今回は平成24年度 電力科目 A問題11、三相3線式地中電線路の心線3線を充電するために必要な容量を求める計算問題です。令和6年度下期 A問題10(配電計算8)と同型です。
カギは三相充電容量の公式 Qc=ωCV²(=3ωC·E²、E=V/√3)。線間電圧Vを使うとちょうど ωCV² にまとまります。1線当たりの静電容量にこう長を掛けてCを求めます。
平成24年度 電力科目 A問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題11
電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成24年度 A問題11
電圧6.6[kV]、周波数50[Hz]、こう長1.5[km]の交流三相3線式地中電線路がある。ケーブルの心線1線当たりの静電容量を0.35[μF/km]とするとき、このケーブルの心線3線を充電するために必要な容量[kV·A]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 4.2 (2) 4.8 (3) 7.2 (4) 12 (5) 37

答えは(3):約 7.2 kV・A
三相の充電容量は、線間電圧を使うときれいにまとまります。
★
★
★工夫
★答え
10⁻⁶ と 6600² を先にまとめると、計算が楽になります——43.56という数になるのです。
あとは3つの数を掛けるだけです——電卓なしでも見当がつくのです。
なぜ ωCV² という形になるのか
1相ずつ考えてから3倍すると、√3が消えます。
★
★きれいな形
相電圧の2乗に3を掛けると、ちょうど線間電圧の2乗になります——だから3も√3も消えるのです。
この形を覚えておけば、迷わず計算できます——線間電圧をそのまま入れるだけ。
逆に相電圧を入れると、3分の1になってしまいます——そこが最大の落とし穴です。
3ωCE² と ωCV² は同じものです——どちらで覚えても構いません。
充電電流はどれくらいか
★
| 本問(こう長1.5 km) | こう長を10倍にすると | |
| ★静電容量 | ★★0.525 μF | ★★5.25 μF |
| ★充電容量 | ★★7.2 kV・A | ★★72 kV・A |
| ★充電電流 | ★★0.63 A | ★★6.3 A |
どれもこう長に比例します——静電容量が比例するからです。
短い線路なら、充電電流はごくわずかです——負荷電流に比べれば無視できるのです。
けれども長くなると、無視できない大きさになります——送電容量を食ってしまうのです。
だからケーブルの長さには限界があります。
⚠️ よくある間違い
相電圧を代入する——ωCV² の V は線間電圧です。
こう長を掛け忘れる——0.35×1.5=0.525 μFです。
μF を F に直し忘れる——10⁻⁶ を掛けます。
周波数を60 Hz とする——本問は50 Hzです。
3ωCV² としてしまう——3は約分で消えています。
⏱️ 本番での進め方
①★三相充電容量は Qc=ωCV²(V は線間電圧)。
②★3ωCE² と同じもの。3が約分で消える。
③★C は1線当たり×こう長。
④★10⁻⁶×6600²=43.56 とまとめると速い。
💡 覚え方
「オメガ・シー・ブイ二乗」——3も√3も要りません。V は線間電圧——相電圧を入れると3分の1になるのです。
★同型の問題が令和6年度下期 A問題10(配電の計算:三相無負荷充電容量)にあります。数値が違うだけです。
充電容量と誘電体損の違い
| 充電容量 Qc | 誘電体損 Wd | |
| ★式 | ★★ωCV² | ★★ωCV² tanδ |
| ★中身 | ★★無効電力(進み) | ★★有効電力(熱になる) |
| ★単位 | ★★var(kV・A で表すことも) | ★★W |
| ★関係 | ★★基準になる量 | ★★充電容量に tanδ を掛けたもの |
誘電体損は、充電容量に誘電正接を掛けたものです——だから式がよく似ているのです。
tanδ は0.001程度なので、誘電体損はごく小さい——けれども長いケーブルでは効いてくるのです。
問われている量がどちらかを、必ず確かめましょう。
周波数が50 Hz であることの意味
| 周波数 | ω=2πf | 同じ条件での充電容量 |
| ★★50 Hz | ★★314.2 rad/s | ★★基準 |
| ★★60 Hz | ★★377.0 rad/s | ★★1.2倍 |
60 Hz 地域では、同じケーブルでも2割大きくなります——377÷314=1.2です。
だから問題文の周波数を読み飛ばせません——答えが2割ずれるのです。
ケーブルの静電容量が大きい理由
| 架空送電線 | ケーブル | |
| ★導体と接地面の距離 | ★★数メートル | ★★数ミリメートル |
| ★間にあるもの | ★★空気(比誘電率1) | ★★架橋ポリエチレン(約2.3) |
| ★1 km 当たりの静電容量 | ★★0.01 μF 程度 | ★★0.3〜0.5 μF 程度 |
ケーブルは導体のすぐ外側が遮へい層で接地されています——だから距離が極端に近いのです。
しかも間に誘電体が入るので、さらに大きくなります——数十倍の差になります。
だから充電容量が問題になるのは、主に地中線です——本問も地中電線路です。
数値の桁を見当づける
| 量 | 本問の値 | 桁の感覚 |
| ★静電容量 | ★★0.525 μF | ★★マイクロファラド級 |
| ★角周波数 | ★★314 rad/s | ★★300前後 |
| ★線間電圧の2乗 | ★★43.56×10⁶ | ★★4千万 |
| ★充電容量 | ★★7.2 kV・A | ★★数キロ |
10⁻⁶ と 10⁶ が打ち消し合うので、答えは数千の桁になります——キロボルトアンペア級です。
選択肢が4.2から37まで並んでいるので、桁は合っています——あとは係数の計算だけ。
選択肢から誤りの型を読み取る
| 選択肢 | どんな誤りで出てくるか |
| ★(1) 4.2 | ★★こう長を掛け忘れに近い値 |
| ★(2) 4.8 | ★★周波数を取り違えた場合など |
| ★★(3) 7.2 | ★★正解 |
| ★(4) 12 | ★★係数を取り違えた場合 |
| ★(5) 37 | ★★3を余分に掛けた場合に近い |
選択肢には、よくある誤りの結果が並べてあります——だから近い値が複数あるのです。
3ωCV² としてしまうと、3倍の21.6に近い値を探すことになります——公式の形を正確に。
計算したら、どの誤りをしていないか確かめましょう。
まとめ
| C | 0.35μF/km×1.5km=0.525μF |
| ω | 2π×50=314.16rad/s |
| 公式 | Qc=ωCV² |
| Qc | 314.16×0.525e-6×6600²=7.2kV·A |
| 答え | (3) |
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