配電計算9【電験3種 電力】ループ配電!S開放でC点降下77.9V・S投入で開閉器電流25.4A 令和6年度上期 B問題17 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 令和6年度上期 B問題17 ループを開くか閉じるか!C点の電圧と開閉器電流

今回は令和6年度上期 電力科目 B問題17、開閉器を含むループ(環状)配電線路の電圧降下と開閉器電流を求める計算問題です。(a)は開閉器開放時の放射状、(b)は投入時のループ計算です。

コツは(a)S開放=放射状として負荷までの電流を足し、(b)S投入=ループ一周の電圧降下=0(ΣI·R=0)で分流を解くこと。力率100%なので抵抗のみで計算できます。

出題のポイント:開放時と投入時の給電経路

ループ配電線路で開閉器Sの開放時と投入時の給電経路および計算方法を示す要点図
S開放時は放射状の電圧降下、S投入時はループ方程式から開閉器電流を求めます。

S開放時はC点がA→D→Cの放射状経路だけから給電されるため、区間電流を積み上げて線間電圧降下を求めます。S投入時はループ一周の電圧降下の和を0として分流を求めます。

目次

(a) S開放時のC点電圧降下

開閉器Sを開放した配電線路でAからDを経てCへ給電し線間電圧降下77.9ボルトを求める解説
S開放時のC点電圧降下は√3(90×0.4+30×0.3)=77.9 Vなので、(a)は選択肢(4)です。

開閉器が開いているとき、C点はどちら回りで給電されるかを見ます

経路通れるか理由
★A→B→S→C★★通れない★★開閉器Sが開いている
★★A→D→C★★通れる★★こちらが給電経路
\( R_{AD}=0.2\times 2.0=0.4\ \Omega \)
A−D間
\( R_{DC}=0.2\times 1.5=0.3\ \Omega \)
D−C間
\( I_{AD}=60+30=90\ \mathrm{A} \)
D点とC点の負荷が通る
\( I_{DC}=30\ \mathrm{A} \)
C点の負荷だけ
\( v=\sqrt{3}(90\times 0.4+30\times 0.3)=\sqrt{3}\times 45 \)
区間ごとに足す
\( \fallingdotseq 77.9\ \mathrm{V} \)
整理して
★答え

開閉器が開いていると、B側からは電流が来ません——だから反対回りだけです。

A−D間には、D点とC点の両方の負荷が通ります——合わせて90 Aです。

令和6年度上期 電力科目 B問題17:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 令和6年度上期 B問題17 問題文
令和6年度上期 電力科目 B問題17 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17

電験3種 電力科目 【配電の計算】 令和6年度上期 B問題17

 図のような系統構成の三相3線式配電線路があり、開閉器Sは開いた状態にある。各配電線のB点、C点、D点には図のとおり負荷が接続されており、各点の負荷電流はB点40A、C点30A、D点60A一定とし、各負荷の力率は100%とする。各区間のこう長はA-B間1.5km、B-S(開閉器)間1.0km、S(開閉器)-C間0.5km、C-D間1.5km、D-A間2.0kmである。ただし、電線1線当たりの抵抗は0.2Ω/kmとし、リアクタンスは無視するものとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 電源A点から見たC点の電圧降下の値[V]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、電圧は線間電圧とする。

(1)41.6 (2)45.0 (3)57.2 (4)77.9 (5)90.0 V

(b) 開閉器Sを投入した場合、開閉器Sを流れる電流iの値[A]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)20.0 (2)25.4 (3)27.5 (4)43.8 (5)65.4 A

令和6年度上期 B問題17 ループ状の三相3線式配電線路(開閉器S)
令和6年度上期 B問題17 ループ状の三相3線式配電線路(開閉器S)
令和6年度上期 B問題17 ループ状の三相3線式配電線路(開閉器S)
令和6年度上期 B問題17 ループ状の三相3線式配電線路(開閉器S)
答え(a) C点の電圧降下は約 77.9 Vです。

S開放時とS投入時で何が変わるか

S開放S投入
★A−D間の電流★★90 A★★64.6 A
★A−B間の電流★★40 A★★65.4 A
★C点への給電★★D側からのみ★★両側から

投入すると、B側からも電流が回り込みます——だからD側の負担が減るのです。

電流が分散するので、電圧降下も小さくなります——それがループ方式の利点です。

開閉器1つで系統の様子が大きく変わります

ループ配電の解き方の型

段階すること
★①★★各区間の抵抗を求める
★②★★片方向の電流を x とおく
★③★★負荷を通るたびに引いて各区間を表す
★④★★ΣI・R=0 を解く
★⑤★★求めたい区間の電流を x から出す

この5段階を覚えれば、ループ配電の問題は必ず解けます

符号を1つの向きにそろえるのが、間違えないこつです——負でもそのまま

負荷電流が一定という条件

意味
★負荷電流一定★★電圧が変わっても電流は変わらない
★力率100 %★★リアクタンスが効かない
★あわせて★★抵抗だけの単純な計算になる

2つの条件で、計算がとても簡単になっています——問題文の但し書きです。

力率が違えば、成分に分ける必要が出てきます——他の年度ではそうなるのです。

区間ごとの電流を表で整理する

区間抵抗S投入時の電流
★A−B★★0.3 Ω★★65.4 A
★B−S★★0.2 Ω★★25.4 A
★S−C★★0.1 Ω★★25.4 A
★C−D★★0.3 Ω★★−4.6 A
★D−A★★0.4 Ω★★−64.6 A

C−D間とD−A間は負の値です——実際には逆向きに流れているのです。

A点から出た65.4 A と64.6 A が、負荷130 A をまかなっています——合計で130です。

表にすると、電流がどう分かれたかが一目で分かります

ループ運用と放射状運用

常時ループ常時開路(本問)
★開閉器★★閉じたまま★★開いたまま
★電圧降下★★小さい★★大きい
★保護★★方向継電器が要る★★簡単で済む
★事故時★★影響が小さい★★開閉器を閉じて復旧

日本の高圧配電では、ふだんは開いておく運用が一般的です——保護が簡単だから。

事故のときだけ閉じて、反対側から送電します——連系開閉器の役目です。

本問はその両方の状態を計算しているのです

A点から流れ出す電流の合計

\( 65.4+64.6=130\ \mathrm{A} \)
両方向の合計
\( 40+30+60=130\ \mathrm{A} \)
全負荷の合計
★一致

A点から出た電流の合計が、全負荷と一致します——電流保存が成り立っているのです。

これが計算の検算になります——合わなければどこかで間違えているのです。

65.4 と64.6 でほぼ半分ずつ分かれています——ループ化で負担が均等になったのです。

開閉器を流れる電流の向き

向き
★開閉器S★★25.4 A★★B側からC側へ
★C−D間★★4.6 A★★D側からC側へ(逆向き)

C点には両側から電流が流れ込みます——25.4+4.6=30 A でC点の負荷と一致します。

これも検算に使えます——各節点で流入と流出が釣り合うのです。

(b) S投入時の開閉器電流

開閉器Sを投入した閉ループ配電線路で区間電流と電圧降下の方程式から開閉器電流25.4アンペアを求める解説
ループ方程式からA-B間電流65.4 Aを求め、B負荷40 Aを引くと開閉器電流25.4 Aとなるため、(b)は選択肢(2)です。
\( x(0.3)+(x-40)(0.3)+(x-70)(0.3)+(x-130)(0.4)=0 \)
ループ一周でゼロ
\( 1.3x=85\ \Rightarrow\ x\fallingdotseq 65.4\ \mathrm{A} \)
解く
\( i=x-40=25.4\ \mathrm{A} \)
開閉器の電流
★答え

B−S間とS−C間は同じ電流なので、抵抗を足して0.3 Ω——まとめて扱えます

開閉器はB点の先にあるので、40 A が分岐した後の電流です

答え(b) 開閉器を流れる電流は約 25.4 Aです。

線間電圧と相間電圧という言葉

言い方意味使われ方
★★線間電圧★★2本の電線の間の電圧★★現在の標準的な言い方
★★相間電圧★★同じもの★★古い年度の問題文で使われる
★相電圧★★1相と中性点の間の電圧★★線間電圧の√3分の1

線間電圧と相間電圧は同じものです——言い方が違うだけです。

紛らわしいのは「相電圧」のほうです——こちらは√3分の1になります。

本問は線間電圧なので、√3を掛けた値が答えです——√3×45=77.9

問題文の言葉を確かめてから計算しましょう

節点で考える別の解き方

ループの電流は、節点法でも求められます

\( \text{A点から見て、B方向とD方向の2つの経路} \)
並列回路とみなす
\( \text{両経路の電圧降下が等しい} \)
どちらもA点から出発してA点に戻る

ループを一周してゼロ、というのと同じことです——見方が違うだけ

本問はΣI・R=0 で解くほうが素直です——式が1本で済むから。

複数の解き方を知っておくと、検算にも使えます

⚠️ よくある間違い
(a)でA→B→S→C経路を使う——Sが開いています
(a)でA−D間を60 A とする——C点の30 A も通ります
(a)で√3を落とす——線間電圧なので必要です。
(b)で x をそのまま答える——開閉器は x−40です。
負の電流を絶対値にする——符号のまま計算します

⏱️ 本番での進め方
①★開閉器開放なら給電経路を見極めて放射状に計算。
②★ループ投入ならΣI・R=0。
③★線間電圧と相間電圧は同じもの。
④★開閉器の電流は分岐後の値。

💡 覚え方
「開いていれば反対回り」——給電経路を見極めます閉じれば一周してゼロ——方程式が立つのです。

★この問題は令和2年度 B問題17とまったく同一です配電の計算:ループ配電線路(R02))。問題文の「相間電圧」が「線間電圧」に変わっただけです。

まとめ

区間抵抗AB0.3・BS0.2・SC0.1・CD0.3・DA0.4Ω
(a)経路A→D→C(90A・30A)
(a)C点降下√3(90·0.4+30·0.3)=77.9V
(b)ループ式1.3x=85→x=65.4A
(b)開閉器電流i=x−40=25.4A
答え(a)-(4),(b)-(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・分岐負荷の電圧降下(配電計算4):【電力】令和7年度下期 B問題17
・ループ配電線路の電圧降下(配電計算19):【電力】令和2年度 B問題17

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