今回は令和5年度上期 電力科目 A問題8、配電用機材と関係の深い語句を組み合わせる選択問題です。ギャップレス避雷器・ガス開閉器・CVケーブル・柱上変圧器という4つの機材の特徴を、キーワードと結びつけます。
各機材の代表キーワードを押さえれば一発:ギャップレス避雷器=酸化亜鉛(ZnO)の非線形抵抗、ガス開閉器=六ふっ化硫黄(SF6)ガス、CVケーブル=水トリー(絶縁劣化)、柱上変圧器=鉄損(無負荷損)。残る「ギャロッピング」は架空送電線の振動でダミーです。
答えは(3):ZnO・SF6・水トリー・鉄損
語句のほうから機材を逆引きすると速く解けます。
| 語句 | どの分野の言葉か | 結び付く機材 |
| ★(a) 水トリー | ★★ケーブルの絶縁劣化 | ★★CVケーブル |
| ★(b) 鉄損 | ★★変圧器の損失 | ★★柱上変圧器 |
| ★(c) 酸化亜鉛 | ★★非線形抵抗の材料 | ★★ギャップレス避雷器 |
| ★(d) 六ふっ化硫黄 | ★★絶縁・消弧のガス | ★★ガス開閉器 |
| ★★(e) ギャロッピング | ★★架空送電線の振動 | ★★どれにも当たらない |
令和5年度上期 電力科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題8
電験3種 電力科目 【配電】 令和5年度上期 A問題8
次に示す配電用機材(ア)〜(エ)とそれに関係の深い語句(a)〜(e)とを組み合わせたものとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
【配電用機材】(ア)ギャップレス避雷器 (イ)ガス開閉器 (ウ)CVケーブル (エ)柱上変圧器
【語句】(a)水トリー (b)鉄損 (c)酸化亜鉛(ZnO) (d)六ふっ化硫黄(SF6) (e)ギャロッピング
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) (c) (d) (e) (a) (2) (c) (d) (a) (e) (3) (c) (d) (a) (b) (4) (d) (c) (a) (b) (5) (d) (c) (e) (a)

酸化亜鉛の非線形抵抗という性質
| 加わる電圧 | 素子の抵抗 | 流れる電流 | 状態 |
| ★平常の運転電圧 | ★★極めて高い | ★★ごく微小 | ★★絶縁物として振る舞う |
| ★★雷サージ | ★★急激に下がる | ★★数千アンペア | ★★導体として振る舞う |
| ★サージが去った後 | ★★また高くなる | ★★ごく微小に戻る | ★★自動的に復帰する |
電圧が上がると抵抗が下がる、という不思議な性質です——ふつうの抵抗器とは違うのです。
だから直列ギャップがなくても電流を止めておけます——それがギャップレスの意味です。
サージが去れば自動で元に戻ります——続流を切る仕掛けも要らないのです。
この性質が(ア)と(c)を結び付けています。
鉄損の中身を2つに分ける
| 損失 | 原因 | 減らす工夫 |
| ★★ヒステリシス損 | ★★磁化の向きを変えるときに要るエネルギー | ★★方向性けい素鋼板・アモルファス |
| ★★渦電流損 | ★★鉄心の中に渦を巻く電流が流れる | ★★薄い板を積み重ねる・けい素を加える |
どちらも磁束が変化することで生じます——電源につながっているかぎり発生するのです。
だから鉄損は無負荷損とも呼ばれます——負荷がなくても消える損失です。
柱上変圧器は夜間ほぼ無負荷なので、鉄損だけが残ります——だから特徴語句になるのです。
これが(エ)と(b)を結び付ける理由です。
⚠️ よくある間違い
(ア)と(イ)を入れ替える——避雷器がZnO、開閉器がSF6です。
(ウ)にギャロッピングを当てる——それは架空送電線の振動です。
(エ)に水トリーを当てる——水トリーはケーブルの劣化です。
鉄損を銅損と取り違える——鉄心で生じるのが鉄損です。
語句が1つ余ることを忘れる——5つの語句に機材は4つです。
⏱️ 本番での進め方
①★語句のほうから逆引きすると速い。
②★酸化亜鉛は電圧が上がると抵抗が下がる。
③★鉄損=ヒステリシス損+渦電流損。無負荷でも生じる。
④★ギャロッピングは架空送電線の振動でダミー。
💡 覚え方
「亜鉛・ガス・水・鉄」——避雷器・開閉器・ケーブル・変圧器の順です。ギャロッピングだけ場所が違う——そこが余りになります。
★この問題は平成18年度 A問題9とまったく同一です(配電:配電用機材と語句の組合せ(H18))。17年を隔てての再出題です。
ギャロッピングとその対策
| 項目 | 内容 |
| ★起きる条件 | ★★電線に氷雪が片側に付き、断面がゆがんだところへ横風 |
| ★動き | ★★数メートルの振幅でゆっくり上下する |
| ★被害 | ★★相間短絡・金具の疲労・電線の損傷 |
| ★対策 | ★★相間スペーサ・難着雪リング・ねじれ防止ダンパ |
翼のような断面になると、風から揚力を受けます——それが振動のもとです。
振幅が大きいので、電線どうしが触れて短絡します——だから相間スペーサで距離を保つのです。
架空送電線の現象なので、配電用機材とは結び付きません——ダミーだと分かるのです。
SF6が消弧に優れる理由
| 性質 | 内容 | 効いてくる場面 |
| ★★電子付着性 | ★★自由電子を捕まえて負イオンになる | ★★アークの導電性が急に失われる |
| ★熱伝導 | ★★アークの熱を素早く運び去る | ★★温度が下がり絶縁が回復する |
| ★絶縁耐力 | ★★空気の2〜3倍 | ★★再点弧しにくい |
アークは自由電子が担っています——その電子を捕まえれば消えるのです。
だから電流ゼロ点で一気に絶縁が回復します——それがSF6の強みです。
水トリーを防ぐ工夫
| 工夫 | 内容 |
| ★★遮水層を設ける | ★★遮へい層の外側に水を通さない層を巻く |
| ★★導体に止水材を入れる | ★★より線のすき間から水が伝わるのを防ぐ |
| ★絶縁体を清浄にする | ★★異物や空隙を減らして電界集中を避ける |
| ★乾式架橋 | ★★製造時に水を使わず架橋する |
水と電界と異物の3つがそろうと水トリーが進みます——どれか1つを断てばよいのです。
いちばん確実なのは、水を入れないことです——だから遮水層を設けるのです。
製造の段階でも工夫されています——乾式架橋なら水分が残らないのです。
ギャップ付き避雷器との違い
| ギャップ付き(炭化けい素形) | ギャップレス(酸化亜鉛形) | |
| ★平常時の絶縁 | ★★直列ギャップが受け持つ | ★★素子自身が受け持つ |
| ★続流 | ★★流れるのでギャップで切る | ★★ほとんど流れない |
| ★大きさ | ★★大きい | ★★小形 |
| ★現在 | ★★ほとんど使われない | ★★主流 |
昔は炭化けい素の素子とギャップを組み合わせていました——素子だけでは電流を止められなかったから。
酸化亜鉛はその必要がありません——だからギャップレスにできたのです。
組合せ問題を確実に取る手順
| 段階 | 行うこと | 本問では |
| ★① | ★★どれにも当てはまらない語句を探す | ★★ギャロッピング |
| ★② | ★★それを含む選択肢を外す | ★★(1)(2)(5)が消える |
| ★③ | ★★残りを1つの組で決める | ★★(ア)がZnOなら(3) |
余る語句を先に見つけると、いっきに絞れます——3つの選択肢が消えるのです。
あとは(ア)がZnOかSF6かだけです——避雷器なのでZnO。
この手順なら10秒ほどで答えが出ます。
配電用機材の代表語句をもう一度
| 機材 | 代表語句 | ひとことで言うと |
| ★ギャップレス避雷器 | ★★酸化亜鉛 | ★★電圧で抵抗が変わる素子 |
| ★ガス開閉器 | ★★六ふっ化硫黄 | ★★電子を捕まえるガス |
| ★CVケーブル | ★★水トリー | ★★水が作る樹枝状の劣化 |
| ★柱上変圧器 | ★★鉄損 | ★★つないでいるだけで出る損失 |
4つとも、その機材でしか出てこない語句です——だから一対一で対応するのです。
ひとことの説明まで言えるようにしておくと確実です——別の形で問われても答えられるから。
この4組は繰り返し出題されています。
配電と送電で語句を混ぜない
| 分野 | その分野の代表語句 |
| ★配電の機材 | ★★酸化亜鉛・六ふっ化硫黄・水トリー・鉄損 |
| ★架空送電の現象 | ★★ギャロッピング・微風振動・コロナ・スリートジャンプ |
本問はこの2つを混ぜて出題しています——だから1つ余るのです。
分野で仕分ければ、迷わず選べます——ギャロッピングだけ送電の言葉です。
まとめ
| (ア) | ギャップレス避雷器=酸化亜鉛ZnO(c) |
| (イ) | ガス開閉器=六ふっ化硫黄SF6(d) |
| (ウ) | CVケーブル=水トリー(a) |
| (エ) | 柱上変圧器=鉄損(b) |
| ダミー | (e)ギャロッピング=架空送電の振動 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・避雷器のZnO(変電2):【電力】令和7年度下期 A問題6
・CVケーブルと水トリー(地中送電2):【電力】令和7年度上期 A問題10

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