配電23【電験3種 電力】バンキング方式のカスケーディング!区分ヒューズは高圧カットアウトより短く 平成28年度 A問題12 完全解説

電験3種 電力科目 配電 平成28年度 A問題12 バンキングの弱点カスケーディング!ヒューズは短く

今回は平成28年度 電力科目 A問題12低圧配電系統の構成の空欄補充問題です。放射状方式・バンキング方式・低圧ネットワーク方式と、低圧配電の三方式が一度に整理できます。

4つの空欄:放射状方式は配電用変圧器ごとに低圧幹線を引き出す方式。バンキング方式は電圧降下と電力損失を減少できるが、事故時にヒューズが次々切れるカスケーディングを起こす可能性があり、これを防ぐには区分ヒューズの動作時間を高圧カットアウトヒューズより短くする——保護協調が要点です。

目次

答えは(3):配電用変圧器・電圧降下・カスケーディング・短く

低圧配電の3つの方式が順に説明されています

空欄正解なぜそうなるか
★(ア)★★配電用変圧器★★変圧器ごとに低圧幹線を出す
★(イ)★★電圧降下★★並列にすると降下が減る
★(ウ)★★カスケーディング★★ヒューズが次々切れる現象
★(エ)★★短く★★区分ヒューズが先に切れるように

平成28年度 電力科目 A問題12:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成28年度 A問題12 問題文
平成28年度 電力科目 A問題12 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題12

電験3種 電力科目 【配電】 平成28年度 A問題12

 次の文章は、低圧配電系統の構成に関する記述である。

 放射状方式は、(ア)ごとに低圧幹線を引き出す方式で、構成が簡単で保守が容易なことから我が国では最も多く用いられている。

 バンキング方式は、同一の特別高圧又は高圧幹線に接続されている2台以上の配電用変圧器の二次側を低圧幹線で並列に接続する方式で、低圧幹線の(イ)、電力損失を減少でき、需要の増加に対し融通性がある。しかし、低圧側に事故が生じ、1台の変圧器が使用できなくなった場合、他の変圧器が過負荷となりヒューズが次々と切れ広範囲に停電を引き起こす(ウ)という現象を起こす可能性がある。この現象を防止するためには、連系箇所に設ける区分ヒューズの動作時間が変圧器一次側に設けられる高圧カットアウトヒューズの動作時間より(エ)なるよう保護協調をとる必要がある。

 低圧ネットワーク方式は、複数の特別高圧又は高圧幹線から、ネットワーク変圧器及びネットワークプロテクタを通じて低圧幹線に供給する方式である。

 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)配電用変電所電圧降下ブラックアウト長く
(2)配電用変電所フェランチ効果ブラックアウト長く
(3)配電用変圧器電圧降下カスケーディング短く
(4)配電用変圧器フェランチ効果カスケーディング長く
(5)配電用変圧器フェランチ効果ブラックアウト短く
答え答えは(3)です。

低圧配電の3つの方式

方式構成信頼度使われ方
★★放射状(樹枝状)★★変圧器ごとに低圧幹線を出す★★低い★★日本で最も多い
★★バンキング★★2台以上の変圧器の二次側を並列につなぐ★★中くらい★★負荷密度の高い地域
★★低圧ネットワーク★★複数の高圧幹線から格子状の低圧網へ★★最も高い★★大都市の繁華街

下へ行くほど信頼度が上がり、費用も上がります——需要に応じて選ぶのです。

放射状は構成が簡単で保守が容易です——だから最も多く使われるのです。

バンキングは並列につなぐので、電圧降下と損失が減ります——融通が利くのです。

そのかわりカスケーディングという弱点があります——それが(ウ)の内容です。

カスケーディングが起きる順序

段階起きること
★低圧側で事故が起き、1台の変圧器が使えなくなる
★②★★その分の負荷が残りの変圧器にかかる
★③★★過負荷になって次のヒューズが切れる
★④★★さらに残りに負荷が集中する
★⑤★★次々に切れて広範囲が停電する

滝が段々に落ちるように波及するので、カスケードと呼ばれます

並列につないでいるからこそ起きる現象です——バンキング方式の弱点です。

防ぐには、事故のあった区間だけを先に切り離します——連系箇所の区分ヒューズが先に切れるように。

だから区分ヒューズの動作時間を短くします——それが(エ)の答えです。

⚠️ よくある間違い
(ア)を配電用変電所とする——変圧器ごとの単位です。
(イ)をフェランチ効果とする——並列接続で減るのは電圧降下
(ウ)をブラックアウトとする——それは系統全体の崩壊です。
(エ)を長くとする——区分ヒューズが先に切れるよう短く
バンキングとネットワークを混同する——バンキングは同一高圧幹線からです。

⏱️ 本番での進め方
①★放射状=変圧器ごとに低圧幹線。日本で最も多い。
②★バンキング=二次側を並列。電圧降下と損失が減る。
③★カスケーディング=ヒューズが次々切れる現象。
④★区分ヒューズの動作時間を高圧カットアウトより短くする。

💡 覚え方
「並列にすると降下は減るが、次々切れる危険が生まれる」——長所と短所が裏表です。防ぐには区分ヒューズを先に切る——だから動作時間は短く

低圧ネットワーク方式は平成27年度 A問題12配電:ネットワーク方式の特徴)にあります。

放射状方式が最も多い理由

観点放射状方式の性格
★構成★★変圧器から幹線を1本出すだけ
★保護★★電流が一方向なので装置が簡単
★保守★★どこを切ればよいか分かりやすい
★費用★★最も安い
★弱点★★事故時にその幹線が全部停電する

日本の低圧配電は、ほとんどがこの方式です——安くて分かりやすいから。

1台の変圧器が受け持つのは数軒から数十軒です——停電しても範囲が狭いのです。

だから弱点も許容できます——それが(ア)の答えにつながるのです。

バンキング方式の長所を式で見る

放射状バンキング
★末端までの経路★★1本のみ★★両側の変圧器から
★流れる電流★★1本に集中★★2方向に分かれる
★電圧降下★★大きい★★小さい
★電力損失★★大きい★★小さい(電流の2乗で効く)

両側から供給すれば、1本あたりの電流が減ります——だから電圧降下が減るのです。

損失は電流の2乗なので、さらに大きく減ります——それが(イ)の内容です。

ヒューズの動作時間で協調をとる

ヒューズ位置動作時間ねらい
★★区分ヒューズ★★低圧幹線の連系箇所★★短い★★事故区間だけを先に切り離す
★★高圧カットアウトヒューズ★★変圧器の一次側★★長い★★区分ヒューズが動くのを待つ

下位を先に、上位を後に動かすのが保護協調です——ここでも同じ原則が働きます。

区分ヒューズが先に切れれば、変圧器は生き残ります——次々に切れる連鎖が止まるのです。

逆にすると、変圧器が先に落ちてカスケーディングになります——だから(エ)は短くなのです。

低圧ネットワーク方式の位置づけ

バンキング方式低圧ネットワーク方式
★変圧器の電源★★同一の高圧幹線★★複数の高圧幹線
★高圧側の事故★★全部が停電する★★ほかの幹線が支える
★保護装置★★区分ヒューズ★★ネットワークプロテクタ

バンキングは同じ高圧幹線からなので、その幹線が停電すれば全滅です——そこが限界です。

低圧ネットワークは複数の幹線から取るので、高圧側の事故にも強い——だから信頼度が最も高いのです。

低圧配電の3方式を費用と信頼度で並べる

方式費用信頼度採用される場所
★放射状★★安い★★低い★★全国のほとんど
★バンキング★★中くらい★★中くらい★★負荷密度の高い地域
★低圧ネットワーク★★高い★★最も高い★★大都市の繁華街

費用と信頼度はいつも比例します——だから需要に見合う方式を選ぶのです。

問題文は、この3つを上から順に説明しています——構成をつかむと空欄が埋めやすいのです。

カスケーディングという言葉

意味使われる場面
★★カスケーディング★★ヒューズが次々に切れて停電が広がる★★バンキング方式の低圧側
★ブラックアウト★★電力系統全体が崩壊して大停電になる★★基幹系統
★フェランチ効果★★軽負荷時に受電端電圧が上がる★★長い線路・ケーブル

3つとも実在する語ですが、規模も場面も違います——だから消去法が効くのです。

低圧幹線の話なので、カスケーディングが正解です。

バンキング方式が使われる場面

条件バンキングが向くか理由
★★負荷密度が高い商店街★★向く★★電圧降下を抑えたい
★★需要が増えつつある地域★★向く★★融通が利く
★住宅が点在する地域★★向かない★★放射状で足りる

並列につなぐには、変圧器どうしが近い必要があります——低圧幹線でつなぐから。

だから需要が密集した地域に限られます——商店街などが典型です。

問題文の「需要の増加に対し融通性がある」はその利点を指しています

まとめ

(ア)配電用変圧器(放射状方式)
(イ)電圧降下(バンキングで減少)
(ウ)カスケーディング(ヒューズ連鎖切れ)
(エ)短く(区分ヒューズの動作時間)
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・低圧ネットワーク方式(配電12):【電力】令和4年度下期 A問題13
・スポットネットワーク方式(配電18):【電力】令和2年度 A問題13

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次