今回は平成22年度 電力科目 B問題17、分岐のある単相2線式配電線路の電圧降下と負荷電流、リアクタンスを考慮した電圧差を求める計算問題です。
ポイントは単相2線式の線間電圧降下=2×(1線の電圧降下)(往復)。(a)は与えられた電圧差と各区間の抵抗から負荷電流を逆算。(b)はリアクタンスも含めた往復インピーダンスで電圧差を求めます。
(a) の答えは(2):vbc=2.25 V、ib=ic=25 A
単相2線式では、線間の電圧降下が1線の2倍になります。
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★答え
与えられた電圧差12.0 V は線間の値です——1線あたりでは6.0 Vになります。
a−b間には両方の負荷が流れ、b−c間はC負荷だけです——だから差がibになります。
平成22年度 電力科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17
電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成22年度 B問題17
図は単相2線式の配電線路の単線図である。電線1線当たりの抵抗と長さは、a-b間で0.3[Ω/km]・250[m]、b-c間で0.9[Ω/km]・100[m]とする。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) b-c間の1線の電圧降下vbc[V]及び負荷Bと負荷Cの負荷電流ib、ic[A]として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。ただし、給電点aの線間の電圧値と負荷点cの線間の電圧値の差を12.0[V]とし、a-b間の1線の電圧降下vab=3.75[V]とする。負荷の力率はいずれも100[%]、線路リアクタンスは無視するものとする。
vbc ib ic (1) 2.25 10.0 40.0 (2) 2.25 25.0 25.0 (3) 4.50 10.0 25.0 (4) 4.50 0.0 50.0 (5) 8.25 50.0 91.7 (b) 次に、図の配電線路で抵抗に加えてa-c間の往復線路のリアクタンスを考慮する。このリアクタンスを0.1[Ω]とし、b点には無負荷でib=0[A]、c点には受電電圧が100[V]、遅れ力率0.8、1.5[kW]の負荷が接続されているものとする。このとき、給電点aの線間の電圧値と負荷点cの線間の電圧値の差[V]として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)3.0 (2)4.9 (3)5.3 (4)6.1 (5)37.1 V



(b) の答えは(4):約 6.1 V
リアクタンスを含めた往復インピーダンスで計算します。
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★答え
b点が無負荷なので、全電流がa→cを流れます——区間を分ける必要がないのです。
抵抗は2倍しますが、リアクタンスは往復値が与えられています——2倍しないことに注意。
問題文が「往復線路のリアクタンス」と断っているのはそのためです。
1線の降下と線間の降下
| 1線の電圧降下 | 線間の電圧降下 | |
| ★式 | ★★IR | ★★2IR |
| ★本問(a) | ★★vab=3.75 V、vbc=2.25 V | ★★合計12.0 V |
| ★理由 | ★★行きの1本分 | ★★行きと帰りの2本分 |
単相2線式では、電流が行って帰ってきます——だから2本で降下が生じるのです。
問題文の vab は1線の降下と書かれています——線間ではないことに注意。
与えられた12.0 V は線間なので、2で割って1線あたりにします——そこが(a)の入口です。
どちらの値かを読み分けるのが、この問題の要点です。
⚠️ よくある間違い
12.0 V を1線の降下と読む——線間なので2で割ります。
(a)でib を50 A とする——ic を引いて25 Aです。
(b)でリアクタンスを2倍する——往復値が与えられています。
(b)でb点にも負荷があると考える——無負荷と指定されています。
こう長の単位を取り違える——250 m=0.25 kmです。
⏱️ 本番での進め方
①★単相2線式の線間降下=1線降下の2倍。
②★区間ごとに流れる電流が違う。
③★往復値が与えられていたら2倍しない。
④★力率が1でなければ Rcosθ+Xsinθ を使う。
💡 覚え方
「行って帰るから2倍」——単相2線式の基本です。ただし往復値なら2倍しない——問題文をよく読むこと。
並列2経路の単相2線式は平成28年度 A問題13(配電の計算:並列2経路)にあります。
(a)で与えられた条件を整理する
| 与えられたもの | 値 | 意味 |
| ★a点とc点の電圧差 | ★★12.0 V | ★★線間の値 |
| ★vab | ★★3.75 V | ★★1線の値 |
| ★力率 | ★★100 % | ★★Xは効かない |
2つの値の意味が違うので、そろえてから使います——12.0÷2=6.0 V。
問題文が「線間の電圧値の差」「1線の電圧降下」と書き分けています——読み分けが要点です。
ここを取り違えると、答えが2倍ずれます。
(a)と(b)で構成が変わる
| (a) | (b) | |
| ★b点の負荷 | ★★25 A | ★★無負荷(0 A) |
| ★c点の負荷 | ★★25 A | ★★18.75 A・力率0.8 |
| ★リアクタンス | ★★無視 | ★★0.1 Ω を考慮 |
(b)では設定が変わるので、(a)の答えをそのまま使えません——読み直しが必要です。
b点が無負荷になるので、区間を分けずに a→c を一気に計算できます。
B問題でも、小問ごとに条件が変わることがあります。
(b)で区間を分けなくてよい理由
| (a) | (b) | |
| ★b点の負荷 | ★★25 A あり | ★★なし |
| ★区間ごとの電流 | ★★a−bは50 A、b−cは25 A | ★★どちらも18.75 A |
| ★計算 | ★★区間ごとに分ける | ★★a−cをまとめて扱える |
b点が無負荷なので、全電流がa→cを素通りします——だから抵抗を足すだけです。
0.075+0.09=0.165 Ω、往復で0.33 Ω になります。
負荷の有無で計算のしかたが変わる、という例です。
負荷の力率が変わると何が変わるか
| (a) 力率100 % | (b) 力率0.8 | |
| ★使う係数 | ★★R のみ | ★★Rcosθ+Xsinθ |
| ★リアクタンス | ★★効かない | ★★効く |
| ★本問の値 | ★★0.33 | ★★0.324 |
力率が下がるとリアクタンスが効き始めます——sinθが0でなくなるから。
本問ではRが0.33、Xが0.1と小さいので、係数はほぼ変わりません。
低圧線ではRの割合が大きいので、こうなるのがふつうです。
抵抗が区間で違う理由
| 区間 | 抵抗率 | 長さ | 抵抗 |
| ★a−b | ★★0.3 Ω/km | ★★250 m | ★★0.075 Ω |
| ★b−c | ★★0.9 Ω/km | ★★100 m | ★★0.09 Ω |
b−c間のほうが電線が細いので、1 km 当たりの抵抗が3倍あります。
末端に近いほど電流が小さいので、細い電線でよいのです——実際の配電線でもそうします。
短いのに抵抗が大きいのは、そのためです。
まとめ
| r_ab・r_bc | 0.075Ω・0.09Ω(1線) |
| (a)vbc | 2(3.75+vbc)=12→2.25V |
| (a)ib・ic | 50−25=25A・2.25/0.09=25A |
| (b)ic | 1500/(100·0.8)=18.75A |
| (b)ΔV | 18.75(0.33·0.8+0.1·0.6)=6.1V |
| 答え | (a)-(2),(b)-(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・単相2線式の電圧降下(配電計算17):【電力】令和3年度 B問題17
・並列2経路の単相2線式(配電計算26):【電力】平成28年度 A問題13

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