今回は令和6年度下期 電力科目 A問題10、三相3線式地中電線路の無負荷充電容量を求める計算問題です。ケーブルの静電容量による充電容量の公式を使います。
カギは三相充電容量の公式 Qc=ωCV²(=3ωC·E²、E=V/√3)。線間電圧Vを使うとちょうどωCV²にまとまります。1線当たりの静電容量をこう長分だけ掛けてCを求めるのがポイントです。
出題のポイント:三相ケーブルの充電容量

1線当たりの静電容量をこう長分に直し、三相の式を線間電圧で使える形に変形してから、FとVに換算して代入します。
公式の導出と静電容量の換算

公式に入れる前に、C と ω を用意します。
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★答え
C がちょうど1.0 μF なので、計算が簡単になります——377×43.56 だけです。
10⁻⁶ と 6600² をまとめる工夫は、毎回使えます——6.6 kV なら必ず43.56です。
令和6年度下期 電力科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題10
電験3種 電力科目 【配電の計算】 令和6年度下期 A問題10
電圧6.6kV、周波数60Hz、こう長2kmの交流三相3線式地中電線路がある。ケーブルの心線1線当たりの静電容量を0.5μF/kmとするとき、このケーブルの心線3線を充電するために必要な三相無負荷充電容量の値[kV·A]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 5.5 (2) 8.2 (3) 16.4 (4) 28.4 (5) 49.3
数値代入・単位換算・選択肢照合

| 場面 | 何が困るか |
| ★★線路の充電(送電開始時) | ★★負荷がないのに充電電流が流れる |
| ★★軽負荷時 | ★★進み電流でフェランチ現象が起きる |
| ★★送電容量 | ★★充電電流の分だけ負荷電流を流せない |
| ★遮断器の選定 | ★★充電電流を切る能力が要る |
充電容量は、負荷がなくても必要になる容量です——だから「無負荷」充電容量と呼びます。
変電所の変圧器は、この分も見込んで選びます——設計に直結する数字です。
ケーブルが長くなるほど、この容量が大きくなります——だから長さに限界があるのです。
本問はその見積もりを求めています。
周波数と電圧で充電容量はどう変わるか
| 変える量 | 2倍にすると | 理由 |
| ★周波数 f | ★★2倍 | ★★ω=2πf に比例 |
| ★静電容量 C | ★★2倍 | ★★そのまま比例 |
| ★★線間電圧 V | ★★4倍 | ★★2乗で効く |
| ★こう長 | ★★2倍 | ★★C が比例するから |
電圧だけが2乗で効きます——そこが要注意です。
60 Hz 地域は50 Hz 地域より2割大きくなります——377÷314=1.2です。
だから同じケーブルでも、地域で値が変わります——周波数を読み飛ばさないこと。
問題文の数字がどこに効くかを意識すると、検算しやすくなります。
⚠️ よくある間違い
相電圧を代入する——V は線間電圧です。
こう長を掛け忘れる——0.5×2=1.0 μFです。
μF を直し忘れる——10⁻⁶ を掛けます。
周波数を50 Hz とする——本問は60 Hzです。
3ωCV² としてしまう——3は約分で消えています。
⏱️ 本番での進め方
①★Qc=ωCV²。V は線間電圧。
②★C は1線当たり×こう長。
③★6.6 kV なら 10⁻⁶×6600²=43.56 と覚える。
④★電圧だけが2乗で効く。
💡 覚え方
「ωかけるCかけるV二乗」——3も√3も出てきません。6.6 kV なら43.56——これを覚えると速いのです。
★同型の問題が平成24年度 A問題11(配電の計算:三相充電容量)にあります。50 Hz・1.5 km の場合です。
1線当たりの静電容量という言い方
| 表現 | 意味 | 使い方 |
| ★★心線1線当たり0.5 μF/km | ★★1相分の対地静電容量が1 km で0.5 μF | ★★こう長を掛けてC とする |
| ★3線合計 | ★★1.5 μF/km に相当 | ★★公式には使わない |
公式の C は1相分です——3倍しないこと。
3相分にする作業は、公式の中ですでに済んでいます——3ωCE² の3がそれです。
だから1線当たりの値をそのまま使います。
充電電流を求めてみる
★
2 km のケーブルで1.44 A の充電電流が流れます——負荷がなくてもです。
20 km なら14.4 A になります——こう長に比例するから。
これが送電容量を食う分になります。
なぜ「無負荷」充電容量というのか
| 状態 | 流れる電流 | 必要な容量 |
| ★★無負荷(受電端を開放) | ★★充電電流だけ | ★★これが充電容量 |
| ★負荷あり | ★★負荷電流+充電電流 | ★★合計を見込む |
負荷をつながなくても、線路を充電するだけで電力が要ります——それが無負荷充電容量です。
だから送電を始めるときにも、電源に容量が要ります——変圧器の選定に影響するのです。
この電力は消費されるのではなく、行き来するだけです——無効電力だからです。
計算を速くする2つのこつ
| こつ | 内容 | 効果 |
| ★★10⁻⁶ と V² をまとめる | ★★6.6 kV なら 43.56 | ★★指数の扱いが消える |
| ★★ω を覚えておく | ★★50 Hz=314、60 Hz=377 | ★★2πf の計算が要らない |
この2つを覚えておけば、掛け算1回で答えが出ます——377×1.0×43.56です。
試験では時間が限られています——こうした準備が効いてくるのです。
6.6 kV は配電の標準電圧なので、43.56 は何度も使えます。
地中線の長さに限界がある理由
| こう長 | 充電容量 | 充電電流 | 状況 |
| ★2 km | ★★16.4 kV·A | ★★1.44 A | ★★問題ない |
| ★20 km | ★★164 kV·A | ★★14.4 A | ★★無視できない |
| ★100 km | ★★820 kV·A | ★★72 A | ★★送電容量を大きく食う |
長くなるほど、負荷電流を流せる余地が減ります——充電電流が先に流れるから。
だから長距離の地中送電には限界があります——分路リアクトルで補うのです。
海底ケーブルで直流送電が使われるのも、この理由です。
充電容量を減らす手だて
| 手だて | しくみ | 使う場面 |
| ★★分路リアクトル | ★★遅れ電流で進み電流を打ち消す | ★★長い地中線・軽負荷時 |
| ★★直流送電 | ★★交流でないので充電電流が流れない | ★★長距離の海底ケーブル |
| ★線路の分割 | ★★1区間を短くする | ★★途中に変電所を設ける |
充電電流は交流特有の現象です——直流なら流れません。
だから長距離の海底ケーブルには直流送電が使われます——交流では成り立たないのです。
陸上では分路リアクトルで補うのが一般的です。
公式を3つの形で書いてみる
| 形 | 式 | 使いどころ |
| ★線間電圧で | ★★Qc=ωCV² | ★★これが最も使いやすい |
| ★相電圧で | ★★Qc=3ωCE² | ★★導出のとき |
| ★充電電流から | ★★Qc=√3VIc | ★★電流が分かっているとき |
3つとも同じものを表しています——与えられた量に合わせて選ぶのです。
本問は静電容量が与えられているので、1番目が最短です。
まとめ
| C | 0.5μF/km×2km=1.0μF |
| ω | 2π×60=377rad/s |
| 公式 | Qc=ωCV²=3ωC(V/√3)² |
| Qc | 377×1.0e-6×6600²=16.4kV·A |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・地中ケーブルの充電容量(配電計算34):【電力】平成24年度 A問題11
・誘電体損と充電容量(送電の計算20):【電力】平成27年度 A問題10

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