今回は平成22年度 電力科目 A問題13、配電設備に関する記述a〜dの正誤組合せ問題です。V結線・アーケード配電・共架・ケーブル布設方式と、配電設備の知識が総登場します。
正誤はa正・b正・c誤・d誤。共架(c)は支持物を減らせますが電力線と通信線が接近するため誘導障害・混触のリスクが増すので誤り。管路式(d)は地中に管を埋設する方式で、受け棚に布設するのは暗きょ式なので誤りです。
答えは(3):a正・b正・c誤・d誤
4つの記述を1つずつ確かめます。
| 記述 | 正誤 | 決め手 |
| ★a V結線 | ★正 | ★★利用率√3/2・出力√3/3倍とも正しい |
| ★b アーケード配電 | ★正 | ★上部空間を利用する |
| ★★c 共架 | ★★誤 | ★★離隔が縮み誘導障害が増える |
| ★★d 管路式 | ★★誤 | ★★受け棚に布設するのは暗きょ式 |
平成22年度 電力科目 A問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題13
電験3種 電力科目 【配電】 平成22年度 A問題13
配電設備に関する記述の正誤を解答群では「正:正しい文章」又は「誤:誤っている文章」と書き表している。正・誤の組み合わせとして、正しいのは次のうちどれか。
a V結線は、単相変圧器2台によって構成し、Δ結線と同じ電圧を変圧することができる。一方、Δ結線と比較し変圧器の利用率は√3/2となり出力は√3/3倍になる。
b 長距離で負荷密度の比較的高い商店街のアーケードでは、上部空間を利用し変圧器を設置する場合や、アーケードの支持物上部に架空配電線を施設する場合がある。
c 架空配電線と電話線、信号線などを、同一支持物に施設することを共架といい、全体的な支持物の本数が少なくなるので、交通の支障を少なくすることができ、電力線と通信線の離隔距離が緩和され、混触や誘導障害が少なくなる。
d ケーブル布設の管路式は、トンネル状構造物の側面の受け棚にケーブルを布設する方式である。特に変電所の引き出しなどケーブル条数が多い箇所には共同溝を利用する。
a b c d (1) 正 誤 正 正 (2) 誤 正 正 誤 (3) 正 正 誤 誤 (4) 誤 正 誤 誤 (5) 誤 誤 正 正

共架で何が起きるか
| 共架の効果 | 正誤 | |
| ★支持物の本数 | ★★減る | ★正しい |
| ★交通の支障 | ★★少なくなる | ★正しい |
| ★★電力線と通信線の離隔 | ★★縮まる | ★★「緩和され」は誤り |
| ★★混触・誘導障害 | ★★増える | ★★「少なくなる」は誤り |
前半は正しく、後半だけが誤りという作りです——最後まで読まないと引っかかるのです。
同じ電柱に載せれば、当然2つの線は近づきます——離隔が縮まるのです。
近づけば電磁誘導も静電誘導も強くなります——だから障害は増えるのです。
それでも共架するのは、電柱を減らす利点があるから——離隔距離を規則で定めて使うのです。
ケーブルの布設方式を区別する
| 方式 | やり方 | 特徴 |
| ★直接埋設式 | ★★掘った溝にケーブルを直接埋める | ★安いが増設・補修がしにくい |
| ★★管路式 | ★★管を埋設し、その中にケーブルを通す | ★★引き替えができる |
| ★★暗きょ式(洞道式) | ★★トンネル状の構造物の受け棚に並べる | ★★条数が多い箇所に向く |
記述dは、管路式と暗きょ式を入れ替えています——受け棚に載せるのは暗きょ式です。
管路式は管の中を通すので、あとから引き替えられます——マンホールで作業するのです。
暗きょ式は人が入れるトンネルです——点検も補修もしやすいのです。
変電所の引き出しなど条数の多い箇所に使います——共同溝を利用することもあるのです。
V結線の利用率と出力比
2つの数字は意味が違うので、混同しないこと——0.866と0.577です。
利用率は「2台の容量をどれだけ使えるか」——√3/2=0.866。
出力比は「3台のΔ結線と比べてどれだけ出せるか」——1/√3=0.577。
記述aは両方とも正しく書かれています——だから正です。
⚠️ よくある間違い
cを正しいと考える——共架は誘導障害が増えます。
dの管路式を受け棚と考える——それは暗きょ式です。
V結線の利用率と出力比を混同する——0.866と0.577。
bを誤りと考える——アーケード配電は実際に行われています。
cの前半だけ読んで正と判断する——後半に誤りがあります。
⏱️ 本番での進め方
①★共架=支持物は減るが誘導障害は増える。
②★管路式=管を埋設、暗きょ式=受け棚に布設。
③★V結線の利用率√3/2、出力比√3/3。
④★正誤問題は文の後半まで読む。
💡 覚え方
「共架は近づくから障害が増える」——当たり前のことを確かめるだけです。「受け棚は暗きょ」——管路式は管の中です。
ケーブルの布設方式は地中送電の単元(電力:地中送電)で詳しく扱っています。
アーケード配電という工夫
記述bは、実際に行われている方式です。
| 課題 | アーケード街の事情 | とる手段 |
| ★電柱が立てられない | ★★通路が狭く、屋根がある | ★★アーケードの支持物を利用する |
| ★変圧器の置き場 | ★★地上に余裕がない | ★★上部空間に設置する |
| ★負荷密度 | ★★商店が集まり高い | ★★変圧器を近くに置きたい |
商店街のアーケードには、すでに丈夫な骨組みがあります——それを使わない手はないのです。
上部空間なら通行の邪魔になりません——地上が狭いからです。
負荷密度が高いので、近くに変圧器が要ります——遠いと電圧が下がるのです。
だから記述bは正しい——見慣れない話でも理屈は通っているのです。
共同溝という考え方
記述dの後半にある語です。
| 共同溝 | 電力用の暗きょ | |
| ★収めるもの | ★★電力・通信・ガス・上下水道 | ★★電力ケーブルだけ |
| ★管理 | ★★道路管理者と各事業者が共同で | ★★電力会社が単独で |
| ★利点 | ★★道路を何度も掘り返さずに済む | ★点検・補修がしやすい |
ばらばらに埋設すると、道路を何度も掘ることになります——そのたびに交通が止まるのです。
そこで大きなトンネルを1本造り、全部まとめて収めます——それが共同溝です。
変電所の引き出しなど条数の多い箇所で使われます——記述dの後半は正しいのです。
誤っているのは前半の管路式の説明だけです——1文の中の一部だけが誤りという作りです。
V結線を使う場面
記述aの背景にある、実務の事情です。
| Δ結線(3台) | V結線(2台) | |
| ★変圧器の台数 | ★3台 | ★★2台 |
| ★出力 | ★★3台分の86.6% | ★★Δの57.7% |
| ★1台故障したとき | ★★V結線として運転を続けられる | ★★三相が作れなくなる |
| ★向いている場面 | ★負荷が大きく安定している | ★★負荷が小さい・将来の増設を見込む |
柱上では、2台で済むことが大きな利点です——電柱の上は狭いから。
負荷が増えたら1台足してΔ結線にできます——段階的に育てられるのです。
Δ結線で1台が故障しても、V結線として使えます——非常時の運転にも意味があるのです。
だから利用率と出力比の両方が問われます——記述aはその知識を確かめているのです。
正誤組合せ問題の解き方
自信のある記述から決めていきます。
| 段階 | 行うこと | 本問では |
| ★① | ★★確実に判定できる記述を1つ決める | ★★cの共架が誤り |
| ★② | ★★選択肢をその条件で絞る | ★★c=誤は(3)と(4)だけ |
| ★③ | ★★残りの記述で1つに決める | ★★aが正なら(3) |
4つすべてを判定する必要はありません——2つ決まれば選択肢が絞れるのです。
cの共架は、常識で「近づけば障害が増える」と分かります——そこから始めるのがこつ。
c=誤で残るのは(3)と(4)だけ——aの正誤で決着します。
この手順なら、迷う記述があっても答えが出せます——時間の節約にもなるのです。
共架を安全に行うための決まり
障害が増えると分かっていても、共架は行われます。
| 対策 | 内容 |
| ★★離隔距離を定める | ★★電力線と通信線の間に一定の距離を空ける |
| ★★通信線を下に置く | ★★電力線が切れても通信線に触れにくくする |
| ★通信線の遮へい | ★★遮へい層付きケーブルや光ファイバを使う |
| ★接地の管理 | ★誘導電圧を逃がす |
電柱を2種類立てるより、1本にまとめたほうが良い——道路が狭くならないから。
だから規則で条件を決めて、共架を認めています——危険を管理して使うのです。
光ファイバなら電磁誘導の影響を受けません——近年はこれが主流です。
それでも記述cの「障害が少なくなる」は誤りです——共架そのものはリスクを増やすのです。
まとめ
| a | 正(V結線 利用率√3/2・出力√3/3倍) |
| b | 正(アーケード配電) |
| c | 誤(共架は誘導障害リスク増) |
| d | 誤(受け棚布設は暗きょ式) |
| 答え | (3) 正正誤誤 |
▼あわせて解きたい関連問題
・V結線と単相3線式(配電23):【電力】平成28年度 A問題12
・地中配電の布設方式(配電26):【電力】平成27年度 A問題11

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