送電の計算18【電験3種 電力】三相4線式の損失は単相2線式の1/6!16.7% 平成29年度 A問題11 完全解説

電験3種 電力科目 送電の計算 平成29年度 A問題11 三相4線式なら損失は6分の1!16.7%の理由

今回は平成29年度 電力科目 A問題11、送電電力・電圧・線路抵抗が同じとき三相4線式の損失が単相2線式の何%になるかを求める問題です。各方式の電流を電力から出して、損失を比べます。

手順は「電力の式から各方式の電流を出す→損失=(本数)×I²r を計算→比を取る」。単相2線式は往復2線、三相4線式(Y・平衡負荷)は中性線に電流が流れないので3線分。電流の大きさの違いが損失比に効いてきます。

目次

答えは(1):16.7 %

送電電力を等しくして、損失を比べます

方式送電電力線路損失電線の本数
★単相2線式\( P=VI_1 \)\( P_L=2I_1^2r \)★2本
★三相4線式(Y)\( P=3VI_3 \)\( P_L=3I_3^2r \)★★4本(中性線に電流は流れない)

① 電力が等しいという条件から電流の関係を出す

\( VI_1=3VI_3 \)
送電電力が等しい
\( I_1=3I_3 \)
V が約分される
★電流の関係

② 損失の比を取る

\( \dfrac{P_{L3}}{P_{L1}}=\dfrac{3I_3^2r}{2I_1^2r} \)
損失の比
\( =\dfrac{3I_3^2}{2(3I_3)^2}=\dfrac{3I_3^2}{18I_3^2} \)
I₁=3I₃ を代入
\( =\dfrac{1}{6}\fallingdotseq 0.167=16.7\ % \)
整理して
★答え

三相4線式のほうが、損失は6分の1で済みます——大きな差です。

同じ電力を、より小さな電流で送れるから——3本に分けて送っているのです。

損失は電流の2乗に比例するので、効果が大きい——電流が3分の1なら損失は9分の1

ただし線が3本あるので、3倍して6分の1に落ち着きます——9分の1×3÷2=6分の1です。

平成29年度 電力科目 A問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 送電の計算 平成29年度 A問題11 問題文
平成29年度 電力科目 A問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題11

電験3種 電力科目 【送電の計算】 平成29年度 A問題11

 回路図のような単相2線式及び三相4線式のそれぞれの低圧配電方式で、抵抗負荷に送電したところ送電電力が等しかった。このときの三相4線式の線路損失は単相2線式の何〔%〕となるか。最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、三相4線式の結線はY結線で、電源は三相対称、負荷は三相平衡であり、それぞれの低圧配電方式の1線当たりの線路抵抗r、回路図に示す電圧Vは等しいものとする。また、線路インダクタンスは無視できるものとする。

(1)16.7 (2)33.3 (3)50.0 (4)57.8 (5)66.7 %

平成29年度 A問題11 単相2線式と三相4線式の回路図
平成29年度 A問題11 単相2線式と三相4線式の回路図
平成29年度 A問題11 単相2線式と三相4線式の回路図
平成29年度 A問題11 単相2線式と三相4線式の回路図
答え三相4線式の線路損失は単相2線式の約 16.7 %です。

中性線に電流が流れない

条件中性線の電流理由
★三相平衡★★ゼロ★★3相のベクトル和がゼロ
★不平衡★★流れる★和がゼロでなくなる

問題文に「負荷は三相平衡」とあります——だから中性線に電流は流れません

だから損失も3線分だけ考えればよい——4線式なのに3I²rなのはこのため。

もし不平衡なら、中性線にも電流が流れます——そのぶん損失が増えるのです。

平衡という条件が、計算を簡単にしています——問題文の但し書きに意味があるのです。

配電方式による損失の比較

方式同じ電力での損失電線の本数特徴
★単相2線式★★100%(基準)★2本★最も単純
★単相3線式★★25%★3本★★電圧が2倍とれる
★三相3線式★★75%★3本★動力用に広く使う
★三相4線式★★16.7%★4本★★電灯と動力を1つの系統で

電圧を高くとれる方式ほど、損失が小さくなります——電流が減るから。

単相3線式は、100 V と200 V の両方が使えます——だから住宅で広く使われるのです。

三相4線式は、相電圧と線間電圧の両方を使えます——電灯と動力をまとめられるのです。

電線が増えるぶん費用はかかりますが、損失で取り返せます——そのつり合いで方式が選ばれるのです。

⚠️ よくある間違い
中性線にも電流が流れると考えて4倍してしまう——三相平衡なら中性線の電流はゼロです。
送電電力の式を V I としてしまう——Y結線の三相なら 3VI(V は相電圧)
電流の関係を求めずに損失だけ比べる——まず電力が等しい条件から電流を出します
比を逆にしてしまう——「三相は単相の何%」なので三相÷単相
電流が3分の1なら損失は9分の1——2乗で効くことを忘れないことです。

⏱️ 本番での進め方
①★電力が等しい条件から、まず電流の関係を出す。
②★三相平衡なら中性線に電流は流れない。
③★損失は電流の2乗に比例するので効果が大きい。
④★三相4線式の損失は単相2線式の6分の1。

💡 覚え方
「電力をそろえて電流を比べる」——比較の問題はこの順序です。電流が3分の1なら損失は9分の1——それを線の本数で調整します

電力損失の基本は令和4年度上期 A問題8送電の計算:電力損失)にあります。

なぜ三相のほうが有利なのか

同じ電力を、より小さな電流で送れるからです

方式1本が運ぶ電力電流損失
★単相2線式★★1本で全部★★大きい★★大きい
★三相4線式★★3本で分担★★3分の1★★9分の1(1本あたり)

3本に分ければ、1本あたりの電流は3分の1です——損失は2乗なので9分の1

けれども線が3本あるので、合計は3倍します——9分の1×3=3分の1

単相は2本なので、基準は2I²r——だから比は(1/3)÷2×3=1/6になります。

「分けて送る」ことが損失を減らす——それが多相方式の値打ちです。

送電電力の式を方式ごとに確かめる

方式によって式が変わります

方式電圧の意味送電電力
★単相2線式★★2線間の電圧\( P=VI\cos\theta \)
★三相3線式★★線間電圧\( P=\sqrt{3}VI\cos\theta \)
★三相4線式(Y)★★相電圧(中性線との間)\( P=3VI\cos\theta \)

V が線間電圧か相電圧かで、式が変わります——回路図を見て確かめるのです。

本問はY結線で、V は相電圧です——だから P=3VIになります。

もし線間電圧なら √3VI になります——√3 倍の関係だから。

抵抗負荷なので力率は1——cosθ を省けるのです。

線の本数と損失の関係

方式ごとに、なぜ損失が変わるのか整理します

方式1線が運ぶ電力電流損失の合計
★単相2線式★★1本で全部★★I₁★★2I₁²r
★三相4線式★★3本で分担★★I₁/3★★3(I₁/3)²r

電流が3分の1になれば、1本の損失は9分の1です——2乗で効くから。

それが3本あるので、合計は3分の1になります——9分の1×3

単相の基準が2I²r なので、比は(1/3)÷2=1/6——だから16.7%です。

「分けて送る」ことが損失を減らす——それが多相方式の値打ちになります。

なぜ電圧を高くすると有利なのか

すべての比較が、この一点に行き着きます

同じ電力での電流
\( I=\dfrac{P}{V\cos\theta} \)

電圧が高いほど電流は小さい

電圧電流損失
★V★I★基準
★2V★★I/2★★4分の1
★3V★I/3★★9分の1

電圧を上げれば、同じ電力でも電流が減ります——反比例だから。

損失は電流の2乗なので、効果が2乗になります——2倍の電圧で4分の1

単相3線式が有利なのも、200 V が使えるから——電圧が2倍になるのです。

配電方式の比較は、結局この一点に集約されます——いかに電流を減らすかです。

抵抗負荷という条件の意味

力率が1になるので、計算が簡単になります

負荷力率電力の式
★抵抗負荷★★1.0★★P=VI(cosθ を省ける)
★誘導負荷★遅れ★P=VI cosθ

抵抗だけなら、電圧と電流が同位相です——だから力率は1

電熱器や白熱電球が、その例になります——モータなら遅れるのです。

問題文が「抵抗負荷」と断っているのは、計算を単純にするため——力率を考えなくてよいのです。

比較の問題では、余計な要素を減らすのが定石——そこに注目すべき点が残るのです。

まとめ

単相2線I₁=P/V、損失=2r(P/V)²
三相4線YI₃=P/(3V)、損失=rP²/(3V²)
損失比(1/3)/2=1/6
%16.7%
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・損失率の導出(送電の計算2):【電力】令和6年度下期 A問題12
・全電力損失の計算(送電の計算11):【電力】令和4年度上期 A問題8

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