配電35【電験3種 電力】高圧カットアウトのヒューズは雷サージでは溶断しない!「直ちに溶断」は誤り 平成22年度 A問題12 完全解説

電験3種 電力科目 配電 平成22年度 A問題12 雷では飛ばない高圧ヒューズ!短絡でこそ働く

今回は平成22年度 電力科目 A問題12配電線路の開閉器類の誤り選択問題です。区分開閉器・柱上開閉器・ループ方式・高圧カットアウト・パッドマウント変圧器と、配電の開閉機器が総登場します。

決め手は高圧カットアウト内蔵ヒューズの溶断特性。高圧ヒューズは持続する過負荷や内部短絡で溶断して変圧器を保護しますが、雷サージのような短時間の大電流では溶断しません(溶断すると雷のたびに停電する)。「雷サージなどの短時間大電流の通過時に直ちに溶断する」は誤りです。

目次

平成22年度 電力科目 A問題12:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成22年度 A問題12 問題文
平成22年度 電力科目 A問題12 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題12

電験3種 電力科目 【配電】 平成22年度 A問題12

 配電線路の開閉器類に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1) 配電線路用の開閉器は、主に配電線路の事故時の事故区間を切り離すためと、作業時の作業区間を区分するために使用される。

(2) 柱上開閉器は、気中形と真空形が一般に使用されている。操作方法は、手動操作による手動式と制御器による自動式がある。

(3) 高圧配電方式には、放射状方式(樹枝状方式)、ループ方式(環状方式)などがある。ループ方式は結合開閉器を設置して線路を構成するので、放射状方式よりも建設費は高くなるものの、高い信頼度が得られるため負荷密度の高い地域に用いられる。

(4) 高圧カットアウトは、柱上変圧器の一次側の開閉器として使用される。その内蔵の高圧ヒューズは変圧器の過負荷時や内部短絡故障時、雷サージなどの短時間大電流の通過時に直ちに溶断する。

(5) 地中配電系統で使用するパッドマウント変圧器には、変圧器と共に開閉器などの機器が収納されている。

答え誤っているのは(4)です。

答えは(4):雷サージでは溶断しない

ヒューズが溶ける条件が広く書かれすぎています

選択肢正誤要点
★(1) 事故区間の切り離しと作業区分★正しい★開閉器の2つの用途
★(2) 気中形・真空形/手動・自動★正しい★柱上開閉器の分類
★(3) ループ方式は建設費が高いが信頼度も高い★正しい★結合開閉器で環状にする
★★(4) 雷サージで直ちに溶断★★誤り★★短時間の大電流では溶断しない
★(5) パッドマウント変圧器★正しい★変圧器と開閉器を収納

ヒューズの時延特性という考え方

電流の種類大きさ続く時間ヒューズは
★★雷サージ★★極めて大きい★★数十マイクロ秒★★溶断しない
★変圧器の励磁突入電流★★定格の数倍★★数サイクル★★溶断しない
★★内部短絡★★大きい★★続く★★溶断する
★★持続する過負荷★★定格を超える★★続く★★溶断する

ヒューズは熱で溶けるので、電流の大きさと時間の積が効きます——短ければ熱が溜まらないのです。

雷サージは大きいけれど、あっという間に終わります——だから溶けないのです。

もし溶けたら、雷のたびに停電して復旧作業が要ります——それでは使い物にならないのです。

だから短時間の大電流は見逃す特性にしてあります——それが時延特性です。

ループ方式という配電のかたち

放射状方式ループ方式
★形★★変電所から枝分かれ★★環状につないで結合開閉器を置く
★事故時★★その先が全部停電★★反対側から送電できる
★建設費★★安い★★高い
★向いている地域★★一般の市街地★★負荷密度の高い地域

結合開閉器は、ふだんは開いています——事故のときに閉じて回り込ませるのです。

だから停電範囲を小さくできます——両側から送れるから。

そのかわり電線も開閉器も余分に要ります——だから建設費が高いのです。

費用に見合う地域でだけ採用されます——(3)は正しい記述です。

⚠️ よくある間違い
(4)を正しいと考える——雷サージでは溶断しません
過負荷でも溶断しないと考える——持続する過電流では溶断します
(3)を誤りと考える——ループ方式は高価だが高信頼度です。
(5)のパッドマウント変圧器を疑う——変圧器と開閉器を収納します
(1)の作業区分を見落とす——開閉器には2つの用途があります

⏱️ 本番での進め方
①★高圧ヒューズは雷サージでは溶断しない(時延特性)。
②★溶断するのは持続する過負荷と内部短絡。
③★ループ方式は結合開閉器で環状にする。
④★パッドマウント変圧器は変圧器と開閉器を収納する。

💡 覚え方
「大きくても短ければ溶けない」——ヒューズは熱で溶けるからです。雷のたびに停電しては困る——だから見逃す特性にしてあるのです。

高圧架空配電の機材は平成26年度 A問題13配電:高圧架空配電系統の機材)にあります。

事故時と作業時で使い分ける

場面いつ使うかねらい
★★事故区間の切り離し★★事故が起きたとき★★停電範囲を最小にする
★★作業区間の区分★★工事や点検のとき★★停電させる範囲を限定する

事故のときだけでなく、平常の作業でも使います——そこが見落とされやすいのです。

工事で全線を止めては、多くの需要家が困ります——だから区間を区切るのです。

記述(1)はその2つを正しく挙げています

パッドマウント変圧器という機器

項目内容
★別名★★地上用変圧器
★置く場所★★歩道や敷地の一角
★中身★★変圧器と開閉器などの機器
★使う系統★★地中配電系統

地中化すると、変圧器を電柱に載せられません——だから地上に箱を置くのです。

変圧器だけでなく開閉器も一緒に収めます——記述(5)は正しいのです。

高圧カットアウトが守るもの

守る対象どんな事故からヒューズは溶けるか
★柱上変圧器の内部★★巻線の短絡★★溶ける
★低圧配電系統★★低圧側の短絡★★溶ける
★—★★雷サージの通過★★溶けない
★—★★変圧器の励磁突入電流★★溶けない

守るべき事故と、見逃すべき現象があります——そこを区別するのがヒューズの特性です。

変圧器を入れた瞬間にも大きな電流が流れます——それでも溶けてはいけないのです。

だから時延特性をもたせてあります——短時間なら見逃すのです。

結合開閉器という部品

区分開閉器結合開閉器(連系開閉器)
★置く場所★★1本の配電線の途中★★2本の配電線のつなぎ目
★平常時★★閉じている★★開いている
★役目★★事故区間を切り離す★★別の線路から応援送電する

ループ方式は、この結合開閉器で環をつくります——ふだんは開いているのです。

事故のときに閉じれば、反対側から送電できます——だから信頼度が高いのです。

配電方式を信頼度の順に並べる

方式信頼度建設費採用される地域
★放射状(樹枝状)★★低い★★安い★★全国のほとんど
★★ループ(環状)★★高い★★高い★★負荷密度の高い地域
★ネットワーク★★最も高い★★最も高い★★大都市の中心部

信頼度と建設費は、いつも比例します——需要に見合う方式を選ぶのです。

ループ方式はその中間に位置します——記述(3)が述べているとおりです。

3つを順に並べて覚えておくと、比較の問題に強くなります

ヒューズと遮断器の役割の違い

ヒューズ遮断器
★動作の原理★★熱で溶ける★★継電器の指令で開く
★時延特性★★材質と太さで決まる★★整定で自由に決められる
★復旧★★交換が必要★★再投入できる
★費用★★安い★★高い

ヒューズは安く単純ですが、特性を後から変えられません——選定のときに決まるのです。

柱上変圧器のように数が多い場所では、その安さが効きます——だから高圧カットアウトなのです。

開閉器を自動で動かすしくみ

方式動き方使われ方
★手動式★★操作棒などで人が開閉する★★工事や点検のとき
★★自動式★★制御器が電圧を見て開閉する★★時限順送方式の区分開閉器

自動式は、停電すると開き、送電が戻ると一定時限後に閉じます——それが時限順送方式です。

だから故障区間が自動で切り離されます——人が探しに行かなくてよいのです。

記述(2)はこの2つの方式を挙げています——正しいのです。

気中形と真空形の違い

気中形真空形
★消弧のしかた★★空気中でアークを引き伸ばす★★真空バルブ内で拡散させる
★大きさ★★やや大きい★★小形
★開閉できる電流★★負荷電流まで★★同じく負荷電流まで

どちらも開閉器なので、事故電流は切れません——そこは共通です。

真空形のほうが小形で保守も楽なので、近年は主流になっています

記述(2)はこの2種類を挙げています——正しいのです。

まとめ

誤り(4) 雷サージでは溶断しない
開閉器事故区間切離し・作業区分(1)
柱上開閉器気中/真空形・手動/自動(2)
ループ方式高信頼度・負荷密度高い地域(3)
パッドマウント変圧器変圧器+開閉器を収納(5)
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・配電線路の開閉器類(配電9):【電力】令和5年度上期 A問題6
・高圧架空配電の機材(配電29):【電力】平成26年度 A問題13

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