配電21【電験3種 電力】力率改善コンデンサは負荷に近い下流ほど効果的!「上流の高圧側がよい」は誤り 平成29年度 A問題13 完全解説

電験3種 電力科目 配電 平成29年度 A問題13 下流に置くほど効果的!力率改善コンデンサ

今回は平成29年度 電力科目 A問題13配電線路の電圧調整の誤り選択問題です。太陽光のPCS・LRT・電力用コンデンサ・SVR・SVCと、電圧調整の手段が総登場します。

決め手は電力用コンデンサの接続位置。力率改善の電力用コンデンサは、負荷に近い下流(低圧側)に接続する方が線路電流を早く減らせて効果的です。「上流の高圧配電線路に接続した方がよい」は逆で誤りです。

目次

平成29年度 電力科目 A問題13:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成29年度 A問題13 問題文
平成29年度 電力科目 A問題13 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題13

電験3種 電力科目 【配電】 平成29年度 A問題13

 配電線路の電圧調整に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 太陽電池発電設備を系統連系させたときの逆潮流による配電線路の電圧上昇を抑制するため、パワーコンディショナには、電圧調整機能を持たせているものがある。

(2) 配電用変電所においては、高圧配電線路の電圧調整のため、負荷時電圧調整器(LRA)や負荷時タップ切換装置付変圧器(LRT)などが用いられる。

(3) 低圧配電線路の力率改善をより効果的に実施するためには、低圧配電線路ごとに電力用コンデンサを接続することに比べて、より上流である高圧配電線路に電力用コンデンサを接続した方がよい。

(4) 高負荷により配電線路の電圧降下が大きい場合、電線を太くすることで電圧降下を抑えることができる。

(5) 電圧調整には、高圧自動電圧調整器(SVR)のように電圧を直接調整するもののほか、電力用コンデンサや分路リアクトル、静止形無効電力補償装置(SVC)などのように線路の無効電力潮流を変化させて行うものもある。

答え誤っているのは(3)です。

答えは(3):コンデンサは負荷に近い下流のほうが効果的

設置する場所の上下が逆に書かれています

選択肢正誤要点
★(1) パワコンの電圧調整機能★正しい★逆潮流の電圧上昇を抑える
★(2) LRA・LRT★正しい★配電用変電所で調整する
★★(3) 上流の高圧側がよい★★誤り★★負荷に近い下流のほうが効果的
★(4) 太線化★正しい★抵抗が減る
★(5) 直接調整と無効電力潮流★正しい★2つの調整のしかたがある

コンデンサを置く場所で効果が変わる

置く場所無効電流が流れる区間効果
★上流の高圧配電線★★コンデンサから負荷までは流れ続ける★★低圧側の改善にならない
★★負荷のすぐ近く(低圧側)★★ほぼゼロ★★線路全体の電流・降下・損失が減る

コンデンサは、置いた地点から電源側の無効電流を減らします——そこで無効電力を供給するから。

だから負荷に近いほど、減る区間が長くなります——効果が大きいのです。

上流に置くと、そこから負荷までの区間は改善しません——無効電流が流れ続けるのです。

だから低圧配電線ごとに分散して接続します——記述(3)は逆なのです。

電圧を直接調整するか、無効電力で調整するか

調整のしかた装置働き方
★★電圧を直接調整する★★LRT・LRA・SVR★★タップを切り換えて巻数比を変える
★★無効電力潮流を変える★★電力用コンデンサ・分路リアクトル・SVC★★QX の項を増減させて電圧を動かす

電圧調整には、まったく違う2つの手があります——記述(5)はそれを述べているのです。

タップを切り換える方法は、確実で分かりやすい——そのかわり段階的です。

無効電力を動かす方法は、連続的に調整できます——力率改善や損失低減も同時に得られるのです。

だから両方を組み合わせて使います——(5)は正しい記述です。

⚠️ よくある間違い
(3)を正しいと考える——負荷に近い下流のほうが効果的です。
(1)のパワコンを無関係と考える——電圧調整機能をもつものがあります
(2)のLRAをLRTと同じと考える——別置きか一体かの違いです。
(5)の分路リアクトルを疑う——進み無効電力を吸収して電圧を下げます
コンデンサを電圧を上げる装置と考える——無効電力を通じて間接的に効きます

⏱️ 本番での進め方
①★力率改善のコンデンサは負荷に近い下流へ分散する。
②★上流にまとめると下流の無効電流が減らない。
③★電圧調整は「直接」と「無効電力経由」の2種類。
④★SVRは直接、コンデンサ・リアクトル・SVCは無効電力経由。

💡 覚え方
「コンデンサは負荷のそばへ」——そこから電源側の無効電流が減るのです。上流だと下流が改善しない——だから(3)は誤りです。

配電の電圧調整は平成20年度 A問題13配電:配電線路の電圧調整)にもあります。

分散接続という考え方

置き方台数効果費用
★上流に集中★★1台(大容量)★★上流側だけ改善★★安い
★★下流に分散★★多数(小容量)★★線路全体が改善★★やや高い

効果を取るなら分散、費用を取るなら集中です——つり合いで決まるのです。

けれども力率改善の効果は、分散のほうが明らかに大きい——だから記述(3)は誤りなのです。

需要家の構内でも同じで、負荷のそばに置くのが基本です——個別補償と呼びます。

分路リアクトルとコンデンサの使い分け

電力用コンデンサ分路リアクトル
★無効電力★★進み分を供給する★★遅れ分を供給(進み分を吸収)する
★電圧への効き方★★上げる★★下げる
★使う場面★★重負荷時・力率が悪いとき★★軽負荷時・フェランチ効果のとき

2つは正反対の働きをします——だから時間帯で使い分けるのです。

どちらも無効電力潮流を変えて電圧を動かします——記述(5)の後半の内容です。

パワーコンディショナの電圧調整機能

機能働き発電への影響
★★進相運転(力率制御)★★遅れ無効電力を吸収して電圧を下げる★★ほとんどなし
★★出力抑制★★有効電力そのものを絞る★★発電量が減る

まず無効電力で調整し、足りなければ出力を絞ります——発電を減らしたくないから。

この機能をもつパワコンが標準になっています——記述(1)は正しいのです。

配電系統の電圧調整に、需要家側も参加している形です

太線化が効く理由と限界

効果限界
★抵抗 R★★断面積に反比例して小さくなる★—
★リアクタンス X★★ほとんど変わらない★★太くしても減らない
★費用★—★★張替え工事が大がかり

太くすれば抵抗は確実に下がります——だから(4)は正しいのです。

ただしリアクタンスは電線の配置で決まるので変わりません——力率が悪いと効果が薄いのです。

だから力率改善と組み合わせるのが実際のやり方です

電圧調整の手段を1枚で見る

場所装置調整のしかた
★配電用変電所★★LRT・LRA★★タップで直接
★高圧配電線の途中★★SVR★★タップで直接
★高圧・低圧配電線★★電力用コンデンサ・分路リアクトル★★無効電力経由
★需要家側★★パワーコンディショナ★★無効電力経由・出力抑制
★電線そのもの★★太線化★★抵抗を減らす

本問の5つの選択肢は、この表を網羅しています——配電の電圧調整の全体像です。

誤りが仕込まれたのは、コンデンサを置く場所でした——負荷に近いほうが効くのです。

装置の名前だけでなく、置く場所まで押さえましょう

力率改善が生む3つの効果

効果しくみ
★★線路電流が減る★★無効電流が流れなくなる
★★電力損失が減る★★損失は電流の2乗に比例する
★★電圧降下が減る★★QX の項が小さくなる

1つの対策で3つの効果が同時に得られます——だからどこでも行われるのです。

どれも「無効電流が流れる区間」で起きます——だから区間が長いほど効果が大きいのです。

負荷に近く置けば、区間が最も長くなります——それが(3)の判断につながるのです。

LRAとLRTの違い

略号正式名称構造
★LRT★★負荷時タップ切換装置付変圧器★★主変圧器に組み込む
★LRA★★負荷時電圧調整器★★別置きの単巻変圧器

どちらも配電用変電所で送出電圧を調整します——目的は同じです。

すでにある変圧器に後から足すならLRAになります——だから(2)は両方を挙げているのです。

無効電力で電圧を動かすという発想

装置無効電力電圧
★電力用コンデンサ★★進み分を供給★★上がる
★分路リアクトル★★進み分を吸収★★下がる
★SVC★★両方向に連続制御★★上下どちらにも

電圧を直接いじらなくても、無効電力を動かせば電圧は変わります——それが(5)の後半です。

SVCは半導体で高速に制御できるので、変動の速い負荷にも対応できます

まとめ

誤り(3) コンデンサは下流ほど効果的
PCS逆潮流の電圧上昇抑制(1)
LRA/LRT変電所での電圧調整(2)
太線化抵抗減で電圧降下抑制(4)
SVR/SVC直接調整・無効電力潮流(5)
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・配電線路の電圧維持(配電6):【電力】令和6年度上期 A問題7
・配電線路の電圧調整(配電8):【電力】令和5年度下期 A問題7

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