地中送電22【電験3種 電力】CVの絶縁体に冷却水はNG!水はXLPEの天敵 平成22年度 A問題11 完全解説

電験3種 電力科目 地中送電 平成22年度 A問題11 水はCVケーブルの天敵!絶縁体を冷やせない

今回は平成22年度 電力科目 A問題11、地中電力ケーブルの送電容量を増大させる方法の誤り選択問題です。冷却・材料・導体サイズという現実的な対策の中に、物理的にあり得ない方法が紛れ込んでいます。

送電容量(許容電流)を上げる王道は「冷やす・耐える・太くする」:水冷管による間接冷却、OFケーブルの絶縁油循環冷却、耐熱絶縁材料、導体の大サイズ化。しかしCVケーブルの絶縁体(架橋ポリエチレン)の中に冷却水を流すことはできません——固体絶縁体に水路はなく、そもそも水分はXLPEの水トリー劣化の天敵(cb2)です。

目次

平成22年度 電力科目 A問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 地中送電 平成22年度 A問題11 問題文
平成22年度 電力科目 A問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題11

電験3種 電力科目 【地中送電】 平成22年度 A問題11

 地中電力ケーブルの送電容量を増大させる現実的な方法に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1) 耐熱性を高めた絶縁材料を採用する。

(2) 地中ケーブル線路に沿って布設した水冷管に冷却水を循環させ、ケーブルを間接的に冷却する。

(3) OFケーブルの絶縁油を循環・冷却させる。

(4) CVケーブルの絶縁体中に冷却水を循環させる。

(5) 導体サイズを大きくする。

答え誤っている記述は (4)です。

誤りは(4):CVの絶縁体に水は通せない

「CVケーブルの絶縁体中に冷却水を循環させる」——固体なので通り道がありません

★OFケーブル★CVケーブル
★絶縁体★★絶縁紙+絶縁油(液体を含む)★★架橋ポリエチレン(固体)
★油通路★★もともとある★★ない
★内部を流す冷却★★油を循環できる★★できない

OFケーブルには、もともと油の通路があります——だから油を循環させて冷やせるのです。

CVケーブルの絶縁体は、すきまのない固体です——そこに水を通す道はありません

しかも水は絶縁体の大敵——水トリー劣化を招きます

だから絶縁体の中に水を通すことは、そもそもあり得ません——(3)のOFの油循環と対比させた引っかけです。

送電容量を増やす4つの道すじ

方向方法本問の選択肢
★発熱を減らす★★導体を太くして抵抗を下げる★(5)
★熱を逃がす★★水冷管でケーブルを間接冷却する★(2)
★内部から冷やす★★OFの絶縁油を循環・冷却する★(3)
★耐えられる温度を上げる★★耐熱性の高い絶縁材料を使う★(1)

許容電流は、温度が上限に達するまでの電流です——だから発熱・放熱・上限温度の3つで決まる

発熱を減らすか、熱を逃がすか、上限を上げるか——やれることはこの3方向です。

4つの正しい選択肢が、それぞれに対応しています——よく組まれた問題

誤りの(4)だけが、物理的に成り立ちません——方向としては正しくても方法が不可能なのです。

(2) 水冷管による間接冷却

項目内容
★方法★★ケーブルに沿って水冷管を布設し水を循環させる
★効果★★周囲の熱抵抗を実質的に下げる
★増える容量★★1.2〜1.5倍程度
★短所★★ポンプなどの設備と動力が要る

ケーブルの外側から熱を奪う方法です——絶縁体には触れません

だからCVケーブルでも使えます——(4)との違いはそこです。

すでに布設されている線路の容量を増やせるのが利点——ケーブルを替えずに済むから。

ただし常に水を回す動力が要ります——その分の費用がかかることになります。

⚠️ よくある間違い
(4)を(3)と似ているので正しいと判断する——OFは液体を含み、CVは固体です。通り道の有無が決定的に違います
水は絶縁体の大敵でもあります——水トリー劣化を招くから。
(1)の耐熱材料を疑ってしまう——上限温度が上がれば容量も増えます
(2)の水冷管を疑ってしまう——外側から冷やすので問題ありません
(5)の導体サイズを疑ってしまう——最も基本的な方法です。
「現実的な方法」と問われている——物理的に不可能なものを探します

⏱️ 本番での進め方
①★CVの絶縁体は固体なので内部に水を通せない。
②★OFには油通路があるので油を循環できる。
③★容量を増やすのは発熱減・放熱増・上限温度増の3方向。
④★水冷管は外側からの間接冷却なのでCVでも使える。

💡 覚え方
「OFは液体、CVは固体」——通り道があるかどうかで決まります外から冷やすのは可、中に通すのはOFだけ——そこが(2)と(4)の分かれ目です。

ケーブルの種類は平成30年度 A問題11地中送電:電力ケーブル)にあります。

(1) 耐熱性を高めるという方向

上限温度そのものを上げる方法です

絶縁体常時許容温度短時間許容温度
★ポリエチレン★70 ℃★★—
★油浸紙(OF)★80 ℃ 程度★—
★★架橋ポリエチレン★★90 ℃★★短絡時230 ℃

許容温度が上がれば、そのぶん電流を流せます——材料を変えるだけで容量が増えるのです。

ポリエチレンから架橋ポリエチレンへの変更が、その実例——70 ℃ から90 ℃ へ

短絡時には一瞬なので、230 ℃ まで許されます——時間が短いからです。

だから(1)は「現実的な方法」として正しい——実際に行われてきた改良になります。

(3) OFケーブルの油を循環させる

絶縁油が冷却材にもなります

段階起きること
★導体の熱が絶縁油に伝わる
★②★★ポンプで油を循環させる
★③★★外部の冷却器で油を冷やす
★④★冷えた油が戻って導体を冷やす

油通路がもともとあるので、循環させられます——設備を足すだけで済むのです。

内側から直接冷やすので、効果が大きい——外から冷やすより効率がよい

変圧器の送油風冷式と同じ考え方——油を運び役に使います

これはOFケーブルだからできること——CVには真似できません

(5) 導体サイズを大きくする限界

最も基本的な方法ですが、限界もあります

項目太くすると
★直流抵抗★★断面積に反比例して下がる
★表皮効果★★強くなり、中心が使われなくなる
★交流実効抵抗★★期待ほど下がらない
★重量と価格★★増える

太くすれば直流抵抗は確実に下がります——だから「現実的な方法」ではあるのです。

けれども表皮効果が強まるので、効果は頭打ちになります——2倍太くしても半分にはならない

だから大容量では分割導体や素線絶縁導体を使います——表皮効果を抑える工夫です。

それでも導体サイズは最初に検討される方法——(5)は正しい記述になります。

送電容量を決めるのは温度

すべての方法が、温度に行き着きます

決まり方内容
★上限★★絶縁体の最高許容温度(CVなら90 ℃)
★温度上昇★★発生損失×熱抵抗
★出発点★周囲温度(土中温度)

周囲温度に温度上昇を足したものが、導体温度です——それが上限を超えないようにします。

だから発熱を減らすか、熱抵抗を下げるか、上限を上げるか——やれることはこの3つです。

本問の4つの正しい選択肢が、すべてここに収まります——だから体系立てて覚えられるのです。

誤りの選択肢だけが、物理的に成り立たない方法——方向は正しくても実現できません

冷却方式の比べ方

どこから冷やすかで、効果も費用も変わります

方式冷やす場所使えるケーブル効果
★水冷管による間接冷却★★ケーブルの外側★★CVもOFも★1.2〜1.5倍
★絶縁油の循環冷却★★ケーブルの内側★★OFのみ★★より大きい
★強制風冷(暗きょ内)★洞道の空気★★暗きょ式のみ★中程度

内側から冷やすほうが効果は大きくなります——熱源に近いから。

けれども油通路がなければできません——だからOFに限られるのです。

外側からの冷却なら、どのケーブルにも使えます——汎用性があるのが利点です。

暗きょ式なら、換気を強めるだけでも効果があります——空気を動かせば熱が運ばれるのです。

まとめ

誤り(4) CVの絶縁体中に冷却水は循環できない
OF絶縁油を循環・冷却できる(油通路あり)(3)
間接冷却線路沿いの水冷管はOK(2)
材料・サイズ耐熱絶縁材料(1)・導体大サイズ化(5)
水トリー水分はXLPE劣化の原因——遮水層で対策
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・水トリーと遮水層(地中送電2):【電力】令和7年度上期 A問題10
・許容電流の増やし方(地中送電10):【電力】令和3年度 A問題11

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次