地中送電3【電験3種 電力】マーレーループ法はホイートストンブリッジ!x=aL/500の導出 令和6年度上期 A問題10 完全解説

電験3種 電力科目 地中送電 令和6年度上期 A問題10 ブリッジの原理で故障点を当てる!マーレーループ

今回は令和6年度上期 電力科目 A問題10、ケーブルの故障点位置標定の代表格マーレーループ法の空欄補充問題です。原理(ホイートストンブリッジ)から位置の式、精度の条件まで一気に問われます。

マーレーループ法は、故障ケーブルAと健全ケーブルBの導体どうしを遠端で接続してループを作り、ホイートストンブリッジの平衡条件から故障点までの距離xを求める方法。全目盛1000・読みaのときx=2aL/1000=aL/500。地絡抵抗はブリッジの外側に入るので式には影響しませんが、十分低くないと感度が落ちて精度が出ません。

出題のポイント:マーレーループ法の4つの空欄

マーレーループ法の4つの空欄と正しい組合せを示す要点図
ホイートストン、導体、aL/500、十分低いの組合せが正解です。

マーレーループ法は故障ケーブルと健全ケーブルの導体を遠端で接続し、ホイートストンブリッジの平衡条件から故障点までの距離を求めます。抵抗が長さに比例することと、地絡抵抗が十分低いことが要点です。

目次

令和6年度上期 電力科目 A問題10:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 地中送電 令和6年度上期 A問題10 問題文
令和6年度上期 電力科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題10

電験3種 電力科目 【地中送電】 令和6年度上期 A問題10

 次の文章は、マーレーループ法に関する記述である。

 マーレーループ法はケーブル線路の故障点位置を標定するための方法である。この基本原理は(ア)ブリッジに基づいている。図に示すように、ケーブルAの一箇所においてその導体と遮へい層の間に地絡故障を生じているとする。この場合に故障点の位置標定を行うためには、マーレーループ装置を接続する箇所の逆側端部において、絶縁破壊を起こしたケーブルAと、これに並行する絶縁破壊を起こしていないケーブルBの(イ)どうしを接続して、ブリッジの平衡条件を求める。ケーブル線路長をL、マーレーループ装置を接続した端部側から故障点までの距離をx、ブリッジの全目盛を1000、ブリッジが平衡したときのケーブルAに接続されたブリッジ端子までの目盛の読みをaとしたときに、故障点までの距離xは(ウ)で示される。

 なお、この原理上、故障点の地絡抵抗が(エ)ことがよい位置標定精度を得るうえで必要である。

 ただし、ケーブルA、Bは同一仕様、かつ、同一長とし、また、マーレーループ装置とケーブルの接続線、及びケーブルどうしの接続線のインピーダンスは無視するものとする。

 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)ホイートストン遮へい層aL/500十分低い
(2)シェーリング導体2L−aL/500十分高い
(3)シェーリング遮へい層2L−aL/500十分高い
(4)ホイートストン導体aL/500十分低い
(5)ホイートストン導体aL/500十分高い
令和6年度上期 A問題10 マーレーループ法の回路図
令和6年度上期 A問題10 マーレーループ法の回路図
令和6年度上期 A問題10 マーレーループ法の回路図
令和6年度上期 A問題10 マーレーループ法の回路図
答え正しい組合せは (4)です。

マーレーループ法:距離式の導出

マーレーループ法の遠端接続と故障点接地回路から距離式xイコールaL割る500を導く解説
目盛比と長さ比の平衡条件から x=aL/500 を導きます。
空欄入る語決め手
★(ア)★★ホイートストン★抵抗の比で平衡を取るブリッジ
★(イ)★★導体★電流の輪を作るため
★(ウ)★★aL/500★ループ長2Lに目盛比を掛ける
★(エ)★★十分低い★電流が流れないと測れない

シェーリングブリッジは静電容量や誘電正接を測るもの——抵抗の測定には使いません

遮へい層をつないでも、電流の輪ができません——だから導体どうしです。

地絡抵抗が高いと電流が流れず、平衡点がぼやけます——だから「十分低い」ことが要ります。

空欄(ア)〜(エ)を決める

マーレーループ法の空欄アからエと5つの選択肢を照合して選択肢4を選ぶ解説
ホイートストン、導体、aL/500、十分低いを満たす選択肢(4)が正解です。

抵抗が長さに比例することが、原理の出発点です

ブリッジの平衡条件
\( \dfrac{a}{1000-a}=\dfrac{x}{2L-x} \)

目盛の比=抵抗の比=長さの比

\( a(2L-x)=(1000-a)x \)
たすきに掛ける
\( 2aL-ax=1000x-ax \)
展開する
\( 2aL=1000x \)
ax が両辺で消える
\( x=\dfrac{2aL}{1000}=\dfrac{aL}{500} \)
整理して
★これが答え

ループの全長は2L です——行きと帰りで2本分だから。

ax の項が両辺で消えるので、式がきれいになります——計算はここが山場です。

目盛 a故障点 x位置
★100★0.2 L★手前
★250★★0.5 L★中央
★500★★L★★遠端

a=500 で x=L となり、それが上限——a の範囲は0〜500です。

これは検算に使えます——500を超える読みは出ません

(エ) 地絡抵抗が低いほうがよい理由

地絡抵抗流れる電流ブリッジの感度精度
★低い★★十分流れる★★高い★★良い
★高い★★ほとんど流れない★★低い★★悪い

地絡点は、ブリッジ回路の一部になっています——そこが切れていては測れません

抵抗が高すぎると、平衡点がぼやけます——どこで釣り合ったか分からないのです。

だから測定前に、あえて絶縁破壊させることがあります——高電圧をかけて地絡抵抗を下げる

これを焼き入れ(バーニング)といいます——測定できる状態を作るのです。

⚠️ よくある間違い
(イ)を「遮へい層」としてしまう——導体どうしをつながないと電流の輪ができません
(ア)を「シェーリング」としてしまう——それは静電容量や誘電正接を測るブリッジ
(ウ)を「2L−aL/500」としてしまう——x は装置側から故障点までの距離です。
(エ)を「十分高い」としてしまう——電流が流れなければ測れません
「低いほうがよい」は直感に反する——けれど回路の一部だと考えれば当然です。

⏱️ 本番での進め方
①★マーレーループ法はホイートストンブリッジの応用。
②★健全相の導体と遠端で短絡する。
③★x=aL/500(全目盛1000のとき)。aは0〜500。
④★地絡抵抗は低いほど精度が良い。

💡 覚え方
「ホイートストン・導体・aL/500・低い」——この4つで1問です。抵抗は長さに比例するから、目盛の比が距離の比になる——それが原理のすべてになります。

★この問題は平成23年度 A問題11とほぼ同一で、13年後の再出題です地中送電:マーレーループ法(H23))。番号だけが(2)から(4)に移動しています

測定の手順を追う

現場では、どういう順で作業するのでしょうか

段階作業
★絶縁抵抗を測って故障相と健全相を判別する
★②★★遠端で故障相と健全相の導体どうしを短絡する
★③★装置側で両相の導体にブリッジをつなぐ
★④★★目盛を動かして検流計がゼロになる点を探す
★⑤★読み a から x=aL/500 を計算する

遠端まで行って短絡させる作業が要ります——両端に人を配置するのです。

健全な相がなければ、この方法は使えません——3相とも故障なら別の手段になります。

検流計がゼロになる点を探すのが測定の中心——そこが平衡点です。

掘り返す前に位置が分かるので、被害が小さく済みます

他の標定法と使い分ける

マーレーループ法だけでは足りない場面があります

方法地絡断線健全相
★マーレーループ法★★使える★★使えない★★必要
★パルスレーダ法★★使える★★使える★★不要(1本で測れる)
★静電容量測定法★★使えない★★使える★必要

マーレーループ法は電流の輪を作って測ります——断線していれば輪が閉じません

だから断線には使えない——原理から導けるのです。

3相とも故障していれば、健全相が確保できません——そのときはパルスレーダ法

事故の種類と状況で、使う方法を選びます——だから複数を知っておくのです。

なぜホイートストンブリッジなのか

抵抗を精密に測る、古典的な方法です

ブリッジ測るもの使う場面
★★ホイートストン★★抵抗(中〜高抵抗)★★マーレーループ法
★ケルビンダブル★低い抵抗★導体の抵抗測定
★シェーリング★★静電容量・誘電正接★絶縁診断

4つの抵抗のうち3つが分かれば、残り1つが求まります——それがブリッジの原理です。

検流計がゼロを指したときが平衡——電圧の絶対値を測らなくてよいのが強みです。

だから電源の電圧が多少変わっても、結果は狂いません——精度が高い理由になります。

シェーリングブリッジは静電容量を測るもの——選択肢に混ぜられた別のブリッジです。

地中線で標定が欠かせない理由

架空線との違いから考えましょう

★架空送電線★地中送電線
★故障点の発見★★見て回れば分かる★★外から見えない
★事故の性質★多くは一時的★★ほとんどが永久事故
★復旧時間★★再閉路で数秒★★掘って交換するので数日

ケーブルは地中に埋まっているので、目で探せません——だから測って位置を出すのです。

しかも固体絶縁は自然には回復しません——再閉路しても直らないのです。

掘り返す場所を間違えれば、時間も費用も無駄になります——だから精度が求められる

標定は地中線ならではの必要な技術——だから繰り返し出題されます

測定前に地絡抵抗を下げる

(エ)の条件を、実務でどう整えるのでしょうか

段階行うこと
★地絡抵抗を測り、高すぎないか確かめる
★②★★高ければ高電圧をかけて絶縁破壊を進める
★③★★地絡抵抗が下がり電流が流れるようになる
★④★ブリッジの平衡点がはっきり出る

わざと壊すように見えますが、すでに故障している箇所です——これ以上悪くなりません

これを焼き入れ(バーニング)といいます——測定できる状態を作る作業です。

地絡抵抗が高いままでは、平衡点がぼやけます——読み取り誤差が大きくなるのです。

だから「十分低い」ことが精度の条件になります——問題文の(エ)がそれです。

まとめ

(ア)ホイートストンブリッジ
(イ)導体どうしを遠端で接続(ループ2L)
(ウ)x=2aL/1000=aL/500
(エ)地絡抵抗が十分低い(感度確保)
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・電力ケーブルの種類(地中送電2):【電力】令和7年度上期 A問題10
・布設方式の比較(地中送電1):【電力】令和7年度下期 A問題10

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