今回は平成23年度 電力科目 B問題16、変圧器の二次側線路で三相短絡が起きたときの短絡電流と母線電圧の低下を求める計算問題です。令和7年度上期 B問題16(配電計算6)と同型で、数値のみ異なります。
ポイントは変圧器インピーダンスを二次側(22kV)に換算(÷a²=÷9)して線路と合成すること。短絡電流は相電圧÷|Z|、母線電圧は短絡電流×線路インピーダンスで求めます。
平成23年度 電力科目 B問題16:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題16
電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成23年度 B問題16
変電所に設置された一次電圧66[kV]、二次電圧22[kV]、容量50[MV·A]の三相変圧器に、22[kV]の無負荷の線路が接続されている。その線路が、変電所から負荷側500[m]の地点で三相短絡を生じた。三相変圧器の結線は、一次側と二次側がY-Y結線となっている。ただし、一次側からみた変圧器の1相当たりの抵抗は0.018[Ω]、リアクタンスは8.73[Ω]、故障が発生した線路の1線当たりのインピーダンスは(0.20+j0.48)[Ω/km]とし、変圧器一次電圧側の線路インピーダンス及びその他の値は無視するものとする。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 短絡電流[kA]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.83 (2)1.30 (3)1.42 (4)4.00 (5)10.5 kA
(b) 短絡前に、22[kV]に保たれていた三相変圧器の母線の線間電圧は、三相短絡故障したとき、何[kV]に低下するか。電圧[kV]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)2.72 (2)4.71 (3)10.1 (4)14.2 (5)17.3 kV

(a) の答えは(5):約 10.5 kA
変圧器のインピーダンスを二次側に換算するのが第一歩です。
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★答え
短絡電流は相電圧を1相分のインピーダンスで割って求めます——線間電圧ではないことに注意。
抵抗分は0.102 Ω とごく小さく、ほぼリアクタンスだけです——|Z|が1.21とほぼ同じになります。
(b) の答えは(2):約 4.71 kV
母線の電圧は、線路インピーダンスでの電圧降下分だけ残ります。
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★答え
| 短絡前 | 短絡時 | |
| ★母線の線間電圧 | ★★22 kV | ★★4.71 kV |
| ★低下の割合 | ★— | ★★21 %まで落ちる |
短絡点では電圧がゼロになります——そこから線路の分だけ電圧が戻るのです。
母線と短絡点の間にあるのが線路インピーダンスです——その電圧降下分が母線に残るのです。
22 kV が4.71 kV まで落ちるので、影響は極めて大きい——だから速く切る必要があるのです。
巻数比の2乗で割る理由
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電圧が a 分の1、電流が a 倍になります——だからインピーダンスは a² 分の1です。
本問では a=3 なので、9で割ります——8.73 が0.97 になるのです。
逆に一次側へ換算するなら a² を掛けます——向きを間違えないことです。
どちら側で計算するかを最初に決めるのがこつです。
⚠️ よくある間違い
変圧器のZ をそのまま足す——二次側に換算してからです。
a² ではなく a で割る——2乗で割ります。
短絡電流に線間電圧を使う——相電圧22000/√3です。
こう長500 m を0.5 km に直し忘れる——Ω/km なのでです。
(b)で相電圧のまま答える——線間電圧なので√3倍です。
⏱️ 本番での進め方
①★変圧器のZ は Z₁/a² で二次側へ換算する。
②★短絡電流=相電圧÷合成インピーダンスの大きさ。
③★母線電圧=短絡電流×線路インピーダンス。
④★最後に√3倍して線間電圧にする。
💡 覚え方
「エーの2乗で割って二次側へ」——66/22=3 なので9で割るのです。短絡電流は相電圧を使う——1相分の回路だからです。
★同型の問題が令和7年度上期 B問題16(配電の計算:変圧器の二次換算と短絡電流)にあります。
Y−Y結線という条件
| Y結線 | Δ結線 | |
| ★線間電圧と相電圧 | ★★線間=√3×相電圧 | ★★等しい |
| ★1相分の回路 | ★★相電圧で考える | ★★線間電圧で考える |
Y−Y結線なので、1相分は相電圧で扱います——22000/√3=12702 Vです。
変圧器の「1相当たり」のインピーダンスも、この相回路に対応します。
結線を確かめないと、√3の扱いを間違えます。
無負荷の線路という条件
| 無負荷 | 負荷あり | |
| ★短絡前の電流 | ★★ゼロ | ★★負荷電流が流れる |
| ★短絡電流の計算 | ★★短絡電流だけを考えればよい | ★★負荷電流も重なる |
無負荷なので、短絡前は電流が流れていません——計算が単純になるのです。
短絡電流は負荷電流よりはるかに大きいので、実務でも負荷分は無視します。
問題文の条件は、計算を成り立たせるためのものです。
短絡点からの距離で電流が変わる
| 短絡点 | 線路インピーダンス | 短絡電流 |
| ★母線直近(0 m) | ★★0 | ★★12.7 kA |
| ★★500 m(本問) | ★★0.26 Ω | ★★10.5 kA |
| ★2000 m | ★★1.04 Ω | ★★6.2 kA |
遠いほど線路インピーダンスが増え、短絡電流は小さくなります——電源から遠いほど弱いのです。
母線直近なら変圧器のインピーダンスだけなので最大になります——12.7 kAです。
だから遮断器の定格は、最も厳しい母線直近で決めます。
複素数のまま計算するか大きさで計算するか
| 複素数のまま | 大きさだけ | |
| ★合成 | ★★実部と虚部を別々に足す | ★★足せない |
| ★短絡電流 | ★★最後に絶対値を取る | ★★— |
インピーダンスの合成は、必ず複素数のまま行います——向きが違うからです。
絶対値を取るのは合成し終えた後の1回だけ——途中で取ると誤差が出るのです。
計算の流れを1枚で見る
| 段階 | すること | 本問の値 |
| ★① | ★★変圧器Zを二次側へ換算 | ★★0.002+j0.97 Ω |
| ★② | ★★線路Zを求める | ★★0.10+j0.24 Ω |
| ★③ | ★★合成して絶対値を取る | ★★1.214 Ω |
| ★④ | ★★相電圧÷|Z|で短絡電流 | ★★10.5 kA |
| ★⑤ | ★★短絡電流×線路|Z|で母線相電圧 | ★★2720 V |
| ★⑥ | ★★√3倍して線間電圧 | ★★4.71 kV |
6段階ですが、どれも決まった手順です——迷うところがないのです。
①の換算と⑥の√3倍が、忘れやすい2か所です——そこを意識するのです。
オーム法で解く短絡電流の問題の型として覚えましょう。
まとめ
| 変圧器Z(2次) | (0.018+j8.73)/9=0.002+j0.97Ω |
| 線路Z | (0.20+j0.48)×0.5=0.10+j0.24Ω |
| |合成Z| | 1.214Ω |
| (a)短絡電流 | (22000/√3)/1.214=10.5kA |
| (b)母線電圧 | √3·10460·0.26=4.71kV |
| 答え | (a)-(5),(b)-(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・変圧器Zと三相短絡(配電計算6):【電力】令和7年度上期 B問題16
・%Zと三相短絡電流(配電計算1):【電力】令和7年度下期 A問題12

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