新エネ13【電験3種 電力】ここでも風速の「2乗」が誤り!各種発電の原理の正誤 平成28年度 A問題5 完全解説

電験3種 電力科目 新エネルギー 平成28年度 A問題5 また出た風速の2乗!各種発電の原理を判定

今回は平成28年度 電力科目 A問題5を解説します。燃料電池・貯水池式水力・バイオマス・風力・太陽光の5方式の原理から誤っているものを選ぶ問題です。

またしても風力の3乗則が標的。今回は「風速の2乗に比例」という書き方です。令和5年度上期(新エネ6)は「比例」、本問は「2乗」——どちらも正解は3乗。エネルギー(2乗)と電力(3乗)の混同を誘っています。

目次

誤りは(4):2乗ではなく3乗

「風速の2乗に比例する」——惜しいけれども誤りです。

書かれ方正誤出題年度
★風速に比例★誤★平成24年度
★風速の2乗に比例★誤★平成28年度(本問)
★風速の3乗に比例★正★平成22年度で答えさせる

1乗も2乗も誤り——3乗だけが正しいのです。

2乗は運動エネルギー½mv² の指数——そこで止まると2乗になります

けれども1秒間に通る空気の量も風速に比例する——だから1乗ぶん増えて3乗になります。

「2乗」と書かれると、½mv² を思い出して正しく見えてしまう——そこを突いた出題です。

平成28年度 電力科目 A問題5:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 新エネルギー 平成28年度 A問題5 問題文
平成28年度 電力科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題5

電験3種 電力科目 【新エネルギー】 平成28年度 A問題5

 各種の発電に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

燃料電池発電は、水素と酸素との化学反応を利用して直流の電力を発生させる。化学反応で発生する熱は給湯などに利用できる。
貯水池式発電は水力発電の一種であり、季節的に変動する河川流量を貯水して使用することができる。
バイオマス発電は、植物などの有機物から得られる燃料を利用した発電方式である。さとうきびから得られるエタノールや、家畜の糞から得られるメタンガスなどが燃料として用いられている。
風力発電は、風のエネルギーによって風車で発電機を駆動し発電を行う。風力発電で取り出せる電力は、損失を無視すると、風速の2乗に比例する。
太陽光発電は、太陽電池によって直流の電力を発生させる。需要地点で発電が可能、発生電力の変動が大きい、などの特徴がある。

答え誤っている記述は (4)です。

(1) 燃料電池発電

水素と酸素から、直接電気を取り出します

\( \mathrm{H_2}+\dfrac{1}{2}\mathrm{O_2}\ \rightarrow\ \mathrm{H_2O} \)
全体の反応
★水しか出ない
起きること
★負極(燃料極)★水素が電子を放して水素イオンになる
★正極(空気極)★酸素・水素イオン・電子が結びついて水になる

電子が外部の回路を通る——それが直流の電流です。

燃焼を経ないので、カルノー効率の制約を受けません——発電効率が40〜60 % と高いのはそのためです。

発熱反応なので、出た熱は給湯に使える——合わせて総合効率80 % 前後になります。

(2)(3)(5) 残る3つの記述

記述内容要点
(2)貯水池式は季節変動を貯水できる★貯水池=季節、調整池=日〜週
(3)エタノールとメタンガスが燃料★さとうきび→液体、糞→気体
(5)太陽光は直流・需要地点で発電・変動が大きい★3つとも正しい

(2)の貯水池式と調整池式の違いは、貯められる期間——季節をまたげるのが貯水池式です。

(3)は原料と燃料の形の対応——さとうきびの糖を発酵させればエタノール、糞をメタン発酵させればガスになります。

(5)の「需要地点で発電が可能」は、送電損失がない利点——屋根の上で発電してその場で使えます

⚠️ よくある間違い
(4)の「2乗」を½mv² と結びつけて正しいと判断する——最も多い誤りです。
1秒間に通る空気の量も風速で変わる——だから3乗になります。
(1)の「直流の電力」を疑ってしまう——燃料電池は直流を出します系統につなぐには変換が必要です。
(2)の貯水池式を疑ってしまう——季節変動を貯められるのが貯水池式
(3)のエタノールとメタンを疑ってしまう——どちらも実際の燃料です。
5つの記述が別々の発電方式——横断的な知識が問われています

⏱️ 本番での進め方
①★風力は3乗。1乗も2乗も誤り。
②★燃料電池は直流・発熱反応・熱は給湯に使える。
③貯水池式は季節、調整池式は日〜週。
④さとうきび→エタノール、糞→メタンガス。

💡 覚え方
「2乗で止まらない、3乗まで行く」——エネルギーで2乗、風量で1乗です。2乗と書かれたら誤り——いちばんもっともらしい誤答になります。

「風速に比例」という形は平成24年度 A問題5新エネルギー:風力発電)、3乗を答えさせる形は平成22年度 A問題5新エネルギー:風力発電)にあります。

燃料電池の種類

(1)の燃料電池には、いくつかの方式があります

種類動作温度用途
★固体高分子形(PEFC)★80 ℃ 前後★家庭用・自動車用
りん酸形(PAFC)200 ℃ 前後業務用
溶融炭酸塩形(MCFC)650 ℃ 前後大規模
★固体酸化物形(SOFC)★1,000 ℃ 前後★発電効率が最も高い

温度が高いほど発電効率が上がります——反応が速く進むからです。

低温形は起動が速く、家庭用に向く——用途によって使い分けます

家庭用のエネファームは固体高分子形か固体酸化物形——都市ガスから水素を取り出して使います

水素はどこから来るか

水素は自然界にほとんど単体で存在しません

作り方原料CO₂
★水蒸気改質★天然ガス・都市ガス★出る
★水の電気分解★水+電気★電気しだい

今の主流は天然ガスからの改質——その過程で二酸化炭素が出ます

再生可能エネルギーの電気で水を分解すればゼロにできる——グリーン水素と呼ばれます。

(2) 貯水池式と調整池式の違い

水力発電の分類は、貯められる期間で決まります

方式貯められる期間役割
流込み式★貯められない★川の流れをそのまま使う
★調整池式★日〜週★1日の需要変動に合わせる
★貯水池式★季節★梅雨や雪解けの水を夏や冬へ回す
揚水式日〜週電気を使って汲み上げる

問題文の「季節的に変動する河川流量を貯水して」——まさに貯水池式の説明です。

調整池式では季節をまたげません——池が小さいからです。

日本の河川は梅雨と台風の時期に水が多い——それを渇水期へ回せるのが貯水池式の価値になります。

(5) 太陽光の3つの特徴

「直流」「需要地点で発電が可能」「変動が大きい」——3つとも正しい記述です。

需要地点での発電は、送電損失がないという利点——屋根の上で作ってその場で使えます

変動が大きいのは短所——雲が流れるだけで出力が半減します

要点をもう一度

5つの発電方式を横断的に問う形です。

記述方式正誤
(1)燃料電池
(2)貯水池式水力
(3)バイオマス
★(4)★風力★誤(2乗ではなく3乗)
(5)太陽光

数値や指数が書かれているのは(4)だけ——そこを疑うのが定石です。

他の4つは定性的な記述で、いずれも定番——迷わず(4)へ向かえます

2乗と3乗を区別する

2乗になるのは「同じ質量の空気」を考えたときです。

3乗になるのは「1秒間に通過する空気」を考えたとき——発電の話なので後者になります。

どちらも½mv² から出発している——m を固定するか、m が v に比例するかの違いです。

燃料電池が直流を出す意味

(1)の「直流の電力」は、太陽電池と共通する性質です

電源出力系統につなぐには
★燃料電池★直流★変換が必要
★太陽電池★直流★変換が必要
回転機(火力・水力・風力)交流そのままつなげる

化学反応や光電効果で電子を取り出すと、直流になります——向きが変わる理由がないからです。

交流が出るのは、磁石とコイルが回っているとき——回転が周期を作ります

だから回転機を使わない発電は、必ず変換装置を伴う——共通する構図です。

家庭用のエネファームも、内部にインバータを持っています——直流を100 V の交流に変えてから使うのです。

まとめ

(1)燃料電池直流発生・排熱を給湯に利用→正しい
(2)貯水池式季節変動する河川流量を貯水→正しい
(3)バイオマスエタノール・メタンガス→正しい
(4)風力電力はv³に比例(2乗は誤り)→誤り
(5)太陽光直流・需要地点・変動大→正しい。答えは(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・風力はv³に比例(新エネ6・「比例」版の引っかけ):【電力】令和5年度上期 A問題5

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成28年度 問題一覧(全4科目)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次