配電13【電験3種 電力】柱上変圧器は10〜100kVA・アモルファスで低損失化・避雷器内蔵・V結線は1/√3!令和4年度上期 A問題12 完全解説

電験3種 電力科目 配電 令和4年度上期 A問題12 柱上変圧器は何kVA?アモルファスで低損失に

今回は令和4年度上期 電力科目 A問題12、配電線路に用いられる柱上変圧器の空欄補充問題です。容量・鉄心材料・保護装置・V結線の出力比と、柱上変圧器の要点が一通り問われます。

4つの空欄:柱上変圧器の容量は10〜100kV・A(MV・Aは大きすぎ)、鉄損を減らす低損失化のためアモルファス金属を採用、保護に避雷器を内蔵、V結線の出力はΔ結線の1/√3(≒0.577)。V結線の出力比(変電24)が計算のヤマです。

目次

令和4年度上期 電力科目 A問題12:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 令和4年度上期 A問題12 問題文
令和4年度上期 電力科目 A問題12 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題12

電験3種 電力科目 【配電】 令和4年度上期 A問題12

 次の文章は、配電線路に用いられる柱上変圧器に関する記述である。

 柱上に設置される変圧器としては、容量(ア)のものが多く使用されている。

 鉄心には、けい素鋼板が多く使用されているが、(イ)のために鉄心にアモルファス金属材料を用いた変圧器も使用されている。

 また、変圧器保護のために、(ウ)を柱上変圧器に内蔵したものも使用されている。

 三相3線式200Vに供給するときの結線には、Δ結線とV結線がある。V結線は単相変圧器2台によって構成できるため、Δ結線よりも変圧器の電柱への設置が簡素化できるが、同一容量の単相変圧器2台を使用して三相平衡負荷に供給している場合、同一容量の単相変圧器3台を使用したΔ結線と比較して、出力は(エ)倍となる。

 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)10〜100kV・A小型化漏電遮断器1/√3
(2)10〜30MV・A低損失化漏電遮断器√3/2
(3)10〜30MV・A低損失化避雷器√3/2
(4)10〜100kV・A低損失化避雷器1/√3
(5)10〜100kV・A小型化避雷器√3/2
答え答えは(4)です。

出題のポイント:容量・低損失・保護・V結線を整理

柱上変圧器の容量、アモルファス鉄心、避雷器、V結線出力比の4空欄を順番に確定する図
10〜100 kV・A、低損失化、避雷器、1/√3を用途と式から確認します。

柱上変圧器は10〜100 kV・A級が多く、アモルファス鉄心は低損失化、内蔵避雷器は雷サージ保護のために用いられます。同一容量の単相変圧器では、2台のV結線出力は3台のΔ結線出力の1/√3倍です。

答えは(4):10〜100 kV・A・低損失化・避雷器・1/√3

3台Δ結線と2台V結線の正しい接続図から出力比1/√3と設備利用率√3/2を区別して導く図
V結線の出力容量√3VIを3台Δ結線の3VIと比べると1/√3、2台分の設備容量と比べると利用率√3/2です。

容量の桁と、V結線の出力比が決め手です

空欄正解なぜそうなるか
★(ア)★★10〜100 kV・A★★MV・Aは変電所級で大きすぎる
★(イ)★★低損失化★★アモルファスは鉄損を減らすため
★(ウ)★★避雷器★★漏電遮断器は低圧の地絡保護
★(エ)★★1/√3★★√3/2は利用率であって出力比ではない

V結線の出力が1/√3になる理由

2つの数字が出てくるので、導出で区別します

\( P_\Delta=3\times V I \)
Δ結線(3台)の出力。1台あたりVI
\( P_V=\sqrt{3}\times V I \)
V結線(2台)の三相出力
\( \dfrac{P_V}{P_\Delta}=\dfrac{\sqrt{3}VI}{3VI}=\dfrac{1}{\sqrt{3}} \)
3台のΔ結線と比べる
★0.577
\( \dfrac{P_V}{2VI}=\dfrac{\sqrt{3}VI}{2VI}=\dfrac{\sqrt{3}}{2} \)
2台の容量と比べる
★0.866=利用率
何と比べるか呼び方
★★変圧器2台の容量★★√3/2=0.866★★利用率
★★Δ結線(3台)の出力★★1/√3=0.577★★出力比

分母が違うだけで、分子はどちらも√3VI です——そこを押さえれば混同しません

本問は「Δ結線と比較して」とあるので出力比——1/√3です。

選択肢に√3/2 が3つも並んでいます——そこが引っかけです。

答え(エ) V結線の出力はΔ結線の 1/√3 倍です。

アモルファス金属を使う理由

けい素鋼板アモルファス金属
★結晶の構造★★規則正しく並ぶ★★不規則(非結晶)
★鉄損★普通★★大幅に減る
★厚さ★★0.2〜0.35 mm★★0.03 mm と極めて薄い
★短所★—★★硬くてもろい・高価・大きくなる

鉄損は、つながっているかぎり流れ続けます——負荷がなくても発生するのです。

柱上変圧器は何十万台もあるので、合計すると膨大——だから鉄損を減らす価値があるのです。

アモルファスは薄くて渦電流損が小さい——磁区が不規則でヒステリシス損も小さいのです。

だから(イ)は小型化ではなく低損失化——むしろ体積は大きくなるのです。

⚠️ よくある間違い
(ア)をMV・Aとする——柱上なので kV・Aです。
(イ)を小型化とする——アモルファスはむしろ大きくなる
(ウ)を漏電遮断器とする——それは低圧回路の地絡保護です。
(エ)を√3/2とする——それは利用率です。
利用率と出力比を混同する——比べる相手が違います

⏱️ 本番での進め方
①★柱上変圧器の容量は10〜100 kV・A。
②★アモルファスは低損失化のため(小型化ではない)。
③★保護は避雷器を内蔵。
④★Δ結線と比べた出力比は1/√3、利用率は√3/2。

💡 覚え方
「2台と比べれば0.866、3台と比べれば0.577」——分母が違うだけです。アモルファスは鉄損を減らす——小型化ではありません

V結線の利用率と出力比は平成22年度 A問題13配電:配電設備の正誤)でも問われています。

鉄損と銅損の違い

アモルファスが減らすのは、どちらでしょうか

鉄損(無負荷損)銅損(負荷損)
★どこで生じるか★★鉄心★★巻線
★負荷との関係★★負荷がなくても一定★★負荷電流の2乗に比例
★中身★★ヒステリシス損+渦電流損★★抵抗による発熱
★アモルファスの効果★★大きく減る★★変わらない

柱上変圧器は24時間つながったままです——だから鉄損が積み重なるのです。

負荷率が低い変圧器ほど、鉄損の割合が大きくなります——住宅街の変圧器がそれです。

だから鉄損を減らす材料に価値があります——それがアモルファスです。

銅損は巻線の抵抗なので、鉄心を変えても減りません——そこは別の話です。

柱上変圧器の容量はどう決まるか

(ア)の10〜100 kV・A という数字の意味です

受け持つ範囲おおよその軒数変圧器の容量
★住宅数軒★★5〜10軒★★10〜20 kV・A
★住宅街の一区画★★10〜30軒★★30〜50 kV・A
★商店・小工場★—★★50〜100 kV・A

1軒の契約が数キロワットなので、この程度で足ります——電柱に載る大きさです。

MV・A(メガボルトアンペア)は1000倍です——変電所の主変圧器の桁になります。

そんなものは電柱に載りません——桁で判断できるのです。

数字の選択肢は、桁を見れば絞れることが多い——知らなくても消せるのです。

V結線を選ぶと何が起きるか

出力が減るかわりに、得るものがあります

失うもの得るもの
★出力★★Δ結線の57.7%まで下がる★—
★利用率★★86.6%にとどまる★—
★台数★—★★3台が2台で済む
★設置★—★★電柱への取り付けが簡素になる
★拡張★—★★1台足せばΔ結線にできる

問題文も「設置が簡素化できる」と書いています——そこが選ばれる理由です。

電柱の上は狭く、重いものは載せられません——2台で済むのは大きいのです。

需要が増えたら1台足せます——段階的に育てられるのです。

だから配電では、V結線がよく使われます——出力の減少を受け入れているのです。

避雷器を内蔵する利点

(ウ)の「内蔵したものも使用されている」の意味です

外付け内蔵
★取り付けの手間★★別に取り付ける★★変圧器と一体で済む
★接続線の長さ★★長くなる★★極めて短い
★保護の効き★★接続線のインダクタンスによる電圧が加わる★★効きが良い
★電柱の上★★ごちゃつく★★すっきりする

避雷器の接続線が長いと、雷サージ電流によってインダクタンス電圧が生じます——変圧器端子の電圧を十分に抑えにくくなるからです。

内蔵すれば接続線がほとんどありません——だから保護の効きが良いのです。

取り付けの手間も減り、電柱の上もすっきりします——だから内蔵型が使われるのです。

漏電遮断器を内蔵するという話ではありません——それは低圧側の分電盤の機器です。

けい素鋼板がなぜ使われてきたか

(イ)の比較対象になっている材料です

工夫内容減らす損失
★けい素を加える★★電気抵抗を高める★★渦電流損
★薄く積み重ねる★★渦電流の通り道を細くする★★渦電流損
★方向性をそろえる★★磁化しやすい向きに結晶を並べる★★ヒステリシス損

けい素鋼板も、損失を減らす工夫の結晶です——だから長く使われてきたのです。

アモルファス鉄心は、けい素鋼板より鉄損を大幅に低減できます——そのため低損失化を目的に採用されます

ただしアモルファスは硬くてもろく、加工が難しい——高価でもあるのです。

だから両方が併用されています——問題文も「多く使用されているが」と書くのです。

まとめ

公式選択肢1から5を容量、鉄心、保護、V結線出力比で照合し正解4を示す図
空欄は10〜100 kV・A、低損失化、避雷器、1/√3となるため、正解は(4)です。
(ア)10〜100kV・A(柱上変圧器の容量)
(イ)低損失化(アモルファス金属)
(ウ)避雷器(変圧器保護)
(エ)1/√3(V結線の出力比)
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・V結線の出力比と利用率(変電24):【電力】平成30年度 A問題12
・機材と語句の組合せ(配電10):【電力】令和5年度上期 A問題8

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