今回は平成23年度 電力科目 A問題11、マーレーループ法の空欄補充問題です。この問題は令和6年度上期A問題10(地中送電3)として文面・図までほぼ同一で再出題されました(H23=(2)・R06上=(4)と番号違い)。
解き方は完全に同じ:原理はホイートストンブリッジ、健全ケーブルBとは導体どうしを遠端で接続、平衡条件からx=2aL/1000=aL/500、そして地絡抵抗が十分低いことが精度の条件です。
答えは(2):ホイートストン・導体・aL/500・十分低い
| 空欄 | 入る語 | 理由 |
| ★(ア) | ★★ホイートストン | ★抵抗の比で平衡を取るブリッジ |
| ★(イ) | ★★導体 | ★電流の通り道を作るため |
| ★(ウ) | ★★aL/500 | ★ループ長2Lに目盛比を掛ける |
| ★(エ) | ★★十分低い | ★電流が流れないと測れない |
シェーリングブリッジは静電容量や誘電正接を測るもの——抵抗の測定ではありません。
接続するのは導体どうし——遮へい層をつないでも電流の輪ができません。
地絡抵抗が高いと、電流が流れず平衡が取れません——だから「十分低い」ことが要ります。
平成23年度 電力科目 A問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題11
電験3種 電力科目 【地中送電】 平成23年度 A問題11
次の文章は、マーレーループ法に関する記述である。
マーレーループ法はケーブル線路の故障点位置を標定するための方法である。この基本原理は(ア)ブリッジに基づいている。図に示すように、ケーブルAの一箇所においてその導体と遮へい層の間に地絡故障を生じているとする。この場合に故障点の位置標定を行うためには、マーレーループ装置を接続する箇所の逆側端部において、絶縁破壊を起こしたケーブルAと、これに並行する絶縁破壊を起こしていないケーブルBの(イ)どうしを接続して、ブリッジの平衡条件を求める。ケーブル線路長をL、マーレーループ装置を接続した端部側から故障点までの距離をx、ブリッジの全目盛を1000、ブリッジが平衡したときのケーブルAに接続されたブリッジ端子までの目盛の読みをaとしたときに、故障点までの距離xは(ウ)で示される。
なお、この原理上、故障点の地絡抵抗が(エ)ことがよい位置標定精度を得るうえで必要である。
ただし、ケーブルA、Bは同一仕様、かつ、同一長とし、また、マーレーループ装置とケーブルの接続線、及びケーブルどうしの接続線のインピーダンスは無視するものとする。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) シェーリング 導体 2L−aL/500 十分高い (2) ホイートストン 導体 aL/500 十分低い (3) ホイートストン 遮へい層 aL/500 十分低い (4) シェーリング 遮へい層 2L−aL/500 十分高い (5) ホイートストン 導体 aL/500 十分高い



(ウ) 平衡条件から距離を求める
ケーブルの抵抗は長さに比例します——そこが原理の要です。
★これが答え
ループの全長は2L です——行きと帰りで2本分だから。
装置側から故障点までが x、残りが 2L−x——その比が目盛の比と等しくなります。
ax の項が両辺で消えるので、式がきれいになります——計算はここが山場です。
| 条件 | 目盛 a | 故障点 x |
| ★手前で故障 | ★100 | ★0.2 L |
| ★中央で故障 | ★250 | ★★0.5 L |
| ★遠端で故障 | ★500 | ★★L |
a=500 のとき x=L となり、遠端が故障点——それより大きい目盛は出ません。
だから a の範囲は0〜500——検算に使えます。
(エ) 地絡抵抗が低いほうがよい理由
| 地絡抵抗 | 流れる電流 | ブリッジの感度 | 精度 |
| ★低い | ★★十分流れる | ★★高い | ★★良い |
| ★高い | ★★ほとんど流れない | ★★低い | ★★悪い |
地絡点は、ブリッジの回路の一部になっています——そこが切れていては測れません。
抵抗が高すぎると、平衡点がぼやけます——どこで釣り合ったか分からないのです。
だから測定前に、あえて絶縁破壊させることもあります——高電圧をかけて地絡抵抗を下げる。
これを焼き入れ(バーニング)といいます——測定できる状態を作るのです。
⚠️ よくある間違い
(イ)を「遮へい層」としてしまう——導体どうしをつながないと電流の輪ができません。
(ア)を「シェーリング」としてしまう——それは静電容量や誘電正接を測るブリッジ。
(ウ)を「2L−aL/500」としてしまう——x は装置側から故障点までの距離です。
(エ)を「十分高い」としてしまう——電流が流れなければ測れません。
「低いほうがよい」は直感に反する——けれど回路の一部だと考えれば当然です。
⏱️ 本番での進め方
①★マーレーループ法はホイートストンブリッジの応用。
②★健全ケーブルの導体と遠端で短絡する。
③★x=aL/500(全目盛1000のとき)。
④★地絡抵抗は低いほど精度が良い。
💡 覚え方
「ホイートストン・導体・aL/500・低い」——この4つで1問です。抵抗は長さに比例するから、目盛の比が距離の比になる——それが原理のすべてになります。
★この問題は令和6年度上期 A問題10として、13年後にほぼ同一の形で再出題されました(地中送電:故障点標定)。標定法は地中送電の最頻出テーマです。
ケーブルの故障点を探す方法
マーレーループ法以外にも手段があります。
| 方法 | 原理 | 使う場面 |
| ★★マーレーループ法 | ★★抵抗の比(ホイートストン) | ★★地絡抵抗が低い1線地絡 |
| ★パルスレーダ法 | ★★パルスの往復時間を測る | ★断線・低抵抗の短絡 |
| ★静電容量測定法 | ★★容量が長さに比例することを使う | ★★断線事故 |
マーレーループ法は健全な相が要ります——3相とも故障していれば使えないのです。
パルスレーダ法は1本だけで測れます——反射が返ってくる時間から距離が出る。
静電容量測定法は、断線した側の容量を測ります——健全部の長さに比例するから。
故障の種類によって、使える方法が違います——だから複数を知っておく必要があるのです。
(ア) なぜホイートストンブリッジなのか
抵抗を精密に測る、古典的な方法です。
| ブリッジ | 測るもの | 使う場面 |
| ★★ホイートストン | ★★抵抗(中〜高抵抗) | ★★マーレーループ法 |
| ★ケルビンダブル | ★低い抵抗 | ★導体の抵抗測定 |
| ★シェーリング | ★★静電容量・誘電正接 | ★絶縁診断 |
4つの抵抗のうち3つが分かれば、残り1つが求まります——それがブリッジの原理です。
検流計がゼロを指したときが平衡——電圧の絶対値を測らなくてよいのが強みです。
だから電源の電圧が多少変わっても、結果は狂いません——精度が高い理由になります。
シェーリングブリッジは静電容量を測るもの——選択肢に混ぜられた別のブリッジです。
測定の手順を追う
現場では、どういう順で作業するのでしょうか。
| 段階 | 作業 |
| ① | ★故障相と健全相を判別する(絶縁抵抗測定) |
| ★② | ★★遠端で故障相と健全相の導体どうしを短絡する |
| ★③ | ★装置側で両相の導体にブリッジをつなぐ |
| ★④ | ★★目盛を動かして検流計がゼロになる点を探す |
| ★⑤ | ★読み a から x=aL/500 を計算する |
遠端まで行って短絡させる作業が要ります——両端に人を配置するのです。
健全な相がなければ、この方法は使えません——3相とも故障なら別の手段になります。
検流計がゼロになる点を探すのが測定の中心——そこが平衡点です。
掘り返す前に位置が分かるので、被害が小さく済みます——地中線ならではの必要な技術になります。
なぜ地中線では位置標定が要るのか
架空線との違いを考えてみましょう。
| ★架空送電線 | ★地中送電線 | |
| ★故障点の発見 | ★★見て回れば分かる | ★★外から見えない |
| ★復旧時間 | ★★再閉路で数秒 | ★★掘り返すので数日 |
| ★事故の性質 | ★多くは一時的 | ★★ほとんどが永久事故 |
ケーブルは地中に埋まっているので、目で探せません——だから測って位置を出すのです。
しかも絶縁体が壊れれば、自然には回復しません——再閉路しても直らないのです。
掘り返す場所を間違えれば、時間も費用も無駄になります——だから精度が求められる。
位置標定は、地中線ならではの必要な技術——だから繰り返し出題されるのです。
まとめ
| (ア) | ホイートストンブリッジ |
| (イ) | 導体どうしを遠端で接続 |
| (ウ) | x=2aL/1000=aL/500 |
| (エ) | 地絡抵抗が十分低い |
| 再出題 | R06上問10(地中送電3)とほぼ同一・番号違い |
| 答え | (2) |
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