配電計算37【電験3種 電力】昇圧器を含む単相2線式!V2=6784V・送電端Vs=7016V 平成23年度 B問題17 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 平成23年度 B問題17 途中に昇圧器がある線路!送電端は7016V

今回は平成23年度 電力科目 B問題17、途中に昇圧器(6300V/6900V)を含む単相2線式配電線の電圧を求める計算問題です。昇圧器の変圧比と電流換算がポイントです。

解き方は受電端から順に上流へ。(a)は下流2kmの電圧降下からV2を求める。(b)はV2を昇圧比で一次側V1に換算、電流も昇圧比で換算し、上流3kmの電圧降下を足して送電端Vsを求めます。

目次

(a) の答えは(3):約 6784 V

受電端から上流へさかのぼって計算します

\( I_2=\dfrac{300000}{6600}\fallingdotseq 45.45\ \mathrm{A} \)
力率1なので電力÷電圧
\( R=2\times 1\times 2=4\ \Omega \)
単相2線式・2 km(往復)
\( v=45.45\times 4\fallingdotseq 181.8\ \mathrm{V} \)
力率1なのでXは効かない
\( V_2=6600+181.8\fallingdotseq 6784\ \mathrm{V} \)
受電端に降下分を足す
★答え

受電端より上流なので、電圧降下を足します——さかのぼる向きだから。

単相2線式なので、抵抗は往復2線分です——1 Ω/km×2 km×2=4 Ω

平成23年度 電力科目 B問題17:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成23年度 B問題17 問題文
平成23年度 電力科目 B問題17 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17

電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成23年度 B問題17

 単相2線式配電線があり、この末端に300[kW]の需要家がある。この配電線の途中、図に示す位置に6300[V]/6900[V]の昇圧器を設置して受電端電圧を6600[V]に保つとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、配電線の1線当たりの抵抗は1[Ω/km]、リアクタンスは1.5[Ω/km]とし、昇圧器のインピーダンスは無視するものとする。送電端から昇圧器一次までが3km、昇圧器二次から需要家までが2kmである。

単相2線式配電線があり、この末端に300[kW]の需要家がある。この配電線の途中、図に示す位置に6300[V]/6900[V]の昇圧器を設置して受電端電圧を6600[V]に保つとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、配電線の1線当たりの抵抗は1[Ω/km]、リアクタンスは1.5[Ω/km]とし、昇圧器のインピーダンスは無視するものとする。(送電端-昇圧器一次3km、昇圧器二次-需要家2km)

(a) 末端の需要家が力率1の場合、受電端電圧を6600[V]に保つとき、昇圧器の二次側の電圧V₂[V]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)6691 (2)6757 (3)6784 (4)6873 (5)7055 V

(b) 末端の需要家が遅れ力率0.8の場合、受電端電圧を6600[V]に保つとき、送電端の電圧Vs[V]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)6491 (2)6519 (3)6880 (4)7016 (5)7189 V

平成23年度 B問題17 昇圧器を含む単相2線式配電線
平成23年度 B問題17 昇圧器を含む単相2線式配電線
平成23年度 B問題17 昇圧器を含む単相2線式配電線
平成23年度 B問題17 昇圧器を含む単相2線式配電線
答え(a) 昇圧器二次側の電圧は約 6784 Vです。

(b) の答えは(4):約 7016 V

昇圧器で電圧と電流を換算するのが要点です

\( I_2=\dfrac{300000}{6600\times 0.8}\fallingdotseq 56.82\ \mathrm{A} \)
力率0.8のときの電流
\( R=4\ \Omega,\quad X=2\times 1.5\times 2=6\ \Omega \)
下流2 km(往復)
\( v=56.82(4\times 0.8+6\times 0.6)=56.82\times 6.8\fallingdotseq 386\ \mathrm{V} \)
下流の電圧降下
\( V_2=6600+386\fallingdotseq 6986\ \mathrm{V} \)
昇圧器二次側
\( V_1=6986\times\dfrac{6300}{6900}\fallingdotseq 6379\ \mathrm{V} \)
昇圧比で一次側へ
★ここが要点
\( I_1=56.82\times\dfrac{6900}{6300}\fallingdotseq 62.2\ \mathrm{A} \)
電流は逆比で増える
\( R=6\ \Omega,\quad X=9\ \Omega \)
上流3 km(往復)
\( v=62.2(6\times 0.8+9\times 0.6)=62.2\times 10.2\fallingdotseq 635\ \mathrm{V} \)
上流の電圧降下
\( V_s=6379+635\fallingdotseq 7016\ \mathrm{V} \)
送電端電圧
★答え

昇圧器を通るとき、電圧は比で下がり電流は比で増えます——電力は変わらないから。

6900 V 側から6300 V 側へ戻るので、電圧は0.913倍——電流は1.095倍になります。

答え(b) 送電端の電圧は約 7016 Vです。

昇圧器という機器

項目内容
★何をするか★★配電線の途中で電圧を持ち上げる
★本問の変圧比★★6300 V/6900 V(約1.095倍)
★置く場所★★電圧が下限に近づく手前
★代表例★★SVR(線路用電圧調整器)

長い配電線では、末端の電圧が下がりすぎます——そこで途中で持ち上げるのです。

昇圧器を通ると、そこから先の電圧が段差状に上がります——1.095倍になります。

本問では、それによって受電端を6600 V に保っています——昇圧器がなければもっと低いのです。

実際の配電線でも使われる、現実的な設定です

⚠️ よくある間違い
電圧降下を引いてしまう——上流へさかのぼるので足します
単相2線式で2倍にし忘れる——往復2線分です。
昇圧比を逆にする——二次から一次へは6300/6900
電流を換算し忘れる——一次側では1.095倍になります。
(a)でリアクタンスを使う——力率1なので効きません

⏱️ 本番での進め方
①★受電端から上流へは電圧降下を足す。
②★単相2線式の抵抗・リアクタンスは往復2線分。
③★昇圧器では電圧は比で、電流は逆比で換算する。
④★力率1なら X の項は消える。

💡 覚え方
「電圧は下げ、電流は上げて一次側へ」——電力が変わらないからです。上流へは足し算——さかのぼる向きだから。

単相2線式の電圧降下は令和3年度 B問題17配電の計算:単相2線式の電圧降下率)にもあります。

昇圧器の一次と二次を取り違えない

向き電圧電流
★一次→二次(昇圧)★★6900/6300倍★★6300/6900倍
★★二次→一次(本問(b))★★6300/6900倍★★6900/6300倍

本問は受電端から上流へさかのぼるので、二次→一次の向きです

電圧は下がり、電流は増えます——電力が変わらないから。

向きを間違えると、答えが大きくずれます

力率1と力率0.8で何が変わるか

(a) 力率1(b) 力率0.8
★電流★★45.45 A★★56.82 A
★係数★★R のみ★★Rcosθ+Xsinθ
★下流の降下★★181.8 V★★386 V

力率が悪くなると電流も増え、係数も大きくなります——二重に効くのです。

だから電圧降下が2倍以上になります——181.8から386 V へ

昇圧器を置く意味

昇圧器なし昇圧器あり(本問)
★受電端電圧★★大きく下がる★★6600 V に保てる
★送電端電圧★★もっと高くする必要がある★★7016 V で足りる

昇圧器がなければ、送電端をさらに高くしなければなりません——手前の需要家が過電圧になります。

途中で持ち上げることで、全体の電圧を適正範囲に収められます

これがSVRを線路の途中に置く理由と同じ考え方です

計算の順序をまとめる

段階すること
★①★★受電端の電流を求める
★②★★下流区間の電圧降下を足して V₂ を出す
★③★★昇圧比で V₁ と I₁ に換算する
★④★★上流区間の電圧降下を足して Vs を出す

受電端から上流へ、一方通行でたどるだけです——後戻りはありません

③の換算が、この問題で唯一の特別な操作です——あとは電圧降下の計算

手順を覚えれば、昇圧器がいくつあっても同じです

昇圧器のインピーダンスを無視する前提

無視する場合(本問)考える場合
★昇圧器での電圧降下★★ゼロ★★少し下がる
★計算★★変圧比だけで換算できる★★降下分も足す

問題文が「昇圧器のインピーダンスは無視する」と断っています——だから比だけで済むのです。

実際の昇圧器にも内部インピーダンスがありますが、線路に比べれば小さいのです。

但し書きが計算を成り立たせています

まとめ

(a)I2300000/6600=45.45A
(a)V26600+45.45×4=6784V
(b)I2300000/(6600·0.8)=56.82A
(b)V26600+386.4=6986V
V1・I16986×6300/6900=6379V・62.2A
(b)Vs6379+635=7016V
答え(a)-(3),(b)-(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・単相2線式の電圧降下(配電計算17):【電力】令和3年度 B問題17
・単相2線式の電圧降下(配電計算38):【電力】平成22年度 B問題17

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