配電計算26【電験3種 電力】並列2経路の単相2線式!両経路の電圧降下11Vが等しい→B点29.3A 平成28年度 A問題13 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 平成28年度 A問題13 2つの経路で電圧降下が等しい!B点は29.3A

今回は平成28年度 電力科目 A問題13、母線F点からB点へ2つの経路(F-A-BとF-C-B)で給電する単相2線式線路のB点負荷電流を求める計算問題です。

コツは両経路の電圧降下がともにVF−VB=11Vで等しいこと。単相2線式の電圧降下 v=2ΣIR を経路ごとに立てて各分岐電流を求め、B点でのKCLで負荷電流を出します。

目次

平成28年度 電力科目 A問題13:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成28年度 A問題13 問題文
平成28年度 電力科目 A問題13 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題13

電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成28年度 A問題13

 図のような単相2線式線路がある。母線F点の線間電圧が107Vのとき、B点の線間電圧が96Vになった。B点の負荷電流I[A]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、使用する電線は全て同じものを用い、電線1条当たりの抵抗は、1km当たり0.6Ωとし、抵抗以外は無視できるものとする。また、全ての負荷の力率は100%とする。F-A間50m、A-B間200m、F-C間100m、C-B間150m、A点60A、C点80A、B点I[A]である。

(1) 29.3 (2) 54.3 (3) 84.7 (4) 102.7 (5) 121.3

平成28年度 A問題13 F点からB点へ2経路の単相2線式線路
平成28年度 A問題13 F点からB点へ2経路の単相2線式線路
平成28年度 A問題13 F点からB点へ2経路の単相2線式線路
平成28年度 A問題13 F点からB点へ2経路の単相2線式線路
答えB点の負荷電流は約 29.3 Aです。

答えは(1):約 29.3 A

2つの経路の電圧降下が等しいことを使います

区間こう長抵抗(1条)
★F−A★★50 m★★0.03 Ω
★A−B★★200 m★★0.12 Ω
★F−C★★100 m★★0.06 Ω
★C−B★★150 m★★0.09 Ω
\( V_F-V_B=107-96=11\ \mathrm{V} \)
どちらの経路でも同じ
★出発点
\( 2[0.03I_1+0.12(I_1-60)]=11 \)
F−A−B経路(単相2線式なので2倍)
\( 0.3I_1-14.4=11\ \Rightarrow\ I_1\fallingdotseq 84.7\ \mathrm{A} \)
解く
\( 2[0.06I_2+0.09(I_2-80)]=11 \)
F−C−B経路
\( 0.3I_2-14.4=11\ \Rightarrow\ I_2\fallingdotseq 84.7\ \mathrm{A} \)
同じ形になる
\( I=(84.7-60)+(84.7-80)=24.7+4.7\fallingdotseq 29.3\ \mathrm{A} \)
B点に流れ込む電流の和
★答え

単相2線式なので、電圧降下は往復2線分です——だから2倍するのです。

2つの経路とも、たまたま同じ形の式になりました——0.3I−14.4=11です。

B点には2つの経路から電流が流れ込みます——その合計が負荷電流です。

なぜ2つの経路の電圧降下が等しいのか

F−A−B経路F−C−B経路
★始点★★F点(107 V)★★F点(107 V)
★終点★★B点(96 V)★★B点(96 V)
★電圧降下★★11 V★★11 V

どちらの経路も、同じF点から同じB点へ向かいます——だから電圧降下も同じです。

これがループ配電を解く鍵になります——2つの式が立つのです。

ループを一周すると降下がゼロ、というのと同じことです——見方が違うだけ

本問は2つの経路に分けて考えるほうが分かりやすいのです。

単相2線式の電圧降下

単相2線式の電圧降下
\( v=2\sum IR \)

行きと帰りの2線分

方式電圧降下の式係数の由来
★★単相2線式★★2IR★★往復2線
★★三相3線式★★√3IR★★線間電圧で表すため
★単相3線式(平衡)★★IR★★中性線に電流が流れない

方式によって係数が違うので、必ず確かめます——2か√3か1かです。

本問は単相2線式なので2倍です——問題文に書いてあるのです。

三相と取り違えると、答えが大きくずれます——2と1.732の違いです。

係数を間違えないことが、この型の問題の第一歩です

⚠️ よくある間違い
電圧降下を√3倍で計算する——単相2線式なので2倍です。
A−B間の電流を I₁ とする——A点で60 A 分岐するので I₁−60
B点の負荷を I₁ とする——2経路からの合計です。
抵抗の単位を換算し忘れる——0.6 Ω/km=0.0006 Ω/m
片方の経路だけで答える——両方から流れ込みます

⏱️ 本番での進め方
①★2経路の電圧降下は等しい(どちらもVF−VB)。
②★単相2線式の電圧降下は 2ΣIR。
③★分岐点を通るたびに電流が減る。
④★B点の負荷は2経路からの流入の和。

💡 覚え方
「同じ2点を結ぶなら降下も同じ」——それが2つの式を作ります単相2線式は2倍——√3ではないのです。

ループ配電の解き方は令和2年度 B問題17配電の計算:ループ配電線路)にもあります。

2つの経路で電流が同じになった理由

経路結果
★F−A−B★★2[0.03I₁+0.12(I₁−60)]=11★★0.3I₁−14.4=11
★F−C−B★★2[0.06I₂+0.09(I₂−80)]=11★★0.3I₂−14.4=11

係数がどちらも0.3、定数もどちらも14.4になりました——だから I₁=I₂です。

0.03+0.12=0.15、0.06+0.09=0.15 と経路の全抵抗が同じ——偶然ではなく問題の作りです。

0.12×60=7.2、0.09×80=7.2 も一致します——計算しやすく作られているのです。

B点へ流れ込む電流を数える

経路B点への流入
★A−B間から★★I₁−60★★24.7 A
★C−B間から★★I₂−80★★4.7 A
★合計=B点の負荷★★I★★29.3 A

B点では2つの経路から電流が集まります——その合計が負荷電流です。

A−B間のほうが多く流れています——A点の負荷が60 A と少ないからです。

キルヒホッフの第1法則をB点で立てた形になります

抵抗の単位換算を確実に

\( 0.6\ \Omega/\mathrm{km}=0.0006\ \Omega/\mathrm{m} \)
1000で割る
\( R_{FA}=0.0006\times 50=0.03\ \Omega \)
F−A間50 m

こう長が m 単位で与えられているので、抵抗も m 単位に直します——1000で割るのです。

あるいは50 m=0.05 km として計算しても同じです——どちらでも構いません

単位をそろえ忘れると、答えが1000倍ずれます——最初に確かめることです。

答えの見当をつける

考えること分かること
★F点から出る全電流★★I₁+I₂=169.3 A
★A点とC点の負荷★★60+80=140 A
★B点の負荷★★169.3−140=29.3 A

F点から出た電流は、すべてどこかの負荷で消費されます——だから引き算でも出せるのです。

この確かめ方なら、B点で足す計算と一致するはずです——検算になるのです。

電流保存の考え方は、どの回路でも使えます

経路の抵抗が同じという作り

経路区間抵抗の和分岐の影響
★F−A−B★★0.03+0.12=0.15 Ω★★0.12×60=7.2
★F−C−B★★0.06+0.09=0.15 Ω★★0.09×80=7.2

どちらの経路も全抵抗が0.15 Ω で同じです——だから式の形がそろうのです。

分岐の影響も7.2で一致しています——計算しやすく作られているのです。

結果として I₁=I₂=84.7 A になります——偶然ではありません

まとめ

区間抵抗FA0.03・AB0.12・FC0.06・CB0.09Ω
電圧降下107−96=11V(両経路とも)
I12[0.03I1+0.12(I1−60)]=11→84.67A
I22[0.06I2+0.09(I2−80)]=11→84.67A
B点負荷(84.67−60)+(84.67−80)=29.3A
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・単相2線式の電圧降下(配電計算17):【電力】令和3年度 B問題17
・ループ配電の電流分布(配電計算9):【電力】令和6年度上期 B問題17

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