今回は平成23年度 電力科目 B問題17、途中に昇圧器(6300V/6900V)を含む単相2線式配電線の電圧を求める計算問題です。昇圧器の変圧比と電流換算がポイントです。
解き方は受電端から順に上流へ。(a)は下流2kmの電圧降下からV2を求める。(b)はV2を昇圧比で一次側V1に換算、電流も昇圧比で換算し、上流3kmの電圧降下を足して送電端Vsを求めます。
(a) の答えは(3):約 6784 V
受電端から上流へさかのぼって計算します。
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★答え
受電端より上流なので、電圧降下を足します——さかのぼる向きだから。
単相2線式なので、抵抗は往復2線分です——1 Ω/km×2 km×2=4 Ω。
平成23年度 電力科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17
電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成23年度 B問題17
単相2線式配電線があり、この末端に300[kW]の需要家がある。この配電線の途中、図に示す位置に6300[V]/6900[V]の昇圧器を設置して受電端電圧を6600[V]に保つとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、配電線の1線当たりの抵抗は1[Ω/km]、リアクタンスは1.5[Ω/km]とし、昇圧器のインピーダンスは無視するものとする。送電端から昇圧器一次までが3km、昇圧器二次から需要家までが2kmである。
単相2線式配電線があり、この末端に300[kW]の需要家がある。この配電線の途中、図に示す位置に6300[V]/6900[V]の昇圧器を設置して受電端電圧を6600[V]に保つとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、配電線の1線当たりの抵抗は1[Ω/km]、リアクタンスは1.5[Ω/km]とし、昇圧器のインピーダンスは無視するものとする。(送電端-昇圧器一次3km、昇圧器二次-需要家2km)
(a) 末端の需要家が力率1の場合、受電端電圧を6600[V]に保つとき、昇圧器の二次側の電圧V₂[V]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)6691 (2)6757 (3)6784 (4)6873 (5)7055 V
(b) 末端の需要家が遅れ力率0.8の場合、受電端電圧を6600[V]に保つとき、送電端の電圧Vs[V]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)6491 (2)6519 (3)6880 (4)7016 (5)7189 V



(b) の答えは(4):約 7016 V
昇圧器で電圧と電流を換算するのが要点です。
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★ここが要点
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★答え
昇圧器を通るとき、電圧は比で下がり電流は比で増えます——電力は変わらないから。
6900 V 側から6300 V 側へ戻るので、電圧は0.913倍——電流は1.095倍になります。
昇圧器という機器
| 項目 | 内容 |
| ★何をするか | ★★配電線の途中で電圧を持ち上げる |
| ★本問の変圧比 | ★★6300 V/6900 V(約1.095倍) |
| ★置く場所 | ★★電圧が下限に近づく手前 |
| ★代表例 | ★★SVR(線路用電圧調整器) |
長い配電線では、末端の電圧が下がりすぎます——そこで途中で持ち上げるのです。
昇圧器を通ると、そこから先の電圧が段差状に上がります——1.095倍になります。
本問では、それによって受電端を6600 V に保っています——昇圧器がなければもっと低いのです。
実際の配電線でも使われる、現実的な設定です。
⚠️ よくある間違い
電圧降下を引いてしまう——上流へさかのぼるので足します。
単相2線式で2倍にし忘れる——往復2線分です。
昇圧比を逆にする——二次から一次へは6300/6900。
電流を換算し忘れる——一次側では1.095倍になります。
(a)でリアクタンスを使う——力率1なので効きません。
⏱️ 本番での進め方
①★受電端から上流へは電圧降下を足す。
②★単相2線式の抵抗・リアクタンスは往復2線分。
③★昇圧器では電圧は比で、電流は逆比で換算する。
④★力率1なら X の項は消える。
💡 覚え方
「電圧は下げ、電流は上げて一次側へ」——電力が変わらないからです。上流へは足し算——さかのぼる向きだから。
単相2線式の電圧降下は令和3年度 B問題17(配電の計算:単相2線式の電圧降下率)にもあります。
昇圧器の一次と二次を取り違えない
| 向き | 電圧 | 電流 |
| ★一次→二次(昇圧) | ★★6900/6300倍 | ★★6300/6900倍 |
| ★★二次→一次(本問(b)) | ★★6300/6900倍 | ★★6900/6300倍 |
本問は受電端から上流へさかのぼるので、二次→一次の向きです。
電圧は下がり、電流は増えます——電力が変わらないから。
向きを間違えると、答えが大きくずれます。
力率1と力率0.8で何が変わるか
| (a) 力率1 | (b) 力率0.8 | |
| ★電流 | ★★45.45 A | ★★56.82 A |
| ★係数 | ★★R のみ | ★★Rcosθ+Xsinθ |
| ★下流の降下 | ★★181.8 V | ★★386 V |
力率が悪くなると電流も増え、係数も大きくなります——二重に効くのです。
だから電圧降下が2倍以上になります——181.8から386 V へ。
昇圧器を置く意味
| 昇圧器なし | 昇圧器あり(本問) | |
| ★受電端電圧 | ★★大きく下がる | ★★6600 V に保てる |
| ★送電端電圧 | ★★もっと高くする必要がある | ★★7016 V で足りる |
昇圧器がなければ、送電端をさらに高くしなければなりません——手前の需要家が過電圧になります。
途中で持ち上げることで、全体の電圧を適正範囲に収められます。
これがSVRを線路の途中に置く理由と同じ考え方です。
計算の順序をまとめる
| 段階 | すること |
| ★① | ★★受電端の電流を求める |
| ★② | ★★下流区間の電圧降下を足して V₂ を出す |
| ★③ | ★★昇圧比で V₁ と I₁ に換算する |
| ★④ | ★★上流区間の電圧降下を足して Vs を出す |
受電端から上流へ、一方通行でたどるだけです——後戻りはありません。
③の換算が、この問題で唯一の特別な操作です——あとは電圧降下の計算。
手順を覚えれば、昇圧器がいくつあっても同じです。
昇圧器のインピーダンスを無視する前提
| 無視する場合(本問) | 考える場合 | |
| ★昇圧器での電圧降下 | ★★ゼロ | ★★少し下がる |
| ★計算 | ★★変圧比だけで換算できる | ★★降下分も足す |
問題文が「昇圧器のインピーダンスは無視する」と断っています——だから比だけで済むのです。
実際の昇圧器にも内部インピーダンスがありますが、線路に比べれば小さいのです。
但し書きが計算を成り立たせています。
まとめ
| (a)I2 | 300000/6600=45.45A |
| (a)V2 | 6600+45.45×4=6784V |
| (b)I2 | 300000/(6600·0.8)=56.82A |
| (b)V2 | 6600+386.4=6986V |
| V1・I1 | 6986×6300/6900=6379V・62.2A |
| (b)Vs | 6379+635=7016V |
| 答え | (a)-(3),(b)-(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・単相2線式の電圧降下(配電計算17):【電力】令和3年度 B問題17
・単相2線式の電圧降下(配電計算38):【電力】平成22年度 B問題17

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