配電計算35【電験3種 電力】単相3線式!Va=98.6V・Vb=96.2V・一次電流3.12A 平成23年度 A問題9 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 平成23年度 A問題9 単相3線式の左右で電圧が違う!一次電流は?

今回は平成23年度 電力科目 A問題9、単相3線式配電線路の各線に流れる電流・負荷電圧(Va・Vb)と変圧器の一次電流を求める計算問題です。

ポイントは各負荷がどの線間に接続されているかを読み取ること。負荷1(L1-N・50A)、負荷2(N-L2・60A)、負荷3(L1-L2両線間・40A)から各線電流を求め、線路抵抗0.08Ωで電圧降下を計算、一次電流は電力バランスで求めます。

目次

答えは(1):Va=98.6 V、Vb=96.2 V、I₁=3.12 A

どの負荷がどの線間につながっているかを読み取ります

負荷接続電流どの線を流れるか
★負荷1★★L₁−N間★★50 A★★L₁線と中性線
★負荷2★★N−L₂間★★60 A★★中性線とL₂線
★負荷3★★L₁−L₂間★★40 A★★L₁線とL₂線(中性線は通らない)
\( I_{L1}=50+40=90\ \mathrm{A} \)
負荷1と負荷3
\( I_{L2}=60+40=100\ \mathrm{A} \)
負荷2と負荷3
\( I_N=|50-60|=10\ \mathrm{A} \)
負荷1と負荷2の差
★負荷3は通らない
\( V_a=105-90\times 0.08+10\times 0.08=98.6\ \mathrm{V} \)
L₁側
\( V_b=105-100\times 0.08-10\times 0.08=96.2\ \mathrm{V} \)
L₂側

負荷3は両外線につながるので、中性線を通りません——だから中性線には現れないのです。

中性線の電流は、負荷1と負荷2の差だけです——10 Aになります。

中性線の電流は、L₁側では電圧を上げ、L₂側では下げます——向きが逆だから。

平成23年度 電力科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成23年度 A問題9 問題文
平成23年度 電力科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題9

電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成23年度 A問題9

 一次電圧6400[V]、二次電圧210[V]/105[V]の柱上変圧器がある。図のような単相3線式配電線路において三つの無誘導負荷が接続されている。負荷1の電流は50[A]、負荷2の電流は60[A]、負荷3の電流は40[A]である。L₁とN間の電圧Va[V]、L₂とN間の電圧Vb[V]、及び変圧器の一次電流I₁[A]の値の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、変圧器から低圧負荷までの電線1線当たりの抵抗を0.08[Ω]とし、変圧器の励磁電流、インピーダンス、低圧配電線のリアクタンス、及びC点から負荷側線路のインピーダンスは考えないものとする。負荷1はL₁-N間、負荷2はN-L₂間、負荷3はL₁-L₂両線間に接続されている。

一次電圧6400[V]、二次電圧210[V]/105[V]の柱上変圧器がある。図のような単相3線式配電線路において三つの無誘導負荷が接続されている。負荷1の電流は50[A]、負荷2の電流は60[A]、負荷3の電流は40[A]である。L₁とN間の電圧Va[V]、L₂とN間の電圧Vb[V]、及び変圧器の一次電流I₁[A]の値の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、変圧器から低圧負荷までの電線1線当たりの抵抗を0.08[Ω]とし、変圧器の励磁電流、インピーダンス、低圧配電線のリアクタンス、及びC点から負荷側線路のインピーダンスは考えないものとする。(負荷1:L1-N、負荷2:N-L2、負荷3:L1-L2両線間)

VaVbI₁
(1)98.696.23.12
(2)97.097.83.28
(3)97.097.82.95
(4)96.298.63.12
(5)98.696.23.28
平成23年度 A問題9 柱上変圧器と単相3線式配電線路(負荷1〜3)
平成23年度 A問題9 柱上変圧器と単相3線式配電線路(負荷1〜3)
平成23年度 A問題9 柱上変圧器と単相3線式配電線路(負荷1〜3)
平成23年度 A問題9 柱上変圧器と単相3線式配電線路(負荷1〜3)
答えVa=98.6 V、Vb=96.2 Vです。

一次電流は電力のつり合いから

\( P_{負荷}=98.6\times 50+96.2\times 60+(98.6+96.2)\times 40 \)
3つの負荷の消費電力
\( =4930+5772+7792=18494\ \mathrm{W} \)
合計
\( P_{loss}=(90^2+100^2+10^2)\times 0.08 \)
線路損失
\( =18200\times 0.08=1456\ \mathrm{W} \)
計算する
\( P_1=18494+1456=19950\ \mathrm{W} \)
一次側の電力
\( I_1=\dfrac{19950}{6400}\fallingdotseq 3.12\ \mathrm{A} \)
一次電流
★答え

一次側の電力は、負荷の電力と線路損失の合計です——どちらも一次側から供給されるのです。

線路損失を忘れると、2.89 A になってしまいます——選択肢にない値です。

負荷3の電圧は Va+Vb=194.8 V です——両外線の間だから。

答え一次電流は約 3.12 Aです。

両外線につながる負荷の扱い

L₁−N間の負荷L₁−L₂間の負荷
★かかる電圧★★約105 V★★約210 V
★流れる線★★L₁と中性線★★L₁とL₂
★中性線への影響★★電流が流れる★★流れない
★不平衡への影響★★不平衡を生む★★両外線に等しく流れるので生まない

200 V の機器は、両外線につながります——エアコンやIH調理器です。

そういう負荷は、中性線に電流を流しません——両側に同じだけ流れるから。

だから不平衡も生みません——200 V 化が平衡にも有利な理由です。

本問はその性質を計算で確かめる問題になっています

⚠️ よくある間違い
負荷3を中性線に含める——両外線間なので通りません
中性線の電流を110 A とする——差の10 Aです。
一次電流で線路損失を忘れる——2.89 A になってしまう
Va とVb を取り違える——電流の大きいL₂側が低い
負荷3の電圧を105 V とする——Va+Vb です

⏱️ 本番での進め方
①★両外線間の負荷は中性線を通らない。
②★中性線の電流は片側負荷どうしの差。
③★中性線の降下は片側で加算、他方で減算。
④★一次電流は負荷電力+線路損失から求める。

💡 覚え方
「200 V 負荷は中性線を通らない」——だから不平衡も生みません一次電流は損失も含めて——忘れると答えが合わないのです。

単相3線式の損失計算は令和4年度下期 B問題17配電の計算:単相3線式の損失と中性線断線)にあります。

中性線の電圧降下の向き

L₁側(Va)L₂側(Vb)
★外線での降下★★−90×0.08=−7.2 V★★−100×0.08=−8.0 V
★中性線での影響★★+10×0.08=+0.8 V★★−10×0.08=−0.8 V
★結果★★98.6 V★★96.2 V

中性線の電流は、片側では電位を上げ、他方では下げます——向きが逆だから。

だからVa は上がり、Vb は下がります——不平衡の現れ方です。

負荷2(60 A)のほうが重いので、L₂側の電圧が低くなります

無誘導負荷という条件

無誘導負荷誘導性負荷
★力率★★1.0★★1より小さい
★電流の向き★★電圧と同相★★遅れる
★計算★★算術和でよい★★ベクトル和が必要

無誘導負荷とは、力率1の抵抗負荷のことです——電熱器や白熱電球など。

だから電流をそのまま足し引きできます——計算が簡単になります。

リアクタンスも無視するとあるので、抵抗だけで解けます

選択肢の組合せから絞る

選択肢VaVb判断
★★(1)★★98.6★★96.2★★正解
★(2)(3)★★97.0★★97.8★★Vb>Va は不自然
★(4)★★96.2★★98.6★★VaとVbが逆
★(5)★★98.6★★96.2★★I₁ が3.28で違う

L₂側のほうが電流が大きいので、Vb < Va になるはずです——それだけで絞れるのです。

残るのは(1)と(5)で、一次電流の違いだけ——そこを計算すればよいのです。

電圧の大小関係から見当をつけるのが、速く解くこつです

一次電流を求める別の考え方

考え方注意
★★電力のつり合い★★P₁=負荷電力+線路損失★★損失を忘れない
★巻数比から★★使えない★★不平衡なので単純換算できない

単相3線式で不平衡なので、巻数比だけでは一次電流が出せません——電力で考えるのです。

理想変圧器なので、一次電力=二次側で消費される全電力になります

線路損失も二次側で消費されるので、含める必要があります

単相3線式の電圧が110Vでない理由

二次側の定格負荷端の電圧
★L₁−N間★★105 V★★98.6 V
★N−L₂間★★105 V★★96.2 V
★L₁−L₂間★★210 V★★194.8 V

変圧器の二次側は105 V ですが、線路で降下して負荷端では下がります

本問では6〜9 V も下がっており、許容範囲(95〜107 V)のぎりぎりです。

負荷が重いと、こうした低電圧が問題になります——タップ調整などで対策します。

まとめ

L1電流負荷1+負荷3=90A
L2電流負荷2+負荷3=100A
N電流|50−60|=10A
Va105−90·0.08+0.8=98.6V
Vb105−100·0.08−0.8=96.2V
I1105(90+100)/6400=3.12A
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・単相3線式の損失(配電計算15):【電力】令和4年度下期 B問題17
・バランサと不平衡(配電計算27):【電力】平成28年度 B問題17

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