配電15【電験3種 電力】単相3線式は1線当たりの供給電力が大きい!「小さい」は誤り=(5) 令和3年度 A問題12 完全解説

電験3種 電力科目 令和3年度 A問題12 アイキャッチ

今回は令和3年度 電力科目 A問題12100/200V単相3線式配電方式から誤りを1つ選ぶ問題です。電圧降下・中性線断線・不平衡損失・2種類の電圧と、単相3線式の論点がひととおり並びます

決め手は「1線当たりの供給可能な電力」。許容電流が同じ電線を使うなら、単相2線式は1線当たり50I、単相3線式は約66.7Iで、3線式のほうが4/3倍大きい——「小さい」は正反対です。

目次

令和3年度 電力科目 A問題12:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 令和3年度 A問題12 問題文
令和3年度 電力科目 A問題12 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題12

電験3種 電力科目 【配電】 令和3年度 A問題12

 単相3線式配電方式は、1線の中性線と、中性線から見て互いに逆位相の電圧である2線の電圧線との3線で供給する方式であり、主に低圧配電線路に用いられる。100/200V単相3線式配電方式に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 電線1線当たりの抵抗が等しい場合、中性線と各電圧線の間に負荷を分散させることにより、単相2線式と比べて配電線の電圧降下を小さくすることができる。

(2) 中性線と各電圧線の間に接続する各負荷の容量が不平衡な状態で中性線が切断されると、容量が大きい側の負荷にかかる電圧は低下し、反対に容量が小さい側の負荷にかかる電圧は高くなる。

(3) 中性線と各電圧線の間に接続する各負荷の容量が不平衡であると、平衡している場合に比べて電力損失が増加する。

(4) 単相100V及び単相200Vの2種類の負荷に同時に供給することができる。

(5) 許容電流の大きさが等しい電線を使用した場合、電線1線当たりの供給可能な電力は、単相2線式よりも小さい。

答え1線当たりの供給可能な電力は単相2線式よりも小さい = (5)——実際は約4/3倍で大きいので、この記述が誤りです。

出題のポイント:単相3線式の接続と1線当たり電力

L1中性線NおよびL2で構成する100対200ボルト単相3線式の正しい負荷接続と逆位相を示す図
L1−NとN−L2は各100Vで逆位相、L1−L2は200Vとなり、2種類の負荷を同時に供給できます。

100/200V単相3線式は、互いに逆位相の2本の電圧線L1・L2と中性線Nで構成され、100V負荷と200V負荷を同時に供給できます。各電線の許容電流をIとすると、単相2線式は1線当たり50I、単相3線式は200I÷3≒66.7Iとなります。単相3線式は4/3倍大きいため、『単相2線式よりも小さい』とした(5)が誤りです。

答えは(5):1線当たりの供給電力は単相3線式のほうが大きい

単相2線式の一線当たり50Iワットと単相3線式の一線当たり66.7Iワットを比較し単相3線式が3分の4倍大きいと確認する図
単相2線式は50I[W/線]、単相3線式は66.7I[W/線]で、単相3線式が4/3倍大きくなります。

電線を1本増やすだけで、送れる電力が2倍になります——1線当たりで見ても得をするのです。

選択肢内容判定
★(1) 負荷分散で電圧降下が小さい★★各電圧線の電流が半分になる★★正しい
★(2) 中性線断線で大容量側が低下★★2負荷が200Vに直列接続される★★正しい
★(3) 不平衡で電力損失が増加★★中性線に電流が流れる分だけ増える★★正しい
★(4) 100Vと200Vを同時に供給★★単相3線式の最大の利点★★正しい
★★(5) 1線当たりの供給電力が小さい★★★実際は4/3倍で大きい★★★誤り

(5)を数字で確かめる

許容電流Iが同じ電線を使ったときの供給電力

単相2線式:\( P_2=100I \)、電線2本 → 1線当たり \( 50I \)
単相3線式:\( P_3=100I+100I=200I \)、電線3本 → 1線当たり \( \dfrac{200I}{3}\fallingdotseq 66.7I \)

比は (200/3)÷50 = 4/3 ≒ 1.33倍——電線1本あたりで見ても単相3線式が有利です。

単相2線式は電圧線と帰り線の2本で100Vを1回路ぶん送ります——電線2本で100Iです。

単相3線式は中性線を挟んで100Vの回路を2つ作れます——電線3本で200Iになります。

電線が1.5倍になって電力が2倍——だから1線当たりでは4/3倍という計算です。

(1)の電圧降下がなぜ小さくなるか

単相2線式単相3線式(平衡)
★電線を流れる電流★I★★I/2(両側に分かれる)
★往復の抵抗★2R★★R(中性線に電流が流れない)
★電圧降下★2RI★★RI/2(1/4)

同じ電力を送るとき、単相3線式では電圧線の電流が半分になります——200Vで送っているからです。

さらに平衡していれば中性線に電流が流れません——往復ぶんの抵抗を数えなくてよいのです。

この2つが重なって、電圧降下は単相2線式の1/4になります——(1)の記述どおりです。

(2)の中性線断線はなぜ危険か

負荷インピーダンス断線後にかかる電圧
★容量が大きい側★小さい★★低くなる
★容量が小さい側★大きい★★★高くなる(機器が焼損する)

中性線が切れると、2つの負荷が200Vに直列でつながります——電圧はインピーダンスの比で分かれるのです。

容量が大きい負荷ほどインピーダンスは小さい——だから分担する電圧が低くなるのです。

逆に容量の小さい側には200Vに近い電圧がかかります——だから中性線には過電流遮断器を設けてはならないと定められています。

⚠️ よくある間違い
(1)を疑ってしまう——電流が半分になり中性線に電流が流れないので、電圧降下は確かに小さくなります。正しい記述です。
(2)の大小を逆に覚える——容量が大きい=インピーダンスが小さい=分担電圧が低い。「容量」と「インピーダンス」が逆向きだと押さえてください。
(5)を「電線が3本だから1本あたりは損」と考える——電線1.5倍で電力2倍なので、割り算をすれば得をしていると分かります。

⏱️ 本番での進め方
①★許容電流Iを同じとして、送れる電力を書き出す
②★単相2線式は100I、単相3線式は200I。
③★電線本数で割る——50I と 66.7I。
④★「小さい」と書いてあれば誤り

💡 覚え方
単相3線式は「電線1.5倍で電力2倍」——1線当たりは4/3倍電圧降下は1/4、電力損失も減り、100Vと200Vが同時に取れる——弱点は中性線の断線だけと覚えると整理できます。

中性線断線とバランサは令和元年度 A問題12配電:単相3線式の接地)でも問われています。

不平衡が電力損失を増やす理由

状態中性線の電流電力損失
★平衡★0★2本ぶんの損失だけ
★不平衡★★差の電流が流れる★★★中性線の損失が上乗せされる

平衡していれば中性線の電流はゼロで、損失も生じません——これが単相3線式の効率のよさです。

不平衡になると差の電流が中性線に流れます——その分だけ損失が増えるので、(3)は正しい記述です。

まとめ

単相3線式の選択肢一から五と中性線断線時の直列負荷を確認し選択肢五を誤りと判定する図
中性線断線時は小容量側が高電圧となり、1線当たり供給電力が小さいとした(5)が誤りです。
(1) 電圧降下電流1/2・中性線に電流なし→単相2線式の1/4→正しい
(2) 中性線断線容量が小さい側に高い電圧→正しい
(3) 不平衡中性線の電流ぶん損失が増える→正しい
(4) 2種類の電圧100Vと200Vを同時に供給できる→正しい
(5) 1線当たりの電力2線式50I/3線式66.7I=4/3倍で大きい→誤り
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・単相3線式の接地(配電19):【電力】令和元年度 A問題12
・交流三相方式との比較(配電7):【電力】令和6年度上期 A問題11

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