架空送電10【電験3種 電力】架空地線は裸線・遮へい角は小さいほど有効!令和5年度下期 A問題9 完全解説

電験3種 電力科目 架空送電 令和5年度下期 A問題9 遮へい角は小さいほど守れる!架空地線の役割

今回は令和5年度下期 電力科目 A問題9、送電線路の架空地線に関する空欄補充問題です。鉄塔の図を見ながら、架空地線の材質・遮へい角・逆フラッシオーバという頻出3点セットを確認できる良問です。

架空地線は鉄塔の頂部に張る接地された裸線。送電線への直撃雷を「傘」のように受け止めます。架空地線と送電線を結ぶ直線が鉛直線となす角度=遮へい角θで、小さいほど傘が深くかぶさるイメージになり遮へい効果が大きい。鉄塔に落ちた雷が送電線へ飛び移るのが逆フラッシオーバです。

出題のポイント:架空地線と遮へい角

架空地線、遮へい角、逆フラッシオーバの要点図
架空地線は裸線で、遮へい角は小さいほど直撃雷から送電線を守る効果が高くなります。

架空地線は鉄塔最上部に張る裸線で、直撃雷を受け止めて雷電流を大地へ流します。架空地線と送電線の位置を表す遮へい角は小さいほど保護効果が高く、塔脚接地抵抗を下げることで逆フラッシオーバを抑えます。

目次

令和5年度下期 電力科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 架空送電 令和5年度下期 A問題9 問題文
令和5年度下期 電力科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題9

電験3種 電力科目 【架空送電】 令和5年度下期 A問題9

 次の文章は、送電線路における架空地線に関する記述である。

 送電線路の鉄塔の上部に十分な強さをもった(ア)を張り、鉄塔を通じて接地したものを架空地線といい、送電線への直撃雷を防止するために設置される。

 図において、架空地線と送電線とを結ぶ直線と、架空地線から下ろした鉛直線との間の角度θを(イ)と呼んでいる。この角度が(ウ)ほど直撃雷を防止する効果が大きい。

 架空地線や鉄塔に直撃雷があった場合、鉄塔から送電線に(エ)を生じることがある。これを防止するために、鉄塔の接地抵抗を小さくするような対策が講じられている。

 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)裸線遮へい角小さい逆フラッシオーバ
(2)絶縁電線遮へい角大きい進行波
(3)裸線進入角小さい進行波
(4)絶縁電線進入角大きい進行波
(5)裸線進入角大きい逆フラッシオーバ
令和5年度下期 A問題9 鉄塔と遮へい角θの図
令和5年度下期 A問題9 鉄塔と遮へい角θの図
令和5年度下期 A問題9 鉄塔と遮へい角θの図
令和5年度下期 A問題9 鉄塔と遮へい角θの図
答え正解は (1)——(ア)裸線 (イ)遮へい角 (ウ)小さい (エ)逆フラッシオーバ です。

架空地線は裸線で遮へい角は小さいほど有効

鉄塔最上部の架空地線と送電線の遮へい角を大小比較する解説
遮へい角は架空地線からの鉛直線と送電線へ結ぶ線の角度で、小さいほど有効です。

架空地線が電力線を守れる範囲を、角度で表します

遮へい角守られる範囲直撃を受ける確率
★45度★狭い★高い
★30度★中程度★中程度
★0度以下★★広い★★きわめて低い

角度が小さいほど、電力線が架空地線の真下に近づきます——雷は上から来るので、覆われるほど安全です。

だから(ウ)は「小さい」——大きいと横から入ってくることになります。

超高圧では架空地線を2条にして、角度を負にすることもあります——電力線が完全に内側に入るのです。

「進入角」という用語はありません——もっともらしい造語です。

接地抵抗を下げて逆フラッシオーバを防ぐ

雷電流経路、逆フラッシオーバ、塔脚接地抵抗低減と選択肢1を示す解説
空欄は裸線、遮へい角、小さい、逆フラッシオーバとなり、正解は(1)です。

架空地線は接地するための電線です

★裸線絶縁電線
★鉄塔との関係★★直接固定して導通させる★絶縁されてしまう
★雷電流★★大地へ流せる★流せない
★費用★安い★高い

絶縁してしまえば、雷電流を大地へ流せません——架空地線の意味がなくなるのです。

鋼心アルミより線や亜鉛めっき鋼より線が使われます——強度が要るからです。

近年は光ファイバを内蔵したものもあります——通信線を兼ねるのです。

それでも外側は導体なので、機能は変わりません

(エ) 逆フラッシオーバへの備え

段階起きること
★架空地線または鉄塔に落雷する
★②★雷電流が鉄塔を通って大地へ流れる
★③★塔脚接地抵抗により鉄塔の電位が上がる
★④★鉄塔のほうが電線より高電位になる
★⑤★がいしを逆向きに閃絡する(逆フラッシオーバ)

雷を受け止めても、鉄塔の電位が上がれば意味がありません——そこから電線へ逆流するからです。

塔脚接地抵抗雷電流30 kA のときの電位評価
★10 Ω★300 kV★★逆フラッシオーバの恐れ
★5 Ω★150 kV★改善
★1 Ω★30 kV★★安全

接地抵抗を下げるほど、電位の上昇が抑えられます——V=RI なので比例します。

だから埋設地線を放射状に敷きます——大地との接触面積を増やすのです。

山岳地では岩盤で接地抵抗が高くなりがち——そこが雷害の多い場所になります

「進行波」も生じますが、問題文は「鉄塔から送電線に」と書いています——方向が示されているので逆フラッシオーバです。

⚠️ よくある間違い
(ア)を「絶縁電線」としてしまう——選択肢(2)(4)がそれです。接地するので裸線
(イ)を「進入角」としてしまう——選択肢(3)(4)(5)存在しない用語です。
(ウ)を「大きい」としてしまう——選択肢(2)(4)(5)小さいほど覆う範囲が広い
(エ)を「進行波」としてしまう——選択肢(2)(3)(4)「鉄塔から送電線に」という向きが手がかりです。
(イ)だけで(1)(2)に絞れます——あとは(ウ)で確定するでしょう。

⏱️ 本番での進め方
①★架空地線は接地するので裸線。
②★遮へい角は小さいほど直撃を防げる。
③★逆フラッシオーバは鉄塔から電線への放電。
④★対策は塔脚接地抵抗を下げること(V=RI)。

💡 覚え方
「小さい角度で深く覆う」——遮へい角は小さいほど安全です。受け止めても電位が上がれば逆流する——だから接地抵抗を下げるのです。

がいしと避雷器を含む総合問題は平成29年度 A問題9架空送電:架空送電設備)にあります。

架空地線の本数と配置

(イ)の遮へい角は、架空地線の本数で変わります

本数遮へい角使う電圧
★1条★30〜45度★66〜154 kV
★2条★0〜20度★275 kV 以上
★2条(外側に配置)★★負の角度★500 kV

2条にすると、電力線を両側から挟めます——角度を小さくできるのです。

負の遮へい角とは、電力線が架空地線より内側にある状態——横からも入りにくくなります

電圧が高いほど、事故の影響が大きい——だから手厚く守ることになります。

遮へい失敗率という指標

遮へい角を小さくしても、完全ではありません

雷は必ずしも真上から来ないので、横から入ることがある——それを遮へい失敗と呼びます。

遮へい角0度でも、わずかに失敗が残ります——だから避雷器も併用するのです。

入れない・逃がす・電位差を作らない——3段構えで守ります

要点をもう一度

4つの空欄が、架空地線の要点を並べています

空欄答え誤答の型
(ア)★裸線★絶縁電線
(イ)★遮へい角★進入角(存在しない)
(ウ)★小さい★大きい
(エ)★逆フラッシオーバ★進行波

(イ)の「進入角」は存在しない用語——そこに気づけば3つに絞れます

(エ)は「鉄塔から送電線に」という向きが手がかり——逆向きだから「逆」フラッシオーバです。

接地抵抗を下げる方法

方法内容効果
★埋設地線★鉄塔から放射状に電線を埋める★★最も一般的
★接地棒★深く打ち込む★地下水位まで届けば有効
★接地抵抗低減材★導電性の材料を埋める★岩盤地帯で使う

大地との接触面積を増やすのが基本——だから放射状に広げます

山岳地では岩盤で抵抗が高くなりがち——そこが雷害の多い場所になります。

架空地線が果たすもう1つの役割

雷対策以外にも働きがあります

役割内容
★直撃雷の遮へい★本来の目的
★誘導障害の軽減★★通信線への電磁誘導を打ち消す
★地絡電流の分流★大地と並列に電流の帰路を作る
★通信路★光ファイバを内蔵して使う

架空地線に誘導電流が流れると、逆向きの磁界を作ります——それが通信線への誘導を打ち消すのです。

遮へい線として働く——雷と誘導の両方に効いています

地絡時には、電流の一部が架空地線を通って戻ります——大地だけを通るより抵抗が低いから。

近年は光ファイバ複合架空地線(OPGW)が普及しました——送電線に沿って通信路も確保できるのです。

1本の電線が4つの役目を果たしている——合理的な設備だと言えます。

雷の性質と送電線

架空送電線が雷を受けやすい理由を見ましょう

項目値の目安
★鉄塔の高さ★50〜100 m
★雷電流★数十 kA(最大200 kA)
★立ち上がり★1〜2マイクロ秒
★年間の落雷回数★100 km あたり数十回

周囲より高い構造物ほど、雷を引きつけます——鉄塔は数十メートルあるので狙われやすいのです。

山岳地帯を通る送電線は特に落雷が多い——標高が高く、接地抵抗も高いから。

だから架空地線を2条にするなど、手厚い対策が要ります——遮へい角を小さくするのです。

それでも完全には防げないので、再閉路で備える——防ぐ・逃がす・復旧するの3段構えになります。

まとめ

(ア)裸線(鉄塔を通じて接地)
(イ)遮へい角(鉛直線とのなす角θ)
(ウ)小さい(ほど直撃雷防止効果大)
(エ)逆フラッシオーバ(鉄塔→送電線)
対策塔脚接地抵抗の低減(埋設地線)
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・雷害対策の総合問題(架空送電2):【電力】令和7年度下期 A問題9
・OPGWと構成部品(架空送電4):【電力】令和7年度上期 A問題8

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