です。

ケーブルが長くなるほど、この容量が大きくなります——だから長さに限界があるのです。

本問はその見積もりを求めています

周波数と電圧で充電容量はどう変わるか

変える量2倍にすると理由
★周波数 f★★2倍★★ω=2πf に比例
★静電容量 C★★2倍★★そのまま比例
★★線間電圧 V★★4倍★★2乗で効く
★こう長★★2倍★★C が比例するから

電圧だけが2乗で効きます——そこが要注意です。

60 Hz 地域は50 Hz 地域より2割大きくなります——377÷314=1.2です。

だから同じケーブルでも、地域で値が変わります——周波数を読み飛ばさないこと。

問題文の数字がどこに効くかを意識すると、検算しやすくなります

⚠️ よくある間違い
相電圧を代入する——V は線間電圧です。
こう長を掛け忘れる——0.5×2=1.0 μFです。
μF を直し忘れる——10⁻⁶ を掛けます
周波数を50 Hz とする——本問は60 Hzです。
3ωCV² としてしまう——3は約分で消えています

⏱️ 本番での進め方
①★Qc=ωCV²。V は線間電圧。
②★C は1線当たり×こう長。
③★6.6 kV なら 10⁻⁶×6600²=43.56 と覚える。
④★電圧だけが2乗で効く。

💡 覚え方
「ωかけるCかけるV二乗」——3も√3も出てきません6.6 kV なら43.56——これを覚えると速いのです。

★同型の問題が平成24年度 A問題11配電の計算:三相充電容量)にあります。50 Hz・1.5 km の場合です。

1線当たりの静電容量という言い方

表現意味使い方
★★心線1線当たり0.5 μF/km★★1相分の対地静電容量が1 km で0.5 μF★★こう長を掛けてC とする
★3線合計★★1.5 μF/km に相当★★公式には使わない

公式の C は1相分です——3倍しないこと

3相分にする作業は、公式の中ですでに済んでいます——3ωCE² の3がそれです。

だから1線当たりの値をそのまま使います

充電電流を求めてみる

\( I_c=\dfrac{Q_c}{\sqrt{3}\,V}=\dfrac{16422}{\sqrt{3}\times 6600} \)
三相容量から線電流へ
\( =\dfrac{16422}{11431}\fallingdotseq 1.44\ \mathrm{A} \)
計算する

2 km のケーブルで1.44 A の充電電流が流れます——負荷がなくてもです。

20 km なら14.4 A になります——こう長に比例するから。

これが送電容量を食う分になります

なぜ「無負荷」充電容量というのか

状態流れる電流必要な容量
★★無負荷(受電端を開放)★★充電電流だけ★★これが充電容量
★負荷あり★★負荷電流+充電電流★★合計を見込む

負荷をつながなくても、線路を充電するだけで電力が要ります——それが無負荷充電容量です。

だから送電を始めるときにも、電源に容量が要ります——変圧器の選定に影響するのです。

この電力は消費されるのではなく、行き来するだけです——無効電力だからです。

計算を速くする2つのこつ

こつ内容効果
★★10⁻⁶ と V² をまとめる★★6.6 kV なら 43.56★★指数の扱いが消える
★★ω を覚えておく★★50 Hz=314、60 Hz=377★★2πf の計算が要らない

この2つを覚えておけば、掛け算1回で答えが出ます——377×1.0×43.56です。

試験では時間が限られています——こうした準備が効いてくるのです。

6.6 kV は配電の標準電圧なので、43.56 は何度も使えます

地中線の長さに限界がある理由

こう長充電容量充電電流状況
★2 km★★16.4 kV·A★★1.44 A★★問題ない
★20 km★★164 kV·A★★14.4 A★★無視できない
★100 km★★820 kV·A★★72 A★★送電容量を大きく食う

長くなるほど、負荷電流を流せる余地が減ります——充電電流が先に流れるから。

だから長距離の地中送電には限界があります——分路リアクトルで補うのです。

海底ケーブルで直流送電が使われるのも、この理由です。

充電容量を減らす手だて

手だてしくみ使う場面
★★分路リアクトル★★遅れ電流で進み電流を打ち消す★★長い地中線・軽負荷時
★★直流送電★★交流でないので充電電流が流れない★★長距離の海底ケーブル
★線路の分割★★1区間を短くする★★途中に変電所を設ける

充電電流は交流特有の現象です——直流なら流れません

だから長距離の海底ケーブルには直流送電が使われます——交流では成り立たないのです。

陸上では分路リアクトルで補うのが一般的です。

公式を3つの形で書いてみる

使いどころ
★線間電圧で★★Qc=ωCV²★★これが最も使いやすい
★相電圧で★★Qc=3ωCE²★★導出のとき
★充電電流から★★Qc=√3VIc★★電流が分かっているとき

3つとも同じものを表しています——与えられた量に合わせて選ぶのです。

本問は静電容量が与えられているので、1番目が最短です。

まとめ

C0.5μF/km×2km=1.0μF
ω2π×60=377rad/s
公式Qc=ωCV²=3ωC(V/√3)²
Qc377×1.0e-6×6600²=16.4kV·A
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・地中ケーブルの充電容量(配電計算34):【電力】平成24年度 A問題11
・誘電体損と充電容量(送電の計算20):【電力】平成27年度 A問題10

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