配電36【電験3種 電力】共架は誘導障害のリスク増・管路式≠暗きょ式!配電設備の正誤 平成22年度 A問題13 完全解説

電験3種 電力科目 配電 平成22年度 A問題13 共架は誘導障害に注意!管路式と暗きょ式も別物

今回は平成22年度 電力科目 A問題13配電設備に関する記述a〜dの正誤組合せ問題です。V結線・アーケード配電・共架・ケーブル布設方式と、配電設備の知識が総登場します。

正誤はa正・b正・c誤・d誤。共架(c)は支持物を減らせますが電力線と通信線が接近するため誘導障害・混触のリスクが増すので誤り。管路式(d)は地中に管を埋設する方式で、受け棚に布設するのは暗きょ式なので誤りです。

目次

答えは(3):a正・b正・c誤・d誤

4つの記述を1つずつ確かめます

記述正誤決め手
★a V結線★正★★利用率√3/2・出力√3/3倍とも正しい
★b アーケード配電★正★上部空間を利用する
★★c 共架★★誤★★離隔が縮み誘導障害が増える
★★d 管路式★★誤★★受け棚に布設するのは暗きょ式

平成22年度 電力科目 A問題13:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成22年度 A問題13 問題文
平成22年度 電力科目 A問題13 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題13

電験3種 電力科目 【配電】 平成22年度 A問題13

 配電設備に関する記述の正誤を解答群では「正:正しい文章」又は「誤:誤っている文章」と書き表している。正・誤の組み合わせとして、正しいのは次のうちどれか。

a V結線は、単相変圧器2台によって構成し、Δ結線と同じ電圧を変圧することができる。一方、Δ結線と比較し変圧器の利用率は√3/2となり出力は√3/3倍になる。

b 長距離で負荷密度の比較的高い商店街のアーケードでは、上部空間を利用し変圧器を設置する場合や、アーケードの支持物上部に架空配電線を施設する場合がある。

c 架空配電線と電話線、信号線などを、同一支持物に施設することを共架といい、全体的な支持物の本数が少なくなるので、交通の支障を少なくすることができ、電力線と通信線の離隔距離が緩和され、混触や誘導障害が少なくなる。

d ケーブル布設の管路式は、トンネル状構造物の側面の受け棚にケーブルを布設する方式である。特に変電所の引き出しなどケーブル条数が多い箇所には共同溝を利用する。

abcd
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
答え答えは(3)です。

共架で何が起きるか

共架の効果正誤
★支持物の本数★★減る★正しい
★交通の支障★★少なくなる★正しい
★★電力線と通信線の離隔★★縮まる★★「緩和され」は誤り
★★混触・誘導障害★★増える★★「少なくなる」は誤り

前半は正しく、後半だけが誤りという作りです——最後まで読まないと引っかかるのです。

同じ電柱に載せれば、当然2つの線は近づきます——離隔が縮まるのです。

近づけば電磁誘導も静電誘導も強くなります——だから障害は増えるのです。

それでも共架するのは、電柱を減らす利点があるから——離隔距離を規則で定めて使うのです。

ケーブルの布設方式を区別する

方式やり方特徴
★直接埋設式★★掘った溝にケーブルを直接埋める★安いが増設・補修がしにくい
★★管路式★★管を埋設し、その中にケーブルを通す★★引き替えができる
★★暗きょ式(洞道式)★★トンネル状の構造物の受け棚に並べる★★条数が多い箇所に向く

記述dは、管路式と暗きょ式を入れ替えています——受け棚に載せるのは暗きょ式です。

管路式は管の中を通すので、あとから引き替えられます——マンホールで作業するのです。

暗きょ式は人が入れるトンネルです——点検も補修もしやすいのです。

変電所の引き出しなど条数の多い箇所に使います——共同溝を利用することもあるのです。

V結線の利用率と出力比

V結線の利用率
\( \dfrac{\sqrt{3}}{2}\fallingdotseq 0.866 \)

変圧器2台の容量に対する三相出力の割合

Δ結線に対する出力比
\( \dfrac{\sqrt{3}}{3}=\dfrac{1}{\sqrt{3}}\fallingdotseq 0.577 \)

同じ変圧器3台のΔ結線と比べたとき

2つの数字は意味が違うので、混同しないこと——0.866と0.577です。

利用率は「2台の容量をどれだけ使えるか」——√3/2=0.866

出力比は「3台のΔ結線と比べてどれだけ出せるか」——1/√3=0.577

記述aは両方とも正しく書かれています——だから正です。

⚠️ よくある間違い
cを正しいと考える——共架は誘導障害が増えます
dの管路式を受け棚と考える——それは暗きょ式です。
V結線の利用率と出力比を混同する——0.866と0.577
bを誤りと考える——アーケード配電は実際に行われています
cの前半だけ読んで正と判断する——後半に誤りがあります

⏱️ 本番での進め方
①★共架=支持物は減るが誘導障害は増える。
②★管路式=管を埋設、暗きょ式=受け棚に布設。
③★V結線の利用率√3/2、出力比√3/3。
④★正誤問題は文の後半まで読む。

💡 覚え方
「共架は近づくから障害が増える」——当たり前のことを確かめるだけです。「受け棚は暗きょ」——管路式は管の中です。

ケーブルの布設方式は地中送電の単元電力:地中送電)で詳しく扱っています。

アーケード配電という工夫

記述bは、実際に行われている方式です

課題アーケード街の事情とる手段
★電柱が立てられない★★通路が狭く、屋根がある★★アーケードの支持物を利用する
★変圧器の置き場★★地上に余裕がない★★上部空間に設置する
★負荷密度★★商店が集まり高い★★変圧器を近くに置きたい

商店街のアーケードには、すでに丈夫な骨組みがあります——それを使わない手はないのです。

上部空間なら通行の邪魔になりません——地上が狭いからです。

負荷密度が高いので、近くに変圧器が要ります——遠いと電圧が下がるのです。

だから記述bは正しい——見慣れない話でも理屈は通っているのです。

共同溝という考え方

記述dの後半にある語です

共同溝電力用の暗きょ
★収めるもの★★電力・通信・ガス・上下水道★★電力ケーブルだけ
★管理★★道路管理者と各事業者が共同で★★電力会社が単独で
★利点★★道路を何度も掘り返さずに済む★点検・補修がしやすい

ばらばらに埋設すると、道路を何度も掘ることになります——そのたびに交通が止まるのです。

そこで大きなトンネルを1本造り、全部まとめて収めます——それが共同溝です。

変電所の引き出しなど条数の多い箇所で使われます——記述dの後半は正しいのです。

誤っているのは前半の管路式の説明だけです——1文の中の一部だけが誤りという作りです。

V結線を使う場面

記述aの背景にある、実務の事情です

Δ結線(3台)V結線(2台)
★変圧器の台数★3台★★2台
★出力★★3台分の86.6%★★Δの57.7%
★1台故障したとき★★V結線として運転を続けられる★★三相が作れなくなる
★向いている場面★負荷が大きく安定している★★負荷が小さい・将来の増設を見込む

柱上では、2台で済むことが大きな利点です——電柱の上は狭いから。

負荷が増えたら1台足してΔ結線にできます——段階的に育てられるのです。

Δ結線で1台が故障しても、V結線として使えます——非常時の運転にも意味があるのです。

だから利用率と出力比の両方が問われます——記述aはその知識を確かめているのです。

正誤組合せ問題の解き方

自信のある記述から決めていきます

段階行うこと本問では
★①★★確実に判定できる記述を1つ決める★★cの共架が誤り
★②★★選択肢をその条件で絞る★★c=誤は(3)と(4)だけ
★③★★残りの記述で1つに決める★★aが正なら(3)

4つすべてを判定する必要はありません——2つ決まれば選択肢が絞れるのです。

cの共架は、常識で「近づけば障害が増える」と分かります——そこから始めるのがこつ。

c=誤で残るのは(3)と(4)だけ——aの正誤で決着します

この手順なら、迷う記述があっても答えが出せます——時間の節約にもなるのです。

共架を安全に行うための決まり

障害が増えると分かっていても、共架は行われます

対策内容
★★離隔距離を定める★★電力線と通信線の間に一定の距離を空ける
★★通信線を下に置く★★電力線が切れても通信線に触れにくくする
★通信線の遮へい★★遮へい層付きケーブルや光ファイバを使う
★接地の管理★誘導電圧を逃がす

電柱を2種類立てるより、1本にまとめたほうが良い——道路が狭くならないから。

だから規則で条件を決めて、共架を認めています——危険を管理して使うのです。

光ファイバなら電磁誘導の影響を受けません——近年はこれが主流です。

それでも記述cの「障害が少なくなる」は誤りです——共架そのものはリスクを増やすのです。

まとめ

a正(V結線 利用率√3/2・出力√3/3倍)
b正(アーケード配電)
c誤(共架は誘導障害リスク増)
d誤(受け棚布設は暗きょ式)
答え(3) 正正誤誤

▼あわせて解きたい関連問題
・V結線と単相3線式(配電23):【電力】平成28年度 A問題12
・地中配電の布設方式(配電26):【電力】平成27年度 A問題11

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