配電12【電験3種 電力】低圧ネットワークは切替を待たず無停電!「停電する」は誤り=(3) 令和4年度下期 A問題13 完全解説

電験3種 電力科目 令和4年度下期 A問題13 アイキャッチ

今回は令和4年度下期 電力科目 A問題13低圧ネットワーク方式から誤りを1つ選ぶ問題です。この方式の存在理由そのものが問われているので、「何のためにこの方式を使うのか」を押さえれば迷いません。

決め手は複数の給電線が常時並列で低圧側につながっていること。1回線が事故になっても、ネットワークプロテクタがその回線だけを自動で切り離すだけで、残りの回線から供給が続きます。「切り替える間、停電する」は無停電という特長を打ち消す記述です。

目次

令和4年度下期 電力科目 A問題13:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 令和4年度下期 A問題13 問題文
令和4年度下期 電力科目 A問題13 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題13

電験3種 電力科目 【配電】 令和4年度下期 A問題13

 低圧ネットワーク方式(レギュラーネットワーク方式ともいう)では、給電線である複数の特別高圧配電線路から、ネットワーク変圧器を経て、低圧配電線路に電力が供給される。低圧ネットワーク方式に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 一般的に、ネットワーク変圧器二次側に、保護装置としてネットワークプロテクタが設置されており、ネットワーク変圧器一次側の遮断器やヒューズを省略することができる。

(2) 低圧配電線路を格子状に接続したネットワークから、各需要家に供給する。

(3) 給電線のうちの一つに事故が発生すると、他の健全な給電線に供給系統を切り替える間、低圧配電線路が停電する。

(4) 樹枝状配電線路と比較して電圧変動や電力損失を小さくすることができる。

(5) 建設費が高くなるので、大都市のような需要家の多い地域で用いられる。

答え給電線の事故で切替の間に停電する = (3)——複数回線が常時並列なので、事故回線を切り離すだけで供給は続きます。

答えは(3):切替を待つ停電は起きない

一般的な樹枝状方式で予備回線へ供給を移すには切替操作が要りますが、低圧ネットワークは最初から複数回線がつながっています——低圧側の供給系統を健全回線へ切り替える必要がないのです。

選択肢内容判定
★(1) 一次側の遮断器・ヒューズを省略★★二次側のネットワークプロテクタが保護を担う★★正しい
★(2) 格子状のネットワークから供給★★低圧線を網目状に接続する★★正しい
★★(3) 切替の間、低圧線が停電★★★常時並列なので切替も停電もない★★★誤り
★(4) 電圧変動・電力損失が小さい★★複数経路に電流が分かれる★★正しい
★(5) 建設費が高く大都市向け★★設備が二重三重になる★★正しい

樹枝状とネットワークの決定的な違い

樹枝状配電線路低圧ネットワーク方式
★供給経路★1本の幹線から枝分かれ★★複数の給電線が常時並列
★事故時の動作★開閉器を操作して健全回線へ切り替える★★プロテクタが事故回線だけを自動で切り離す
★需要家から見ると★切替が終わるまで停電★★★停電しない
★建設費★安い★★高い

樹枝状は「1本が切れたら別の1本に付け替える」方式です——付け替えている間は電気が来ません

低圧ネットワークは「最初から何本もつないである」方式です——1本抜けても残りが受け持つだけです。

この差が「無停電」という言葉の中身——高い建設費を払ってでも欲しいのはこの一点です。

出題のポイント:常時並列だから供給切替を待たない

複数の特別高圧給電線が変圧器とプロテクタを介して低圧格子へ常時並列給電する解説
複数回線は事故前から同じ低圧ネットワークへ接続されているため、健全回線への供給切替を待ちません。

低圧ネットワーク方式では、複数の特別高圧給電線がネットワーク変圧器とネットワークプロテクタを介して、同じ低圧格子へ常時並列で給電します。1回線が事故になると、その回線だけを切り離し、健全回線が供給を続けます。

ネットワークプロテクタの3つの働き

給電線事故で逆電力を検出し事故回線のプロテクタだけを開いて供給を継続する解説
事故回線への逆電力を検出すると、その回線のプロテクタだけが開き、残る健全回線が需要家へ給電します。
構成部品役割効くのはどんなとき
★プロテクタヒューズ★★低圧側の短絡電流を遮断する★★プロテクタ遮断器で切れない大電流
★プロテクタ遮断器★★逆電力を検出して自動的に開く★★給電線側の事故
★電力方向継電器★★電力の向きを監視する★★低圧側から電源側へ流れたとき

給電線が事故になると、低圧ネットワーク側から事故点へ電流が逆流します——その向きの変化をプロテクタが捉えるのです。

逆電力を検出したら、その回線のプロテクタ遮断器だけが開きます——ほかの回線はつながったままです。

一次側の遮断器やヒューズを省略できるのは、この保護があるから——(1)の記述はここを述べています

なぜ電圧変動と電力損失が小さくなるのか

樹枝状ネットワーク
★負荷電流の流れ方★1経路に集中★★複数経路に分かれる
★1経路あたりの電流★大きい★★小さい
★電圧降下・損失★大きい★★小さい(電流の2乗で効く)

格子状につながっていると、電流は自然に複数の経路へ分かれます——1本あたりの電流が減るのです。

損失は電流の2乗に比例するので、分かれた効果は大きい——(4)の記述どおりです。

⚠️ よくある間違い
(5)を疑ってしまう——給電線もネットワーク変圧器もプロテクタも複数必要なので、建設費は確かに高くなります。だから需要密度の高い大都市に限られます。
(1)を疑ってしまう——保護は二次側のプロテクタが受け持つので、一次側の遮断器やヒューズは省略できます。
「切り替える」という言葉に引っかからない——事故後に低圧側の供給系統を健全回線へ切り替える必要はありません。事故回線のプロテクタは開きますが、健全回線は接続されたままです。

⏱️ 本番での進め方
①★この方式は何のためにあるかを思い出す——無停電供給。
②★「停電する」「切り替える」という語を探す。
③★それは樹枝状の説明——ネットワークは常時並列
④★残りの記述(格子状・費用・損失・プロテクタ)は特長そのものなので正しい。

💡 覚え方
低圧ネットワークは「最初からつないである」から無停電——切替という動作が存在しないのが樹枝状との決定的な差です。保護はネットワークプロテクタ(ヒューズ+遮断器+電力方向継電器)代償は建設費——この3点で整理できます。

スポットネットワーク方式との違いは令和2年度 A問題13配電:スポットネットワーク受電)で確認できます。

スポットネットワークとの使い分け

低圧ネットワークスポットネットワーク
★供給先★一定地域の多数の需要家★★1つの大口需要家
★低圧側の形★格子状のネットワーク★★1つのネットワーク母線
★受電回線★複数の給電線★★一般に3回線

どちらもネットワークプロテクタを使い、無停電を狙う点は同じです——違うのは供給する相手の広さです。

低圧ネットワークは地域に、スポットネットワークはビル1棟に——名前の「スポット」が1点集中を表しています

まとめ

電圧降下と線路損失の基本法則から全選択肢を判定し正解3を示す解説
格子状の複数経路では電流が分かれ、電圧変動と損失を抑えられます。誤っている記述は(3)です。
(1) プロテクタ二次側で保護するので一次側の遮断器を省略可→正しい
(2) 格子状低圧線を網目状に接続して供給→正しい
(3) 切替中に停電常時並列で切替が不要→誤り
(4) 電圧変動・損失複数経路に分流して小さくなる→正しい
(5) 建設費高いので大都市の高需要密度地域向け→正しい
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・スポットネットワーク受電(配電18):【電力】令和2年度 A問題13
・ネットワーク母線の故障(配電27):【電力】平成27年度 A問題12

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